花火の賑やかさも落ち着き、屋台の人たちも暖簾を下ろしたり、後片付けをしている。生暖かい風が吹いて、祭りのあとって、いつも切なくなってしまう。ヨウコを探していると、サトルを見失ってしまった。それにしても人が多すぎである。駅の方に歩いていると、浴衣を着ている女の子二人いた。一人は、祭と書いてある団扇を帯にさしている。後姿がヨウコに似ている。走って前に見に行く。「おー。ヨウコじゃん。今日来てたんだ。」「ヨシオ君も来てたんだ。さっきサトル君が探してたけど。」「そうそう。さっきそこであったんだけど、またはぐれちゃった。」「二人らしい。」ヨウコが笑った。笑うと通りすぎている男達が見ていた。一時沈黙した後、「ヨウコ二人っきりで、ちょっと話さないか?」「別にいいけど。」その姿を察した女友達が、「じゃーここで、またね。」と言って...6.祭りのあと
祭り会場に着いたのはいいが、人が多くて、ヨシオと途中ではぐれてしまった。先にヨウコを探しているのかもしれない。【ここから先祭り会場入り口】という看板を通り、中に入ると、当たりくじや焼きそばなど屋台がずらっと並んでいて、プーンとたこ焼きのソースの焦げた匂いがしてきた。ドーンドーンと海に近い奥の方で、花火が上がっている。真下で見る花火は、迫力があり、綺麗だった。ボーと夜空に咲く花火を見ていると、「あれっ?サトル君じゃない?」と後ろで声がして、振り返ると、花火の刺繍がしてある青い浴衣を着たヨウコだった。髪はツインテールで結んでいる。その姿は、今上がっている花火よりも美しすぎて、唾を飲み込んだ。プールで話していた事を思い出して、ドギマギした。「今来たの?もう花火終わりそうだよ。」ヨウコがふと、上っている花火を見た。大き...5.祭り会場
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