第2章-----(8)
その深夜だった。 眠りについたアルシュは自分を呼ぶ声を聞いた。(エラルドの王子アルシュ。鎮守神の加護を受けた聖母よ) オオオオオ……という怨嗟の念が地の底から聞こえてくる。 アルシュは罠に落ちたことを悟った。 危険。破滅。滅亡。 早く、この場から離れなければならない。 理由はわからなかったが、そんなシグナルが明滅する。 アルシュは暗闇の中でもがいた。鉛のように重い手足を動かし、絡みつく闇をかきわけ...
2024/06/27 16:07
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