過去に学ぶ
ユーラシア大陸の東南部は、大河によって流域の広闊な平野が潤され、温帯性の気候に恵まれ、農耕に勤しむ性温順な人々が舊くから暮らしていた。農耕は狩猟や牧畜・遊牧に較べ生産力が高く、この地域に富と文明をもたらした。最も富んだ実力者は民を政治的に支配し、王朝が次々に興る。この地域の北方の草原には、遊牧や狩猟を生業とする剽悍で好戦的な民族が多数蟠踞していた。大陸の北西から北東にかけて遊牧を営む幾つかの民族は、大挙して屢々南の農耕民族の生活域に侵入し、掠奪と暴行を恣にしていた。南の農耕民の生産物の収奪なしには、北遊牧民は食糧その他の生活資材に不足を来たすのである。草原を生活の基盤とする遊牧民族にとって、北に向かって耕地を拡げ、放牧地の草原を破壊し蚕食する農民は、彼らにとって不倶戴天の敵であった。定常的な遊牧民族の侵略...過去に学ぶ
2025/07/08 12:55