☆=☆☆☆☆☆<br>◎=☆☆☆☆<br>◇=☆☆☆<br>△=☆☆<br>▽=☆
◎マディソン郡の橋(TheBridgesofMadisonCounty)つまり、4日間の濃密な恋の物語というだけで、とりたてて斬新な撮り方をしているわけでもなければ、ものめずらしい恋というわけでもない。いつイーストウッドが歯を噛みしめてマグナムをぶっぱなすんだろうとおもってたら、最後まで怒鳴ることすらなかったっていうのはくだらない冗句だけど、まあ、今回は監督だし、メリル・ストリープの目線だしってこともあって、イーストウッドは単なる相手役に終始してる。それにしても、メリル・ストリープは、イタリアで結婚適齢期までくすぶってて、ちょうど戦争で村へやってきたジム・ヘイニーにくっついてアメリカに渡るんだけど、摩天楼の都会を夢見てたのが、だたっぴろいだけのアイオワの片隅に住まわせられて、子どももふたりこしらえて、ただ...マディソン郡の橋
◎ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(TheLifeofDavidGale)性的異常者に味方することで有名とされる記者をケイト・ウィンスレットが演じてるんだけど、あいかわらず性格のきつそうな演技だ。これもまたあいかわらず露出をしぼった渋い画面。気持ちよく影が黒に潰さアラン・パーカーアラン・パーカー。ミシシッピー・バーニングをおもいださせる不気味な迫力だなあ。刑務所の中を案内されるとき、こんなふうに言われる。さすが、アメリカだ。「ここは日本庭園だ。コインを投げ込まないでくれよ」ちなみに、ケビン・スペイシーは、ジャック・ラカンの言葉を引用して講義をしてる。「夢想は非現実的でなければならない。実現するとたちまち興味が失せてしまう。生きるためには夢は決して叶えられてはならない。我々が欲するのは、それではなく、それの幻...ライフ・オブ・デビッド・ゲイル
フローレストラウマを抱えた女(HisFatalFixation)ストーカーもここまでくると、めちゃくちゃだな。ストーカー被害に遭って、PTSDを発症したせいで幻想に苦しむのもよくわかる。感情の抑制が利かなくなって、他人に対して攻撃的になるのもほんとにわかる。けど、深い仲になった相手の妻に勘違いの怒りをたぎらせ、相手の家に乗り込んで花束をたたきつけて、ちからになれるとおもってたとか叫ぶのはちょっとなあって話だ。あの仕事が大好きなの、居場所がなくなると困るの、とか言うのも、この脚本、どうかとおもうな。それに、ストーカーになった男、そのときに殺された彼氏、あらたに出会って告白してくる男、妻と疎遠になってるのかどうか微妙な医院のオーナー医、最後につきあうことになるマンションの管理人。ちょっと相手が多すぎないか?フローレストラウマを抱えた女
◎海の淵(LandkrimiTirol:DasMädchenausdemBergsee)なんとなく感傷的なギターのメロディが好いなあっておもってたら、どんどんと人間関係の深みに嵌まっていく。そんな映画だった。ミリアム・ウンガーっていう監督も、パトリシア・アウリツキーという女優も、とにかく地味だ。ただ、物語は決して地味ではなくて、湖に重しを入れられたリュックを背負わされて沈められた売春婦の存在意義みたいなものを探っていくんだけど、この相関図がなんともいえない。相関関係は、サッカーの監督で、かつ、町の名士がいて、とうに離婚してるんだけど、こいつを父親に持った女刑事パトリシア・アウリツキーが捜査をする過程で徐々に知れてくる。むなくそが悪くなる関係で、どう書けばいちばんわかりやすいんだろう?パトリシアの実家には、...海の淵
帰らざる日々(1978)懐かしい。たぶんそうなんだろうけど、藤田敏八の描いてきたこういう青春時代のやるせなさってのは、田舎の高校生とか地方出身の大学生には刺さるもんがあったんだろうなあ。それにしてもなんつーか、自主制作映画の35ミリ版っていうのがなによりしっくりくるかなあ。喫茶店に掛かるのは『旅の宿』だが江藤潤が不良に見えない。映画館は『日本侠客伝』で『唐獅子牡丹』が流れ、朝丘雪路の経営するスナックで掛かるのは『傷だらけの人生』だ。江藤潤の家、むかしの町家だなあ。向かって左の戸を開けると通り庭。入って右手が江藤潤の部屋。浅野真弓を手籠めにしようとしたとき、浴衣の足元から覗き込むようなアングルで下着を撮るんだけど、趣味の良くないカットながら白い下着ってのがなんとなく当時を匂わせる。しかし、当時の喫茶店はええ...帰らざる日々
ゴッド・セイブ・アスマドリード連続老女強姦殺人事件(QueDiosnosperdone)いやあ、かなり気を入れて見ちゃったわ。老女の強姦殺人とかって、心の底から見たくないし、あっちゃいけないものだし、もう、そんな映画とか見たくないはずなんだけど、見ちゃった。で、いやまあ、腕白小僧がそのまま刑事になったロベルト・アラモはまあありがちな人間で、奥さんと別居してるもんだから美人の娘マリア・バリェステロスとふたり暮らしなんだけど、この禿げオヤジが好い。で、どもりの相棒アントニオ・デ・ラ・トーレなんだけど、まじめだとおもってたら冷静スープを持ってきてくれた清掃係の女性が自分に気があると察するや、うしろから抱きすくめ、強姦まがいの姦淫をしかける。まじかよって話で、強姦殺人の物語で、犯人を追いかける刑事にそれはまずくな...ゴッド・セイブ・アスマドリード連続老女強姦殺人事件
◎デビル(Devil)おもしろかった。原案がナイト・シャラマンだそうで、なるほど、エレベーターに罪を犯した5人の男女が乗り込んでて、実はその中に姿を変えた悪魔がいて、同乗してる連中をつぎつぎに斬殺していくっていう筋立てはそれだけでも充分におもしろいし、エレベーターのあるビルの上から自殺者が出ることでそれが悪魔を呼び寄せる儀式になってるっていう出だしもまたいい。この自殺者が実は他殺なんじゃないかって直感する刑事クリス・メッシーナもまた因縁めいてて、5年前に奥さんと子どもをひき逃げされてて、その犯人が実はエレベーターに乗ってるってのもいい。そう、ひき逃げが罪で、その贖罪をさせられるために悪魔に呼ばれたっていう感じになってるんだね。信心深い警備員ジェイコブ・バルカスが監視カメラからすべての出来事を見守ってて、お...デビル
◇ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実(TheLastFullMeasure)懐かしい、ストリート・オブ・ファイヤーのお姉エイミー・マディガンじゃん。エド・ハリスと夫婦そろって出演してるのか。ま、キャストはいい。ピーター・フォンダの遺作らしいけど、そうか、かなりむくんでるもんね。クリストファー・プラマーもこれが実写の最後の作品だそうで、なんだかね。ただまあ、ウィリアム・ハートといい、サミュエル・L・ジャクソンといい、キャストはそろえてる。セバスチャン・スタンとアリソン・スドルの若夫婦を除けば、有名どころを揃えてきてるんだけど、惜しいかな、脚本が弱いね。アビリーン作戦の全容がまるでつかめない。だからおもしろくないんだな。ベトナム戦争も森の一隅だけで話は進んで、ここと交互に1999年の物語が進行するんだ...ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実
ハングマン(Hangman)アル・パチーノの愛車ビュイック・リヴィエラがカッコいい。音楽もありきたりだけど不気味さが好い。連続殺人だとおもわせながら、実はアル・パチーノの過去の事件が絡んでるのが徐々に明らかにはなるものの、SMのレズビアンの片割れが殺されたり、教会で十字架に磔にされて豚の皮を被せられて窒息死させられたりと、あれこれ、派手なところに惑わされる。つまり、犯人に乗せられるわけだね。画面の中、道路や壁に時刻が表示されてるのはなぜかとおもってたら、そうか、犯人は毎晩11時に殺しをしてるから、その前後の時間だけ観客に報せてくれてるわけかってなことはわかるんだけど、これ、過去の事件とおなじ時刻だとかいう因縁が欲しかったな。途中までは、アル・パチーノとカール・アーバンとブリタニー・スノウの3人だけが動いて...ハングマン
スフィア()たしかにそのとおりだといってしまった。サミュエル・L・ジャクソンがダスティン・ホフマンにこう言う。「考えてみれば妙だ。(将来造られるアメリカの宇宙船がブラックホールに突入して50年前の太平洋に突入したという)彼の説は、タイムトラベルだ。我々は帰還して話す。その方法や危険性についてな。ではなぜ50年後の宇宙船が未知の突入と言う?なぜ知らない?それは我々が話してないからで、話してないのは海上に戻ってないからだ。つまり、ここで死ぬんだ。引き算の理屈だよ。あの球体の中に入れたら」なるほど『アビス』と『2001年宇宙の旅』と『エイリアン』を足して割ったわけね。水の球体がモノリスで、ジュリーなるコンピュータの解読による宇宙人の言語がハルなのね。ま、サミュエル・L・ジャクソンの名前がハリーだし。しかしそうか...スフィア
ザ・クリミナル合衆国の陰謀()ケイト・ベッキンセイル、好演してるけど、この役の記者は、ちょいと頑な過ぎて、身を入れて観るのはためらうなあ。『君は譲れないものが多いな』そのとおりだ。囚人仲間とベッドのとりあいをして叩きのめされたときに弁護士から言われるんだけど、つまり、面会室でセックスした夫に付き合ってる女がいるのかと質し、ここでも揉み合い、抱いてくれてありがとうと吐き捨て、もうめちゃくちゃ殺伐としてきたときのベッドのとりあいなんだけど、まあ脚本の畳み掛けは上手いとはいえ、どうもねえ。なるほど、通学バスのシーンの中で息子が斜め後ろに居る場面は伏線だったのか。ザ・クリミナル合衆国の陰謀
CHASEチェイス猛追(LastSeenAlive)ガソリンスタンドで給油中に水を買いに行った奥さんが誘拐されたかもしれないっていう手出しなんだけど、それに気づいて行動し始めるまでの段取りが長くて…。それはいいとしても、冒頭の刑事が容疑者らしき爺さんをちからづくで口を割らせようとするのをなんで前置きしたのかわからん。つか、後半、まるきり違う話じゃん。わけわからんヘロインの精製アジトみたいなところに潜入して、悪人としかおもえんやつだけどおもわず撃ち殺しちゃったりするって展開はどうよ?まあ半年前に浮気してたオトコがそこのボスだったてな展開だったはずなんだけど、その恨み辛みはなんも触れないまんま銃撃戦になって、死んだとかいわれて埋められてたはずの奥さんはどーなってんだいって話で、いやもう破綻してはいないけど、お...CHASEチェイス猛追
◇放課後(1973)知多東宝で宣材を配ってた。鮮明な記憶だ。この作品の価値は世田谷線の動画かなあ。あとは当たり前のことながら昭和58年の風物がそのまんま観られるってことくらいかなあ。それにしても、主人公はいったい誰なんだろえね。栗田ひろみはどうしても物足りないし、かといって地井武男と宮本信子の新婚家庭に喫茶店キャンディのママ宇津宮雅代が絡んだ4角関係っていってもなあ。てなことを考えるだけの映画だったのかなあ。宣材をもらって、それをアルバムにまで貼って、いつか観られる日が来るのを愉しみにしてたんだけどなあ。50年待ったのになあ。放課後
ザ・ハントナチスに狙われた男(Den12.mand)1940年4月9日、ナチス占領下のノルウェーに、ヒトラーがノルウェー要塞を築いたっていうクレジットから始まる。で、3年後の3月27日、トフテフィヨルドでイギリスから来た工作船が拿捕される。そこから1日刻みで展開していくんだけど、12人の地下活動家が追われて11人が捕まり、民間人に助けられた男がイギリスに報告に行くためにスウェーデンまで逃げて行くっていう話だ。寒そ〜。けど、氷の海峡を脱走した男が生きていると信じて追いかける親衛隊の少佐が根性のかたまりで氷水に20分浸かってても死なないっことをみずから証明するくらいだ。すげえ信念。『ドイツ軍はオーロラも盗んだかな?』『そんなのむりよ。隠れるところはいっぱいある』地図好きな少女に励まされる場面が好い。けっこう人...ザ・ハントナチスに狙われた男
シビル・ウォーアメリカ最後の日(CivilWar)物語に気持ちを入れるまで時間が掛かる。だってとっくに内戦が始まってるから。テキサスとカリフォルニアが西部同盟とか組んで叛乱を起こして、フロリダが与しかけてるのはテレビの大統領による投げ掛けでわかるが、それだけだ。音楽の扱い方がどうもしっくりこない。現実のポップスを流すことの効果はわかるけどどうもね。国連の支援団体の女の子がめちゃくちゃ綺麗だ。とかおもってたら、後半、ゆるい音楽とスローモーションが始まり、戦火の爪痕を点描するのを観て、わかった。これ『地獄の黙示録』なのね。狙撃兵に、相手は誰だ?と尋ねたとき、さあにと、やつらが狙ってくるからおれたちも狙うと答えてライフルをかまえたとき、確信したわ。でも、記者が戦場に立つときの心構えとして、ヘルメットをしないって...シビル・ウォーアメリカ最後の日
◇ブラックライト(Blacklight)FBIの中でも特殊諜報員っていうのか、とにかく窮地に陥った仲間を救出するだけを仕事にして、これまでに一度も相手を殺したことがないっていう、なんだかむりっぽい設定の役柄なんだけど、なにを演じてもリーアム・ニーソンは説得力がある。すごい存在感だな。つっても、たいがいの作品は、過去になんだかとてつもない戦いの日々を送ってきた男が引退するか引退間近になって事件に巻き込まれるんだけどね。で、今回もおんなじ。後半、旧い仲間が殺され、ネタを横取りした新聞記者が殺され、さらに娘と孫が行方不明になってくると、がぜん、おもしろくなる。ブラックライト
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