After.97

終わりの予感は色づいてきて、 さよならの足音は近づいてきている。 でもそれでもまだ、 彼女の気配の中で、 空と風の間を漂い続けている私。 ...

After.96

握りしめていたキャンディーの感触から、 私はやっと手を離し、 ポケットの中から出した。 そっと出した手から伝わるのは、 想像していた以上の、 ...

After.95

そうして私はポケットの中に、 ミントキャンディーを一粒入れた。 手の平でごそごそとかき回せば、 そこにはこの一週間一粒も食べずにいた、 ミント...

After.94

息をこらしてやって来た私の姿に、 彼女は少しも同時せずまま、 静かに今日も迎え入れてくれた。 そしてそっと手を伸ばしたその中には、 そう、いつ...

After.93

だから私は今日もこの場所へ来た。 自分自身を解き放てるから。 自分自身を解き放ちたいから。 だから私は今日もこの空の下へ来た。 あの風...

After.92

夜明けから朝までの太陽の光は眩しくて、 それは一気に私を布団の渦へと沈ませた。 だって、 朝が来ればあの瞬間が訪れてしまう。 朝が来ればあの瞬...

After.91

目が覚めると、 日付は変わり日曜日になっていた。 カーテンの隙間から微かに見える夜明けの空が、 こっちへ来いと私を窓辺へそっと誘う。 春の...

After.90

一度手に入れたものを失う気持ちって、 一体どんな感覚なのだろう。 たとえば、 彼女の存在、 私がここにいる意義、 この空の下で感じる空間。 ...