原田ひ香『三千円の使いかた』を読む
原田ひ香著『三千円の使いかた』(2018年4月25日中央公論新社発行)を読んだ。東京・十条に住む御厨家の3代、4人の女性が主役の6編の連作短編集。20代で独身の妹・美帆、3歳の佐帆を子育て中の5歳上の姉・真帆、50代も折り返しに差し掛かった母・智子、70代の祖母・琴子が当面する「お金の問題」。タイトルは「三千円の使いかた」だが、単なるケチケチ話ではない。第1話三千円の使いかた「三千円の使いかた」というタイトルは、当時中学生の妹・御厨美帆に祖母の琴子が言った「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」という言葉から。「言葉とおりの意味だよ。三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく、ということ」と説明した。美帆は祐天寺に一人暮らしてIT関連会社に勤めて1年、それなりに...原田ひ香『三千円の使いかた』を読む
2022/10/31 05:00