古い日記
書棚の整理をしてみた隅に眠っていた古い日記が埃をまとい、ひっそりと顔を出す表紙の角が擦り切れたそのページに震えるような文字で書かれた幼い夢や無垢な願いが時を越えてそこに生きている一枚一枚、ページをめくるたび忘れていたはずのあの瞬間が蘇るように記憶を揺らす甘酸っぱく、ほろ苦い香りのようにあの日、夢見た未来はここにある今と少し違っているけれど言葉の端に宿った幼い希望がまだ小さな光を放っている日記の文字は揺らぎながらもその声は静かに、しかし確かに語りかける「忘れてはいけない」と時間に溶け込んで消えてしまう前に古い日記は今、胸の奥にそっと触れて失くしかけた何かを思い出させてくれる古い日記
2024/10/31 21:27