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  • 洗濯機

    この子、いつからウチにいたんだろう? 脱水時の音が大きくなったような気がする洗濯機を、不安げに見つめました。 いま壊れたら困る いや…「壊れる」なんて言葉を軽々しく口にしてはいけない 一晩考えた挙句、 次の日から、洗濯機に向かって声を掛けることにしました。 スイッチを入れる...

  • ちらし寿司

    ※ すべてフィクションです 「はい!カーーット!」 監督の合図にハッと我に返った。 ささくれ立った畳 一口だけのコンロ 剥がれ落ちた壁紙を隠すためのポスターがペラっと剥がれかけている 西日が眩しい 窓からの眺めは、あの頃と変わらない 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜 ...

  • パーティション

    使い終えたバスマットを干そうと、ベランダに続く掃き出し窓をガラッと開けました。 昨日までの光景とどこか違う、そう感じたのは 仕切り板の向こうが真っ暗で、しんとしているからでしょう。 うちは集合住宅のマンションです。 各戸のベランダは隣戸との仕切り板 【非常の際には、ここを破...

  • トースト

    菓子折り - この町内の片隅から 2Bのかきかた鉛筆から、スーパーの広告の裏にサラサラとこぼれる文字は、 「探さないでください」 学習机の脇に突っ立ったまま、息を詰めてその文字を見つめていました。 2Bなのに字が掠れてる…見当違いの疑問を覚えながら。 僅かな着替えを入れた赤...

  • メロンパン

    何かの情報誌を読んだのか、ニュースで知ったのか、 その小さなパン屋さんの佇まいが頭の片隅に残っていました。 地元の方しか知らないような狭い路地を迷いながら進むと、 いつも表に自転車が停まっている木造の二階屋が現れます。 看板も何もありません。 多少滑りのわるいガラス戸をギシ...

  • 2025年3年13日(木)の日記

    ヤツがきた 今年もきた 昨日あたりから怪しかった だるい ずるずる引き摺り込まれる 地獄の底に引き摺り込まれる だるい かゆい 顔だか身体だかうずうずする うずうずは、いつくしゃみに変貌するか分からん くしゃみは怖ろしい うっかりすると腰を痛める これ以上苦しい目に遭いたく...

  • カジュアルな神さま②

    カジュアルな神さま - この町内の片隅から ある日突然、神さまから人を治す力を預かった方のお話しの続きです 神さまとの約束は、決して報酬を受け取ってはならない、 欲を出してはいけない、この2点です すべて妄想。フィクションです 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜...

  • 雨粒

    カイダン 怪談 - この町内の片隅から 朝から冷たい雨が降りしきる灰色の日でした。 つい3日ほど前は、コートがいらないくらいポカポカ暖かい日でしたので、 冷たい雨が身に染みます。 少しホッとしたのも束の間。 春になろうかなるまいかの頃は、行ったり来たり、着たり脱いだり。 記...

  • 舐めても舐めてもなくならない飴玉

    「アカンくても美味しいものは心の健康には良いから、 食べすぎなきゃ食べてええんよ」 こんな世の中でも、ほんの時たま 珠玉のような瞬間、珠玉のような言葉を拾うことがあります。 あぁよかった、こんな瞬間を感じられて あぁよかった、こんな言葉を耳にできて 生きていてよかった、そう...

  • 戸惑うこと

    だいぶ慣れましたが、未だに戸惑うことがあります。 とある公共施設のエレベーターのボタン (どっちが開くほうでどっちが閉まる方だったかしらん?) 一瞬の躊躇いのあと、一抹の不安を胸にどちらかを押します。 いま、息せき切ってエレベーターに辿り着いたどなたかの目の前で、 うっかり...

  • きょうはいい日

    青い空に映える何か知らん花 花の名前、あまり知らない チューリップとかたんぽぽとか桜とか紫陽花とかカラーとか 雪柳とか(いちばん好き) 金魚草とかとか…だったら分かる (けっこう知ってるじゃん笑 自分で言うな) なんだか知らなくても あーキレイって思えた それだけでいい そ...

  • ある侍女の告白 其の九 侍女

    ある侍女の告白 其の七 侍女 - この町内の片隅から 「痛い。痛い。痛い」 朝からひっきりなしに頭を駆け巡る言葉は「痛い」 ただ一言です。 身体のどこかが痛いということは、なんて情けなくて悲しいことでしょう。 空気が抜けて、しゅるしゅるしゅると萎んでいく風船のように頼りない...

  • おいしいラーメン

    地元のフリーペーパー1月号で企画される 「お年玉プレゼント」を毎年楽しみにしています。 何軒かの店舗と協賛で、さまざまな商品が提供されます。 ことしは、18店舗協賛 お食事券、ワイン、商品券、フルーツサンド、アカスリサロン… 嬉しいな どれにしようかな? わくわくしながら選...

  • おいしいパン

    ふわふわってのが食べたい 強烈な思いを抑えきれず、レンジでバナナチョコケーキなるものを 作ってみました。 材料を混ぜて、5分レンジにかけるだけです。 オートミールも混ぜてみました。 うーむ? 何というか?微妙だ…適当すぎたか? 近所に、週末だけ営業している米粉のパン屋さんが...

  • おいしいご飯

    寂れた商店街の、端から端まで等間隔に並ぶ、街路灯の柱。 いつの頃からか、街角メッセージとして、柱に書道作品が展示してあります。 目に映っていても、上面しか捉えないため、 右から左へ消えていく光景がありますが、街角の書道作品は、まさにそれでした。 見ていても見えていなかったの...

  • 神宮小路

    チーズケーキ - この町内の片隅から 神宮商店街続き うっふん アタシのこと撮るの? もじもじ 名鉄電車 あら?神宮浩司さん?お久しぶりね(一応モザイク)と 神宮工事(奥の方、足場組んでた) 神宮小路

  • 楽園 - この町内の片隅から 毛並みに沿って、頭から背を撫でる手の感触が心地良すぎて、 うっとりしてきました。 記憶の中にある感触です。 喉の奥がごろごろします。 お腹と背中がくっつくくらい空腹ですが、今日はこの温かい感触だけで 腹いっぱい胸いっぱいになりそうです。 突然、...

  • ある侍女の告白 其の八 織姫

    ある侍女の告白 其の五 織姫 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 「いつもそうだけど、あんたのぶり大根まずいわ」 いきなり、不機嫌な物言いをされて驚いた。 気持ちが弱っている時だったから、その言葉を額面通りに受け取ってしまい、 不覚にもポロリと涙...

  • 遅い出勤の方だったのでしょう。 若い親子3人の姿を、毎日のように駅で見かけました。 がっちりとして上背があり、少々無愛想に見えるお父さん。 お父さんとお母さんに挟まれて嬉しいのか、 くるくるはしゃぎ回る2歳くらいの男の子。 男の子を嗜めたり、追いかけたり、これまたくるくる身...

  • 痛み

    「いたっ!」 洗い桶に手を入れた母が小さく悲鳴を上げました。 (しまった!) その瞬間、心臓をキュッと掴まれ、身が縮みました。 先ほど使った包丁を、他の食器と一緒に洗い桶に突っ込んだままだったのです。 洗い桶の中の包丁にうっかり触れてしまうなんて… スッと指を切ったかもしれ...

  • ガラスの靴

    夢中で踊っていたので、全然気づかなかった。 ボーン!ボーン!ボーン… 午前零時を告げる鐘だ! ハッと我に返ったアタシは、王子の手を乱暴に振り払い、 ドレスの裾を翻して大広間の出口へと向かった。 間に合うか!間に合わなくても間に合わせねば! いきなり腕を振り払われて、驚いてポ...

  • 275円のしあわせ

    20分ほど経過したところで、 「わるいけど、引き取りできるものはないですね」 「え?1枚も?」 狼狽えて問うわたしに、彼はあっさり 「はい、ありませんね」 【ノーブランド、シミ有、他社で断られたお品も買い取りいたします】 そんな謳い文句に釣られ、着なくなった洋服の査定、引き...

  • いいこと

    その朝も冷え込んでいました。 湯を沸かしながら、ふと台所の床に目をやりましたら、 3〜4センチほどの黒いものがうずくまっています。 それは黒くて楕円形で微動だにしません。 (なんだろう?虫?) 黒くて楕円形… ハッと思い当たり、あらゆる虫が怖いわたしは 一瞬で震え上がりまし...

  • ある侍女の告白 其の七 侍女

    ある侍女の告白 其の六 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 目が回るほど忙しい書き入れ時ですが、精一杯の気持ちを込めて、 たった一つ特別なケーキを焼き上げました。 この町の小さな商店街にある、名もないケーキ屋に就職した年のクリスマス のこと...

  • ある侍女の告白 其の六 彦星

    ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 地下鉄の駅を降りたが、出口がわからない。 案内の矢印に従って慎重に進む。 いくつもの角を曲がり、階段を上ったり下りたりして やっと目的の出口まで辿り着いた この階段を上がれば3番出...

  • ピラカンサス

    なぜ、そんな言葉が浮かんだのか分かりません それを見た瞬間、 「これってトマトさくらんぼって言うんだよ。 プチプチうずうずゾクゾクのつやつやだね」 入園前の息子の小さな手をキュッと握りしめながら、 考えるより先に言葉が口をついてでていました 他にも幾つかその場限りの口からデ...

  • 呉茱萸湯(ゴシュユトウ)

    『そちらに漢方薬の呉茱萸湯は置いてありますか?』 だいぶマシになってきましたが、その日は朝から吐き気混じりの頭痛でした。 置き薬の五苓散を服用しましたが、しっくりきません 青空が広がる気持ちのいい日でしたから、五苓散じゃないかもしれません 1日ぐずぐず燻った挙句、夕方近所の...

  • そう信じたい

    『とっくの昔に返却期限は過ぎてんだ! さっさと返しやがれ さもないと、もう2度と貸してやんねーからな!』 地元の図書館から、上記を丁寧語に変換した怖ろしいメールが届きました。 青ざめながら、調べてみると どういうわけか、返し忘れた一冊がありました 返却が遅れたことは初めてで...

  • いろんなかお

    (⬆︎こちらの画像はお借りしました) お!キリリだ! ちょっと勿体ぶって 道端のキリリ!息子に見せてやりました (どうよ!ってなもんだ) 『え!こんなポケモンいるよ』 …キリリ!もう世に出回っていたのね 知らんかった

  • カジュアルな神さま

    (もう少ししたら目覚ましが鳴るな…あと少し…) 耳元で誰かの囁きが聞こえたのは、 夢と現の間をとろとろ彷徨っていたときでした。 『突然ごめんね、相談なんだけどさ〜神の力いる?』 『は?紙の力?』 『ちがうちがう、こう見えてもボク神さまなんだよね。 あ?見えないって? 100...

  • タマミ

    痛いっ!痛いっ!痛いっ! チリチリチリチリ焼け焦げる 目の前が真っ赤に染まる ウアアアァァ〜〜熱い〜熱いぃぃ 千切れる!千切れる!怖い!痛い!痛いっ! ウオッ〜〜!苦しい!く…くるしい… …わたしの…カオ…カオ それなりに幸せな毎日だった 誰一人友だちがいなくても 信頼でき...

  • 雪姫伝説

    街中へと続く交差点を大きく右折しようとしたとき、 ぼんやり揺られていたバスの座席で思わずハッと背を正しました。 次々と後ろに流れ行く景色を捉えようと目を凝らしました。 交差点の左手に何軒か並ぶ雑多なお店に混じって、 その店も同じように看板を上げていました 何年も同じ光景だっ...

  • バナナ

    『あす、クルマ借りに行くで』 上の息子から連絡が入りました。 どこか遊びに行くのかな?いいなぁと思いながら 次の日の夕方、用事がある時しか顔を見せない薄情な息子にカギを渡しました。 2日ほど経って、そういえばいつ返してくれるのだろう? 聞かなかったことに気づきました。 『い...

  • ささやかな光景

    更に小ぶりになった生鮭2切れ298円 秋刀魚は1匹100円だけど、気の毒なくらい痩せ細ってる 鮎は高くて論外 刺身や鰻のコーナーは、たいてい素通り 2枚におろした鯖は198円だけど、ついこの間やっつけたばかり そのとき、目に飛び込んできたのは、 1パック100円と値札の付い...

  • ある侍女の告白 其の五 織姫

    ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から 洗濯物にかこつけて、今日もアタシは病室を覗いた。 『帰れ!帰れ!』 って言われるのは分かってる あの子がどんな夢を描いていたか知ってる 苛立って腹立たしくてやり切れない思いを知ってる 同情なんかされたくないだろうから、知...

  • 彼岸花

    『地面の上っていろんな色があるってホント?』 いちばん年少の彼女が問いかけるのは、これで何度目でしょう。 ほとんどの仲間が、呆れて知らん顔をする中、 すぐ隣に潜む年長のお姉さまだけが、いつものように答えてくださいました。 『そうよ。晴れ渡る空はどこまでも続く青。 青い空にぽ...

  • そうだ 神社、行こう。

    そうだ 神社、行こう! 追い詰められた男の頭に浮かんだのは、 緑の森に包まれた参道に敷き詰められた玉砂利でした。 一歩一歩踏みしめるごとに『ざくざく』という音 身も心も引き締まる清冽な空間 (画像はイメージです) (身を清めて参道を粛々とご神前に進む 一心に祈れば、聞き届け...

  • ゴミ袋

    (画像は使い回しです) 毎週毎週、山のように積み上げてあるなぁ… いつまで続くんだろう ゴミ収集日の朝、半ば呆れながら、わたしも一袋のゴミ袋を そこにポンと置きました そうするしかないからです。 息子が送ってくれたサルの画像です 上は、猫神社(正式名称不明 調べる気もなし)...

  • 諸行無常

    廃屋と洗濯機とねこ - この町内の片隅から いつもそこにあるのが当たり前でした。 太陽が東の空から上って、西の空に美しく沈むように、 それは、わたしにとって当たり前の光景でした。 しばらくぶりに見に行きましたら、 その姿がすっかり消えていたのです。 驚き狼狽えました それは...

  • ビフォーアフター 2024盛夏

    ビフォーアフター - この町内の片隅から 撮影 あさこ メイク担当 ひるこ(仮名 あさこ妹) 制作費 不明(公共交通機関利用) 引き続き、今後も注視して街中の地面にひっそりと 生息する『口』を見つけたいと思います。 メイクについて あれこれ試してみましたが、自分で...

  • ある侍女の告白 其の四 彦星

    ある侍女の告白 - この町内の片隅から ある侍女の告白 其の弐 彦星 - この町内の片隅から 薄い水色のカーテンに囲まれた狭い空間で目を覚ました 白い天井 消毒液と薬のにおい チキショー!やはり現実だったのか! その週末は、大事なオーディションを控えていた 何としても東京に...

  • 彼の名は

    たくさん必要な訳じゃないけど、ないと困るもの 地味だけど、ないと困るもの 放置しすぎると、手に取った時いきなりプツンと 頼りなくキレてしまうもの キレたときの虚しい気持ち その昔、一度だけ箱で買ったけど、 それ以来買ったことがないもの 買わなくても、なぜか絶対になくならない...

  • 救急車

    青ざめた顔が、ドアの向こうの暗闇にぽっかり浮いているように見えました。 『腹が痛い…』 それだけ告げると、彼はドアに掴まってずるずる滑り落ちるように崩れました。 彼が最初の転職をして間もない頃です。 幼い時から、何があっても冷静沈着な上の息子が、 夜中に突然の痛みを訴えたも...

  • 真夏の夜の消防車

    ウーウーウーウィーンウウウィーーン!! キューウーン!カンカンカン! その夕方 突然けたたましいサイレンの音。 カーテンの隙間から外を見た 一台また一台 次々とやってくる赤い消防車。 消防車に続く救急車。 ちょうど風呂から上がったところで バスタオル一枚 すぐ確かめたかった...

  • カイダン 怪談

    (ねぇ…皆んな、どこへ行こうとしてるの? 何でいつもセカセカ歩いているの?) 階段の端っこから、幼子の囁きがしました。 (だれ?だれかいるの?) 端っこも端っこ。腰を浅く引っ掛けて今にも落っこちそうな格好で 10センチくらいの女の子が、眉を八の字にしてこちらを見ていました。...

  • 異国の少女が祈る絵

    車の中からその家を見上げ、ひどく狼狽えました。 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜 鍵など掛かっていた試しのない勝手口をガラッと開けて 一歩中に入ると、ひんやりした土間が広がっています。 流し台、ガス台、冷蔵庫…土間の隅には風呂炊きの薪が堆く積み上げてあります。 黒光りする食器...

  • ミョウガ

    ここを通るたびに、妙に惹きつけられる文字です。 その日も気になりながら、通り過ぎるところでした。 通り過ぎながら、徐々に身体が重くなってきました。 10mほど進んだところで、何者かの力が加わったかのように クルッと振り向かされた自分は、 気づいたらその場所に戻っていました。...

  • 市民人権講座に参加して

    『3日ばかり留守にする。申し訳ないが、留守の間のことを頼む』 そうおっしゃると、先生は身の回りのものを 手当たり次第、紫の風呂敷に包まれました。 いつものことながら、先生のお支度は非常に簡素です。 お洋服は年がら年中、黒の詰め襟。 履き古した白いズックに足を滑り込ませた先生...

  • 納涼祭り

    なぜ、いま、何処だか分からない夜道を焦りながら自転車を漕いでいるのか 分からず、頭がボッーとしてきました。 分からなくても、こんな場所に置き去りにされてはたまりません。 とにかく必死で後を追いました。 それは納涼祭りの日でした 祭りでは、何本もの打ち上げ花火が盛大に上げられ...

  • 蓮の花

    どこかで目にしたその光景が、 記憶の底に引っ掛かっていたのかもしれません。 ある朝、起きたら 『行け!今日だ!見に行くのだ』 抗うことのできない囁きで脳内がいっぱいになりました。 湿度はありますが、昨日までの雨は上がり、太陽がカッと照りつけています。 洗濯物は溜まっています...

  • 車内にて

    ところどころ座席は空いていました。 混み合っている場合は、名も知らぬ隣の人と肩がふれあうくらい ぎゅうぎゅう詰めで座ることになりますが、 今日みたいな日は余裕です。 互いの座席の間に程よい空間が作れます。 そっと腰を下ろした隣の方は、座席の間の 狭い空間に、甘ったるそうなト...

  • ある侍女の告白 其の参 侍女

    ある侍女の告白 其の弐 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 胸を膨らませ、県内でも有数の進学校であるこの高校に入学した日のことです。 真新しい制服に身を包む大勢の新入生の中に 忘れたくても忘れることができない、あの方の姿を目にし、 穏やかな...

  • 梅雨時に思う ⑭

    梅雨時に思う ⑬ - この町内の片隅から 梅雨時に思う ① - この町内の片隅から 『ちがうっ!これじゃないよ!』 水色のカーテンで仕切られた隣から、突然ヒステリックな声が響きました。 ささやかな夕食が終わり、就寝までのくつろいだ時間帯です。 怒りを含んだ鋭い口調にビクッと...

  • 廃屋と洗濯機と ミイナ シュガー

    (よう来たな。水無月6月、今日という日を待っておったぞ) 風に乗って微かに聞こえました。 囁きがスルスルと頭に流れ込んできました。 驚いて辺りを見回しましたが、誰もいません。 ここは静かな住宅街の奥まったところにある廃屋の裏手です。 春まだ浅い3月、捨て置かれた洗濯機の向こ...

  • パンの魔力

    歩道にまで漂ってくる香ばしい匂い 四角いトレイにぎっちり並ぶきつね色の丸いパン 一口噛んだらジュワッと肉汁が滴るに違いないソーセージを挟んだドッグパン ツヤツヤのチョコでコーティングされた楕円形のパン スパッと切ったらたっぷり詰まった杏ジャムがトロ〜リと流れ落ちるだろう ...

  • じーまーみ黒糖

    一見すると、すこし歪でふっくらしたチョコビスケットです。 小さく一口かじると、ザックリとした食感の 粗めのビスケットだと分かります。 同時にとろりとしたオレンジジャムが口の中に溢れます。 歪でふっくらしたものは、ビスケットにポテッと塗られたオレンジジャムでした。 チョコに覆...

  • 商店街のパン屋

    訪れたのは春まだ浅い3月 アーケードのある商店街に昔からあるパン屋さんです。 この場所に老舗のパン屋さんがあることは 知っていましたが、通りがかりに薄暗い店内に陳列してあるパンを のぞき窓からチラチラ眺める程度でした。 硬いパンが評判と聞きました 硬いパンとは珍しい いつか...

  • ある侍女の告白 其の弐 彦星

    織姫の父である天帝さまから呼び出しがあり、 ぎゅっと心臓を掴まれたような心持ちになった。 身に覚えがある…ありすぎる うまくやってきたつもりだが、天帝さまの目は誤魔化せなかったか? 仕方ない…重い足取りで呼び出しに応じた。 ある侍女の告白 - この町内の片隅から 『ま...

  • 呪縛

    その名を聞くと誰もが 『ほぉー!』 と感嘆の声を上げる、県内トップクラスの進学校に通う息子さんのことで 年下の友人から連絡がありました。 登校しようとすると身体に不調が現れるらしいです。 学校に行けないケースは一括りにできません。 似たように見えても、それぞれ事情が違います...

  • ある侍女の告白

    『もう決めたの。7月7日が過ぎたらお父さまに頼んでみるわ。 …あぁでも7月7日まで1ヶ月もある。 うんざりだわ。明日にでもお願いしてみようかしら』 わたしが、彦星さまと引き裂かれた織姫さまのお世話をするようになって 何年経ったでしょう。 泣き暮らしていた織姫さまが徐々にお元...

  • 黒猫

    スーパーの裏口で真っ黒い塊を見つけハッとしました。 (驚くことはない、ただの猫の塊だ) なんだ、猫だったのか そろそろと近づきましたが、逃げるでもなくジッとしています。 (それは何というものだ?その小さい四角いもの。 四角いものに目をやりながら歩くヒトをよく見かける) スマ...

  • チーズケーキ

    うろうろしているうちに、自分が何処から来たか分からなくなりました。 焦って闇雲に進んでみても、地下鉄の駅に辿り着けません。 寂れかけた商店街の中程に、こぢんまりとしたパン屋さんを見つけたので 道を尋ねようと中に入りました。 4、5人も入ればぎゅうぎゅう詰めになりそうな小さな...

  • グレーテルの野望

    たった今、パンの焼き具合を確かめる魔女を蹴り上げ、 真っ赤に燃え盛るカマドにぶち込んでやった 渾身の力で扉を閉める。 『ギャーーー!』 この世のものとは思えぬ恐ろしい叫び声 仕方ない ヤらねばヤられていた タラリと伝う汗を乱暴に拭って息をついた 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜...

  • 最後の講座が終わったあと、 ひとりひとりに『無料占い券』が配られました。 いつだったか、手相占いの講座に通ったときのことです。 講座は終了したものの、核心に触れる内容に達したとは言えず、 特に得たものも無く (これで終わりなのか?)肩透かしを食らったような最後に配られた 『...

  • ハハの日という日

    『はい、これ』 頼んだ買い物の中から、息子がごそごそ取り出したのは 『カーネーションと淡い色合いのタオルというか?手拭いのセット』でした。 5〜6年前の母の日のことです。 何でも揃う遠くのスーパーまで、車で買い物を頼みました。 『なにこれ?頼んでない』 『きょう、母の日らし...

  • 連休

    『来る?』 連休前に息子Aに聞いてみました。 しびれを切らしたころ、やっと届いた返事は 『忙しいでムリ』 ふうふうと途中まで膨らみかけた風船が、ポロッと口から落ちて シュルシュルと萎んでいくのを感じました。 小さくペチャンコになった風船をポイっとゴミ箱に捨て、 (がっかりな...

  • 若葉のころ

    若葉のころでした。 何通かのダイレクトメールと一緒に一通のハガキが届いたのは… クルッとひっくり返すと真っ白いハガキいっぱいに大きく、 『ヒダリ』 誰が送ってきたか分かりません。 何のことだろう? 何処から届いたのだろう? 気になりましたが、日常に紛れ、妙なハガキのことは忘...

  • 小説8050

    緊張が走って、ハッとして 脳裏が真っ赤になるくらいの悔しさが伝わってきて、 耳をつんざく音がした。 すこし安堵したり、またハラハラしたり。 息を止めて思わず目を瞑った。 息を整えてからまたページをめくり、ホッとした。 そうきたか! そうして少しだけニヤリと笑えた 泣きそうに...

  • ビフォーアフター

    2月上旬の画像 濃い桃色を思い浮かべながら撮りました 最近の画像 時季を逃してしまったので、緑の葉っぱ混じりになってしまいました この駐車場の片隅を濃い桃色に染める『花桃』です。 名所でも何でもありません。人通りも少ないこの場所に咲く花を 気に留める人も居ないと思いますが、...

  • 花火

    『こちらです。どうぞ』 枯葉色のドアを開け、中に入る不動産屋さんに続き、 半畳ほどの狭い三和土に立ちました。 1Kの部屋全体に立ち込めるムッと異様な匂いに、 暫し言葉を失くしました。 20代前半の頃、実家を出てひとり暮らしをするため、 駅近の手頃な部屋を探していた時のことで...

  • フェンス越しの線路

    誰かに言いたくて仕方なかったのかもしれません。 『浮気』 『不倫』 『相手はシングルマザー』 『探偵事務所』 『弁護士』 『慰謝料』 … 一旦口火を切ったら、歯止めが効かなくなったのでしょう。 怒涛のように聞きなれない言葉が次から次へと 耳に流れ込んできました。 時には静か...

  • ジュリアーナ

    『ふふふっ』 天から声が降りてきた? それとも幻覚なのか? ダイジョブ?…自分 薄手のカーテンでシャッと仕切られただけの四角い箱、 靴を脱いで上がったここは大きなショッピングモールの片隅にある試着室です。 試着室に引っ掛かっているS字フックに、細い足をぶらぶらさせて座ってい...

  • 壱億円

    『財布の中にある一番高額な紙幣を取り出してください』 (え!何が入ってたっけ?) ごそごそ探ると、奇跡的に紙のお金が数枚入っていました。 千円札を大事に取り出して目の前に置きました。 『では、紙幣の真ん中からやや左を左の親指と人差し指で挟み、右側は右手の親指と 人差し指で同...

  • 車内にて

    電車の扉がプシューと開きました。 ホームには2人の駅員さんに付き添われた車椅子の男性。 大柄でガッチリした体格の方です。 車椅子ごと乗車するのだろうか?やや緊張しながら待ち構えていましたら、 乗車口の手前でよろよろと車椅子から降り、おぼつかない足取りながらも1人で乗車 され...

  • 乗車前

    駅の券売機でTOICAにチャージしようとしました。 2台ある券売機の前には、どちらも数人が並んでいます。 片方に並びました。 春休み中の中高生くらいの女の子3人が券売機の前で固まっていました。 様子を窺うと、直ぐに切符を買うでもなく、何となく行き先を決めかねて 顔を寄せ合い...

  • あんな些細なことで怒るなんて思わなかった。 考えなしに言葉を発した自分がわるかったのだろうか? 喉元まで込み上げる塊をグッと飲み込んだわたしは、 上下の取り合わせも何もなく、手近にあった服にサッと着替え、 財布とケータイだけリュックに押し込んで、黙って外にでました。 行くあ...

  • 骨董市

    『ちょっと!あなた!お待ちなさい! アタシを見るのよ!』 突然呼び止められ、きょろきょろと辺りを見回しましたが、 誰もいません。 (空耳かしら? それにしても随分はっきり聞こえたわ?) 『空耳なんかじゃなくってよ!アタシよ! ア・タ・ク・シ! あなたの直ぐ目の前よ。 ボッ〜...

  • 廃屋と洗濯機とねこ

    廃屋の裏手に広がる空き地。 いつの頃からか、ここに洗濯機が放置されています。 寂しげに佇む洗濯機が気に掛かるので、ときどき遠回りをするのですが、 その日、通り過ぎようとしましたら 洗濯機の向こうに何かいる! 近所の飼い猫なのか? 住み着いているのか? 暫し見つめ合う1人と1...

  • わが決断に悔いあり

    その夕方、最寄り駅の構内にて地元の飲食店の 出店イベントがありました。 ケーキ、和菓子、お酒、居酒屋風お惣菜… ちょっとした立ち呑みテーブルの用意まであります。 おいしそうだけど、高そうだな… 賑わい始めた屋台を横目にサッサと通り過ぎようとしたところ、 いちばん端の屋台に食...

  • イワンのばか

    『マンション内で、リフォームされるお宅が数軒あるんですよ。 さらに何軒かまとまると、かなりお安くなります。 来月までの期間限定なんですが、いま、ご一緒にされるお宅を募っているので、 訪問させてもらいました』 『実は、先日あるお宅の浴室工事に入ったんですが、 タイルを剥がして...

  • 配達完了

    『配達完了:ご注文商品の配達が完了しました』 遅い時間に、Amazonから配達完了のメールが届きました。 (手渡しだと思って待っていたのに? ポストに入る大きさだったのかな?) 翌朝、わくわくしながら一階の集合ポストを覗いたのですが、 (ウチは集合住宅のマンションです) 荷...

  • 林檎のケーキ

    『やっぱり、貰っていくわ。包んでくれる?』 息子に食べさせたいと思って焼いた 林檎のケーキです。 手をつけずに帰ろうとしたので、 持って行って食べなさい、と 勧めましたが、荷物になるからか、気が進まなさそうでした。 まぁいいか、自分が食べれば… そう思いましたが、 貰ってく...

  • 花粉の日々

    今年も、怖れていた日がやってきた。 ある朝起きたら、目が腫れ上がっていた とてつもなくダルい 何年か前の春先、突然症状が現れて以来、 それは毎年律儀にやってくる。 この頃は空気が乾燥するから、唇がカサカサに荒れて時には血が滲む ダル過ぎて、リップひとつ塗ることすら面倒だ ...

  • チラシ

    3日ほど覗かなかっただけで、 どっさり溜まっていた。 季節の変わり目に送られてくるズシッと重い通販カタログの類、 ピザ屋、宅配寿司、塾のチラシ、スイミングスクール、 水道修理のシール、リフォームの案内、市の広報… 1階にある集合ポストの中を見ただけで うんざりした。 中身を...

  • ぬか床 ②

    随分前から、公共施設の多目的トイレに、このお知らせが貼ってありましたが、 気がついたら、いつの間にか外されていました。 … もう必要なくなったのかな? と思っていましたら、 館内にまた! ゴミ箱、加工しました (加工 自分) < お知らせ部分拡大 わたしだって、他人様のこと...

  • 廃墟の日

    叶うことなら、不食の人になり、 人気のない廃墟の陰に居を構え 忍者のように身を潜め、 目立たず、ひっそり生きるのが 望みだというのに… 朽ち果てかけているビル 裏口 毎年イヤでもやってくる『生まれた日』 というものを当事者でも無いのに何故か 覚えている友だちが2人ほどいまし...

  • 不二家ハートチョコレート

    いつ降ってきてもおかしくないような鉛色の空でした。 その頃所属していた、サークルの友だち2人と お茶を飲んでの帰り道でした。 朝から心に引っ掛かっていたことが思わず言葉になりました。 『この近くに◯◯くんのアパートがあるよね』 (同じサークルの◯◯くんです) 『あ〜そうだっ...

  • レシート

    徒歩1分にある小さなスーパーでは、週に3日ほど、 先着100名に6枚綴りの30円割引シールが配られます。 その日1日限りですが、 100円以上どの商品に貼って使っても構いません。 6枚のシールが使えるのは、その日限りなので、 使い切ってしまわないと損をするような気がして、 ...

  • 裏ワザ

    わたし 『家の中を一瞬でキレイにする技を発見した!』 どうにかして消息が知りたい場合、 何でもいいから返事が来そうな話題を探します。 息子A 『なんや?』 しめた!食いついた! 『なんや?』の文字は、脳内でパッと音声に切り替わりました。 わたし 『これや』 しばらく経ってか...

  • 近う寄れ

    青くさい高校生のガキでもあるまいに、 その人とすれ違うと心臓が高鳴る。 このマンションに入居してかれこれ25年になる。 鉛色の空から雪でも舞いそうな入居者説明会のあの日、集会室にポツンと座る、 あまりにも似過ぎるその人を見た瞬間、驚きで椅子に蹴躓きそうになった。 ところどこ...

  • 節分

    今ではほとんど消滅しましたが、 どうでもいい妙な能力?を最大限に発揮できた時期がありました。 能力? 最寄りの図書館では、ひとり10冊まで、2週間借りることができます。 家族分4枚の利用者カードを握りしめて、週末になると通う図書館。 ズラリと並ぶ本の背をジッと見つめます。 ...

  • いいね

    我ながら『しょうもない画像』が溜まっています。 何を思ったのか、恐る恐る インスタグラムというものを始めてみました。 リアルの友だちでは、成り行き上3人だけに知らせました。 見る人がいなくても構わない、 見る人がいない方が気楽かな、なんて思っていました。 わたしは、その友だ...

  • キョーガク②

    明るい日差しの下、 階段を降り、陸橋下を潜って向こう側に行こうとしました。 ん?何かあります。 看板? えっ! なんと! 一体そいつは何処にいるのか? 恐る恐る辺りを見回しましたが、何の気配もありません。 しんと静まり返っています。 不気味なほど静かです。 抜き足差し足忍び...

  • キョーガク

    そろそろ布団に入ろうと思っていたところに届いた 一通のLINE。 『腹立ちすぎて退職届叩きつけたけど受理されんかったわ。』 息子Aでした。 この子は時折、心臓をギュッと掴むようなことを仕出かしてくれます。 あれは、高校に入学して間もない頃でした。 バスも通っているのですが、...

  • バナナトースト

    えぇっとぉ〜〜〜 砂糖を煮溶かして〜 (きび砂糖しかない、まっいいか) 色がつくまで煮溶かして (色がついたかどうかよく分からん、まっいいか) なになに?色が変わったら火を止めてバターをポン! (ガス代かかるから、色がついてなくてもバターをポン!バターもったいな〜) とろ〜...

  • (税込み)1080円

    まずいな… ちょっと頭がボッーとしてきた。 どうしよう…いちいち脱ぎ着するのは面倒だし 荷物になるのも鬱陶しい、このまま館内にいよう。 その判断が間違いでした。 面倒がらず、一枚脱いで体温調節すべきでした。 雨が上がったので、徒歩15分程の図書館を訪れた時のことです。 冷た...

  • 菓子折り

    文字通り、血の気が引いた。 先程から、誰か後をつけてくる気配を感じていたので、 走って逃げたかったが、幼子2人抱えていては思うように身動きが取れない。 ましてや1人はベビーカーの上だ。 人気のない高架下の商店街で、 私を追い越したその人は くるりと振り返って、射るような目で...

  • マヨネーズ

    封を開けて、途中まではすこぶる順調です。 ある線を超えると、逆さ吊りになります。 しばらくは順調ですが、それにも限界があります。 最後はハサミを入れ、スプーンで掬ったり、竹串でほじったり 何とかして取り残しがないよう努力します。 あの話はニュースで聞いたんだろうか? それと...

  • 恨み

    『…もしかして、◯◯くん、チョコ食べたことなかった?』 下の息子が2歳の頃だったでしょうか。 その頃親しくしていた息子の友だちのお母さんに、 ほんの数時間、息子を預かってもらった時のことです。 用が済んだので、急いで引き取りに伺いましたら、 開口一番 笑っていいのか謝ったら...

  • 諸行無常

    その寺には日本一大きい木魚があります。 片手を触れるだけで過去の悪業が消滅するという木魚です。 ここ数年、その寺を訪れていなかったので、悪業が溜まりまくっているかもしれない、 一旦気にし始めたら居ても立っても居られなくなり、寒風吹き荒ぶ中、 電車を乗り継いで訪れました。 マ...

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