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「傾国のラヴァーズ」 https://blog.goo.ne.jp/saeki123

ボディーガードの翔真は、訳あり過ぎる美青年社長・聖名(せな)の警護をすることになるが… (1行更新?の日もあるかも…😅)

愛田莉久
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2022/11/19

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  • 小説・「傾国のラヴァーズ」その23・不思議な気持ち

    本当に彼から連絡が来るとは思っていなかったので、見ていたパソコンのすぐ脇のスマホが鳴った時には慌てふためいてしまった。…彼からのメールは、火曜・水曜のねぎらいの言葉と、来週もよろしく、というもので、特に深刻な内容ではなかった。安心はしたが、何か平和なひとことでも欲しかったな、と思っている自分に驚く。まあすぐに、こちらからも無難な返事は送ったのだが。火曜日はよろしくお願いします、と。…で、当然だがこの夜のやり取りは終わった。でもやっぱりなぜか寂しい。何なんだいったい…この週は珍しく土日が休めた。体力的にはそう疲れはなかったが、やはり彼のところへの初の派遣で精神的に疲れたという感じだったので、連休は本当にありがたかった。近所の銭湯にでも行きたい気がしたが、結局だらだらして自宅から一歩も出ずに過ごしてしまった。...小説・「傾国のラヴァーズ」その23・不思議な気持ち

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その22・次の火曜に

    しかし、特に彼は何も言ってはくれなかった。外部の人間に案件のことを話題にするのも嫌だったのかもしれないし、朝のこともあったのだと思う。…長期になるであろう警護の2日目にして、俺は気まずいことになってしまった。彼と無言のまま会社に戻ると、俺の周りはみな今日彼が決めてきた案件に動き出してしまい、彼は昨日見たとおりの元気な彼に戻っていた。会社を八時に出ると、車の中で助手席の彼が、「海原くんは次の火曜には来るんでしょ?」と、俺を見ながら言ってきた。「はい」…としか言えなかった。というのは、何となく、担当を外されそうな気がしたからだ。いくら「秘密」を預けられたとはいえ。…いや、すぐにそれは自分の恐れなのだと気づく。もう会えなかったらどうしよう、という…それで、「社長に契約を切られなければ」と言ってみた。するとやっと...小説「傾国のラヴァーズ」その22・次の火曜に

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その21・働く彼

    気持ちを切り換えなければ、と思いながらも、俺はまだモヤモヤしていた。しかし、すぐに、昨日言われていた、お得意さんとの打ち合わせに同行した。議事録の自動作成ソフトのデモも兼ねていたので、新人秘書という設定の俺はノートPCの動きを見ていればよかったので助かった。彼の方は、朝のあの暗さが信じられないほど、明るい表情で、慣れた様子で笑いも取りつつ商談を進めていた。相手方の担当者たちも笑顔で、いいムードだ。そして、彼は今日の案件もソフトの開発の仕事も受注することになったのだった。しかし、会社への行きも帰りも、彼は無言だった。俺としては明るい雰囲気にしたかったのだが、ここは彼に任せることにした。小説「傾国のラヴァーズ」その21・働く彼

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その20・夜中の電話に期待する

    でも俺はどうにか、「誰にも言いませんが、もし、僕ができることがあったらいつでも連絡してください。今みたいに話を聞いてほしい、っていうのでもかまいません」夜中でも大丈夫ですから、とまで言うと、彼の横顔が少しほころんだように見えた。大変なことに巻き込まれたら面倒だな、とは思ったが、夜中に彼の声を聞けたら嬉しいかもしれない、などとおかしなことが頭をよぎる。「それじゃあよろしく頼みます」と、彼はものすごく神妙な顔で俺に頭を下げると、駐車場へと降り立った。「…社長、皮膚科に行った方がいいですよ。畑に行った時とか、外来種の虫でも連れてきたんじゃないですか?」社長室で高橋専務に言われると、彼は、「僕もそう思うんだよ」と、さっきとは打って変わって落ち着いた様子で答えていた…小説「傾国のラヴァーズ」その20・夜中の電話に期待する

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その19・謎の人脈

    しかし彼は、「いや、それは無いんだけど…」と答えてはくれたが、その声に、俺はためらいのようなものを感じた。「…その…向こうは僕のことを気に入ってくれてるのかもしれないけれど、酒が入ってからの説教というか指摘が長いしつらくて…いつもお前は駄目だとか、どういう仕事やってるんだとか…」まずは聞くことに撤することにした。俺に話せたことで少し気が楽になったのか、彼は安心したように、でもまっすぐ前を見たまま、「向こうは後輩を育てているつもりなのかもしれないけど、僕としては古い考えで的外れなことばかり言われてる気がして、苦痛で…」それでも今後の仕事の展開を考えると切れない相手なのだろう。門外漢の俺が想像するより、かなり社会的地位のある人間なのかもしれない。でも、彼は祖父のコネなど使うような人ではないようだから、彼自身の...小説「傾国のラヴァーズ」その19・謎の人脈

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その18・二人だけの秘密

    自分でもお節介なことを言っていると俺は思うのに、彼は無言ではあったが不愉快そうな様子も見せず…でも困っている様子ではあった。車が動き出すと、助手席の彼はうつむいて、「…ゆうべ、海原くんが帰った後のこと…海原くんだけの秘密にしてもらうことはできない?」「えっ?」信号待ちの時で良かった。俺は確かにモヤモヤしていたけれど、仕事上、内容による。まあ俺ひとりにでも打ち明けようとしているだけでもましなのかもしれない。そして俺は、個人的にも知りたいと思っている。何かに失望しながら…そしてそれに驚きながら…「わかりました。教えて下さい」「ゆうべは…あの後、本当は先輩に呼び出されて飲みに行ったんだ。ちょっと遅くまで引き留められた」「それで…先輩というのはどういう関係の方ですか?」「農業関係の偉い人としか言えない」「そうです...小説「傾国のラヴァーズ」その18・二人だけの秘密

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その17・どうして俺は

    それでも彼は、「ゆうべちょっと寝るのが遅くなっただけなんだけどな。あの後、調べものに夢中になっちゃって」と、出かけようとする。俺はそれよりも彼の首すじの、多分キスマークと思われる赤い痕の方が気になって、言葉を選んで尋ねた。「首、どうしました?虫刺されか何かですか?」「えっ?」俺の予想に反して、彼はものすごくうろたえた。冗談めかして、「その辺は察してよ」くらいに言ってくれると思ったのに。「そんなに目立つ?ええっ、どうしよう?」「絆創膏か何かで隠せれば…」俺にも動揺が移ってしまい、彼と一緒に玄関に上がって洗面所についていってしまった。「ほんとだ」鏡で確認すると彼はすぐに絆創膏を二枚貼って痕を隠した。更にまとめていた髪もほどいてしまった。「これで目立たないかな?」目をそらしたまま、彼は訊いてくる。俺は、「後から...小説「傾国のラヴァーズ」その17・どうして俺は

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その16・友達と赤い痕

    その後は、彼の方が時間を気にしてくれた。それでも、デザートの夕張メロンゼリ一までしっかりいただき、後片付けの手伝いをして帰った。「今日はいいよ。それより早く帰って報告書提出してよ」と、彼には言われたが…「もー、こうやって飲むのを禁止にされたら困るじゃん…」お世辞でも嬉しい。そんなに彼は俺に親しみを持ってくれたのかな。そして俺は気づく。俺も親しみ…仕事面で気に入られたいというのとは、別の感情を持ったと言うことに。落ち着いた知的な社長の顔と、腕白な子供のような可愛らしさとのギャップ。でも初対面なのに色々気をつかってくれる優しさもあって。そして、永遠の美少年と言われるような世界中の俳優にも負けない美しさ。他にも何だかあったかさがあって、この人と「友達」になりたいと思った。次の朝は初めてのお迎えで、俺はちょっと緊...小説「傾国のラヴァーズ」その16・友達と赤い痕

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その15・いつかは合宿

    さすがに俺は断った。いくら気が合いそうでも、出会ったばかりの顧客の家に泊まるわけにはいかない。盗難を疑われたり、ケンカになったりとトラブルになっては本当に困るからだ。「あの…初日だったので、今日中に提出しなければいけない報告書が多いもので…」「えっ?これから会社に戻るの?」「まず、自宅からリモート使って…何かあれば会社へ」「大変だなあ」「24時間動いてる職種なので…」でもフォローのためにも、「でも泊まったら、なんて言ってもらえて嬉しかったです。僕、泊まったりって経験ほとんどないので」それに驚いた顔をしながら、彼はまたノンアルビールを一本あけ、「意外。体格いいから、体育系の合宿が多い人かと思った」「いいえ…」と俺は、いい機会かと、自分のこれまでを話すことにした。2才の時に交通事故で両親を亡くしたこと。それ以...小説「傾国のラヴァーズ」その15・いつかは合宿

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その14・泊まっていかない?

    そして、農業から伝説が始まったと聞く彼の祖父の呪縛には、とらわれていないことにもほっとした。彼の見た目とはかけ離れた作業のようにも思えるが、勉強のためには畑にも田んぼにも入るという。「まずは日本の食料自給率もあげなくちゃね。有事の時にはきっと、東京なんてなかなか食料が回ってこないでしょ。それも東京で生まれ育った僕としては嫌なんだ」彼の瞳の輝きが増していく。楽しく俺は見ている。「獣害の問題もあるからね。それにも関われないかとと思ってきてるんだ。それに、茨城ならスマート農業で大規模農業もやれるかもしれないから…」夢のある話でいいなと俺は思った。それでつい口走ってしまった。「いいなあ、俺そちらに転職させてもらいたいなぁ…」それを聞くと彼ははびっくりした顔をした。俺がびっくりするほど、目をまん丸にしていた。まずか...小説「傾国のラヴァーズ」その14・泊まっていかない?

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その13 農業っていいよね

    彼はすぐに気を取り直したようノンアルのビールを飲み、「次の年は中学受験を控えてるから行かないことになってた。そのうち中学にもなれば、矢野会長の目的も分かってくるから行く気もなくなるし」「でもそれは今の仕事では損してると思うんだよね。本音を言えば北海道の大規模農業に関わってみたかったなって」社長室の書籍なんかで農業ジャンルを見た・俺はその事にも突っ込んで訊いてみたかった。「僕はITコンサルの会社とうかがって来たんですが、農業のコンサルもやってるんですか?」「多角経営ってヤツ。会社に力があるうちにと思って。今の混沌とした時代、小さい会社ほどひとつの部門だけだと心細いから」社員のフロアと違って、やや圧迫感を覚える社長室で、彼は今は関東圏のITのコンサルだが、農業のコンサルティングや分析にのりだしたのだという。「...小説「傾国のラヴァーズ」その13農業っていいよね

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その12 ザンギと札幌

    俺は彼の様子を見てぼーっとしていたようだ。彼は俺が遠慮していると思ったらしく、「食べて食べて、頂き物なんだけど、独り者にはいつも量が多くて」と言ってくれた。それで我に返った俺は、北海道の唐揚げ「ザンギ」に箸を伸ばした。「頂き物って親戚からとかですか?」不用意な質問だったと後悔した。しかし彼は自然な様子で、「うーんまあ横浜の矢野さん、さっき話した、俺を育ててくれたおじさんとおばさんへの誕生日のお返し」「そういうのいいですね」「うん、でもおじさんは、会長の長男だから、札幌出身なんだけど、札幌に戻れなくて。会長の後援会活動手伝うの嫌だから、それで奥さんの故郷の横浜に家を建てちゃった」でも故郷が懐かしくて、色々北海道ゆかりのものを送ってくれるんだよね。矢野会長もだけど。「なんだか悪いこと聞いちゃいましたね」「いや...小説「傾国のラヴァーズ」その12ザンギと札幌

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その11 メロンに生ハム

    彼はキッチンで冷蔵庫を開けると、俺の方を振り返り、「あ、適当に座って…海原くんはメロンって食える?」「はあ、好きだと思います…」「無理しなくていいよ」「そりゃ大好きですけど…そんな高いもの…」「もらったんだけど、一人じゃ食べきれなくて…生ハムのっけてもいい?」「はい…俺も手伝いますよ」彼は料理もする人のようで、包丁も危ない感じがない。祖父母に育てられた俺も簡単な料理はするのだが、酒の用意なので特に出る幕もなく、皿やグラスを運ぶくらいだった。しかし、彼も俺と同じくらい空腹だったらしく、米のメシが食いてえ、とおいしそうな白飯に牛肉のとろとろふりかけをかけてくれた。あとは大好きだというアボカドのサラダや取り寄せのレンチン用の唐揚げとか……ようやくノンアルのビールで乾杯すると、つまみを俺にすすめてくれながら、彼は...小説「傾国のラヴァーズ」その11メロンに生ハム

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その10・ちょっぴり仕事

    リビングでは薄いブルーのソファだけは、昼寝にでも使うのか、大きくて立派なものだった。「ごめんね、殺風景な部屋で」と彼は苦笑していた。引っ越しの時、手伝ってくれた高橋専務や伊藤常務にも指摘されて、三人で笑ってしまったそうだ。「えっと、こっちが寝室…」ベッドやクローゼットや本棚が机がある普通の部屋で、派手さはない。彼自身の芯に持つ上品さや穏やかさが何となく感じられるような部屋…だがいつまでも見ているようではばかられた…彼には別に何も言われなかったが。もう一つの部屋にはダンベルやトレーニングチューブなんかが置いてあって、筋トレ用の部屋のようだった。更にもう一つの部屋は、一番広いのだが、積み上げられた本の山が三つほどあるだけだった。「こっちの部屋、本当は寝室兼書斎の予定だったんだけど、入れたい本棚が大きくて、地震...小説「傾国のラヴァーズ」その10・ちょっぴり仕事

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その9・2人で飲み会

    暗い表情で彼は、「でも、愛人の子の更に子供なんてやっぱりお偉いさんには、黒歴史だよなぁ」俺は本当に言葉がない。しかし、それは彼のせいではないのだ。だから、何となく味方をしたくなって、「でも、日本は男社会だったから歴史的にそういうのを認めてきましたよね。今だって直系の世襲もどうかと思いますけど、亡くなった議員さんの親戚だから後継にするとか…」「あれは不思議だよね…」でも、出馬しないのなら彼はそんなこと気にしなくていいのではとも俺は思うのだったが、彼の苦労を考えれば複雑な思いがあるのも事実だろう。二人とも黙り込んでしまったところで、彼は前を向いたまま、「海原くんて全くの1人暮らしなの?」「はい」痛い所を突かれたとと思いながら、「はい、寂しい1人暮らしですよ。全くの」と苦笑いするしかなかった。すると、彼はいきな...小説「傾国のラヴァーズ」その9・2人で飲み会

  • 小説「傾国のラヴァーズ」その8・偉大過ぎる祖父

    俺には質問せずにはいられないことがあった。「高橋さん…専務はどこからかのお目付け役なんですか?」「いや僕が連れてきた大学の先輩にあたる人で。ベテランの事務屋さん…鈴木さんは高橋さんの友達。矢野会長の一味ではないよ」俺は少し安心した。「だから今回海原君たちに依頼したのは、僕が誰かに狙われている、よりも、自分やその仲間たちが被害を被るような動きをしないか見張らせるのが目的のような気がしてる。矢野会長は〈何かと物騒だから〉なんて僕には言っていたけどね」俺には何のことやらで、「って矢野さん達の被害って、社長はそんなことできるんですか?」「うーん僕が考え着くのは矢野さんたちの利権を守るために、俺には会長系のよその派閥からは出馬しないでほしいっていうがあるみたい。あとは他の候補のためには指1本動かさないで欲しいみたい...小説「傾国のラヴァーズ」その8・偉大過ぎる祖父

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