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人生は花鳥風月 https://saga135.hatenablog.jp/

自分の趣味であるギャンブルや読書、水泳、魚釣り、ゲーム、動画鑑賞等を中心に世相や人生観、様々な事を綴っています。 言ってみれば何でもありなブログです。

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2021/01/18

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  • 汐の情景 最終話

    康明からの連絡は彼の母御が亡くなってから数日が経った、通夜も葬儀も終えた後だった。何故もっと早く知らせてくれなかったのかと訝る英和。たとえそれがここ最近の経緯に依るものであろうとも納得しかねる。 でもそんな事を言っている場合でもないこの状況は英和の足を急がせた。目に映るもの、心に感じるもの全てが虚しさだけを表しているようだ。ちらほらと咲き始めた彼の大好きな紅葉にさえ何も感じない。こんな時に限って進行方向へと追い風が吹いていたのは皮肉以外のなにものでもなかった。 康明の家は当然のように静まり返っていた。喪に服す彼の様子は凄まじいまでの憂愁感を湛えていたが、それ以上に伝わって来る彼の落ち着きの無さ…

  • 汐の情景 三十話

    時刻は既に午後11時を過ぎていた。街外れにぽつんと佇むこの店の賑やかな灯りは、外から見れば都会のオアシスのような感じに映るかもしれない。 英和がこれまで飲んでいた酒の量は余り好きではなかったビールを康明に付き合ってグラス2杯、あとは自分の好きな焼酎ばかりを5杯ほどと、そこそこのものであった。 でも彼はそこまで酔ってはいなかった。言うなればほろ酔い程度のものか。それは酒に強かったのではなく、寧ろ弱い方だからこそ思う存分酩酊出来なかっただけのような気もする。彼は元々賑やかな酒の席が余り好きではなく、そういう場所に自分が不似合いな人物である事を自覚していた。それでいながら酒屋などを訪れていた理由は言…

  • 汐の情景 二十九話

    約束していた次週の水曜日、英和は喫茶店のリフォーム工事に取り掛かる。マスターから頼まれていたのは壁の一部とドアの補修であったが、それだけでは余りにも味気なく、亦補修した所が却って目立ってしまいセンスに欠くという理由で、厨房を除く三方の壁面の腰壁までの高さを新しくやり直すという提案をしたのだった。 僭越ながらも謙虚に構える英和に対し、規模が大きくならない事を条件に快く承諾してくれるマスターの心根は有難かった。 予算を気にする英和は前に見た覚えのある杉の羽目板を拝借しに、今一度康明の母御が入院する病院を訪ねた。 母御も快く承諾してくれたが、その際に一言だけ告げるのだった。 「英君、家にあるもんなん…

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