ヒト・人の非力を想う読書
Re71『確かなリスの不確かさ』(ドリアン助川集英社)は、講演と朗読の会があると知り、事前に読んでおきたいと買い求めた。「動物哲学物語」と題され、21のストーリーが入っている。動物の生態と哲学を絡ませてつまるところ人間を描く。会で朗読された「絶滅危惧種」はアホウドリの話だが、その種とは、実は…。冒頭の「クマ少年と眼差し」は、今私たちが直面している問題とも重なり合って、なかなかに心迫るものがあった。第20話の「飛べない理由」はコウテイペンギン。わずか十数ページで語られるにはあまりに過酷な生態だと入れ込んでしまった。もちろん「物語」に違いないが、ヒトのあまりの非力さを改めて感じた。Re72『すべてきみに宛てた手紙』(長田弘ちくま文庫)は、新聞等へ書かれたエッセーがまとめられた一冊。2001年刊で一昨年文庫化さ...ヒト・人の非力を想う読書
2024/09/29 09:42