まっ青な空の中をのんびり泳ぐ雲の群れ少しずつ形を変えながらみんな同じ方向に向かって同じスピードで流れていた地上が突風に見舞われていても雲の動きをしばらく観察していると上空は案外穏やかなのかもしれない風のことで思い出したけどぼくがまだ就学前の頃のこと祖父が木の柱を立ててぼくのために毎年この時期になると鯉のぼりを揚げてくれていた柱の真下から見上げると風に煽られた鯉が元気に泳ぐたび柱を括り付けた荒縄がギイギイと悲鳴のような音を立てていた悠然と泳ぐ姿は迫力があってカッコいいなと思っていたけど一所懸命に泳いでもどこにも行けないそんな鯉が少し気の毒に感じていたしもしかしたら鯉のぼりの鯉たちは空を渡って行く雲を羨ましいと思っていたかもしれないだけど家族全員が同じ方向に向かって泳ぐ姿はとても気持ちよさそう見えたそうか!泳...風の季節。