男らしさについて
尾崎士郎の無茶苦茶に長い小説「人生劇場」の主人公、青成瓢吉の父瓢太郎は侠客で、男というものは「無鉄砲」でなければモノにならないと考え、息子を成る可く無鉄砲な男に育てようとした。江戸の昔から「人生劇場」の時代(大正・昭和)、すなわち侠客とい云われる人たちが生きていた時代までの日本人は、「俠気」(弱く苦しんでいる者を助けようとする心)に男らしさを見出していたようだ。混同とも言える。それは武士階級の圧制の下で苦しんだ封建時代の、庶民全員の希いだったのだろう。庶民を助け権力に対抗するのは無鉄砲そのものだった。日本の庶民社会は「無鉄砲」とか「向こう見ず」を、男らしさの要件と認識していたようだ。「無鉄砲」は当て字で「無手法」が正しいらしい。日本人の「男らしさ」には、もうひとつ「潔癖性」という要件もあったようだ。作為を...男らしさについて
2024/01/29 09:22