[果たして・・]一足先に隠れたモジンソプに続いて、ミエたちも身を隠す。「早く早く!何!?両サイドから来てんの?!」土手側からは高校生(ヨンミン先輩含む)、そして橋側からは高句麗中生(ベ・ホンギュ含む)。[さて・・][さてさて・・]・・という気になるところで、場面はキム・チョルの方へと転換する。 チョルは”6月15日ファン・ミエ誕生日何欲しい?”のメモを見て、目を丸くしているところだ。数秒の後、チョルは勢いよく立ち上がった。ガタッバッ!チョルはそのまま後ろの二人の方を振り返った。なんとも微妙な表情で。[彼らの運命は・・?!] あっちでもこっちでも運命の歯車が勢いよく回転する。そしてここで、もう一度時を戻すことにしよう。[ストップ!] チョルがあのメモを目にしたところでストップ。なぜチョルは、あのメモをジョ...第九十二話②
時は少しだけ戻る。ミエたちが河原近くの土手に到着した頃に。”大魔王のダチ”とちょい悪の先輩が喧嘩するならどこか、と考えた末、モ・ジンソプの勘を頼りに、三人はこの場所に辿り着いた。「この辺が高句麗中と先輩の学校の近くなんだけど・・」「多分薄暗いような場所で落ち合うよね?」 「出来るだけ鉢合わせしないとこ・・バレたくないし・・。その猿?っぽい子とだけ先に会えれば良くない?」 どこかテキトーなジンソプに、ピリピリしたミエが言い返す。 「てか場所特定して待たなきゃ意味ないって!河原ってどんだけ広いと思ってんの?!」 「つーかそんなん分かんないって!俺は平和主義だし」「ふざけないでよ!」するとそこに、ひょっこりこの人が現れたのだった。「えっと・・この辺・・じゃないかな?」「え?マジで?」突然出現した謎の少年に、ソ...第九十二話①
一方こちらはファン・ミエサイド。ここでミエたちは・・・ゴソッスッ「伏せて!」もし連中が来ても、見つからない場所に身を隠していた。「髪を触るな髪を!」「あんた頭高すぎるよ!バレるって!」「しーっ!しーっ!静かに!」ソンイの嗜めで声を潜める。シーン・・しかしそのまま数分間待っても何事もないので、今度はミエが頭を上げた。「誰も来ないんだけど」「ムカつく!だからなんで髪を触るんだよ!」「うるさい!自分の友達がどこに集まるのかも知らないなんて!役立たず!」 「しーっ!髪の毛大丈夫だよ」「嘘だっ」 「ねぇ、合ってるよね!?」 そしてミエは、隣にいる人物に話しかけた。そう、実はこの場にいるのはソンイ、ジンソプ、ミエの三人だけではない。「ここに来るので合ってるんだよね?」「お・・おそらく・・」四人目のその人物とは、ジョ・...第九十一話④
数メートル先に、パーカーを被った奴を見つけた。加速する。バッ!チョルは奴の肩に手を伸ばした。怒りで熱くなった、その指先で———・・・・! 「おいっ!この・・っ!」しかし振り向いたその人物は、ガク・テウクとは全くの別人なのだった・・!「なっ・・何でしょうか・・?」 よくよく見れば、背だって体格だって全然違う。チョルは全身全霊平謝りだ。「すみませんっ・・人違いを・・」「いえ・・はい・・いえ・・はい・・いいえ・・」 こんなはずでは・・・。燃え盛っていた怒りが、急激に冷えて行くのを感じる・・。 そしてチョルは、そのまま帰宅して自転車で塾に来た。底まで落ちたテンションは、そう簡単には上がらない。「はぁぁ・・・・」チョルは大きなため息をついて、カバンに突っ伏していた。やばいぞどうかしてる・・なんでアイツがここに...第九十一話③
チョルがいなくなった。しかも先ほど聞こえてきたあの通話・・・。「大魔王のダチがイ・インウクのこと舐めてっから、今回手ぇ貸して欲しいって頼まれたんだよ」[・・・え?][そういえばどこかで聞いたことのある名前だと・・]チラッと見ただけだが、表示された名前はどこかで知ったそれだったように思う。今セモ駅周辺にいると、メッセージを送ってきていた。「ヨンミン先輩」すると突如、以前チョルと一緒に図書館に行った時のことが思い出された。モ・ジンソプと数人が一緒にいたのを、ミエは目撃していた。[あれ?そういえば声も・・]そうだ、どこかで聞いた声だと思った。自販機で小銭を拾おうと屈んでいた時に聞いた声だった。「くそっ・・大魔王」「最近完全に良い子ちゃんだな」「わざわざ会いに行ったのに、頑固でよぉ」「てかガク・テウクぶっ飛ばしと...第九十一話②
モ・ジンソプの通話が聞こえてしまったミエは、いてもたってもいられず駆け出した。ダッ!ジンソプが慌てて追いかける。「ちょっ・・ちょいまちちょいまち!俺も今知ったとこだから!俺には関係ないことだから!ちょっと待っ・・」 ミエがチョルの元に駆けつけると、そこにはソンイしかいなかった。 ソンイもまた、すごく慌てている。「あっ二人とも!」「どうしたの?!二人も何かあったの?!」「えっ?二人もって・・チョルは?!」「チョルも私に「先に行け」って言って、急に走って行っちゃったの」「どうしたんだろう?!」急展開な事態の前で、ミエの頭に?が並ぶ。はぁはぁと肩で息をしながら、嫌な予感が胸の中に広がって行くのを感じる・・・。 <なんでここに来た?> 一方こちらは走り出したキム・チョル。まぁまぁの人通りのある歩道を、全速力で駆...第九十一話①
ファン・ミエはトイレ、モ・ジンソプは電話で場を離れたので、キム・チョルとハン・ソンイはお店の外に出て二人を待った。少し沈黙が落ちたが、やがてソンイがチョルに話し掛ける。「学校はどう?」「え?」「去年より面白い?」「ん・・」「まぁ・・ちょっとは・・」「やっぱり?そんな感じに見えるよ。良かった!」ソンイはそう言ってにっこり笑った。去年同じクラスだった時よりもずっと、チョルが楽しそうに見えたから。「ミエって面白いでしょう?だってミエといる時、すごく楽しそうだもん」去年、誰も怖がって声を掛けてこなかった中で、唯一チョルを気にしていたのはソンイだった。だからこそチョルの変化は、ソンイにはお見通しなのだ。他の人から同じことを言われたら突っぱねただろうが、チョルはソンイには素直な表情を見せた。自分自身にすら否定したその...第九十話④
ハッ白昼夢に現れたミエの残像を、チョルは頭の中で振り払う。今はファン・ミエのことを考えている状況じゃない。チョルは電話ボックスから出た。早いとこ済ませて塾に・・すると、少し離れた場所から視線を感じた。ヒソヒソと「大魔王・・」と聞こえる。それは百済中の男子だったが、通りを挟んだ反対側に高句麗中の制服を着た男女もいた。彼らもまたチョルを見て「大魔王だ」とヒソヒソする。ビクッ思わずチョルは右頬の傷を隠すように顔に手をかざし、顔を背けた。サッどこか後ろめたいような虚無感が、心の中に迫り上がる。以前も感じた事のある感情だ。あれはミエがジンソプとピアスを探しに街に出たので、隠れて二人を尾行した時のことだ。たった一人でいる時よりも、雑踏の中に一人でいる方が孤独感を感じた。自分は、幸せそうな同年代の人達とあまりにも違う。...第九十話③
ひとしきり笑った後、ジンソプが言った。「どうする?」「え?」「いやファン・ミエ、もう一回撮る?」 「せっかく払い戻ししてきたのに、そのスキに二人で撮ってんだもん。大魔王、何気にズル賢いよね〜」 「はぁ?撮らねーし・・」「どうしたい?じゃあ撮らなくてもいい?」 この場の空気が、もうプリクラは撮らなくていいという雰囲気に傾いた。ソンイが残念そうに俯く。「あ・・」「あっ!撮りたいっ!」それを阻止すべく、ミエは全力で手を挙げた。チョルが「えっ・・」と顔を青くする。「撮りたい撮りたい!また撮りたいよ!撮ろ撮ろ!」「あ、あんたはポケベル確認しに行きなよ」ミエはチョルにそう言って、ソンイとジンソプの背を押してプリクラ機の中へと入った。内情を知らないチョルには、何が何やら・・・。 再び機械にお金を入れ、三人で画面を覗き込...第九十話②
カシャッカシャッ「カメラあそこにある!」カシャッチョルの方にもたれかかるミエを、チョルはリュックを掴んでしゃんと立たせる。「ふざけるなって!」「ふざけてないし!カメラ見ろって言ってんの!」やがてチョルは、観念したように前を向いた。再びシャッターのカウントダウンが始まる。「1〜2〜」思ったより真面目なその面持ちを、思わずじっと凝視するミエ・・。カシャッカシャッカシャッ仕切り直した二人のプリクラは、なんとか成功をおさめたのだった。しかしプリクラはこれで終わりではない。 <ただ撮ればいいんじゃなかったの?>続いて画面には、いくつかのフレームが現れた。「写真のフレームを選んでね〜」 「えっ20秒以内に?ねぇどうする?!なんかいっぱいあるよ!?ハートにする?!ハートに!」 「アホかお前は!やめろ変人!」 チョルに...第九十話①
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