◎西王母の友人にして天下御免のトリック・スター『東方朔東方朔は字を曼倩といい、平原類次じ)の人である。永らく家を出て帰らなかったので、その兄が彼の無情を責めて、「お前は永らく家を留守にして今帰ってきたが、何一つ自分を慰めるような土産物も持っていないとは、あまりにひどいではないか」と恨み言を言うと、東方朔はさもいぶかしそうに兄の顔を眺め、「自分はしばらく紫泥に行っていたのだが、そこの海中に紫の水があって自分の衣を汚したから、ちょっと虞淵へ立ち寄って洗濯してきたのだ」と答えた。彼は今日の朝出発して帰ってきたのだから、少しも家を長く留守にしたわけでも何でもないと答えていたが、しかし仙界の一日は即ち俗界の三年に当たると昔から言い伝えられている。彼が漢の武帝へ上奏した文は、実に自らを高く称賛して少しも忌憚するところ...東方朔の物語