夢中で踊っていたので、全然気づかなかった。 ボーン!ボーン!ボーン… 午前零時を告げる鐘だ! ハッと我に返ったアタシは、王子の手を乱暴に振り払い、 ドレスの裾を翻して大広間の出口へと向かった。 間に合うか!間に合わなくても間に合わせねば! いきなり腕を振り払われて、驚いてポ...
夢中で踊っていたので、全然気づかなかった。 ボーン!ボーン!ボーン… 午前零時を告げる鐘だ! ハッと我に返ったアタシは、王子の手を乱暴に振り払い、 ドレスの裾を翻して大広間の出口へと向かった。 間に合うか!間に合わなくても間に合わせねば! いきなり腕を振り払われて、驚いてポ...
20分ほど経過したところで、 「わるいけど、引き取りできるものはないですね」 「え?1枚も?」 狼狽えて問うわたしに、彼はあっさり 「はい、ありませんね」 【ノーブランド、シミ有、他社で断られたお品も買い取りいたします】 そんな謳い文句に釣られ、着なくなった洋服の査定、引き...
その朝も冷え込んでいました。 湯を沸かしながら、ふと台所の床に目をやりましたら、 3〜4センチほどの黒いものがうずくまっています。 それは黒くて楕円形で微動だにしません。 (なんだろう?虫?) 黒くて楕円形… ハッと思い当たり、あらゆる虫が怖いわたしは 一瞬で震え上がりまし...
ある侍女の告白 其の六 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 目が回るほど忙しい書き入れ時ですが、精一杯の気持ちを込めて、 たった一つ特別なケーキを焼き上げました。 この町の小さな商店街にある、名もないケーキ屋に就職した年のクリスマス のこと...
ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 地下鉄の駅を降りたが、出口がわからない。 案内の矢印に従って慎重に進む。 いくつもの角を曲がり、階段を上ったり下りたりして やっと目的の出口まで辿り着いた この階段を上がれば3番出...
なぜ、そんな言葉が浮かんだのか分かりません それを見た瞬間、 「これってトマトさくらんぼって言うんだよ。 プチプチうずうずゾクゾクのつやつやだね」 入園前の息子の小さな手をキュッと握りしめながら、 考えるより先に言葉が口をついてでていました 他にも幾つかその場限りの口からデ...
『そちらに漢方薬の呉茱萸湯は置いてありますか?』 だいぶマシになってきましたが、その日は朝から吐き気混じりの頭痛でした。 置き薬の五苓散を服用しましたが、しっくりきません 青空が広がる気持ちのいい日でしたから、五苓散じゃないかもしれません 1日ぐずぐず燻った挙句、夕方近所の...
『とっくの昔に返却期限は過ぎてんだ! さっさと返しやがれ さもないと、もう2度と貸してやんねーからな!』 地元の図書館から、上記を丁寧語に変換した怖ろしいメールが届きました。 青ざめながら、調べてみると どういうわけか、返し忘れた一冊がありました 返却が遅れたことは初めてで...
(⬆︎こちらの画像はお借りしました) お!キリリだ! ちょっと勿体ぶって 道端のキリリ!息子に見せてやりました (どうよ!ってなもんだ) 『え!こんなポケモンいるよ』 …キリリ!もう世に出回っていたのね 知らんかった
(もう少ししたら目覚ましが鳴るな…あと少し…) 耳元で誰かの囁きが聞こえたのは、 夢と現の間をとろとろ彷徨っていたときでした。 『突然ごめんね、相談なんだけどさ〜神の力いる?』 『は?紙の力?』 『ちがうちがう、こう見えてもボク神さまなんだよね。 あ?見えないって? 100...
痛いっ!痛いっ!痛いっ! チリチリチリチリ焼け焦げる 目の前が真っ赤に染まる ウアアアァァ〜〜熱い〜熱いぃぃ 千切れる!千切れる!怖い!痛い!痛いっ! ウオッ〜〜!苦しい!く…くるしい… …わたしの…カオ…カオ それなりに幸せな毎日だった 誰一人友だちがいなくても 信頼でき...
街中へと続く交差点を大きく右折しようとしたとき、 ぼんやり揺られていたバスの座席で思わずハッと背を正しました。 次々と後ろに流れ行く景色を捉えようと目を凝らしました。 交差点の左手に何軒か並ぶ雑多なお店に混じって、 その店も同じように看板を上げていました 何年も同じ光景だっ...
『あす、クルマ借りに行くで』 上の息子から連絡が入りました。 どこか遊びに行くのかな?いいなぁと思いながら 次の日の夕方、用事がある時しか顔を見せない薄情な息子にカギを渡しました。 2日ほど経って、そういえばいつ返してくれるのだろう? 聞かなかったことに気づきました。 『い...
更に小ぶりになった生鮭2切れ298円 秋刀魚は1匹100円だけど、気の毒なくらい痩せ細ってる 鮎は高くて論外 刺身や鰻のコーナーは、たいてい素通り 2枚におろした鯖は198円だけど、ついこの間やっつけたばかり そのとき、目に飛び込んできたのは、 1パック100円と値札の付い...
ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から 洗濯物にかこつけて、今日もアタシは病室を覗いた。 『帰れ!帰れ!』 って言われるのは分かってる あの子がどんな夢を描いていたか知ってる 苛立って腹立たしくてやり切れない思いを知ってる 同情なんかされたくないだろうから、知...
『地面の上っていろんな色があるってホント?』 いちばん年少の彼女が問いかけるのは、これで何度目でしょう。 ほとんどの仲間が、呆れて知らん顔をする中、 すぐ隣に潜む年長のお姉さまだけが、いつものように答えてくださいました。 『そうよ。晴れ渡る空はどこまでも続く青。 青い空にぽ...
そうだ 神社、行こう! 追い詰められた男の頭に浮かんだのは、 緑の森に包まれた参道に敷き詰められた玉砂利でした。 一歩一歩踏みしめるごとに『ざくざく』という音 身も心も引き締まる清冽な空間 (画像はイメージです) (身を清めて参道を粛々とご神前に進む 一心に祈れば、聞き届け...
(画像は使い回しです) 毎週毎週、山のように積み上げてあるなぁ… いつまで続くんだろう ゴミ収集日の朝、半ば呆れながら、わたしも一袋のゴミ袋を そこにポンと置きました そうするしかないからです。 息子が送ってくれたサルの画像です 上は、猫神社(正式名称不明 調べる気もなし)...
廃屋と洗濯機とねこ - この町内の片隅から いつもそこにあるのが当たり前でした。 太陽が東の空から上って、西の空に美しく沈むように、 それは、わたしにとって当たり前の光景でした。 しばらくぶりに見に行きましたら、 その姿がすっかり消えていたのです。 驚き狼狽えました それは...
ビフォーアフター - この町内の片隅から 撮影 あさこ メイク担当 ひるこ(仮名 あさこ妹) 制作費 不明(公共交通機関利用) 引き続き、今後も注視して街中の地面にひっそりと 生息する『口』を見つけたいと思います。 メイクについて あれこれ試してみましたが、自分で...
ある侍女の告白 - この町内の片隅から ある侍女の告白 其の弐 彦星 - この町内の片隅から 薄い水色のカーテンに囲まれた狭い空間で目を覚ました 白い天井 消毒液と薬のにおい チキショー!やはり現実だったのか! その週末は、大事なオーディションを控えていた 何としても東京に...
たくさん必要な訳じゃないけど、ないと困るもの 地味だけど、ないと困るもの 放置しすぎると、手に取った時いきなりプツンと 頼りなくキレてしまうもの キレたときの虚しい気持ち その昔、一度だけ箱で買ったけど、 それ以来買ったことがないもの 買わなくても、なぜか絶対になくならない...
青ざめた顔が、ドアの向こうの暗闇にぽっかり浮いているように見えました。 『腹が痛い…』 それだけ告げると、彼はドアに掴まってずるずる滑り落ちるように崩れました。 彼が最初の転職をして間もない頃です。 幼い時から、何があっても冷静沈着な上の息子が、 夜中に突然の痛みを訴えたも...
ウーウーウーウィーンウウウィーーン!! キューウーン!カンカンカン! その夕方 突然けたたましいサイレンの音。 カーテンの隙間から外を見た 一台また一台 次々とやってくる赤い消防車。 消防車に続く救急車。 ちょうど風呂から上がったところで バスタオル一枚 すぐ確かめたかった...
(ねぇ…皆んな、どこへ行こうとしてるの? 何でいつもセカセカ歩いているの?) 階段の端っこから、幼子の囁きがしました。 (だれ?だれかいるの?) 端っこも端っこ。腰を浅く引っ掛けて今にも落っこちそうな格好で 10センチくらいの女の子が、眉を八の字にしてこちらを見ていました。...
車の中からその家を見上げ、ひどく狼狽えました。 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜 鍵など掛かっていた試しのない勝手口をガラッと開けて 一歩中に入ると、ひんやりした土間が広がっています。 流し台、ガス台、冷蔵庫…土間の隅には風呂炊きの薪が堆く積み上げてあります。 黒光りする食器...
ここを通るたびに、妙に惹きつけられる文字です。 その日も気になりながら、通り過ぎるところでした。 通り過ぎながら、徐々に身体が重くなってきました。 10mほど進んだところで、何者かの力が加わったかのように クルッと振り向かされた自分は、 気づいたらその場所に戻っていました。...
『3日ばかり留守にする。申し訳ないが、留守の間のことを頼む』 そうおっしゃると、先生は身の回りのものを 手当たり次第、紫の風呂敷に包まれました。 いつものことながら、先生のお支度は非常に簡素です。 お洋服は年がら年中、黒の詰め襟。 履き古した白いズックに足を滑り込ませた先生...
なぜ、いま、何処だか分からない夜道を焦りながら自転車を漕いでいるのか 分からず、頭がボッーとしてきました。 分からなくても、こんな場所に置き去りにされてはたまりません。 とにかく必死で後を追いました。 それは納涼祭りの日でした 祭りでは、何本もの打ち上げ花火が盛大に上げられ...
どこかで目にしたその光景が、 記憶の底に引っ掛かっていたのかもしれません。 ある朝、起きたら 『行け!今日だ!見に行くのだ』 抗うことのできない囁きで脳内がいっぱいになりました。 湿度はありますが、昨日までの雨は上がり、太陽がカッと照りつけています。 洗濯物は溜まっています...
ところどころ座席は空いていました。 混み合っている場合は、名も知らぬ隣の人と肩がふれあうくらい ぎゅうぎゅう詰めで座ることになりますが、 今日みたいな日は余裕です。 互いの座席の間に程よい空間が作れます。 そっと腰を下ろした隣の方は、座席の間の 狭い空間に、甘ったるそうなト...
ある侍女の告白 其の弐 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 胸を膨らませ、県内でも有数の進学校であるこの高校に入学した日のことです。 真新しい制服に身を包む大勢の新入生の中に 忘れたくても忘れることができない、あの方の姿を目にし、 穏やかな...
梅雨時に思う ⑬ - この町内の片隅から 梅雨時に思う ① - この町内の片隅から 『ちがうっ!これじゃないよ!』 水色のカーテンで仕切られた隣から、突然ヒステリックな声が響きました。 ささやかな夕食が終わり、就寝までのくつろいだ時間帯です。 怒りを含んだ鋭い口調にビクッと...
(よう来たな。水無月6月、今日という日を待っておったぞ) 風に乗って微かに聞こえました。 囁きがスルスルと頭に流れ込んできました。 驚いて辺りを見回しましたが、誰もいません。 ここは静かな住宅街の奥まったところにある廃屋の裏手です。 春まだ浅い3月、捨て置かれた洗濯機の向こ...
歩道にまで漂ってくる香ばしい匂い 四角いトレイにぎっちり並ぶきつね色の丸いパン 一口噛んだらジュワッと肉汁が滴るに違いないソーセージを挟んだドッグパン ツヤツヤのチョコでコーティングされた楕円形のパン スパッと切ったらたっぷり詰まった杏ジャムがトロ〜リと流れ落ちるだろう ...
一見すると、すこし歪でふっくらしたチョコビスケットです。 小さく一口かじると、ザックリとした食感の 粗めのビスケットだと分かります。 同時にとろりとしたオレンジジャムが口の中に溢れます。 歪でふっくらしたものは、ビスケットにポテッと塗られたオレンジジャムでした。 チョコに覆...
訪れたのは春まだ浅い3月 アーケードのある商店街に昔からあるパン屋さんです。 この場所に老舗のパン屋さんがあることは 知っていましたが、通りがかりに薄暗い店内に陳列してあるパンを のぞき窓からチラチラ眺める程度でした。 硬いパンが評判と聞きました 硬いパンとは珍しい いつか...
織姫の父である天帝さまから呼び出しがあり、 ぎゅっと心臓を掴まれたような心持ちになった。 身に覚えがある…ありすぎる うまくやってきたつもりだが、天帝さまの目は誤魔化せなかったか? 仕方ない…重い足取りで呼び出しに応じた。 ある侍女の告白 - この町内の片隅から 『ま...
その名を聞くと誰もが 『ほぉー!』 と感嘆の声を上げる、県内トップクラスの進学校に通う息子さんのことで 年下の友人から連絡がありました。 登校しようとすると身体に不調が現れるらしいです。 学校に行けないケースは一括りにできません。 似たように見えても、それぞれ事情が違います...
『もう決めたの。7月7日が過ぎたらお父さまに頼んでみるわ。 …あぁでも7月7日まで1ヶ月もある。 うんざりだわ。明日にでもお願いしてみようかしら』 わたしが、彦星さまと引き裂かれた織姫さまのお世話をするようになって 何年経ったでしょう。 泣き暮らしていた織姫さまが徐々にお元...
スーパーの裏口で真っ黒い塊を見つけハッとしました。 (驚くことはない、ただの猫の塊だ) なんだ、猫だったのか そろそろと近づきましたが、逃げるでもなくジッとしています。 (それは何というものだ?その小さい四角いもの。 四角いものに目をやりながら歩くヒトをよく見かける) スマ...
うろうろしているうちに、自分が何処から来たか分からなくなりました。 焦って闇雲に進んでみても、地下鉄の駅に辿り着けません。 寂れかけた商店街の中程に、こぢんまりとしたパン屋さんを見つけたので 道を尋ねようと中に入りました。 4、5人も入ればぎゅうぎゅう詰めになりそうな小さな...
たった今、パンの焼き具合を確かめる魔女を蹴り上げ、 真っ赤に燃え盛るカマドにぶち込んでやった 渾身の力で扉を閉める。 『ギャーーー!』 この世のものとは思えぬ恐ろしい叫び声 仕方ない ヤらねばヤられていた タラリと伝う汗を乱暴に拭って息をついた 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜...
最後の講座が終わったあと、 ひとりひとりに『無料占い券』が配られました。 いつだったか、手相占いの講座に通ったときのことです。 講座は終了したものの、核心に触れる内容に達したとは言えず、 特に得たものも無く (これで終わりなのか?)肩透かしを食らったような最後に配られた 『...
『はい、これ』 頼んだ買い物の中から、息子がごそごそ取り出したのは 『カーネーションと淡い色合いのタオルというか?手拭いのセット』でした。 5〜6年前の母の日のことです。 何でも揃う遠くのスーパーまで、車で買い物を頼みました。 『なにこれ?頼んでない』 『きょう、母の日らし...
『来る?』 連休前に息子Aに聞いてみました。 しびれを切らしたころ、やっと届いた返事は 『忙しいでムリ』 ふうふうと途中まで膨らみかけた風船が、ポロッと口から落ちて シュルシュルと萎んでいくのを感じました。 小さくペチャンコになった風船をポイっとゴミ箱に捨て、 (がっかりな...
若葉のころでした。 何通かのダイレクトメールと一緒に一通のハガキが届いたのは… クルッとひっくり返すと真っ白いハガキいっぱいに大きく、 『ヒダリ』 誰が送ってきたか分かりません。 何のことだろう? 何処から届いたのだろう? 気になりましたが、日常に紛れ、妙なハガキのことは忘...
緊張が走って、ハッとして 脳裏が真っ赤になるくらいの悔しさが伝わってきて、 耳をつんざく音がした。 すこし安堵したり、またハラハラしたり。 息を止めて思わず目を瞑った。 息を整えてからまたページをめくり、ホッとした。 そうきたか! そうして少しだけニヤリと笑えた 泣きそうに...
2月上旬の画像 濃い桃色を思い浮かべながら撮りました 最近の画像 時季を逃してしまったので、緑の葉っぱ混じりになってしまいました この駐車場の片隅を濃い桃色に染める『花桃』です。 名所でも何でもありません。人通りも少ないこの場所に咲く花を 気に留める人も居ないと思いますが、...
『こちらです。どうぞ』 枯葉色のドアを開け、中に入る不動産屋さんに続き、 半畳ほどの狭い三和土に立ちました。 1Kの部屋全体に立ち込めるムッと異様な匂いに、 暫し言葉を失くしました。 20代前半の頃、実家を出てひとり暮らしをするため、 駅近の手頃な部屋を探していた時のことで...
誰かに言いたくて仕方なかったのかもしれません。 『浮気』 『不倫』 『相手はシングルマザー』 『探偵事務所』 『弁護士』 『慰謝料』 … 一旦口火を切ったら、歯止めが効かなくなったのでしょう。 怒涛のように聞きなれない言葉が次から次へと 耳に流れ込んできました。 時には静か...
『ふふふっ』 天から声が降りてきた? それとも幻覚なのか? ダイジョブ?…自分 薄手のカーテンでシャッと仕切られただけの四角い箱、 靴を脱いで上がったここは大きなショッピングモールの片隅にある試着室です。 試着室に引っ掛かっているS字フックに、細い足をぶらぶらさせて座ってい...
『財布の中にある一番高額な紙幣を取り出してください』 (え!何が入ってたっけ?) ごそごそ探ると、奇跡的に紙のお金が数枚入っていました。 千円札を大事に取り出して目の前に置きました。 『では、紙幣の真ん中からやや左を左の親指と人差し指で挟み、右側は右手の親指と 人差し指で同...
電車の扉がプシューと開きました。 ホームには2人の駅員さんに付き添われた車椅子の男性。 大柄でガッチリした体格の方です。 車椅子ごと乗車するのだろうか?やや緊張しながら待ち構えていましたら、 乗車口の手前でよろよろと車椅子から降り、おぼつかない足取りながらも1人で乗車 され...
駅の券売機でTOICAにチャージしようとしました。 2台ある券売機の前には、どちらも数人が並んでいます。 片方に並びました。 春休み中の中高生くらいの女の子3人が券売機の前で固まっていました。 様子を窺うと、直ぐに切符を買うでもなく、何となく行き先を決めかねて 顔を寄せ合い...
あんな些細なことで怒るなんて思わなかった。 考えなしに言葉を発した自分がわるかったのだろうか? 喉元まで込み上げる塊をグッと飲み込んだわたしは、 上下の取り合わせも何もなく、手近にあった服にサッと着替え、 財布とケータイだけリュックに押し込んで、黙って外にでました。 行くあ...
『ちょっと!あなた!お待ちなさい! アタシを見るのよ!』 突然呼び止められ、きょろきょろと辺りを見回しましたが、 誰もいません。 (空耳かしら? それにしても随分はっきり聞こえたわ?) 『空耳なんかじゃなくってよ!アタシよ! ア・タ・ク・シ! あなたの直ぐ目の前よ。 ボッ〜...
廃屋の裏手に広がる空き地。 いつの頃からか、ここに洗濯機が放置されています。 寂しげに佇む洗濯機が気に掛かるので、ときどき遠回りをするのですが、 その日、通り過ぎようとしましたら 洗濯機の向こうに何かいる! 近所の飼い猫なのか? 住み着いているのか? 暫し見つめ合う1人と1...
その夕方、最寄り駅の構内にて地元の飲食店の 出店イベントがありました。 ケーキ、和菓子、お酒、居酒屋風お惣菜… ちょっとした立ち呑みテーブルの用意まであります。 おいしそうだけど、高そうだな… 賑わい始めた屋台を横目にサッサと通り過ぎようとしたところ、 いちばん端の屋台に食...
『マンション内で、リフォームされるお宅が数軒あるんですよ。 さらに何軒かまとまると、かなりお安くなります。 来月までの期間限定なんですが、いま、ご一緒にされるお宅を募っているので、 訪問させてもらいました』 『実は、先日あるお宅の浴室工事に入ったんですが、 タイルを剥がして...
『配達完了:ご注文商品の配達が完了しました』 遅い時間に、Amazonから配達完了のメールが届きました。 (手渡しだと思って待っていたのに? ポストに入る大きさだったのかな?) 翌朝、わくわくしながら一階の集合ポストを覗いたのですが、 (ウチは集合住宅のマンションです) 荷...
『やっぱり、貰っていくわ。包んでくれる?』 息子に食べさせたいと思って焼いた 林檎のケーキです。 手をつけずに帰ろうとしたので、 持って行って食べなさい、と 勧めましたが、荷物になるからか、気が進まなさそうでした。 まぁいいか、自分が食べれば… そう思いましたが、 貰ってく...
今年も、怖れていた日がやってきた。 ある朝起きたら、目が腫れ上がっていた とてつもなくダルい 何年か前の春先、突然症状が現れて以来、 それは毎年律儀にやってくる。 この頃は空気が乾燥するから、唇がカサカサに荒れて時には血が滲む ダル過ぎて、リップひとつ塗ることすら面倒だ ...
3日ほど覗かなかっただけで、 どっさり溜まっていた。 季節の変わり目に送られてくるズシッと重い通販カタログの類、 ピザ屋、宅配寿司、塾のチラシ、スイミングスクール、 水道修理のシール、リフォームの案内、市の広報… 1階にある集合ポストの中を見ただけで うんざりした。 中身を...
随分前から、公共施設の多目的トイレに、このお知らせが貼ってありましたが、 気がついたら、いつの間にか外されていました。 … もう必要なくなったのかな? と思っていましたら、 館内にまた! ゴミ箱、加工しました (加工 自分) < お知らせ部分拡大 わたしだって、他人様のこと...
叶うことなら、不食の人になり、 人気のない廃墟の陰に居を構え 忍者のように身を潜め、 目立たず、ひっそり生きるのが 望みだというのに… 朽ち果てかけているビル 裏口 毎年イヤでもやってくる『生まれた日』 というものを当事者でも無いのに何故か 覚えている友だちが2人ほどいまし...
いつ降ってきてもおかしくないような鉛色の空でした。 その頃所属していた、サークルの友だち2人と お茶を飲んでの帰り道でした。 朝から心に引っ掛かっていたことが思わず言葉になりました。 『この近くに◯◯くんのアパートがあるよね』 (同じサークルの◯◯くんです) 『あ〜そうだっ...
徒歩1分にある小さなスーパーでは、週に3日ほど、 先着100名に6枚綴りの30円割引シールが配られます。 その日1日限りですが、 100円以上どの商品に貼って使っても構いません。 6枚のシールが使えるのは、その日限りなので、 使い切ってしまわないと損をするような気がして、 ...
わたし 『家の中を一瞬でキレイにする技を発見した!』 どうにかして消息が知りたい場合、 何でもいいから返事が来そうな話題を探します。 息子A 『なんや?』 しめた!食いついた! 『なんや?』の文字は、脳内でパッと音声に切り替わりました。 わたし 『これや』 しばらく経ってか...
青くさい高校生のガキでもあるまいに、 その人とすれ違うと心臓が高鳴る。 このマンションに入居してかれこれ25年になる。 鉛色の空から雪でも舞いそうな入居者説明会のあの日、集会室にポツンと座る、 あまりにも似過ぎるその人を見た瞬間、驚きで椅子に蹴躓きそうになった。 ところどこ...
今ではほとんど消滅しましたが、 どうでもいい妙な能力?を最大限に発揮できた時期がありました。 能力? 最寄りの図書館では、ひとり10冊まで、2週間借りることができます。 家族分4枚の利用者カードを握りしめて、週末になると通う図書館。 ズラリと並ぶ本の背をジッと見つめます。 ...
我ながら『しょうもない画像』が溜まっています。 何を思ったのか、恐る恐る インスタグラムというものを始めてみました。 リアルの友だちでは、成り行き上3人だけに知らせました。 見る人がいなくても構わない、 見る人がいない方が気楽かな、なんて思っていました。 わたしは、その友だ...
明るい日差しの下、 階段を降り、陸橋下を潜って向こう側に行こうとしました。 ん?何かあります。 看板? えっ! なんと! 一体そいつは何処にいるのか? 恐る恐る辺りを見回しましたが、何の気配もありません。 しんと静まり返っています。 不気味なほど静かです。 抜き足差し足忍び...
そろそろ布団に入ろうと思っていたところに届いた 一通のLINE。 『腹立ちすぎて退職届叩きつけたけど受理されんかったわ。』 息子Aでした。 この子は時折、心臓をギュッと掴むようなことを仕出かしてくれます。 あれは、高校に入学して間もない頃でした。 バスも通っているのですが、...
えぇっとぉ〜〜〜 砂糖を煮溶かして〜 (きび砂糖しかない、まっいいか) 色がつくまで煮溶かして (色がついたかどうかよく分からん、まっいいか) なになに?色が変わったら火を止めてバターをポン! (ガス代かかるから、色がついてなくてもバターをポン!バターもったいな〜) とろ〜...
まずいな… ちょっと頭がボッーとしてきた。 どうしよう…いちいち脱ぎ着するのは面倒だし 荷物になるのも鬱陶しい、このまま館内にいよう。 その判断が間違いでした。 面倒がらず、一枚脱いで体温調節すべきでした。 雨が上がったので、徒歩15分程の図書館を訪れた時のことです。 冷た...
文字通り、血の気が引いた。 先程から、誰か後をつけてくる気配を感じていたので、 走って逃げたかったが、幼子2人抱えていては思うように身動きが取れない。 ましてや1人はベビーカーの上だ。 人気のない高架下の商店街で、 私を追い越したその人は くるりと振り返って、射るような目で...
封を開けて、途中まではすこぶる順調です。 ある線を超えると、逆さ吊りになります。 しばらくは順調ですが、それにも限界があります。 最後はハサミを入れ、スプーンで掬ったり、竹串でほじったり 何とかして取り残しがないよう努力します。 あの話はニュースで聞いたんだろうか? それと...
『…もしかして、◯◯くん、チョコ食べたことなかった?』 下の息子が2歳の頃だったでしょうか。 その頃親しくしていた息子の友だちのお母さんに、 ほんの数時間、息子を預かってもらった時のことです。 用が済んだので、急いで引き取りに伺いましたら、 開口一番 笑っていいのか謝ったら...
その寺には日本一大きい木魚があります。 片手を触れるだけで過去の悪業が消滅するという木魚です。 ここ数年、その寺を訪れていなかったので、悪業が溜まりまくっているかもしれない、 一旦気にし始めたら居ても立っても居られなくなり、寒風吹き荒ぶ中、 電車を乗り継いで訪れました。 マ...
『…クマイデンチュウガッコウの近くに……』 いつだったか、息子との会話の中に出てきた 『クマイデンチュウガッコウ』 という聞き慣れない単語。 即座に脳内変換された漢字は、 『熊井電柱学校』 でした。 即座に脳内に浮かんだ映像は、 等間隔に電柱が立ち並ぶ広い校庭でした。 世...
暮れも押し迫ると、普段は何処にあるのか謎である 臼と杵が登場します。 これも普段は目にすることがない、大きな蒸籠で 餅米を蒸すモワモワした蒸気が漂うと、 師走に入ると徐々に始まる 慌ただしい非日常のクライマックスに 子ども心にもわくわくしたものでした。 目の前が見えないくら...
ジリジリ後退りしました。 文字通り驚愕して、目を疑いました。 初めてソレを見たのは2ヶ月ほど前のことです。 静かな住宅街の一角にあるゴミ集積所にて宙吊りになったソレは、 ゆらゆらと風に揺れていました。 たまたま通りかかった一角でした。 向こうから一組のカップルが談笑しながら...
あの日から、ふとした瞬間に脳内がわくわくします。 連番10枚購入しました。 何度裏切られても、 当選発表の日まで、完膚なきまでに打ち砕かれるその日まで、 当たることしか頭にありません。 みずほ銀行の応接室で『その日から読む本』を恭しく受け取る自分が 目に浮かぶようです。 ...
裏返したそれは、真っ白でした。 よ〜く見ると、隅の方にミミズが這ったようなヨレヨレの字で 『自分で書いてください』 とありました。 とうの昔に失くしてしまいましたが、 中学2年、隣の席の男の子から届いた年賀状です。 年々、年賀状がメンドーになります。 夏までに返そうと意気込...
『そういえば、先生が交通事故に遭って、2ヶ月くらいお休みしたことあったね〜 いっぺんに気が緩んだよね。』 それまで賑やかに思い出話を共有していた6人の和やかな顔が 一斉にスッと怪訝な色に変わりました。 ひとりが、 『先生が交通事故で休んだことなんてあった?』 そう口にすると...
『次の◯◯駅では、特急列車通過待ちのため、2分ほど停車いたします。』 このアナウンスの電車に当たると、すごくがっかりしてしまいます。 ホームに到着し、バラバラと何人かが降りたあと、 開け放ったドア、 シンと静まり返った車内で 名も知らぬ人たちとボケッ〜と待つ時間は、 ほんの...
その人は、聞こえないと思ったのでしょう。 その人が下を向いて苛立たしげにボソッと呟いた言葉はハッキリ聞き取れました。 『セルフがあるのに!』 舌打ちまで聞こえてきそうで、一瞬凍りつきました。 久しぶりに利用したコンビニには、 有人レジの隣に、以前は無かった完全セルフレジが設...
『疲れるといつもココが痛むんです。』 その人が指差す箇所に軽く手を触れた私は、ギクッとした。 何百人もの心身の不調を訴える人々を快癒に導いてきた私にとって それは初めての違和感だった。 (必ず一瞬で感じるのに、触れても見ても何も分からない。 不思議だ?ヒトの姿をしているがこ...
何故そんな予約を取ったのか、分かりませんが その日、午後2時40分〜何かの体験教室の参加予約を取ってありました。 そのことに気づいたのが当日の午後2時30分です。 額を冷たい汗が流れるのを感じました。 キャンセルの連絡をすれば済むことですが、 どうしても行きたい気持ちが強く...
近くの踏み切りで人身事故があったと聞きました。 亡くなられたそうです。 今月初旬にも事故がありました。 それほど思い詰めるってどんな心境なのか 分かりようもありませんが、 悲しみだったり、 後悔だったり、トラウマだったり この先いつまでも、大波やさざ波の形で、 関わりがあっ...
調べましたら、このような記事がありました。 なるほど、そういう事情があったのか、と思いました。 先日、待ち合わせの駅改札付近でボッーとしていたとき、 パッと目に飛び込んできた『2.死体。』の2文字 ① 生きて乗車したが、降りるときに死体となってしまった例が 相次いだのか? ...
『はい!こちら、お悩み電話相談室です。』 『もしもし……あの…』 『はい、どうされましたか。ゆっくりでいいですよ。』 『ありがとうございます。あの…どんなことでもいいですか?』 『はい、もちろんです。こちらで対応いたしかねます場合は、 他の窓口へご案内もできます。』 その時...
さっきから軽快にペラペラ喋っていた先生が、突然 『ハックション!』 くしゃみをされました。 ここは、ポッカリと口を開けて横たわるしかない歯科医院です。 何という名称なのか、じっくり見たこともありませんが、 歯石を取る機械?で口の中をガッーと処置されている時のことでした。 口...
そこは、古びた旅館の一室でした。 わたしと、もう1人の誰かが部屋の中にいます。 その誰かは頭から布団をかぶってジッとしています。 『ねぇ外に出てみようよ。』 誰だか分からないその人に声を掛けましたが、 ブルブル震えるだけで、返事がないので、1人で部屋を出ました。 一歩部屋を...
隣から、突然賑やかな笑い声がしました。 荷物を発送するため、郵便局の窓口で説明を受けていた時です。 ここを退職された元職員の方が旅行のお土産を持って、 元の職場を訪れたという格好のようでした。 元職員の方は、窓口の衝立を挟んで、局長らしき方ともう1人と 賑やかに話してみえま...
カンカンカンカン! 遠くから踏み切りの警報音が聞こえます。 いつ聞いても血が騒ぎ、わくわく高揚する音です。 どっちかな?上りかな下りかな? 陸橋下で今か今か、と待ち構えていました。 不意に人の気配を感じ、ハッと見回しましたら、 遅刻でもしたのか、こんな時間に制服姿の男の子で...
訪れた時間が遅かったので、商店街は閑散としていました。 (何処か食べるところはないか?) 煮豆、佃煮、漬物……そうきたか! 白いご飯がなくちゃな〜 こんぶ わかめ ひじき 戻すのに時間かかる 魚だけ旨い? なんか不安… 玉子巻 オムレツいいね! …シャッター 食べれん 痛い...
大抵の場合、朝は果物を口にするだけですが、 その朝は、ハムを焼いて卵を焼いて、オクラも焼いて、食パンも焼いて そこら辺にあるものを手当たり次第、 紅茶と共に頂きました。 空腹だと誘惑に負けるからです。 週末は、年に一度の地域のお祭りでした。 お目当ては、市役所東側で開催され...
静かに電車がホームに入ろうとしています。 『間もなく〜〜◯◯、◯◯駅に到着いたします〜』 窓の外をボッーと眺めていましたが、そのとき突然ハッ!と 気がつきました。 (何ということだ!鍵を持ってくるのを忘れた!) 一気に気持ちがドヨンと重たくなりました。 泣きそうになりながら...
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夢中で踊っていたので、全然気づかなかった。 ボーン!ボーン!ボーン… 午前零時を告げる鐘だ! ハッと我に返ったアタシは、王子の手を乱暴に振り払い、 ドレスの裾を翻して大広間の出口へと向かった。 間に合うか!間に合わなくても間に合わせねば! いきなり腕を振り払われて、驚いてポ...
20分ほど経過したところで、 「わるいけど、引き取りできるものはないですね」 「え?1枚も?」 狼狽えて問うわたしに、彼はあっさり 「はい、ありませんね」 【ノーブランド、シミ有、他社で断られたお品も買い取りいたします】 そんな謳い文句に釣られ、着なくなった洋服の査定、引き...
その朝も冷え込んでいました。 湯を沸かしながら、ふと台所の床に目をやりましたら、 3〜4センチほどの黒いものがうずくまっています。 それは黒くて楕円形で微動だにしません。 (なんだろう?虫?) 黒くて楕円形… ハッと思い当たり、あらゆる虫が怖いわたしは 一瞬で震え上がりまし...
ある侍女の告白 其の六 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 目が回るほど忙しい書き入れ時ですが、精一杯の気持ちを込めて、 たった一つ特別なケーキを焼き上げました。 この町の小さな商店街にある、名もないケーキ屋に就職した年のクリスマス のこと...
ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 地下鉄の駅を降りたが、出口がわからない。 案内の矢印に従って慎重に進む。 いくつもの角を曲がり、階段を上ったり下りたりして やっと目的の出口まで辿り着いた この階段を上がれば3番出...
なぜ、そんな言葉が浮かんだのか分かりません それを見た瞬間、 「これってトマトさくらんぼって言うんだよ。 プチプチうずうずゾクゾクのつやつやだね」 入園前の息子の小さな手をキュッと握りしめながら、 考えるより先に言葉が口をついてでていました 他にも幾つかその場限りの口からデ...
『そちらに漢方薬の呉茱萸湯は置いてありますか?』 だいぶマシになってきましたが、その日は朝から吐き気混じりの頭痛でした。 置き薬の五苓散を服用しましたが、しっくりきません 青空が広がる気持ちのいい日でしたから、五苓散じゃないかもしれません 1日ぐずぐず燻った挙句、夕方近所の...
『とっくの昔に返却期限は過ぎてんだ! さっさと返しやがれ さもないと、もう2度と貸してやんねーからな!』 地元の図書館から、上記を丁寧語に変換した怖ろしいメールが届きました。 青ざめながら、調べてみると どういうわけか、返し忘れた一冊がありました 返却が遅れたことは初めてで...
(⬆︎こちらの画像はお借りしました) お!キリリだ! ちょっと勿体ぶって 道端のキリリ!息子に見せてやりました (どうよ!ってなもんだ) 『え!こんなポケモンいるよ』 …キリリ!もう世に出回っていたのね 知らんかった
(もう少ししたら目覚ましが鳴るな…あと少し…) 耳元で誰かの囁きが聞こえたのは、 夢と現の間をとろとろ彷徨っていたときでした。 『突然ごめんね、相談なんだけどさ〜神の力いる?』 『は?紙の力?』 『ちがうちがう、こう見えてもボク神さまなんだよね。 あ?見えないって? 100...
痛いっ!痛いっ!痛いっ! チリチリチリチリ焼け焦げる 目の前が真っ赤に染まる ウアアアァァ〜〜熱い〜熱いぃぃ 千切れる!千切れる!怖い!痛い!痛いっ! ウオッ〜〜!苦しい!く…くるしい… …わたしの…カオ…カオ それなりに幸せな毎日だった 誰一人友だちがいなくても 信頼でき...
街中へと続く交差点を大きく右折しようとしたとき、 ぼんやり揺られていたバスの座席で思わずハッと背を正しました。 次々と後ろに流れ行く景色を捉えようと目を凝らしました。 交差点の左手に何軒か並ぶ雑多なお店に混じって、 その店も同じように看板を上げていました 何年も同じ光景だっ...
『あす、クルマ借りに行くで』 上の息子から連絡が入りました。 どこか遊びに行くのかな?いいなぁと思いながら 次の日の夕方、用事がある時しか顔を見せない薄情な息子にカギを渡しました。 2日ほど経って、そういえばいつ返してくれるのだろう? 聞かなかったことに気づきました。 『い...
更に小ぶりになった生鮭2切れ298円 秋刀魚は1匹100円だけど、気の毒なくらい痩せ細ってる 鮎は高くて論外 刺身や鰻のコーナーは、たいてい素通り 2枚におろした鯖は198円だけど、ついこの間やっつけたばかり そのとき、目に飛び込んできたのは、 1パック100円と値札の付い...
ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から 洗濯物にかこつけて、今日もアタシは病室を覗いた。 『帰れ!帰れ!』 って言われるのは分かってる あの子がどんな夢を描いていたか知ってる 苛立って腹立たしくてやり切れない思いを知ってる 同情なんかされたくないだろうから、知...
『地面の上っていろんな色があるってホント?』 いちばん年少の彼女が問いかけるのは、これで何度目でしょう。 ほとんどの仲間が、呆れて知らん顔をする中、 すぐ隣に潜む年長のお姉さまだけが、いつものように答えてくださいました。 『そうよ。晴れ渡る空はどこまでも続く青。 青い空にぽ...
そうだ 神社、行こう! 追い詰められた男の頭に浮かんだのは、 緑の森に包まれた参道に敷き詰められた玉砂利でした。 一歩一歩踏みしめるごとに『ざくざく』という音 身も心も引き締まる清冽な空間 (画像はイメージです) (身を清めて参道を粛々とご神前に進む 一心に祈れば、聞き届け...
(画像は使い回しです) 毎週毎週、山のように積み上げてあるなぁ… いつまで続くんだろう ゴミ収集日の朝、半ば呆れながら、わたしも一袋のゴミ袋を そこにポンと置きました そうするしかないからです。 息子が送ってくれたサルの画像です 上は、猫神社(正式名称不明 調べる気もなし)...
廃屋と洗濯機とねこ - この町内の片隅から いつもそこにあるのが当たり前でした。 太陽が東の空から上って、西の空に美しく沈むように、 それは、わたしにとって当たり前の光景でした。 しばらくぶりに見に行きましたら、 その姿がすっかり消えていたのです。 驚き狼狽えました それは...
ビフォーアフター - この町内の片隅から 撮影 あさこ メイク担当 ひるこ(仮名 あさこ妹) 制作費 不明(公共交通機関利用) 引き続き、今後も注視して街中の地面にひっそりと 生息する『口』を見つけたいと思います。 メイクについて あれこれ試してみましたが、自分で...
封を開けて、途中まではすこぶる順調です。 ある線を超えると、逆さ吊りになります。 しばらくは順調ですが、それにも限界があります。 最後はハサミを入れ、スプーンで掬ったり、竹串でほじったり 何とかして取り残しがないよう努力します。 あの話はニュースで聞いたんだろうか? それと...
『…もしかして、◯◯くん、チョコ食べたことなかった?』 下の息子が2歳の頃だったでしょうか。 その頃親しくしていた息子の友だちのお母さんに、 ほんの数時間、息子を預かってもらった時のことです。 用が済んだので、急いで引き取りに伺いましたら、 開口一番 笑っていいのか謝ったら...
その寺には日本一大きい木魚があります。 片手を触れるだけで過去の悪業が消滅するという木魚です。 ここ数年、その寺を訪れていなかったので、悪業が溜まりまくっているかもしれない、 一旦気にし始めたら居ても立っても居られなくなり、寒風吹き荒ぶ中、 電車を乗り継いで訪れました。 マ...
『…クマイデンチュウガッコウの近くに……』 いつだったか、息子との会話の中に出てきた 『クマイデンチュウガッコウ』 という聞き慣れない単語。 即座に脳内変換された漢字は、 『熊井電柱学校』 でした。 即座に脳内に浮かんだ映像は、 等間隔に電柱が立ち並ぶ広い校庭でした。 世...
暮れも押し迫ると、普段は何処にあるのか謎である 臼と杵が登場します。 これも普段は目にすることがない、大きな蒸籠で 餅米を蒸すモワモワした蒸気が漂うと、 師走に入ると徐々に始まる 慌ただしい非日常のクライマックスに 子ども心にもわくわくしたものでした。 目の前が見えないくら...
ジリジリ後退りしました。 文字通り驚愕して、目を疑いました。 初めてソレを見たのは2ヶ月ほど前のことです。 静かな住宅街の一角にあるゴミ集積所にて宙吊りになったソレは、 ゆらゆらと風に揺れていました。 たまたま通りかかった一角でした。 向こうから一組のカップルが談笑しながら...
あの日から、ふとした瞬間に脳内がわくわくします。 連番10枚購入しました。 何度裏切られても、 当選発表の日まで、完膚なきまでに打ち砕かれるその日まで、 当たることしか頭にありません。 みずほ銀行の応接室で『その日から読む本』を恭しく受け取る自分が 目に浮かぶようです。 ...
裏返したそれは、真っ白でした。 よ〜く見ると、隅の方にミミズが這ったようなヨレヨレの字で 『自分で書いてください』 とありました。 とうの昔に失くしてしまいましたが、 中学2年、隣の席の男の子から届いた年賀状です。 年々、年賀状がメンドーになります。 夏までに返そうと意気込...
『そういえば、先生が交通事故に遭って、2ヶ月くらいお休みしたことあったね〜 いっぺんに気が緩んだよね。』 それまで賑やかに思い出話を共有していた6人の和やかな顔が 一斉にスッと怪訝な色に変わりました。 ひとりが、 『先生が交通事故で休んだことなんてあった?』 そう口にすると...
『次の◯◯駅では、特急列車通過待ちのため、2分ほど停車いたします。』 このアナウンスの電車に当たると、すごくがっかりしてしまいます。 ホームに到着し、バラバラと何人かが降りたあと、 開け放ったドア、 シンと静まり返った車内で 名も知らぬ人たちとボケッ〜と待つ時間は、 ほんの...
その人は、聞こえないと思ったのでしょう。 その人が下を向いて苛立たしげにボソッと呟いた言葉はハッキリ聞き取れました。 『セルフがあるのに!』 舌打ちまで聞こえてきそうで、一瞬凍りつきました。 久しぶりに利用したコンビニには、 有人レジの隣に、以前は無かった完全セルフレジが設...
『疲れるといつもココが痛むんです。』 その人が指差す箇所に軽く手を触れた私は、ギクッとした。 何百人もの心身の不調を訴える人々を快癒に導いてきた私にとって それは初めての違和感だった。 (必ず一瞬で感じるのに、触れても見ても何も分からない。 不思議だ?ヒトの姿をしているがこ...
何故そんな予約を取ったのか、分かりませんが その日、午後2時40分〜何かの体験教室の参加予約を取ってありました。 そのことに気づいたのが当日の午後2時30分です。 額を冷たい汗が流れるのを感じました。 キャンセルの連絡をすれば済むことですが、 どうしても行きたい気持ちが強く...
近くの踏み切りで人身事故があったと聞きました。 亡くなられたそうです。 今月初旬にも事故がありました。 それほど思い詰めるってどんな心境なのか 分かりようもありませんが、 悲しみだったり、 後悔だったり、トラウマだったり この先いつまでも、大波やさざ波の形で、 関わりがあっ...
調べましたら、このような記事がありました。 なるほど、そういう事情があったのか、と思いました。 先日、待ち合わせの駅改札付近でボッーとしていたとき、 パッと目に飛び込んできた『2.死体。』の2文字 ① 生きて乗車したが、降りるときに死体となってしまった例が 相次いだのか? ...
『はい!こちら、お悩み電話相談室です。』 『もしもし……あの…』 『はい、どうされましたか。ゆっくりでいいですよ。』 『ありがとうございます。あの…どんなことでもいいですか?』 『はい、もちろんです。こちらで対応いたしかねます場合は、 他の窓口へご案内もできます。』 その時...
さっきから軽快にペラペラ喋っていた先生が、突然 『ハックション!』 くしゃみをされました。 ここは、ポッカリと口を開けて横たわるしかない歯科医院です。 何という名称なのか、じっくり見たこともありませんが、 歯石を取る機械?で口の中をガッーと処置されている時のことでした。 口...
そこは、古びた旅館の一室でした。 わたしと、もう1人の誰かが部屋の中にいます。 その誰かは頭から布団をかぶってジッとしています。 『ねぇ外に出てみようよ。』 誰だか分からないその人に声を掛けましたが、 ブルブル震えるだけで、返事がないので、1人で部屋を出ました。 一歩部屋を...
隣から、突然賑やかな笑い声がしました。 荷物を発送するため、郵便局の窓口で説明を受けていた時です。 ここを退職された元職員の方が旅行のお土産を持って、 元の職場を訪れたという格好のようでした。 元職員の方は、窓口の衝立を挟んで、局長らしき方ともう1人と 賑やかに話してみえま...
カンカンカンカン! 遠くから踏み切りの警報音が聞こえます。 いつ聞いても血が騒ぎ、わくわく高揚する音です。 どっちかな?上りかな下りかな? 陸橋下で今か今か、と待ち構えていました。 不意に人の気配を感じ、ハッと見回しましたら、 遅刻でもしたのか、こんな時間に制服姿の男の子で...