ポール・オースターの「幽霊たち」を読んだ。オースターの名前は知っていたが、これまで読んだことはなく、短くて読みやすそうな本として選んだ。 物語は「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。」という一文から始まる。登場人物の名前がすべて色で表されていて、最初は混乱しそうだと思ったが、意外とそんなことはなく、すんなり読めた。 主人公のブルーは探偵で、彼の仕事はブラックという男を監視すること。ただし、気づけば監視期間は1年以上にわたり、ブラックはほぼ毎日同じようなルーティンで生活するため、劇的な事件が起こるわけではない。ただ監視し…
ずっと観ようと思っていた「東京物語」を、ついに観た。 20年以上も前から「いつか観よう」と思っていたがなかなかきっかけがなかったんだよね⋯ ところが、ある夜、何の気なしにアマプラをチェックしてたら、そこにあった。特に気合を入れて観ようとしたわけでもなく、ただ「お、あるじゃん」くらいのノリで再生した。 そして⋯衝撃を受けた。 「面白い?」いや、そういう映画じゃない。 ほんまに「素晴らしい映画」だった。 物語の舞台は戦後の日本。尾道に住む老夫婦が、東京に住む子どもたちを訪ねるところから始まる。 最初は皆で歓迎するが、子どもたちはそれぞれの生活に追われ、両親に構うことができない。長男は医者として忙し…
Minolta MC W.Rokkor HG 35mm F2.8の絞り羽根の動きがいまいち微妙だったので羽の清掃をしてみようと分解してみた。 ネットにはありがたいことに分解手順を載せてくれている方々がいるので、それを参考にしながら作業開始。作業方法はググればいくらでもでるので割愛。ちなみに僕は不器用かつ雑な性格でこの手の作業はあまり得意ではない。もちろんトラブルはある笑 というわけで、ざっとばらしてこの状態。絞り羽が見える。 本当は羽もバラシて・・・ってのを想定していたんだけどめんどくさいのとこれ以上は僕には危険だと察知してやめた。 清掃はよくわからんので無水エタノールを綿棒につけてフキフキす…
写真にはハマっている。でも、撮りに行っていない。 カメラはほぼ毎日触っているし、通勤や外出のついでには撮るし、家では子どもたちの写真をよく撮る。仕事柄、決まったオフィスに出社するわけではないので、多少違う景色の中で撮ることもできる。だから、「全然撮ってないな」と思うことはない。でも、「写真を撮るためにどこかに出かける」ということはなくなった。 そもそも趣味だから、「撮りに行くぞ!」と意気込んでカメラを持ち出すのは自分の性格には合わないというのもある。何かのついでに撮るほうが気楽だし、スナップが好きなこともあって、今のスタイルでも十分楽しめている。でも、上手い人の写真を見ていると、やっぱり「どこ…
まるで美術館に飾られた絵画のように洗練された画の中で、幸せそうな家族が生活している。清潔な家、仲睦まじい夫婦、無邪気な子どもたち。数名の家政婦がいて、豊かな生活を送る理想的な家庭を描いた映画のように見えた。 だが、そこには異様な違和感がある。 その家の塀は不自然なほど高く、その向こうにはアウシュビッツが広がっている。静かな生活音に混じって、ときどき違和感を覚える音や声が聞こえる。それは銃声、看守の怒声、悲鳴だった。けれども、そこに住む住人たちは、まるで何も起こっていないかのように、淡々と日常を送る。 主人公らしき男はエリート軍人。仕事熱心で、家族思いの「いい旦那」に見える。だが彼の仕事は、いか…
先日、サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」に収録されている「バナナフィッシュにうってつけの日」を読んだ流れで、「フラニーとズーイ」を読んだ。グラース家の兄妹、フラニーとズーイの物語で、前半の「フラニー」は妹フラニーが恋人と会う話、後半の「ズーイ」は兄ズーイが母親やフラニーと会話する話になっている 「ナイン・ストーリーズ」を読んでいると、ちょこちょこ登場するグラース家。知性の高い家庭で、子供のころから天才児として育てられた兄妹たちが、それぞれの壁にぶつかる様子が描かれる。特にフラニーは精神的な行き詰まりを感じ、宗教的なものにのめり込むが、それが彼女を救うどころか、むしろ悪い方へ向かわせている。…
ヴィム・ベンダースの「パーフェクトデイズ」を見た。ベンダース作品は「パリ、テキサス」しか観たことがなかったので、どんな映画なのか想像もつかず、ほぼ予備知識なしで鑑賞。 役所広司演じる主人公平山は、公衆トイレの清掃員。彼の日常が淡々と描かれる。朝を迎え、仕事をし、音楽を聴き、本を読み、眠る、その繰り返し。平山は無口で何の情報出てこない。バックグラウンド等語られるシーンもない。劇的な出来事はほとんどない。だけど、そのルーティンの中にある小さな楽しみや、ちょっとした出来事が積み重なり、彼の生活が静かに動いていく。 そんな平山の生活に、少しずつズレが生じていく。予想外の出来事や、普段と違う感情の揺らぎ…
ワイヤレスイヤホンが寿命に近づいてきたので適当に欲しいの3選ピックしてみた
タイトルの通り適当にウェブで評判の良さそうな1万5千円以下のイヤホンを3つピックアップ してみた。結構古い機種もあるのかな?ほかにも新しくていいのがあるのかもしれないがこの中から買うと決めた。というのも、長年愛用してきた Anker Soundcore Liberty 2 Pro のバッテリーが限界を迎えつつあるから。片方が先に落ちる、充電してもすぐ減る……ワイヤレスイヤホンの宿命とはいえ、そろそろ買い替えを考えないといけない。余談だけどスマホやら他のガジェットはしょっちゅう壊すし無くすし寿命なんて迎えることはまずないんだけどこのイヤホンは5年くらいみっちり使った。自分を誇りたい。 で、音楽は…
ジム・ジャームッシュのストレンジャー・ザン・パラダイスを久しぶりに観た。やっぱりこの映画、なんかいい。というか、何もないのにいい。 そもそもストーリーらしいストーリーがほとんどない。主人公のウィリーはニューヨークに住んでる適当な男で、ある日ハンガリーからいとこのエヴァが転がり込んでくる。最初は「3日だけだから」と渋々受け入れるけど、結局ちょっと気に入っちゃう。でもエヴァはまた別の親戚の家に移って、しばらくしてからウィリーとその親友エディが「なんか暇だしエヴァに会いに行くか」みたいなノリでクリーブランドまで車で会いに行く。で、その後今度は3人でフロリダに行く。そこでも特に何かが起こるわけじゃなく…
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