7.家出したトナカイ

7.家出したトナカイ

毎年毎年なんで、クリスマスイブに、働かなければならないんだ。しかも一年に一回って、どれだけブラック企業なんだ。年々太っている髭面のサンタを乗せて、引っ張って行かなくちゃならない。いつも首がもげそうである。しかもエサが段々経費ケチって、その辺の草になっている。もうこうなりゃ、ボイコットしてやる。12月23日サンタが寝始めたころ、トナカイは、荷物をまとめて、机の上に【お世話になりました。トナカイ】と手紙を添えて出ていくことにした。雪の中をゆっくりと歩いていく。夜空を見ると月が浮かんでいて、周りが明るい。森の中を、一時歩いていくと、小さな池があり、一口飲んだ。「おいしい水だな。」こんなにゆっくりと水を飲んだのは初めてだ。いつも、サンタに急かされ、鞭を打たれ、急いで子供たちにプレゼントを配らなければならない。水なんてほ...7.家出したトナカイ