国立劇場・歌舞伎鑑賞教室。その2。「藤娘」。藤間紫。華麗なる家系。
令和4年7月舞踊公演「花形・名作舞踊鑑賞会」より『藤娘』舞踊として名高い「藤娘」。真っ暗な中で幕が開くと、「若紫に十返りの、花を現す松の藤浪・・・」と長唄が始まります。一瞬にして舞台に明かりが灯ると、大きな松の木に絡んだ藤の花が一面に咲き誇り、その下には黒塗りの傘を被って藤の枝を持った美しい娘が立っています。実はこの娘は人間ではなく、若い娘に姿を変えた藤の精なのです。傘を被ったまま一時舞い踊った後、松の陰に姿を隠した娘は、今度は傘を手に持って藤の花房をかき分けて姿を表します。そして近江八景の情景を読み込んだ長唄の詩に合わせて、初々しい娘の浮気な男への恋に身を焼く女心を見せる「クドキ」の場面になり、艷麗に舞い踊ります。再び松の陰に隠れた娘は、今度は傘を持たず衣装を変えて登場し、この舞踊の見せ所でもある「藤音...国立劇場・歌舞伎鑑賞教室。その2。「藤娘」。藤間紫。華麗なる家系。
2023/06/30 18:33