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青リンゴ観察日記 https://blog.goo.ne.jp/1225greenapple

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。<br>*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*<br>

Yukkanen
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2020/12/28

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  • 第九十五話②

    「あ・・・あ・・」突然現れたキム・チョルに、高校生達は動揺を隠せない。愛想笑いを浮かべながらチョルに挨拶をする。「お・・おおキム・チョル!久しぶりだな」「・・誰だ」 「え?俺だよ、覚えてないか?前に・・」  「次は誰かって聞いてんだよ。早くしろよ」 早くもブチギレているチョルを見て、ミエたち三人は息を呑んだ。ひいいっ「こねーのか?」凄みながら一歩踏み出すチョル。高校生達は口元を引き攣らせながら後ずさった。「ちょ、ちょっと待ってくれよ。なんでこんなに怒ってんだ?」「とりあえず聞いてくれよ。何か誤解してるようだけど、俺らはただこの子らとゲームしてただけなんだって! ヒョンソクがゲーセンで会ったことあっから・・顔見知りで、そのついでにただ一緒に楽しく遊ん・・」  「顔見知りじゃないですけど!!」 ジョ・ハンがす...第九十五話②

  • 第九十五話①

    バッ!ミエは一枚の写真に目を留めた。チョルの顎に乗せた自分の手の平に、鍵となる番号が見えたのだ。何度もにじんだ文字と写真の数字を見比べて、末尾は6だと確信する。ガチャッ!ピピピピピ!その番号を入力すると、音声案内に繋がった。「こちらは案内サービスです。音声録音をご希望の場合、ピーという音の後に・・・」「も、もしもし!?私だよ!ミエだよ!今ちょっと・・」ピタッそこでミエは口を噤んだ。喉まで出かかっているSOSを、チョルのことを思って押し留める。「えーっと・・ねぇ、今あんたどこにいる?」「あの・・なんで急に一人でいなくなっちゃったの?全く不思議ちゃんなんだから!だからポケベルに初連絡してみたの!あはっ」 「えっと・・私今塾の近くにいるんだ。もうすぐ着くよ。 分かるかな?あんたが前に行くなって言った・・。 あ、...第九十五話①

  • 第九十四話⑤

    ミエの最大のピンチに、チョルが駆けつけた。しかしなぜチョルにこの場所が分かったのだろうか?その理由は、数十分前に遡る。 ・・・・・・・・・・・・・・・・路地裏に身を潜めているミエ達。ホンギュがジョハンに、塾への道筋を説明しているところだった。「あの後ろ曲がってもまだ道があって」「うんうん」「あそこさえ通れたらすぐ塾だから」  ミエは、電話ボックス内で手のひらに書かれた判読不明な文字を睨んでいた。 「これは完全に詰んだわ・・」 「完全に消えてるのもあるし・・6・・8?」あ、でも前半は結構わかるかも・・ミエはまるで暗号解読士のように、滲んだその数字を読もうと試みていた。この数字さえわかれば、チョルに連絡ができる。 残りの痕跡で大体分かるような気もするんだけど・・  問題はこの完全に消えてる部分・・書いてもらっ...第九十四話⑤

  • 第九十四話④

    とうとう捕まってしまった中坊達。高校生らに囲まれて、ミエ達三人は連行された。ジョハンは青ざめながら思った。こ・・こんなことに・・もうちょっとなのに・・。もうちょっとだったのに・・!塾はもう目と鼻の先だったのに、運悪く捕まってしまったことを嘆いた。高校生達はニヤニヤと笑いながら言った。「お前ら暴れっぱなしだけど、お互いが無事にいられるかは気にしねーの? 笑えよ、笑えってば〜」 「俺らがいじめてるように見えんだろ〜?」 ミエは近くに助けを求めようと辺りを見回したが、警察はおろか大人の一人もいない。ホンギュも奥歯を噛み締めるのみだった。やがて彼らはゲームセンターに着いた。目の前にはパンチングマシーンがある。「さぁ始めますかぁ〜」「さっき言ったろ?3対3で勝てば逃してやるって!」バキッ!ゲーセン男がそれを殴ると、...第九十四話④

  • 第九十四話③

    ミエが読めない手のひらの番号に首を捻っている時、チョルはまだ街中にいた。コ・テグァンがその隣に立つ。「塾にはすっかり遅刻ですぞ」「あぁ、うん・・ありが・・」「だがおかげで小生もささやかなプレゼントを買うことができた」 「あ!」「早く行こう。バスが来た」そう言って駆け足になるチョル。カバンの中に入った飛行機が、カチャカチャと鳴る。真っ青に晴れた空に、街中の音楽が吸い込まれていく。コ・テグァンは、空を見上げながらポツリと呟いた。「ふぅむ・・誰かが呼ぶ声が聞こえる・・」ミエの叫びは、チョルではなくコ・テグァンの方に届いていたらしかった・・・。  <強いフリをしてみても>当のミエは、警察に電話しても取り合ってもらえなかった不条理を正に今嘆いていた。「てか何でずっとイタズラ電話だって言われんの?!一体誰が何を知って...第九十四話③

  • 第九十四話②

    その頃のミエたちは・・・。「うわああああ〜〜〜!」絶賛非常事態継続中である。「おい待てっ!」「コラァ!中坊ども!」「逃げろっ!」「うわああ!」必死に走りながら、狭い路地へと逃げ込んだ。そこで足がもつれたミエは、派手に転んでしまう。「あっ!」「きゃっ!」「こっちだ!捕まえろ!」絶体絶命の大ピンチ。もうダメだ、と思ったその時!「起きろっ!」ふわっと体が持ち上がった。ミエはホンギュとジョ・ハンに支えられながら、なんとか再び走り出した。「待てーっ!高句麗!百済!新羅ーっ!」[早く走れっ!中坊たち〜!]違う中学の三人が、手を取り合って必死に走った。がんばれ、中坊たち!  <黒騎士チャンス>結果、ミエたち三人は高校生を巻くことに成功した。高校生たちは、路地を一つ一つ、ゆっくりとした速度で歩きながらミエたちを探す。「あ...第九十四話②

  • 第九十四話①

    <非常事態>ミエたちは言わずもがな非常事態だが、この人もまたそうであった。これは数時間前のチョル。ガク・テウクだと確信した人物を追いかけて、ようやく捕まえたと思ったのに・・・。結局勘違いの人違いで、チョルはペコペコと謝り倒した。相手はチョルのことを非常に怖がって、ダッシュで逃げていってしまった。申し訳ないやら恥ずかしいやら虚しいやらで、言葉もない・・。「・・・・・」顔を上げたチョルの目に、街の風景が映る。ふと、置いてきた三人のことが気にかかった。しかし今更合流する気にもなれなかった。「どこ行くの〜?」と聞いてくるミエの姿が浮かんだけれども。まぁ・・もう行っただろ・・はぁ・・・・上がった息が戻るにつれて、感情より理性が強まるにつれて、心が重たく凭れるようだ。ガク・テウクとか・・いいやもう・・塾行かな・・ ホ...第九十四話①

  • 第九十三話④

    ホンギュは、地面に倒れている奴に掴みかかった。高速でパンチを繰り出す。「嘘かよ!マジでガク・テウクはいねーのか?!!」「騙されやがってよ、そもそもあいつと連絡取れるやつなんて誰もいねーよ。つーか鍛えたところでお前が勝てるわけなくね?」 太々しい態度の男に、ホンギュの堪忍袋の緒が切れた。 「あんだと!?」 「じゃあ試してみてやんよ!!」 パンチは男の頬にクリティカルヒット!「ぐっ・・おい、捕まえろっ!」「離せこの野郎!」「ぐあっ」一斉に飛びかかられたホンギュを目の当たりにして、ジョ・ハンも飛び出した。男の一人にタックルする。「うわああああああ!」これにはホンギュもビックリだ。「こいつらまとめて殺す!!」その瞬間、ホンギュとジョ・ハンはアイコンタクトを交わした。まるで相棒のように。「かかってこいっ!!」そこか...第九十三話④

  • 第九十三話③

    突然の出来事に固まるホンギュ。彼が居る橋の下にいるミエもまた、口をあんぐりと開けて固まっていた。やがて、ゆっくりとホンギュの方を窺う。橋の反対側に、高校生たちも立ち止まっていた。彼らも顔を見合わせている。出遅れたモ・ジンソプは、一人青ざめてキョロキョロと周りを見回していた。「な、なんだ?!どうした?!」ネタバラシをされた男は、ネタバラシをした人物と仲間を交互に見た。橋の下にいるジョ・ハンのことだ。ジョ・ハンは大声でこれは罠だと言っていた。ガク・テウクは来ないのだ、と。バキッ!!全ての事情を把握したホンギュが、奴に蹴りを入れた。そのままくるっと方向を変える。「何してんだ!」「逃げろっ!」橋の下にいる、ミエとジョ・ハンにそう叫んだ。「ぐっ・・・」「ウワァァ!!」走るホンギュ、それを追う同級生達、橋の下で戸惑う...第九十三話③

  • 第九十三話②

    てっきり逃げたかと思われたファン・ミエがまだ居たことに、ホンギュはもうわけが分からなかった。何お前??なんなん??ミエもミエで、ジェスチャーを送り続ける。ダメダメ!ダメだったら!とにかく「ダメ」のサインを送り続けるミエ。やはりホンギュにはいまいち伝わっていない。けれどミエは表現を変えて、メッセージを伝えようと頑張る。「うー!」マジでなんなん・・とホンギュは引き気味だ。「おいとにかく帰れ!危ないから早く!」とうとうそういうジェスチャーを残して、ホンギュは進み出してしまった。[あーダメー!!]ミエ、大ピンチ! <ドタバタ劇場>「あー!ダメだったら!どうしよう!どうすればっ」高架下にいる三人の方を見ても、解決策は浮かばない。ここにいるだけでは、ホンギュを止めることは出来ないのだ・・!ミエは視線でこのようなメッセ...第九十三話②

  • 第九十三話①

    時は少し戻り、まだホンギュ一行がこちらに来る前。ジンソプはただ隠れていただけではなかった。やむを得ず、警察に電話しているのだ。プルルル、とコール音が聴こえる。ジョ・ハンは手を合わせながら、ずっと何かをぶつぶつ言っている。「あの、もしもし、警察ですか?」「ジンソプ君どうしたの?」「シーッ」 「今セモ川にいるんですけど・・」ソワソワ・・「はい、そうです。橋があって・・集団での喧嘩がちょっと・・いや僕らじゃなくて・・。・・ってかちょっと静かにしてくれよ!ミエの友達くんよ!」いまいち集中できない状況で、ジンソプは必死に説明した。しかし電話先の警察はどこか懐疑的なようだ。「いや違います、イタズラ電話じゃないです!え?さっき同じ通報があって何事もなかった?いや、それは僕は知らないですけど・・ はい?僕は学生じゃないで...第九十三話①

  • 第九十二話④

    一行は”ガク・テウクとの待ち合わせ”の場所へと向かっていた。かつて取り巻きだった奴らは、ニヤニヤと笑っている。後方からついていくホンギュが、念を押して確認する。「ガク・テウクは来るんだろうな?」奴らはギクッとした後、取り繕うように言った。「当たり前だろこのクソが!」「来なかったら死ぬことになるからな?」「嘘言うわけないだろ?!お前が殴られるの見たくて来てんだ。 ガク・テウクが、お前がちょっと変わったって聞いて、気になって確認したいんだとよ!」 「は?ふざけんな」「早くついてこい!」 ホンギュは余裕そうに振る舞っていたが、実は汗が止まらなかった。心拍数がとんでもなく速い。握る拳に力が入った。あと数十分もすれば、この手でテウクを殴れるのだ。いよいよだ・・!奴らが、「お前今日誕生日なんだって?最高じゃん誕生日に...第九十二話④

  • 第九十二話③

    ”6月15日ファン・ミエの誕生日何が欲しい?”のメモを見て、ベ・ホンギュはしばし固まった。すると次の瞬間、ガチャッとドアが開いてチョルが顔を出す。「おい、ホンギュも飲み物いる?」「や!俺はいいや!」そう言って手を引っ込めた拍子に、丸めたメモがどこかへ飛んで行った。「なんか落としたぞ?」「え?だな!拾うわ!チョルは早く行ってこいよ!」「あぁ」 パタン ドアが閉まると同時に、ホンギュはメモが飛んで行った辺りを探し回った。 「おい、なんだよどこいった?!どこ入っちまったんだ?!」 机の下、段ボールの隙間、思い当たる場所は全て見てみたのに、メモは忽然と姿を消した。「こんなことある?!摩訶不思議かよ!・・じゃなくて!」・・てことは何? じゃあ豆子と俺の誕生日パーティーを一緒にやろうと思って、提案してるってこと?チョ...第九十二話③

  • 第九十二話②

    [果たして・・]一足先に隠れたモジンソプに続いて、ミエたちも身を隠す。「早く早く!何!?両サイドから来てんの?!」土手側からは高校生(ヨンミン先輩含む)、そして橋側からは高句麗中生(ベ・ホンギュ含む)。[さて・・][さてさて・・]・・という気になるところで、場面はキム・チョルの方へと転換する。  チョルは”6月15日ファン・ミエ誕生日何欲しい?”のメモを見て、目を丸くしているところだ。数秒の後、チョルは勢いよく立ち上がった。ガタッバッ!チョルはそのまま後ろの二人の方を振り返った。なんとも微妙な表情で。[彼らの運命は・・?!] あっちでもこっちでも運命の歯車が勢いよく回転する。そしてここで、もう一度時を戻すことにしよう。[ストップ!] チョルがあのメモを目にしたところでストップ。なぜチョルは、あのメモをジョ...第九十二話②

  • 第九十二話①

    時は少しだけ戻る。ミエたちが河原近くの土手に到着した頃に。”大魔王のダチ”とちょい悪の先輩が喧嘩するならどこか、と考えた末、モ・ジンソプの勘を頼りに、三人はこの場所に辿り着いた。「この辺が高句麗中と先輩の学校の近くなんだけど・・」「多分薄暗いような場所で落ち合うよね?」 「出来るだけ鉢合わせしないとこ・・バレたくないし・・。その猿?っぽい子とだけ先に会えれば良くない?」 どこかテキトーなジンソプに、ピリピリしたミエが言い返す。 「てか場所特定して待たなきゃ意味ないって!河原ってどんだけ広いと思ってんの?!」  「つーかそんなん分かんないって!俺は平和主義だし」「ふざけないでよ!」するとそこに、ひょっこりこの人が現れたのだった。「えっと・・この辺・・じゃないかな?」「え?マジで?」突然出現した謎の少年に、ソ...第九十二話①

  • 第九十一話④

    一方こちらはファン・ミエサイド。ここでミエたちは・・・ゴソッスッ「伏せて!」もし連中が来ても、見つからない場所に身を隠していた。「髪を触るな髪を!」「あんた頭高すぎるよ!バレるって!」「しーっ!しーっ!静かに!」ソンイの嗜めで声を潜める。シーン・・しかしそのまま数分間待っても何事もないので、今度はミエが頭を上げた。「誰も来ないんだけど」「ムカつく!だからなんで髪を触るんだよ!」「うるさい!自分の友達がどこに集まるのかも知らないなんて!役立たず!」 「しーっ!髪の毛大丈夫だよ」「嘘だっ」 「ねぇ、合ってるよね!?」 そしてミエは、隣にいる人物に話しかけた。そう、実はこの場にいるのはソンイ、ジンソプ、ミエの三人だけではない。「ここに来るので合ってるんだよね?」「お・・おそらく・・」四人目のその人物とは、ジョ・...第九十一話④

  • 第九十一話③

    数メートル先に、パーカーを被った奴を見つけた。加速する。バッ!チョルは奴の肩に手を伸ばした。怒りで熱くなった、その指先で———・・・・! 「おいっ!この・・っ!」しかし振り向いたその人物は、ガク・テウクとは全くの別人なのだった・・!「なっ・・何でしょうか・・?」 よくよく見れば、背だって体格だって全然違う。チョルは全身全霊平謝りだ。「すみませんっ・・人違いを・・」「いえ・・はい・・いえ・・はい・・いいえ・・」 こんなはずでは・・・。燃え盛っていた怒りが、急激に冷えて行くのを感じる・・。    そしてチョルは、そのまま帰宅して自転車で塾に来た。底まで落ちたテンションは、そう簡単には上がらない。「はぁぁ・・・・」チョルは大きなため息をついて、カバンに突っ伏していた。やばいぞどうかしてる・・なんでアイツがここに...第九十一話③

  • 第九十一話②

    チョルがいなくなった。しかも先ほど聞こえてきたあの通話・・・。「大魔王のダチがイ・インウクのこと舐めてっから、今回手ぇ貸して欲しいって頼まれたんだよ」[・・・え?][そういえばどこかで聞いたことのある名前だと・・]チラッと見ただけだが、表示された名前はどこかで知ったそれだったように思う。今セモ駅周辺にいると、メッセージを送ってきていた。「ヨンミン先輩」すると突如、以前チョルと一緒に図書館に行った時のことが思い出された。モ・ジンソプと数人が一緒にいたのを、ミエは目撃していた。[あれ?そういえば声も・・]そうだ、どこかで聞いた声だと思った。自販機で小銭を拾おうと屈んでいた時に聞いた声だった。「くそっ・・大魔王」「最近完全に良い子ちゃんだな」「わざわざ会いに行ったのに、頑固でよぉ」「てかガク・テウクぶっ飛ばしと...第九十一話②

  • 第九十一話①

    モ・ジンソプの通話が聞こえてしまったミエは、いてもたってもいられず駆け出した。ダッ!ジンソプが慌てて追いかける。「ちょっ・・ちょいまちちょいまち!俺も今知ったとこだから!俺には関係ないことだから!ちょっと待っ・・」  ミエがチョルの元に駆けつけると、そこにはソンイしかいなかった。 ソンイもまた、すごく慌てている。「あっ二人とも!」「どうしたの?!二人も何かあったの?!」「えっ?二人もって・・チョルは?!」「チョルも私に「先に行け」って言って、急に走って行っちゃったの」「どうしたんだろう?!」急展開な事態の前で、ミエの頭に?が並ぶ。はぁはぁと肩で息をしながら、嫌な予感が胸の中に広がって行くのを感じる・・・。 <なんでここに来た?> 一方こちらは走り出したキム・チョル。まぁまぁの人通りのある歩道を、全速力で駆...第九十一話①

  • 第九十話④

    ファン・ミエはトイレ、モ・ジンソプは電話で場を離れたので、キム・チョルとハン・ソンイはお店の外に出て二人を待った。少し沈黙が落ちたが、やがてソンイがチョルに話し掛ける。「学校はどう?」「え?」「去年より面白い?」「ん・・」「まぁ・・ちょっとは・・」「やっぱり?そんな感じに見えるよ。良かった!」ソンイはそう言ってにっこり笑った。去年同じクラスだった時よりもずっと、チョルが楽しそうに見えたから。「ミエって面白いでしょう?だってミエといる時、すごく楽しそうだもん」去年、誰も怖がって声を掛けてこなかった中で、唯一チョルを気にしていたのはソンイだった。だからこそチョルの変化は、ソンイにはお見通しなのだ。他の人から同じことを言われたら突っぱねただろうが、チョルはソンイには素直な表情を見せた。自分自身にすら否定したその...第九十話④

  • 第九十話③

    ハッ白昼夢に現れたミエの残像を、チョルは頭の中で振り払う。今はファン・ミエのことを考えている状況じゃない。チョルは電話ボックスから出た。早いとこ済ませて塾に・・すると、少し離れた場所から視線を感じた。ヒソヒソと「大魔王・・」と聞こえる。それは百済中の男子だったが、通りを挟んだ反対側に高句麗中の制服を着た男女もいた。彼らもまたチョルを見て「大魔王だ」とヒソヒソする。ビクッ思わずチョルは右頬の傷を隠すように顔に手をかざし、顔を背けた。サッどこか後ろめたいような虚無感が、心の中に迫り上がる。以前も感じた事のある感情だ。あれはミエがジンソプとピアスを探しに街に出たので、隠れて二人を尾行した時のことだ。たった一人でいる時よりも、雑踏の中に一人でいる方が孤独感を感じた。自分は、幸せそうな同年代の人達とあまりにも違う。...第九十話③

  • 第九十話②

    ひとしきり笑った後、ジンソプが言った。「どうする?」「え?」「いやファン・ミエ、もう一回撮る?」 「せっかく払い戻ししてきたのに、そのスキに二人で撮ってんだもん。大魔王、何気にズル賢いよね〜」 「はぁ?撮らねーし・・」「どうしたい?じゃあ撮らなくてもいい?」 この場の空気が、もうプリクラは撮らなくていいという雰囲気に傾いた。ソンイが残念そうに俯く。「あ・・」「あっ!撮りたいっ!」それを阻止すべく、ミエは全力で手を挙げた。チョルが「えっ・・」と顔を青くする。「撮りたい撮りたい!また撮りたいよ!撮ろ撮ろ!」「あ、あんたはポケベル確認しに行きなよ」ミエはチョルにそう言って、ソンイとジンソプの背を押してプリクラ機の中へと入った。内情を知らないチョルには、何が何やら・・・。 再び機械にお金を入れ、三人で画面を覗き込...第九十話②

  • 第九十話①

    カシャッカシャッ「カメラあそこにある!」カシャッチョルの方にもたれかかるミエを、チョルはリュックを掴んでしゃんと立たせる。「ふざけるなって!」「ふざけてないし!カメラ見ろって言ってんの!」やがてチョルは、観念したように前を向いた。再びシャッターのカウントダウンが始まる。「1〜2〜」思ったより真面目なその面持ちを、思わずじっと凝視するミエ・・。カシャッカシャッカシャッ仕切り直した二人のプリクラは、なんとか成功をおさめたのだった。しかしプリクラはこれで終わりではない。 <ただ撮ればいいんじゃなかったの?>続いて画面には、いくつかのフレームが現れた。「写真のフレームを選んでね〜」 「えっ20秒以内に?ねぇどうする?!なんかいっぱいあるよ!?ハートにする?!ハートに!」 「アホかお前は!やめろ変人!」  チョルに...第九十話①

  • 第八十九話⑤

    ミエの人生初プリクラの出来はというと・・・・。ハジメテノ・・・プリクラ・・大暴れした誰かさんのせいで、全ての写真がブレていた。誰かさんは後ろめたそうに、壁の方を向いている。「あっちゃー何これ」「ミエ、魂完全に抜けちゃってる」「キングコングが暴れたからなぁ〜」「もう一回撮れば・・」 「い・・嫌・・!」 ソンイの言葉にすぐそう反応しかけたチョルであったが、目を点にしたままのミエの姿を見て、その先の言葉を飲み込む。「わ・・わかったよ!撮ればいいんだろ撮れば!」[ミエ、この子撮るってよ]<これどうなっちゃったの?>なんとか希望は繋がって、四人はもう一度プリクラを撮り直すことになった。しかし小銭を入れようとした矢先、機械が不具合を起こした。「あれ?これどうなったの?」「あー硬貨吸い込まれちゃったかな、この機械どこの...第八十九話⑤

  • 第八十九話④

    セモ駅前のバス停で降りた三人。街は若者で賑わっていた。ジンソプとミエはチョルに言われるがまま、目的の場所へ連れられて行くと・・・。「遅刻かと思ったけど、私の方が早かったね!けど会えて良かった!」そこに居たのはハン・ソンイだった。以前ソンイと問題集を一緒に選びに行くという約束をしていたことを、すっかり忘れていたジンソプ・・・。 「けどどうしてミエには伝えてなかったの?びっくりしたでしょう?」「ううん!大丈夫だよ!てかあの人たちにほとほとむかついてたし!」チョルがボソッとリマインドする。「四人で遊ぼうって言ってたろ?」「いや・・今日は・・デー・・」 ジンソプがそう口にしようとした時、ソンイが振り返った。ジンソプを見て、嬉しそうに笑う。今日はミエとのデートだから、と断れる空気では既になかった。この男、空気を読む...第八十九話④

  • 第八十九話③

    モ・ジンソプが心の中でメラメラと炎を燃やしているとは露知らず、ミエはチョルに何度もポケベルの番号を教えてとせがんでいた。根負けしたチョルが、とうとう首を縦に振る。ゴソゴソ「はいペン!」「早くして!もう降りなきゃだから!」ミエはそう言って手の平を差し出した。チョルは呆れたようにペンのキャップを外す。「また変なことを・・」「あはは!くすぐったー」「揺れる。じっとしてろ」バスの振動で震える文字が、ミエの手の平に踊る。「念の為もう一回言うけど、普段つけもしねーんだぞ?」「読みにくいなら後で・・・」気乗りしないチョルとは裏腹に、ミエは終始嬉しそうだった。二人を繋ぐその数字を、誇らしげにチョルに見せる。「ほらっ!もう逃げらんないからねっ!」まるで恋する乙女の笑顔のミエ。ジンソプの恋愛アンテナが反応した。もちろんチョル...第八十九話③

  • 第八十九話②

    突然ではあるがここで、モ・ジンソプの人生を振り返る。 [モ・ジンソプ16歳] [イケメン] [思ったより中途半端な人生]  [顔は良いけど勉強はできなくて] [人気はあるけど恋愛は上手くいかない] [フィジカルもいいけど、選手になるほどじゃないし] [家はまぁまぁ平凡で] 「母さんただいま〜」「おかえりー」「ばあちゃんただいま」 「兄ちゃんおかえり!」「ただいま〜」 [友達は常にいっぱいいるけど、なんか変な奴らばっかり]  優れた容姿を持って生まれた割に、ジンソプの人生は案外平凡であった。 携帯のアドレスに入った連絡先は星の数ほどあるが、全てが指先でスクロールされていく。 女の子にまとわりつかれながら、ジンソプは見慣れないアドレスから送られたメールに目を通した。 あ〜なんかノリで番号交換しちゃった子ね。テ...第八十九話②

  • 第八十九話①

    ジンソプの挑発で、今やチョルのイライラは爆発寸前である。ハラハラするミエであったが、ジンソプは想定内とばかりにミエの背中を突いてこう言う。「ね?分かったでしょ?」場の空気を乱してまでそんなことをしていたジンソプに、半ば呆れたようなミエ。けれどジンソプは、先ほどのチョルの反応で二人の関係を確信していた。この二人・・確実に・・その心情がミエにも移る。ミエはごくりと唾を飲み込み、チョルの方を窺った。するとまたバスが急ブレーキを踏んだ。キキッ!ふわっ衝撃で足が浮き、ミエは転びかかった。チョルの左手が、瞬時にミエの襟首を掴む。ガシッ!そしてミエの左手も、チョルの(ダブダブの)ズボンを掴んだ。・・・・・。顔を見合わせた二人は、同時に互いへの罵声を口にした。モ・ジンソプは居た堪れずに手で顔を隠して俯く・・・。「この変人...第八十九話①

  • 第八十八話④

    揺れるバスに乗りながら、ミエの心情も揺れ動いていた。なぜ今ここにキム・チョルがいるのか、自分なりに解釈する。思い出すのは、以前ジンソプとピアスを探しに街に出た時のことだ。ジンソプにいじめられていると勘違いしたチョルが、変装して後をつけてきた時の。[この前は誤解があってああしてたとしても][今回は・・なんで?]チラッと見上げたキム・チョルは、やがてミエの視線に気づいたが、すぐに目を逸らしてしまった。ピキ・・心の奥底で燻っていたチョルへの苛つきに、また火がつくような気持ちがする。あんたマジでわがまま野郎だよね?!ふふふ・・・と低い声で笑うミエの隣で、ジンソプもまた笑いを漏らしていた。「ふふふ・・・・」ジンソプは頸動脈をキメたチョルへの苛立ちも手伝って、イケメン攻撃を仕掛けることにした。「ねぇミエ、ちょっと俺の...第八十八話④

  • 第八十八話③

    終礼のチャイムが鳴る。ミエはユンヒらと共に廊下に出た。結局チョルからのアクションは何もないままだ。ミエの方を振り返りもせず、チョルは遠ざかって行く。そしてミエは気乗りしないまま、”約束”のためにモ・ジンソプの元へと向かったのだった。 「何なん〜?」「なに屠殺場に連れてこられた牛みたいな顔してんの?そっちが勝手に今日って決めといてさぁ」不満そうなモ・ジンソプと、不本意を顔に出したミエは二人ともアンハッピーである。「あ・・いい・・いや・・・」「いいのか嫌なのかハッキリしなよ」「俺このせいで今日の約束キャンセルしたんですけどー?」 ミエは自虐的な気持ちで口を開く。「違うんだ・・・ちょっと聞いてよ・・チョル・・じゃなくてキムがさ、デートも何も、別に私になんて興味ないからさ・・。 こんなん、あんたにとっても時間の無...第八十八話③

  • 第八十八話②

    モヤモヤが加速したミエは、とりあえず9組へと走った。チョルの鬱モードは、この人物と関わってから発動したと思われるので。「ちょっと!」「ねぇ!二人で何の話してたの?!」「いや、ミエが急に今日出かけるって言うからさ、俺が機転利かせてフォローしたんじゃん」 「”なんでお前が割り込んでくんの?消えろ”って言って・・」モ・ジンソプのその対処で、チョルは鬱モードに・・?ミエの飛び蹴りが炸裂した・・。「このアホっ・・アホやろう〜!!!」「いや〜冗談冗談」冗談だろうがフォローであろうが、それっきりチョルがミエに近づかなくなってしまったのは事実だった。「ミエ、誕生日なんだって?おめでとー」「ミエおめでとう!昼休みに女子たちで一緒にさぁ・・」さすがに誕生日当日とだけあって、すれ違う女子たちがおめでとうを言ってくれるが、その場...第八十八話②

  • 第八十八話①

    事態は混沌を極めていた。それはミエにとってもそうだし、周りの人間達にとってもそうだった。ただでさえ目立つデカイ男が二人と、それに挟まれる小さい女・・・。ミエは目を丸くしたまま、小さく声を出す。「あ・・・」「ねぇ・・あんた・・何してんの?」チョルは平然とし、前を向いたまま答えた。「は?何って何が?」「だって・・急に一緒に市内行きのバスに・・」「ホンギュの誕プレ買いに行くんだけど?」あ・・ミエは納得しながらも、面白くないのでジトッとチョルを睨む。あ〜そうですよね〜あの猿の誕生日ですもんね〜 ふっそんなミエを見て、ジンソプはニヤリと笑った。ヒソヒソ声でミエに耳打ちする。「ほらね?言った通りだったでしょ?」「ちょ・・そ・・ちょっと静かに・・」すると、バスが急ブレーキをかけた。よろけたジンソプが、ミエの方に倒れる。...第八十八話①

  • 第八十七話④

    ”お前わざとやってんだろ?”チョルの前から逃げたミエに、チョルは筆談を書いてミエに寄越した。しかしミエは手刀でそれを遮る。完全拒絶され、白目になるチョル・・。そして授業が終わると、チャイムが鳴り次第ミエは一瞬でいなくなった。土煙が上がるほどのダッシュで。「・・・・・」チョルのイライラが募る。けれどミエもまた、気まずさを感じながら彼を避けているのだ。その暗雲漂うムードは、ミエを中心にユンヒたちを取り巻く。ユンヒらは、今日はミエの誕生日だというのに、なんのアクションも起こさないチョルに怒っているのだ。ユンヒがチョルに聞こえるようにこう言った。「ミエ〜、あんた今日はイケメンとデート・・」ドドドド!!チョルは人目も憚らずに、ミエの方にダッシュしてきた。ミエやユンヒたちは叫び声を上げながら、大魔王から逃げまくる・・...第八十七話④

  • 第八十七話③

    朝、まだ早い時間帯にチョルとミエは向かい合っていた。突然現れたチョルに、ミエは驚きを隠せない。「え・・?」「な・・何?てかなんでこんな朝早く来てんの?週番でもないのに・・」もっともなツッコミをされ、幾分緊張するチョル。どもりながら言葉を紡ぐ。「あ・・そ・・その・・」ミエの方にもその緊張が伝わってくる。「え?その?・・その何?」「そ・・」「そ?」チョルは吹っ切れたかのように顔を上げると、そのままズンズンとミエの方に向かってきた。「それ、俺が持ってやるよ、ほら」「え?いや別にいいよ!」「一人で持てるし!そんな重くないし!こんなのなんでもな〜い」ミエはそう言って、小走りで走った。顔が燃えるように熱い。なんでもない・・なんでもないのに・・!今は顔合わすのも・・しかしそうは問屋が下ろさなかった。チョルは大魔王オーラ...第八十七話③

  • 第八十七話②

    [そして誕生日当日]の、朝。見覚えのあるこのミエ・・笑第八十二話ぶりに出てきたこのミエ。キス事件の時に傷ついた、上唇をめくる。ミエの脳裏に、Sクラスの面々から言われたことが思い浮かんだ。「鼻くそ!豆!」「クソガキみたいに駄々こねれば思い通りになるとでも思ってんの」「ファン・ミエのこと妹とでも思ってんの?」チョルにとって自分は、やはり「豆でありクソガキであり妹」なのだろうか・・?モ・ジンソプが言う通り、「まだ恋愛するには幼すぎる」のだろうか・・?もう一度、まじまじと鏡を見つめてみる。こんな子供のような自分でも、偶然とはいえ、男子とキスまでしたのだから・・ ミエは自分のその顔に耐えられず、まだ大分早いが学校へと向かった。  ドサッしん・・・全てにイライラするお年頃。[16歳のファン・ミエにとって、この気持ちを...第八十七話②

  • 第八十七話①

    [1999年6月の、とある日——]遠い宇宙の片隅にある星、地球のそのまた片隅で、キム・チョルはここ数日の出来事を反芻していた。[ただ・・] [ビデオを観ようとしただけなのに][大きなアクシデントを起こしてしまった]この”キス事件”が起こった[初日]のチョルは、こんな感じだった。あの衝撃の瞬間は、このようなイメージだ。ガチッ!あの衝撃の出来事に、一応名前があるということも知っていた。チョルは改めて、心の中で叫ぶ。キス?![ファン・ミエと・・]しかも相手があの子供のようなファン・ミエ・・[俺が?]じわじわと、その影響の大きさがチョルを覆った。[いやちょっと、ちょっと待て][だから俺が・・俺が・・本当に・・] [ファン・ミエと???]チョルの脳裏に浮かぶファンミエは、どう見ても小学生——・・!恐ろしい子・・!チ...第八十七話①

  • 第八十六話③

    立ち上がったミエの心の中は、得も言われぬ感情で渦巻いていた。顔がみるみる赤くなり、小刻みに震えている。[あ・・!]そんなミエを見て、目を丸くしているのはキム・チョルである。先ほどまでとあまりにも違うミエの態度に、ただただ面を食らわす。ハッふと周りを見ると、Sクラスの面々が皆こっちを見ていた。少し我に返るミエ。しかし胸中の複雑さは増していくばかり。[何だ]「あ〜ああ〜そうだったんだ〜」 「明日?どうだろ?お菓子とか色々買ってくの?私お金ないんだけど」「え?そういうのは別に・・」「あの・・その・・だから・・私明日は・・その・・なんだっけな・・そう!約束!約束があるの!」 「は?約束?約束って?行けるって言ったじゃねーかよ・・」 ミエは動揺で回らなくなっている頭をフル回転させた。「あ・・だから・・モ・・・」「え...第八十六話③

  • 第八十六話②

    願いが叶うという飛行機を見た後、チョルに会えた。後ろに倒れそうになるミエを、チョルが支える。「前からやってるそれ、一体何なんだ?なんで飛行機ばっか見てんだよ」「・・じゃなくて」チョルはそう言って居住まいを正した。周りを見るとみんながこちらを見てクスクスと笑っている。チョルは若干小さめの声でミエに話し掛ける。「・・お前」「もし・・」来る!とミエは目を見開いた。「明日時間あるなら・・・」「あるっ!」「あるっ!あるよっ」キラキラした瞳でそう言うミエに、チョルは少し面食らう・・。 <えっ?何だって?> 「あ・・」「そうか・・よかった」ゆっくりと話すチョルから目が離せないミエ。心臓がドクドクと大きく脈を打つ。「それじゃあ・・」なに?なになに?なんで緊張してるの?緊張しているのは自分かチョルか、境目が曖昧になってくる...第八十六話②

  • 第八十六話①

    「おいチョル!先生が呼んでっぞ!」チョルとミエの空間に突然入り込んできたベ・ホンギュ。ミエは思わずホンギュを睨んだ。あ・・チョルは若干拍子抜けをしたような気持ちで、ミエに背を向ける。とりあえず、ここはホンギュについて行くのが先決だ。「行くぞ」[えっ・・・]ミエは戸惑ったが、また次のタイミングがあるだろうとも思っていた。しかし全授業が終わるまで、そのタイミングはやってこなかった・・もとい、ホンギュが徹底的に阻止していた。「なぁ、見せたいもんあんだよ!」「おい!ちょっと手伝ってくれよ!」「一緒にいかなきゃなんだって!すぐすぐ!」「あ・・」[えっ・・]えええ?? 疑問符の後に、沸々とした怒りが湧いてきた。ミエは授業が終わった頃合いを見計らって、ベホンギュを非常階段横に呼び出す。 ダンッ!「うおっ・・びっくり・・...第八十六話①

  • 第八十五話④

    ミエはプリプリと怒りながら、ジョン・ソラを探した。もう我慢できない!いつ私が駄々こねた?! 自分は物騒なことベラベラ言うくせに・・  そして非常階段を降りようとしたその時、あの三人組がいるのに気がついた。 ミエは気付かれないようにそっと彼らを覗いた。 会話の端々が漏れ聞こえる。 「じゃあ明日・・」「誕生日・・」「プレゼントは・・」 「好きなもの・・」「あーいらねぇって」  「ファン・ミエは・・・」  え?  チョルの口から自分の名前が出たのを聞いて、少し身を乗り出すミエ。 ホンギュは面白くなさそうに会話を遮った。 「あの豆の話はやめろって!つーか今日サッカーすんの?しねーの?」  「するよ」  フン  チラッ・・ 「・・・」  ミエはホンギュのことをじっと見ていた。 「誕生日祝い」に対して、気まずそうにす...第八十五話④

  • 第八十五話③

    「とりあえず俺とデートしよっか?」モ・ジンソプと別れた後も、その言葉がずっとミエの脳裏を回っている。元幼稚園バスの面影が残る塾のワゴンに乗っている今も尚。[デート・・]デート??とにかくデートのイメージが全く掴めないミエである。ワゴンの外では「幼稚園だってー」と子供たちが笑っている。頭おかしいんじゃないのマジで・・ 受験を控えてるせいか、みんなだんだんおかしくなってる気がする・・ やっぱりからかわれてるんだよね?ミエが噴き出した水を被ったジンソプは、引き攣る笑顔で「気が変わったらいつでも連絡してね」と言って去っていった。するわけないじゃん、と思いながら外を見ると、ふと見知った人がいた。あ!ヨンヒだ!今日は塾来るかな?気づくかなと思って窓を叩くも、ほどなく車は出発した。ミエはヨンヒの残像を思い浮かべる。ヨン...第八十五話③

  • 第八十五話②

    チョルはまだ一人で道を歩いていた。視線の先に、ヘッドフォンを付けた見覚えのある後ろ姿がある。ミエの名札を奪ったという、ヘッドフォンのあいつ。その男が角を曲がった。チョルは気配をギリギリまで消して、その男が角を曲がった途端、猛ダッシュで追いかけた。さて場面は再びミエ&ジンソプ。ジンソプはミエに、”キム・チョルがミエのことを理性的に好きになるか、確認してみるかしてみないか”という問いを投げかけた。 「どうする?」様々な駆け引きに心を揺さぶられているミエだが、まだ靡かずに腕を組んだ。「フン!ふざけてんでしょ?」「違うけど・・」 「俺は君に対しては借りがあるから、こうして手助けしてあげようとしてるのに。 プライド曲げれなくてこんなチャンス逃すの?」 男女関係の専門家は、冷静に恋愛超初心者に畳み掛ける。 「本当に全...第八十五話②

  • 第八十五話①

    かくしてファン・ミエとモ・ジンソプは街へ出た。トッポギやおでんなどが食べられる軽食屋に入る。「うわぁ〜これが携帯というものかぁ〜」「ユンヒのとはまた違うや!」ミエが手にする新しい機種の携帯電話は、もちろんモ・ジンソプの物だ。物珍しさにテンションが上がるミエ。「これいくらくらいすんの?」「XX万ウォン」さらりとそう口にしたジンソプの言葉に、思わずミエは目が点である。「へ・・?」「誕生日、欲しいものなんでも言いなさい」と父は言ってくれたけれど、ミエは悟った。誕プレで頼もうと思ってたけど絶対無理そうだな・・と・・。 「あ!メール?!メール来た!」不意に震えたそれを、ジンソプに返すミエ。なんとなく、この場の主導権はミエにありそうだ。「わ〜こんな風に名前が出るんだね。もうポケベルは要らなくなるねー。てか友達多っ」「...第八十五話①

  • 第八十四話⑤

    放課後、モ・ジンソプは一人で歩いていた。鼻歌を歌いながら、携帯電話に目を落とす。震えるメールに目を落とすと、若干眉を顰めた。小さく舌打ちする。「よぉジンソプ!こっち!」「おぉ」「お待たせ」と仲間の元に駆け寄ろうとしたその瞬間、低い声が路地から響いた。「ちょっと顔貸しなァ」驚きのあまり、ずるっと足を滑らせたジンソプ。突然しゃがみ込んだ彼を見て、仲間たちが不思議そうに声をかけた。「おい、いきなりどうした?」「足つったか?」「いや・・」ミエは彼を見下ろしながら言う。「二人で何の話をしてたのかなぁ〜?」「・・・・」ジンソプはニヤッと笑った後、遠くの仲間たちに声を掛けた。「おいジンソプ!何してんだ?行かねーのか?」「あ、先行っといて。俺他に約束あったんだった」  ジンソプがそう言うと、仲間たちは分かったと言って去っ...第八十四話⑤

  • 第八十四話④

    キム・チョルの視点から追った、キス事件の翌日と翌々日の顛末はこうであった。[こんな感じで各々の夜を過ごし][そしてまたここへ]こうして場面は元に戻る。チョルの胸中とミエの胸中を読者が知ったら、物語は再スタートである。現在の二人の関係性はどうであれ、今のミエは少し嬉しい。自分の誕生日のことを、チョルが知ってくれていると思っているからだ。しかしそんなワクワクとソワソワは、長くは続かなかった。 [しばらくして——] [ファン・ミエはモヤモヤしっぱなし]痺れを切らしたミエは、もう一度ユンヒに確認する。「ねぇ、確実にヤツのカバンにメモ入れたんだよね?」「うん、確実」  「昨日から何にもないけど?」 チョルはいつも通りか、それかそれ以上にそっけない。ずっとそっぽを向いている。 これが隣の席の女子の誕生日祝いを考えてい...第八十四話④

  • 第八十四話③

    終礼の時間も、上の空だった。「みんな期末の準備は始めてるわね?時間はあっという間に過ぎるから・・」落ち着かない足が、小刻みに震える。ずっと思っている、「このまま消えてしまいたい」という思い。[・・そんなん無理だと分かってるけど]現実にはそんなこと出来ないことくらいわかっている。ただ何もなかったようには振る舞えない。密かに、ミエの方を窺った。若干眉間に皺を寄せたような表情で、前を向いている。けれどチョルの目は、どうしてもミエの唇に吸い寄せられた。横から見ているからか、今度はエラーが出なかった。だからチョルは、そのままじっと見ていたのだ。ミエがこちらに気づくまで。「さような・・」ドビュンッ!!!!即座に、またまたエラーが出た。チョルは光のように教室を駆け抜けると、そのまま家まで全速力で走った。「ただいま!」「...第八十四話③

  • 第八十四話②

    一晩中転げ回ったチョルはというと・・。[いずれにせよ朝は来る] 見上げた空は、雲ひとつない青空だった。その青の中を悠々と飛ぶ、白い飛行機をぼんやりと見る。あまり眠れなかったので、チョルの目の下にはクマがあった。チョルは複雑な気持ちのまま、重い足を引き摺って学校へと歩く。気がついたら、もう正門が閉まる時刻だった。「お前達、あとちょっとで遅刻だぞ!早く教室入れ!」「キム・チョル!お前のことだぞ!」「すみません・・」教室の前まで来ると、いよいよ足が動かなくなった。暗く重たいオーラを背負いながら、じっとその場に立ち止まっている。ふと顔を上げて中を見ると、真っ先にあのおかっぱ頭が目に入って、パッと体を引っ込めた。けれどいつまでもこうしていても仕方がない。チョルはグッと奥歯を噛み締めると、遂に中へと足を踏み出した。不...第八十四話②

  • 第八十四話①

    それでは、キム・チョル視点からのここ数日の流れを追ってみよう。[またあの日に戻るとしたら]あの日、とはもちろんあの事件があった日である。チョルの脳裏で、昼間の衝撃シーンがもう何回目かのリピートを始めた。チョルは無音で「うわああああああ!!」と叫びながら飛び起きる。ガバッ!!はぁ・・はぁ・・冷や汗が止まらない。体は小刻みに震えていた。こんなはずじゃなかった、と何度もチョルは思っていた。[いや・・俺はただ・・][約束してたから][だからビデオとか一緒に観ようとしただけなのに・・][なんで・・]そう思うたびに、また同じシーンがリピートする。ボスッ!![違う]バタバタバタ!!バタバタバタバタ!!![こんなん違う]無言の叫びを上げながらバタバタする息子の振動を感じながら、チョル母は心配そうに妹に聞いた。「ねぇファニ...第八十四話①

  • 第八十三話⑤

    翌朝。登校中のミエだが、キョロキョロとあたりを見回しながら歩いている。数メートル先に、探していた背中が見えた。昨日のユンヒの電話を思い出し、ミエは鼻の穴を膨らませた。もしユンヒの話が本当なら、今頃チョルはミエの誕生日に頭を悩ませているはず・・。すると目の前に、こちらを見る人物がいた。デレた自分の顔を白けた顔で見るモ・ジンソプ——・・。そして後ろからは、大あくびのソ・ジス——・・・。「あ、ファン・ミエ。週番なのに遅刻じゃん。でもあんたの顔がまたウケる・・」ソ・ジスの話を最後まで聞く前に、ミエは教室へと急いだ。やはりあの男はよくわからない・・。 けれどそれ以上に、胸の中にワクワクと弾む星の存在を感じる。ミエは朝食の時、父親に誕生日のことを聞かれたことを思い返した。「ミエ、もうちょっとで誕生日だなぁ。何か欲しい...第八十三話⑤

  • 第八十三話④

    ファン・ミエ、NeverDie。[けれど、意地を張れば空回るファン・ミエ]イライラMAXのまま、終礼は鳴った。チョルを逃がさないように、週番の仕事はソ・ジスに任せる。「あんたやっといて!」「ちょっと!あん・・」ドドド・・とチョルを追いかけたミエだったが、相手はミエを上回るスピードで逃げた。シュンッ!!肩を落として戻った教室では・・倒れたバケツから水が流れ出ているのに、気づかずにモップを掛けるソ・ジスの姿が・・。「あれ?いつ倒れたんだ?」結局掃除のやり直し。ミエは、もう全部嫌になってしまった。おでんを片手に黄昏れるミエに、ユンヒらが声を掛ける。「ね〜ファン・ミエ〜聞いてる?」「おーい!」「ほっといてよっ」そう言ってぐいっとやるミエに、ユンヒが「死にそうに暑いのにホット飲んでるよ」とヒソヒソ言った。何をやって...第八十三話④

  • 第八十三話③

    不敵な笑みを浮かべた三人。[彼女らの作戦はこうだった]ユンヒはミエの肩に手を置くと、余裕の笑みでこう言った。「ミエ、あんたもうすぐ誕生日だよね?」「え?あ・・そうだね・・誕生・・」「うちらが自然に仕掛けてくるからさ、あんたはヨユーで待っててよ」「え、え?!何?何を待つって?」 ユンヒ達はそのまま、キャラキャラと笑いながら行ってしまった。ミエは口をあんぐりと開けたまま、ポカンと立ち尽くした・・。「・・・?」   ユンヒ達はそのまま廊下の一角に固まった。キム・チョルが、そこを通りかかるのを待つ。そしてすれ違うその一瞬を待って、さりげなく口を開いた。「あ〜もうすぐファン・ミエの誕生日だね」「そうだよね!何日だったっけ?」「え?知らないの?6月・・」  しかし誤算が一つ。 チョルは、イヤホンで音楽を聞いていたのだ...第八十三話③

  • 第八十三話②

    教室に戻ったミエを待っていたのは、激怒した担任であった。「私の受け持ち授業の時だけ黒板消してないってことかしら?!」次の授業が始まる時間になっても、板書が消してなかったのだ。ミエはソ・ジスと並んで、大きなたんこぶを作って立っている。「すみませんでした」「ペナルティで週番してるのになんなのその態度は?!もう一週間やりたいの?今すぐ消しなさい!」 ”午前中の仕事はソ・ジスが全部やる”という約束だったはずだ。ソ・ジスは頭を下げた姿勢のまま、ボソッとミエに言った。「あ・・うっかりしてた」「ごめん」ミエが怒り&呆れに震えていると、ガラリとドアが開いた。「遅い!」「すみません」チョルは「すみませ」でソッコーで移動して、「ん」で席に座った。ミエのことを見ないようにして。担任が「教科書開いて」と言って、授業が始まろうとし...第八十三話②

  • 第八十三話①

      なんとか職員室で反省を終えたミエは、教室で席についていた。授業が始まる前のそこは、ザワザワと騒がしい。チラッミエは隣の席をチラリと見た。そこにはチョルの姿はない。ふん、ウケるんだけど。さっき登校してたのにまだ来ないの?ソ・ジスとゴタゴタしていた時に、チョルは確かに登校して来ていたはずだ。けれどギリギリまで教室には姿を現さないつもりらしい。するとチャイムが鳴る数秒前、ようやくドアが開いた。ガラッビクッだんだんと近づいてくる足音に、なんだか胸がドキドキしてしまう。それを悟られないように、ミエはふんふんと咳払いをして誤魔化した。ドキンドキンドキンチョルが座った気配を感じて、ミエはさりげなく声を掛けた。「おはよ。なんで今頃来てんの?あと昨日なんで塾休ん・・」ガガガーーーーッ!なんとチョルはイヤホンをしたまま、...第八十三話①

  • 第八十二話⑤

    ダダダダダ・・!ミエはゴミ袋をソ・ジスに押し付けて、キム・チョルの元へと走った。あの接触事故から二日後、ミエは彼に伝えたいことが山ほどあるのだ。 今日こそ捕まえてやんよ!! あいつ塾にも行かないし私がずっと連絡してたのに全部無視して・・ そうなのだ。あの事故があった日、まずチョルは塾を休んだ。ホンギュもびっくりしていた。「えっ?!キム・チョル欠席!?聞いてねーけど?!何があったんだ?!」部屋だって明かりがついているのに、まったくミエの呼びかけに応答しない。「ちょっと!キム・チョル!ちょっとぉ〜!出てこい!出てこいよぉ〜!」かくなる上は、電話攻撃も仕掛けた。「もしもし、チョル君のお宅ですか?私ミエですけど、チョル君は家に・・」ガチャッ!!ツーツーツー・・・[いやおかしいでしょ。なんで私にこんな仕打ち・・]ミ...第八十二話⑤

  • 第八十二話④

    あれから約二日後、つまり月曜がやって来た。 ミエはカサブタになった上唇をめくって見る。[16歳][かなり敏感なお年頃]ミエは鏡の前で、唇をむにゅっとやってみた。「ん」「ちゅ・・」・・・・・。ミエは一際大きな声で母に「行ってきます!」と言った。「あんた、今日成績表が出る日だからね?!もう調べはついてんのよ!」「わかってるよっ!!」 ミエはプリプリしながら学校へ行った。まだかなり早い時間なのだが。ドサッしん・・・・[そして全てにイライラするお年頃][その中でもファンミエを一番苛立たせているのは・・] チラッ こんなに早い時間に登校するのには理由があった。 キム・チョルが原因ではなくて・・・    主な理由はこっちだ。   ミエは自分とペアで週番を言いつけられた相手の机を見た。 来ている様子はない。  ギリッ・...第八十二話④

  • 第八十二話③

    ミエは唇に手を当てたまま、チョルとキスをした後のことを思い返した。  ありえないことが起こりすぎて、二人ともふわふわと現実感がなかった。ただ心臓の振動だけが、二人の間の空気を震わせる。ミエの上唇から、たらりと一筋の血が流れた。その赤い滴を目にした途端、チョルは現実に引き戻されたようだ。バッ!叫び声が、青い空に響き渡る。「うわああああああ!!!!」ミエが叫ぶならまだしも、誰よりも大きな声を上げたのはチョルだった。そのチョルの狼狽っぷりに、ミエもファニもファニの二人の友人も、思わずポカンと口を開ける。そこからのチョルはすごかった。叫び、項垂れ、突っ伏し、壁に頭をぶつけ・・。「うおおおおおおお!!うわあああああ!!」ブルブル・・・「があっ!!うわぁあああ!!」「ぐああああああああああああああああ!!!!」ミエは...第八十二話③

  • 第八十二話②

    ゆらゆら、と天井で光る星が滲む。というのも、それほどミエが目を血走らせているからであった。昼間起こった衝撃な出来事により、ミエは到底眠ることなど出来ないでいた。[その日の夜、ファン・ミエは・・][まるで全身がプカプカと浮いているような・・]脳裏に、もう何十回と巡らせた場面がプレイバックする。「ぬわぁぁぁ!!いやいやいや!!」ミエは叫びながらガバッと身を起こした。ドアの向こうで母親が「うるさいわよ」と怒っているが、それどころではない。汗がとめどなく流れてくる。「うわあああ!!違う違う違う違う!!」「何が?」「あんた寝ないなら勉強しなさいよ!」「寝るよ!うわあ〜〜〜」「うるさいってば」 ミエはしばらく母とそんなやりとりを繰り返した。昼間起こった出来事に、脳がまったく対応できていないのだ・・。  <幻想と現実>...第八十二話②

  • 第八十二話①

    <ファーストキスの味>  [キスってどんな感じなんだろう?綿菓子みたいに甘いかな?]  [プラムの飴みたいに甘酸っぱいのかな?]  [それとも・・]  彼女らのその問いに、ファン・ミエがリアルに答えます。   時は数分前。  「お兄ちゃーーーーーーん!!」  すごいスピードで迫り来るファニ。  「えっ?!ファニ・・」   チョルは前から来るファニと、後ろにいるミエを助けようと両方に手を伸ばした。 だから両手は塞がって、下りてくる重力に従う他なかったのである。   倒れ込んだミエの顔に、チョルの顔が近づいてくる。 まるでスローモーションのように見えた。   触れた唇は、衝撃のせいで互いの歯まで接触を許した。 ガチッ、と骨と骨が当たる音と振動が伝わる。  そして、この状態である。  ファニの取り巻き(?)が心...第八十二話①

  • 第八十一話④

    時は数十分前に遡る。コトッ「チョルの家、誰も電話に出ないや。みんな出かけてるみたい」パク・ジョンウクは受話器を置いて、ゲーム中のベ・ホンギュに声を掛けた。ここはホンギュの部屋である。「別にいーって。新しい友達とやらと遊ぶのに忙しくて、俺の誕生日なんて興味ねーんだろ」「全く・・子供かって」「はっ!だーれが」拗ねるホンギュと、ため息をつくジョンウク。すると、電話が鳴り出した。 「おい、電話だぞ」「お前が出ろよ」「なんで俺が。ここはお前んちだろ」「そんじゃお前がゲームしといて」  「もしも・・」「ベ・ホンギュ、このクソ野郎」聞き覚えのある声だった。ホンギュは反射的に声の主の名を言い返そうとする。「あんだぁ?イ・・・」が、すんでのところで止めた。ジョンウクに聞かれるとややこしいことになる。ホンギュは子機を持ったま...第八十一話④

  • 第八十一話③

    事態は急速に進行中だった。ミエの家に今までのミエの奇行をバラしに行くと言うチョルを、ミエは全力で止めなければならない。「ちょっと!!あんたバグったの?!いきなりなんなん?!」「バグってんのはお前だろ」「さっきはその・・キ・・・いや口・・その・・とにかくその・・・しそうだった・・から?」「おい黙れっ!!口に出すんじゃねぇ!!」「してないよ!!してないじゃん!!頭ぶつけただけ!!」「してなくて助かったな!!」 「もししてたら、俺は屋根に上ってお前の正体を全世界に全部暴露してたところだ」ゴゴゴゴ・・と音が聞こえてきそうなオーラを纏って、チョルはズンズンと進んで行く。「ダメーッ!!」「やめて下さいっ!キム・チョル様!!だめっ!!お願いですからっ!!」あと数秒もすれば、チョルはミエのマンションに辿り着いてしまう。[...第八十一話③

  • 第八十一話②

    ビデオは一時停止していた。しんとした静寂がリビングに広がる。チョルとミエは、接触の衝撃にしばし目を瞑っていた。「うう・・・」「う・・頭が・・」パチッ目を開けたその瞬間、数センチの距離にお互いの顔がある。二人は額をぶつけたまま、ピントが合わない相手の顔を見つめた。ドクン、ドクン、と跳ねる心臓の振動が伝わるようだ。相手の瞳に、自分が映っているのが見える。そして唇と唇が、かつてないほどの距離で近づいている——・・・・。 すると次の瞬間、静寂を切り裂くような電子音が響いた。  鳴り響く電話の音に、ようやくチョルの正気が戻った。ひいっ!!「わあっ!!!!」チョルは衝動的にミエを跳ね除けた。ミエはそのままゴロゴロと、台所の床を転がって行く。「ちょ・・あんた・・」「出てけーーーーーっ!!」  [結局事故が起こった]  ...第八十一話②

  • 第八十一話①

    チョルが自分の気持ちを持て余していた時、ファン・ミエはあくびをしていた。「ふわぁぁ」キム家のソファに寝転びながら、先程キッチンに立ったまま帰ってこないチョルを見る。チョルは立ち尽くしたまま、微動だにしない。 ミエの頭の中に、チヘ先生が浮かんだ。「どう?確認した?どうだった?」「気になるでしょ?ね??」”確認”の結果、チョルはこうなってしまったということなのか?ミエの目がキランと光る。「あ、そういえばあんた模試どうだった?また成績上がったりした?」ミエが軽くジャブを入れると、チョルの背中がピクリと反応した。と同時に、電子レンジがチン!と鳴る。「私また落ちたっぽくてさ〜どうしよ〜またお母さんにゲキ怒されるわ。あんたの家も勉強しろって首根っこ掴まれたりする?うちのお母さんもう完全に私の調教師だから」「あんた成績...第八十一話①

  • 第八十話④

    キム・チョルがもしミエのことを好きだとして、その先は一体どうすればいいんだろう?考えたことのないその問いを、ミエは今初めて目の当たりにしている。 <自然ということは>ミエはブンブンと頭を振り、とりあえず考えるのを止めにした。いやいや!ビデオ観よっ! 気づけばビデオの内容は佳境で、バスジャック犯からの連絡のシーンだった。とりあえず字幕を追うミエ。主人公がバスと並走し、事態が目まぐるしく進行して行く。この辺りから、ミエはビデオの内容に引き込まれて行った。おお・・その様子を隣で見ているチョル。食い入るように画面を追うミエ。なんて分かりやすいんだろう。口を開けっぱなしで画面に釘付けのミエを見て、チョルは(よだれ垂れそう)と思って少し笑う。そんな折、画面の中で大爆発が起こった。ドカーン!!「うわぁっ!」驚いた拍子に...第八十話④

  • 第八十話③

    「大人しく観てろよ」チョルに体を近づけすぎて怒られたミエ。けれどさっきのは”自然”さが足りなかったのかもしれない、とミエは思っていた。自然・・自然に・・ミエにとっての”自然”は、父親と一緒にソファに座っている時の自分だ。父のお腹に足を乗せ、ダラダラと自然にふるまっている時の自分・・・。映画は緊迫感のある場面だったが、ミエもある意味正念場だ。ミエは”自然”を意識的に、チョルに対して行った。ドスッ「あー足だるー」これを受けてチョルがどういう風に出るか。結果は・・・   「大人しく観てろって!」「さっきから何なんだよマジで!」どうやら、足を乗せるのは違ったらしかった。では肩を組むのではどうだろう?自然に・・「だからってそんな押しのけなくてもさぁ・・肩痛ぁ・・」そう言いながら、ミエはできるだけ”自然”にチョルの肩...第八十話③

  • 第八十話②

    バッミエはもう一度確かめることにした。Eyetoeye、目と目で通じ合うその確信を探して。じーっ・・「何・・」ミエはひたすら見つめ続けた。チョルがどんな反応を見せるかを見るために。まるで超音波を発しているかのような眼差しで・・・。バッ「なんなんだよ?!」チョルは勢いよく顔を逸らした。「なんか言いたいことがあんのか?ふざけてねーでビデオ観ろよ!借りてきてんだぞ」この反応は・・ほお・・?[この程度なら可能性は低いんじゃ?]そんなチョルの反応を見て、ミエは次の作戦に出る。 <それなら二段階目は>ミエの頭の中で、チヘ先生の教えが響いた。[一段階目の反応で脈があったら][二段階目は、あんたから直接近づくの]ターゲットが一人でいるところを見計らって、自分から意識的に動けとチヘ先生は言った。[偶然じゃなく][自然にね]...第八十話②

  • 第八十話①

    ミエは今、チョルの家にいた。大きなテレビ画面には、ビデオの冒頭にある警告文が表示され、やがてお決まりの警告が流れた。チョルとミエは、同じソファに座りながらそれを観ている。ふと、チョルがミエのことを窺う。同じタイミングで、ミエもチョルのことを見た。パッ同時に目を逸らして、ミエはこの間聞いた話を思い出した。その声の主は、友人のノ・チヘだ。目を合わせた後の反応はどうだった?なんかロボットみたいじゃなかった?[気まずくない?][だったらこの次は・・]なんだっけ、とミエは改めて思い出そうとする。再び、チヘの声が蘇った。ここから、チヘ先生の恋愛指南の始まりである。[じゃあ始めるからね。聞いててよ?][気になる男の子がいるなら試してみて]恋愛は相手に背中を向けたところから始まる。相手の表情が読めなくて、心を騒がせるとこ...第八十話①

  • 第七十九話⑤

    「私は100%確信してるから!!キム・チョルは絶対にあんたのことが好きだって!!!」  はっきりとそう言い切ったユンヒ。 ミエは未だに信じられなくて、モゴモゴと反論する。 「違うってば!小さい時から知ってるから、気に掛けてるだけであって・・」 「い〜や合ってるね」「違うってば!」「合ってるってば」「違うったら!」 「合ってるんだって。じゃあ私が当たったらどうする?」  「どうするったってどうするのさ。それをどうやって確認すんの?」 「”どうやって?”」  パチッ それを”どうやって”確認するか。 その答えを思い出したミエは、ベッドからパッと起き上がった。 そしてそのまま窓を開ける。  スチャッ  双眼鏡を覗き込んだミエは、チョルの部屋を見る。 カーテンが閉まっていた。  続いて路上を見る。 人が歩いている...第七十九話⑤

  • 第七十九話④

    <気にする必要ある?>ミエは先ほどモ・ジンソプから言われた言葉を聞いて、目を丸くした。キム・チョルのミエに対する態度はどう見ても「特別」だと・・・。「特別?キ・・キム・チョルが私を?」「うん、あ〜それはそれでまた・・うん・・」「?」  言葉を濁すモ・ジンソプ。 すると向こうの方がにわかに騒がしかった。二人はそちらの方を見る。 なんと、キム・チョルが女子たちから一斉攻撃されてるではないか。 しかも、チョルに話し掛けていたショートカット女子は泣いている。 チョルはそのまま逃げ出し、女子たちは怒りながら彼を追った。見かねたジンソプがそちらに走る。「あーあーあいつ・・あれなんとかしなきゃな」「ねぇ!話は最後まで・・」「気になるならまた俺んとこまでおいで」 「じゃーねー」そう言ってモ・ジンソプは行ってしまった。チョ...第七十九話④

  • 第七十九話③

    ファン・ミエとモ・ジンソプはまだわちゃわちゃやっていた。ミエがぶちまけたゴミを、ジンソプが横取りして拾う。「私が拾うから!離してっ」「いや俺が拾うし」「私のだっつーの!離せってば!」 「君、いつも自分のだって言うね」「だって私のだもん!!」以前自販機の下にあった小銭を取られた恨みを、ジンソプはまだ持っていたらしい(笑)相変わらずニヤニヤと笑いながら、ジンソプはミエに言う。「あ〜だからキム・チョルのことも・・・」自分のものって思ってるの?と全て言葉にする前に、大魔王が現れた。グシャッ!「俺が半分に分けてやるから離せ」というわけでゴミは、公平に分配されました。「いや、これはマジで俺の・・」「シャーッ」チョルとジンソプはゴミが半分ずつに分けられてるかどうかまだ議論していたが、ミエの心の中は平静ではなかった。あの...第七十九話③

  • 第七十九話②

    ニヤッモ・ジンソプの微笑み(?)に困惑しているミエであったが、チョルもまた、当惑していた。  <当惑と困惑>「な・・何?ツ・・?」「ツーツー!知ってる?ギョン・フンとジュ・ヨンがツーツーだから、ローリングペーパー書いてるの」 「何?ツーツーって」「付き合って22日になったって意味だよ」 チョルは聞いたことのない呪文のような言葉に、ただただ戸惑っていた。まごつくチョルを見て、ショートカット女子はケラケラと笑う。「ていうかマジで知らなかったの?ピュアすぎだよ〜」「俺その人達のこと知らねーけど・・」ツーツーというのはカップルの記念日だと、ようやく理解したチョル。けれど見たことも聞いたこともない二人に、一体何をしたらいいのか分からない。とりあえず「おめでとう」と紙に書いた。「大丈夫大丈夫、ただ集まってお祝いするだ...第七十九話②

  • 第七十九話①

    ミエは口を開けたまましばし固まった。チョルと、長身ショートカット女子が会話している光景から目が離せない。なんだか面白くない気持ちを持て余しながら、ミエは一人毒づく。てかゴミ拾いにきて何してんのさ。チョルがちゃんと答えるとでも・・そう思ったのに、意外にもチョルは彼女を拒絶せずに話を聞いていた。女子の方は笑いながら、親しげにチョルに触れる。これにはミエもビックリだった。あ・・・知り合いなのかな?私の知らないチョルの友達?あ・・もしかしてあの時のパンの・・?以前目にした光景が思い浮かんだ。自分以外にチョルと親しい女子がいると知って、モヤモヤしたあの時の・・。   その女子を連れてきた、三組のシン・チャンヒョンにミエは気づいた。が、パッと目を逸らす。この間背中越しに聞いた、棘のある言葉を思い出した。「あの女子がい...第七十九話①

  • 第七十八話④

    五年前のミエが言う。「うちらもう友達だよね?」その時、チョルは答えなかった。もう滞在も残り少なくなってからもう一度、ミエは問うた。「うちら・・友達だよね?」数日間一緒に遊んで、ミエはもうチョルのことを友達だと思っていたのだ。しかし・・・「そんなわけあるかよ」まるで雷のような、低い音が脳天から降ってきた。いつしかそれは電子音へと変化し、ミエの意識を覚醒させた。パチッ電子音が止み、ドアの向こうで母の声が聞こえる。「もしもし?」ガバッ遠くで雷鳴の音がした気がしたので、てっきり雨が降っていると思っていたら、窓越しに見える空は快晴であった。カーテンを開けっぱなしで寝ていたらしい。チョルの部屋のカーテンは閉まっているが。心の襞は幾分波立っていたが、なぜそんな気分なのかは説明つかない。どんな夢を見ていたのか、もう忘れて...第七十八話④

  • 第七十八話③

    不機嫌なホンギュと、彼に傘を差しかけながら帰って行くジョンウクを、チョルとミエはそこで立ちながら見送った。チョルはホンギュとの関係がこじれたことに頭を悩ませる。「あいつ本気で拗ねてたね」「別に大したことじゃないのに、一人で大騒ぎして拗ねてさ。なんかオーゲサだったよね?うちら、友達なのにさ!」 ミエは真っ直ぐ前を向きながらそう言った。ミエのことを見るチョル。「でしょ〜?」キラキラ星を飛ばしながら、念願の「友達」認定を、ミエは満面の笑みでチョルに確認する。チョルは複雑だ。一旦ミエから視線を外して前を向く。唇を尖らせて。仏頂面で。隣ではミエがずっとチョルの肯定を促してくる。ね?ね?そうだよね?ね?ね?キラキラ、キラキラ・・これには流石のチョルも・・・・。「・・おう友達だ、友達!」大きく息を吐きながら、遂にチョル...第七十八話③

  • 第七十八話②

    「でしょ?!だよね?!」 「うちら友達だから!」とチョルの手を取ったミエは、ギラギラした眼差しで念を押した。「だ・よ・ね?!」「お・・・おう・・」「とも・・だちだ・・」ミエの気迫に押されて、とうとうチョルが皆の前で肯定した。「ほらね?!」「この人は私の黒騎士——そして私の友達なの!だからもう喧嘩は・・」 その瞬間、意外な人が大きな声を出した。「だよねーっ!」「俺たちみんな友達だよね?なぁ?」「だからみんな仲良くしようよ、Sクラス!」ほとんど力技で、ジョンウクがまとめた。ミエはピースし、ジョハンは友達認定を受けて花を飛ばす。チョルは苦笑いだ。この場にいる五分の四は肯定ムードだ。この人を除いては・・。  <猿も木から落ちるので>雨は続いていた。その中で、傘も差さずに帰ろとしているのはベ・ホンギュだ。「おい、一...第七十八話②

  • 第七十八話①

    「いやなんでこいつと!!」二人が声をハモらせてそう言った後、場は非常に微妙な空気になっていた。呆然とするジョンウク。同じくジョハン。そしてこの人・・。全員、言葉を失くしたのだった・・・。 <違うって>  雨は本降りとなり、雨粒がザーザーと地面を叩く音があたり一面に響いていた。ゲームセンターの中は騒がしい。しかしチョルとミエの周りだけ音が無くなったかのようだった。はっと口を噤むチョルと、同じく息を呑むミエ。目が合った二人は、やはり同時に逸らした。パッそしてそんな様子を注視していたのはジョハンである。ハッ!なんだか怪しいこの二人・・と言わんばかりのリアクションのジョハン。ミエは必死でジョハンからも目を逸らした。するとこちらにも二人を注視している人物が・・。ホンギュが冷静に聞く。「なんだ?なんでちゃんと話さねー...第七十八話①

  • 第七十七話④

    ベ・ホンギュは文字通り絶句していた。面と向かって二回も、チョルから否定されたのだ。「・・・・・」チョルは再び、しまったと思っていた。正しいと思うことをしたと思うのに、思うように伝わらない。その緊迫した空気の中で、ミエはひたすらオロオロしていた。「あの・・ねぇ・・あんたら・・とりあえず落ち着いて・・」「狭いとこで騒いでんじゃねーよ。邪魔。あ?何見てんだクソが」するとそこで、高校生らしき男が通り過ぎ様に文句をつけてきた。険しい顔をしているホンギュにガンを飛ばす。「お前が見てんだろ?お前こそ見てんじゃねーぞクソが」不機嫌MAXのホンギュは、売られた喧嘩を買ってしまった。男は呆然と口を開けた。自分よりも年下の男から言い返されたからである。「あ?!んだと?!この中坊が!お前いくつだ・・」このまま喧嘩か殴り合いが始ま...第七十七話④

  • 第七十七話③

    ゲームセンターの中は騒がしかったが、ミエたちのグループには静寂が立ち込めていた。チョルがはっきりとホンギュを否定したからだ。一番驚いていたのはやはりベ・ホンギュだった。目を丸くして、チョルの方をじっと見ながら動かない。そんなホンギュを前にして、チョルは「しまった、」と小さく呟く。ホンギュの口から、地を這うような声が出た。「おい、お前・・・」「お前、今これの前で俺に意見した?お前これの味方なの?」「いや、味方とかじゃなくて・・さっきのはお前がひどいだろ」  「どうして俺にこんなことができんだ?お前はこの豆より俺を選ぶべきだろ!」 豆子・・もといミエを巻き込みながら、 チョルとホンギュの言い合い(主にホンギュが噛み付いているだけだが)は続いていた。「ガキじゃあるまいし何言って・・」「は?!ガキ?」「ガキだとぉ...第七十七話③

  • 第七十七話②

    ジョンウクがホンギュとの対戦をしている間、チョルとミエは若干気まずくなっていた。よろけたミエを支えたチョルが、ミエの手に触れた。手と手が触れ合った後二人は、なんとなく気まずい思いをしているのだ。「ねぇ」「あ・・あ?」先に口を開いたのはミエだった。「あんたもジョンウクもゲーム上手いじゃん?二人ならホンギュに勝てるよね?」「んー・・いや、ホンギュはちょっと次元がちげーから・・俺ら負けんじゃねーかな・・」 「ええ〜?!」  チョルの冷静な分析を聞いて、ミエは落胆の声を上げた。 しかしチョルはそんなことよりも、”あの約束”のことをミエに確認したかった。「ダメじゃんー!一回コテンパンにしないと気が済まないよ!!ダメダメ!絶対勝ってよ?!」「おい、ファン・ミエ」 「えっ?」「模試終わったから、その・・」それを切り出す...第七十七話②

  • 第七十七話①

    かくしてバトルは始まった。一回戦は、ジョ・ハンVSベ・ホンギュ!ガガーン!!ドドーン!早速ジョハンがホンギュにやられているが、ホンギュはというと、このような楽々プレイスタイルであった。口笛まで吹いている。 防戦一方のジョ・ハンは、見るからに苦戦していた。ホンギュは対戦中に「おーちょっとは上手くなったんじゃね?」と声を掛るくらい余裕である。ドン!!完敗・・・。「ジョ・ハニー、やる気は認めてやんよ」「くぅっ・・」「けど挑んで来るなら、お前も飯食うかゲームするかの日常を送らねーとダメだな」  悔しがるジョハンに、ホンギュはダメ押しのセリフを口にする。 「泣いちゃダメよ?ハニーちゃん」  「心配しないで!私が仇を討ったげる!」 ジョハンの弔い合戦改め二回戦は、ファン・ミエVSベ・ホンギュ! 「俺指2本でやったろか...第七十七話①

  • 第七十六話④

    ミエがこんな顔で座っている今の状況はこうである。そして、[直前の状況はこうである]巻き戻し!「俺たち、本気で勉強してみない?」[似たような日常、似たような反応]ジョンウクがミエを勉強に誘った場合、この人が黙っていない。「つーかお前!止めろよな!なんでいつも豆子に絡むんだよ!こいつ勉強しねーだろ!?」[・・・と思ったのだが]ミエが声を上げる前に、ジョンウクはホンギュに向かってキッパリとこう言った。「俺がいつお前と勉強するって言った?俺はミエとするんだけど」「はぁ?!」ジョンウクの言葉に、ホンギュのみならずチョルも驚いた。何だって?そして一応当事者であるはずのミエも驚いた・・。えっ?!私?!「お姫様は大人気ね」ジョン・ソラが皮肉を吐いて行った。苦い顔をするミエ。ホンギュは当然納得がいっていないようだ。「おいジ...第七十六話④

  • 第七十六話③

    ゴロゴロ・・黒い雲は垂れ込めていたが、ミエはなんとか濡れずに帰ってこれた。「まだ雨来てないや。降られなくて良かったぁ」ほぼ無意識に、制服を脱ごうとして気がついた。カーテン開けっ放し・・!チョルの部屋のカーテンが閉まっていたから良かったものの、危うく自分が変態を生み出すところだった。「ふん・・変態・・」と呟きながらカーテンを閉めようとしたミエだが、窓に貼っていた「最強の変態」がなくなっていることに気がついた。「あれっ?」振り向くと、その残骸がゴミ箱に・・。「ちょっとお母さん〜!窓の紙なんで勝手に取るの?!せっかくのからかうチャンスがぁ」「何言ってんの!」「あんなの貼ってご近所さんの笑い者よ!それにそんなこと気にしてる場合なの!?あんた模試どうだったの!?ちゃんと解けたの?!」 ガミガミ捲し立てる母に、ミエは...第七十六話③

  • 第七十六話②

    「・・・・」担任から言われた言葉の意味を少し考えているミエ。しかし次の瞬間、職員室からソ・ジスが出て来たので、それ以上考えることは出来なかった。ドアの隙間から学年主任の声が漏れ出ている。「お前反省文書いてこなかったら両親呼び出すぞ!忘れたら今度こそ大目玉だからな!」思わずミエは、ソ・ジスに駆け寄った。「ねぇ、あんた大丈夫だった?!一体何発殴られたの!?保健室行かなくても大丈夫?!あ、お尻を見ようとしたわけじゃないからね! 誤解しないで!変態じゃないから!」 お尻をさするソ・ジスに、ミエはペラペラと喋りかけ続けた。「てか学年主任も大概だよね!0点・・うん、生きてたら0点取ることもあるよね!不思議っちゃ不思議だけどさ・・。内申に入らないし自分の担任でもないくせになんで叩くんだろ?!やりすぎだよねホント! しか...第七十六話②

  • 第七十六話①

    放課後、生徒たちはガヤガヤと帰路についた。その中にはチョルもいたが、担任に呼び出しをくらったミエのことが気掛かりのようだ。「模試も終わったし、サッカーしない?」と、クラスメートは気楽なようだが。そしてその頃、職員室では・・。「避けるんじゃないぞ」ブンッ!ヒィィィ!バシッ!!学年主任が振り上げた物差しは、ソ・ジスの背中に向かって振り下ろされた。「このバッカもんがぁ!去年は絵を描いて、それでも一学期はちゃんと試験を受けたから、大丈夫だと思っていたら!」  「0点とはなんだ0点とは!間違ってるのはわしか!?えぇ?!わしの方なのかぁ!? しかもなんだこの髪は!?なんでこんなに長いんだ?!切れって言ったよな?! バリカンで刈ったろか?!」 どうやら真面目にテストを受けないソ・ジスに、学年主任はおかんむりのようだった...第七十六話①

  • 第七十五話④

    一学期最後の、模擬試験が始まった。しかしチョルは、いまいち集中しきれずにいた。[名札を注文したのに、まだ言い出せてない][それに、みんなで街に遊びに行くという話も]モ・ジンソプはああ言っていたものの、後でソンイに突っ込まれていた。「あ、でもジンソプ、明日は模試だよ?」「あー・・知ってるけど、期末もあるからさぁ」[どうせポシャるだろうけど]そう思いながら、チョルは自分とミエとの”約束”を言い出せないことを気にしていた。「・・テスト終わったら観るんだよ」ジンソプの言う通り、模試が終わったらすぐに期末の準備だ。”約束”を果たすのに、そんなに時間は残っていないのだ。 ミエもまた、試験に臨む傍らで、昨夜ベッドで一人考えたことを思い出していた。ボー・・パチッ思い出していたのは、自分のために全速力で駆けて行ったチョルの...第七十五話④

  • 第七十五話③

    塾の時間になっても、チョルは昼間と同じような顔をしていた。[一日中回復しなかった16歳][話しかけるどころか目も合わない]ミエからの拒否オーラがすごくて、チョルは弁解はおろか声も掛けられなかった。そうこうしている間に塾も終わり、席を立つ生徒達に向かって塾講師が、「みんな明日の模試頑張ってね」とエールを送った。 「ミエ、模試頑張ってね。ヨンヒ、君も!」「うん!ジョンウクもね!」「へーい」 塾を出たところで言葉を交わすミエの後ろにチョルはいた。視線に気が付いたのか、不意にミエが振り返る。ビクッダダダ・・しかしすぐに行ってしまった。そして家に帰ったチョルが目にしたものは・・・。最強の変態ここに!まるで数日前の反転のような事態に、チョルはブルブルと怒りで震えた。そんなチョルに、スンジョンが声を掛ける。「つーかあん...第七十五話③

  • 第七十五話②

    先に教室に戻ったチョルは、一人ペンを動かしていた。しかしその表情は死んでいる・・・。[この出来事をどう収拾すべきか悩む16歳]チョルはボーッとしながらも、先程の自分の言動と出来事をプレイバックした。[わざと狙って言ったわけじゃないが][自ら友達だと認めたのに、全くの無反応・・]てっきり目をキラキラさせて近寄ってくると思ったのに、ミエはチョルに向かってこう言ったのだ。「この変態」[つーかなんで俺が変態なんだ?][お前はわざと堂々と(?)見ておいて、なんで俺の方が・・]チョルはそう不満に思いながら、またあのシーンを思い出してしまった。透けて見えた下着の線、そしてあの視線・・・。ストーーーーーップ!!止めろ!考えるな!!チョルは記憶を掻き出すように激しく髪をグシャグシャした。後ろの席のオ・ヨンスは「どっか痛いの...第七十五話②

  • 第七十五話①

    チョルは「ファン・ミエと自分は友達だ」と堂々と宣言し、シン・チャンヒョンを見下ろしていた。シンはというと、そんなチョルを前にポカンと口を開けていたが、やがて引き攣った笑いと共に口を開いた。「お、おお!そうだったんだ〜!?」わざとらしいくらいの明るさで、シンは友人たちと共にうなづいて見せる。「そっか〜友達か〜」「友達なんだな〜」「そっかそっか、分かった!これからは気をつけるな!ファン・ミエ・・よし、覚えたぞ!じゃあ先に教室に・・」 シンがチョルの後方にある階段に向けて歩き出そうとした途端、 チョルが長い足を出してそれを止めた。 「お前らのクラス、あっちから行った方が早くないか?」  「え、え・・?」  シンはそう言って振り返った。 遠くに階段がある。 チョルの後ろには近くの階段・・・。なんで敢えて遠い方に・...第七十五話①

  • 第七十四話③

    怒った(ように見える)大魔王を前にして、シン・チャンヒョンは狼狽した。「いやちょっ・・怒んないでよ!俺たちはただちょっと気になって話してただけ!なぁ?!てか俺たちだけじゃなくてみんな気になってるって!」その最中に、ミエにピンチがやってきた。鼻がムズムズして、くしゃみが出そうになったのである。あ・・ダメ・・クシュッ・・!ガッ!くしゃみが弾ける直前に、背中を強く掴まれた。その衝撃でミエのくしゃみは消滅したのだった。「二人・・チョルとあの小さい女子が、付き合ってんのかとか・・」チョルはゆっくりとミエから手を放す。シンからの質問に、ゴゴゴゴ・・と黒いオーラを放ちながら・・。「は?付き合うって何?違うけど」「そ・・そうなんだ・・よくわかったヨ・・・」[ファン・ミエ、寿命が十年縮んだ] セ、セーフ・・・。   <だか...第七十四話③

  • 第七十四話②

    トントントン、と静かな足音が廊下に響いている。今は授業中。びしょ濡れになったチョルとミエが、ひっそりと廊下を早足で歩いていた。スケスケ制服になってしまったのにズンズン先に行くミエに、チョルが苛立って静かに叫んだ。「おい!ファン・ミエ!ちょっと止まれ!」「その格好で教室行くのか?!」「ついてこないでくれる?この変態!」「いや誰が変態・・じゃなくて!おい、とにかくこれで隠せって」 「はーめんど」 「別にいいって、この変態!裏口から出て乾かすから!あんたはもうあっち行って!」そう言いながら、ミエは裏口の方に進んで行く。「いや、何・・」そんな折り、チョルは裏口近くに見覚えのある男子生徒が歩いているのに気がついた。ミエは気づいていない。「あんたが変態なのは事実だけど、これは偶然起こった事故でしょ?この前のあんたのス...第七十四話②

  • 第七十四話①

    絶句している二人の間に、水が流れるジャアアという音だけが響いている。そして二人の意識は、そのまま遠ざかっていった・・・。 [遙かなる宇宙・・][幾多の星々の間、地球上に位置する、][セモドン地方の、] [百済中学にいる、][チョルとミエ・・・]  二人の意識は遠い宇宙空間を彷徨い、そして再びこの場所に帰ってきた。 相変わらず水は流れ続けている。  「・・・・」  「あ、その・・いや・・こんなことになるとは・・その・・」  汗なのか水なのか、チョルはびしょ濡れのまま、目の前の光景にただ動揺していた。 対照的にミエは、光を失くした目を見開いたまま動かない。  「服が・・」  「服・・」 チョルはそう言った後、またミエの透けた制服に目をうつしてしまって狼狽えた。 「いやそうじゃなくて・・とりあえず・・」  [と...第七十四話①

  • 第七十三話④

    もう初夏のような日差しの下、チョルは考えていた。[六月の初旬は、もう暑い。記憶が熱のようにもくもくと立ち上るから][冷やさねば]次々に浮かんでくる記憶や、上昇していく熱を冷やすために、チョルは頭から水をかぶった。隣にはミエがいる。「もー朝から汗だくだよ!」わざとらしく鼻歌など歌いながら、チョルの隣で水を出す。また上半身裸のチョルのことを思い出しているのだろうか。「男子はいいよねー暑い時も気楽に脱げてさぁ。教室でもすぐ脱ぐし窓脱いで・・じゃなくて窓開けてても・・」[こいつも冷やしてやろうか?]チョルがそう思っているその隣で、ミエが顔を洗い始める。チョルはミエのことを見ながら、先ほどのモ・ジンソプの言葉を思い出した。「よし、じゃあ友達記念に街で遊ぼーよ」「だね、ファン・ミエも一緒に・・」  ブルブルッミエの名...第七十三話④

  • 第七十三話③

    ダダダダダダ・・キム・チョルは再び走っていた。もう授業は始まっていたが、校庭を走っている。その彼の後ろを、ファン・ミエもまた走っていた。「うわああ〜!」「朝からこんなん聞いてないって〜!」結局、罰として運動場10周を言い渡されたチョルとミエ。ミエは名札忘れとその反省中に抜け出した罰で、チョルは服装違反で呼び止められたのに走り去って行った罰であろう。ミエは、自分の名札を付けていた”ヘッドフォンの男”を追いかけて行ったチョルに聞く。「ねぇ!あんたあの男子の顔見た?」「見てねぇ!」「見てないの!?あんなにマッハで走って行ったのに?!じゃあヘッドフォンとカバンがどんなんだったか・・」「覚えてねぇ!」「なんで覚えてないの〜?!」「見てねぇからだよ!!」そのチョルの剣幕に一瞬ミエはビクッとなったが、構わずチョルの後に...第七十三話③

  • 第七十三話②

    一方こちらはキム・チョルの朝。彼の部屋の窓には、「変態退散」がまだ貼ってある。ファン・ミエの変態疑惑は更に深まり、昨日は・・チョルは胸をドンドンと叩きながら、一人呟いた。「マジで変人じゃねーかよ・・」「ファン・ミエ!まともになってくれっ!」半分カーテンが開いた窓を見上げながら、チョルはそう口にしたが、彼女が顔を覗かせることはなかった。そしてチョルは、朝一番に「三角文具店」へと向かったのだった。放課後に訪ねたときの閑散とした雰囲気とは真逆の、ワイワイガヤガヤとした空気がそこにあった。店内は学生たちで溢れ、店主のおじさんはあっちこっちに呼ばれとても忙しそうである。「おじさーん」「はいよ、ちょっと待っててよ」「えーあんたも来てたのー」「え?名札?今日の放課後来てくれよ!」「おじさーん」「ねぇおじさーんこれいくら...第七十三話②

  • 第七十三話①

    未だ風紀検査は続いていた。ミエは下を向きながら、先生の説教を聞いている。「お前、カバン開けてみろ」「あ、先生ちょっと待って!」「早く!」なんて日だ・・!と思いながらミエは項垂れていた。身悶えしながら、いつの間にか首をぐるぐる動かしている。持ってきた日は検査なくて、なくなってから検査するじゃん・・あいつなんで名札持ってこないの?もう二日経ったんでは?変態だから名札くれなくなった?だめじゃんあいつめ・・ふと、目の端にブレた自分の苗字が目に入った気がした。その名札は、とある男子生徒の胸に掛かっている。ミエはまだ下を向いていた。しかし瞼の裏にある残像が、「ちょっと待って」とミエに知らせる。そして数秒後、顔を上げた。名札をつけていた男子は、ヘッドフォンをしていた。肩が凝っているのか首をコキコキと鳴らしながら、そのま...第七十三話①

  • 第七十二話④

    しばしソラは沈黙していたが、やがてミエから目を逸らさずにこう言った。「ねぇ、私と一緒に勉強したいってこと?」「うん!」喜んで返事をしたミエに、ソラは手をおいでおいでとひらひらさせた。ミエは首を傾げながらソラに近づく。コソッ「え?」ミエが目を丸くして聞き返そうとした時、ドアがキイッと開いた。「あ、二人もう来てたんだ」「ミエ、早いね」「あ、ジョンウク」パク・ジョンウクたちがゾロゾロと教室に入って来た。ジョンウクの後ろにいるキム・チョルは、不穏なオーラをまといながらミエを睨んでいる。ヒィィィ!青くなるミエを見て、ホンギュが「なんだ?どーした豆子」と聞くも、ミエは答えなかった。ジョンウクはジョン・ソラにも声を掛ける。「ソラ、君も早いんだね。二人ちょっと仲良くなったみたいだね」声を掛けられてもツンとしているソラ。ホ...第七十二話④

  • 第七十二話③

    その日家に帰ってから、ミエは泣きながら母親に訴えた。「お母さん!私今日塾行かないからーーっ!キム・チョルにコテンパンにされるー!」「はぁ?」母はそう言った後、ミエに鉄槌を食らわせた・・。 プシュゥゥゥ・・頭に出来たたんこぶと、引っ張られ伸びた耳たぶをさすりながら、ミエは涙目でこう思う。「本当に私は実の娘なの?たまに分からなくなるんだけど・・」プリントを出しながら、ミエはチラッと右方向に目をやった。そこにいるのはジョン・ソラなのだが、なんと目が合ってしまった。ビクッ「何見てんのよ」[ファン・ミエにはあまり怖いものはないが]「え・・いえ・・見てませんケド・・」[この子は・・ちょっと怖い]そして今この部屋で、二人きりという状況である——・・! <突発的な状況> えーっなんで二人きりなの?!「ちょっと、うるさいん...第七十二話③

  • 第七十二話②

    チョルとミエが追いかけっこ(?)をしている頃、こちら高句麗中学では・・・休憩時間に、男子生徒が数名でガヤガヤと歩いていた。すると彼らの前に、スッと一人の男性生徒が飛び込んでくる。「よぉ!イ・インウク!」「うわっ!」ドサッ!男子生徒が足を出したせいで、イ・インウクは派手に転んでしまった。「あれ?」「げっ」「おいインウク・・大丈夫か?」インウクは足を出した張本人、ベ・ホンギュに向かって声を荒げた。「おい何すんだこの野郎・・!」「あ〜ごめんな〜。ちょっと強すぎたか?さ、捕まれよ」そしてホンギュがインウクに嫌がらせをするのは、これが初めてではないらしい。「おいベ・ホンギュ!これで何回目だよ?!マジで死にてぇのか?!」「おいおい!」「離せ!今日は逃さねぇぞ!」「おお?」「インウク、やめろって」「え?どーしたんだよ、...第七十二話②

  • 第七十二話①

    辺りはしんと静まり返っていた。ここは化学室のある、あまり人通りのない校舎の一角。そんな場所でファン・ミエは、キム・チョルから壁ドンの体勢を取られ、身動きが出来ずにいた。「どうした?」「ほら、言ってみろよ、あ?」チョルが目の前にいるこの状況に、ミエは自分が「変態」呼ばわりされていることも忘れて、ただ目を丸くして固まっていた。「そんでお前は何を見たって?」チョルからの質問など耳に入らず、ミエはトッポギを食べながらチソンが口にした言葉を思い出していた。「大魔王はアリじゃね?」そして両親が言った言葉も。「チョル君?」「チョル君はイケメンでしょう!」同級生から”アリ”で、親からは”イケメン”評価のチョルが、目の前数十センチのところにいる。「なんだ?」そしてミエの頭の中では、チャ・ヨンヒの言葉が蘇った。「キム・チョル...第七十二話①

  • おまけ漫画④(スピーキングマックス)

    久しぶりのおまけ漫画です!お楽しみください〜「あーマジで英語つまんないや・・こんなに勉強してもどうせ一言も話せないし、やる気が出ないよー。あー塾代がもったいない」「どーすればやる気になんのかなー・・ん?」「ペラペラペラ」「えっ何?!いま英語で話してなかった?!宿題あったっけ?」「え?いや、これは自学してんだ」「スピーキングすんなら、絶対に真似しながら話さねーと。金も稼げるしモチベーションも上がるぞ。俺は今月11万ウォン稼いだ」「えっ!なにそれ!?私にも教えて!」「スピーキングマックス・お金を稼ぐ英語!英語を真似して話すと、点数によってコインが貯まって、あとで現金に払い戻せんだ。面倒なミッションとかなしに、一日15分ずつ地道にやれば、お前のパン代はすぐに稼げるだろーな」「そのまま真似すればいいってこと!?」...おまけ漫画④(スピーキングマックス)

  • 第七十一話⑤

    ミエは今日、ようやくチョルと目が合った。 <クラクラ>まるで時が止まったかのように、まるで世界に二人だけしか存在しないかのように、チョルとミエは互いに目を見合わせていた。ミエが、今の状況に気が付くまでは。ゆっくりとミエの視線が、チョルの顔から腹に落ちる。その視線を辿って、チョルもまた今の状況に気がついた。ドドン!チョルの引き締まった腹が見えている!それに気づいたチョルの目は吊り上がり、それを見ていたミエも「しまった」という顔をした。バッ!と即座に腹を隠すチョル。この変人が!と表情で感情を訴えてくる。「あ・・いや・・違・・」「違う違う違う!!」ミエ、必死の弁解も虚しく、遂にチョルはミエを・・変態変態・・・・・”変態”認定したのだった・・。掠れた声で弁解を試みるも、友人たちすらミエの明け透けな表情をからかって...第七十一話⑤

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