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ブログタイトル
青リンゴ観察日記
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/1225greenapple
ブログ紹介文
韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。<br>*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*<br>
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2020/12/28
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Yukkanenさんの新着記事

1件〜100件

  • 第四十七話②

    ミエはジョンウクとともに塾に入った。教室では不本意なベ・ホンギュがミエに悪態を吐く。「何見てんだよ。ったくジョンウクのお節介め・・なんだよそのジトっとした目つきは」[前回はホンギュの意見が通ったので、今回はジョンウクの意見が通ったらしい][キム・チョルは・・]「・・ファン・ミエが来たいって言うなら」[実質、今回はジョンウクサイド]ミエはその結果を頼もしく受け止めた。ホンギュじゃなくて私の味方になってくれた!私だってもう友達だもんね〜!少々オーバーな思考ではあったが、チョルが受け入れてくれたことは何よりも嬉しい。しかしミエには、もう少し願望があった。どうせなら他の子達とも一緒に行きたいなぁこの前みんなで集まった時、宿題は嫌だったけど楽しかったもん塾の屋上で、みんなでワイワイと勉強した時の場面が蘇った。あんな風にみ...第四十七話②

  • 第四十七話①

    「明日、一緒に勉強するか?」突然のチョルからの申し出に、ミエは口をポカンと開けて固まった。明日は土曜日。学校も塾もないその日に、チョルから一緒に勉強しないかと誘われた——・・。 <とりあえずリザベーションから> 「明日?」「一緒に?」「あんたと私が?」とてもじゃないが信じられないミエは、くどいくらいに確認した。チョルが口を開く。「いや——・・」「ううん、俺らと」すると二人の間に、パク・ジョンウクがするりと入って来た。ジョンウクは明日の件について説明する。「俺達、土曜日に集まって勉強してるって言ったろ?」元々ジョンウクは、勉強会にミエを呼ぶことに賛成し、「学校でミエに聞いてみて」とチョルに言っていた。(ホンギュは反対し、「俺は嫌じゃ〜!」と言っていたが・・) 「中間テスト間近だし、俺が昨日ミエも来れるならおいでっ...第四十七話①

  • 第四十六話④

    翌日登校しながら、ミエは心に決めた。このままじゃダメだ、ファン・ミエ!お礼言わなきゃ!そんで謝るんだ!難しいことじゃない!キム・チョルに今までのことを謝って、ありがとうを伝えなければならないのだ。意気込んだミエが歩いていると、不意に声を掛けられた。「おはよ」「約束、忘れないでね」モ・ジンソプは小さな声で、そっとミエの耳元に囁く。土曜日、モ・ジンソプの英語の宿題を見る約束のリマインドだ。ミエは頷き、小さくOKサインを送った。   クラスに入ると、隣のキム・チョルとバチッと目が合った。今しかない。言うんだ!「・・おっ・・おはっ・・」すると次の瞬間、脳裏にあの時の恥ずべき映像が再生された。バババッ!途端に下を向き沈黙したミエのことを、しばらくキム・チョルは見ていた。が、ほどなくしてチョルは前を向いてしまった。ミエの視...第四十六話④

  • 第四十六話③

    インソールは、無事(?)ゴミ箱行きとなった。しかしミエの気持ちはなかなか浮上しそうにない。「ノートどうぞ〜」帰り道でもらったノートには、「この道は簡単じゃない」と書かれている。最高学院、ユンヒたちが通っている塾の宣伝だ。 人生は簡単じゃない。それを痛感しているファン・ミエは、涙目になって自宅へと戻る。もうこのまま全てを忘れてしまいたい、そう思っても、脳みそは意地悪であのシーンばかり再生する。あまつさえこのシーンとか・・。「これのことか?」「わーっ!!」このシーンとか・・。「ぎゃーーっ!!」ついでにこことか・・。「うわーーーっ!!」うわああああ!!恥ずかしさのあまり布団を殴っていたミエの部屋に、両親が現れこう言った。「ミエ、私ら今からおばあちゃん家行くけど・・」「わっ!私もいくっ!」「私も私も私も!」「え?あんた...第四十六話③

  • 第四十六話②

    掃除が始まっても、ミエの気持ちは晴れるどころかますます沈んでいく様だった。下を向いていると、目に入る自分の足・・。すぐにフラッシュバックする、先ほどの失態・・!上履きに上げ底を敷いていたのを、一番見られたくない人に見られた。ただじっと、ミエの方を見ていたチョル・・。恥ずかしさのあまりミエは体を捻った。こうでもしてないととても耐えきれない。すると。    「何やってんだ」「わあっ!!」突然、キム・チョルが現れた。普通に会話しようとしてくる。「なぁ、お前・・」「うわわあああ」ミエはチョルから逃げようと、急激に向きを変えた。すると踏み出した地面は水で濡れていて———・・・ツルッへっ?!「チョル、いやキム・・!!」チョルの名前を口にして、必死に手を伸ばすミエ。ドサッチョルはミエに向かって手を伸ばしたが、間に合わなかった...第四十六話②

  • 第四十六話①

    ミエたちの順番が終わっても、発表はまだ続いていた。前を向いていたチョルだが、チラリと隣を見る。ミエはノートを取っているフリをして、机に突っ伏していた。見ないふりをするわけにもいかず、どうしても気になってしまう・・。 チョルはノートに、ミエへのメッセージを書こうとした。けれどすぐに消してしまう。 また書こうとするも・・サラサラやはり止めてしまった。グシャッけれどやはりペンは動いた。チョルはミエへのメッセージを書いたノートを、そっと隣の席へ寄せる。下を向いていたミエが、ビクッと体を震わせた。バッ!ミエはチョルからの筆談を見もせずに、ノートをチョルの方へ押し返した。そしてますます、殻を閉ざしてしまったのだ。・・?初めて見るその態度に、チョルは驚いて目を丸くした。ミエがここまで落ち込む理由が、いまいちチョルには分からな...第四十六話①

  • 第四十五話④

    「これで発表を終わります!ありがとうございました!」これにてチョルとミエの発表は終わりを迎えた。チョルに向かってサムズアップをするミエと、「あ、ハイ」と塩対応のチョル・・。そして二人は教壇を離れた。大したことないじゃん、とミエは思う。[序盤だけ笑われたけど無事に終わった] その時だった。モタッズルッ自分の足につまずき、上履きが脱げてしまったのだ。あっ、と思ったがもう遅かった。チョルはそれをバッチシ見てしまっていた。その、”上げ底”が入ったシークレット上履きの秘密を。[あ・・][あっ・・]チョルはその上履きの”秘密”を目にして、その後視線をファン・ミエに寄越した。それは一瞬のことだったのだが、ミエには永遠の長さに感じられた。「あ・・その・・」冷や汗なのか脂汗なのかわからない汗が、滝のように流れていく。ミエが固まっ...第四十五話④

  • 第四十五話③

    遂に、発表当日を迎えた。 <誰もうちらをからかえないよ>ミエは気合を入れて上履きを直した。少し目線が高くなった気がする。発表は1組から順に始まった。「子供の教育において、まず自ら勉強した後・・」「彼は近代教育の父であると同時に・・」最初は静かに聞いていたクラスメイトたちも、段々と退屈になってきたようだ。あくびをしたり、頬杖をついて聞く子もいる。「みんな同じような発表だな」「次の組!」の合図で、スッとミエは立ち上がった。バサッふむっ「みなさんこんにちは!17組!」「5番キム・チョル・・」「40番ファン・ミエです!」蚊の鳴くような声のチョルと威勢の良いミエのコンビは、どう見てもチグハグだった。けれどそんな二人が興味深いのか、クラスメイトは全員ミエたちのことをじっと見ている。”チョルとミエ”だ、という声がどこからか聞...第四十五話③

  • 第四十五話②

    その日の塾も終わり、塾生たちは皆外へ出てきた。ジョハンは、キョロキョロとミエを探していた。「おい!ファン・・」「おい」しかしタッチの差でキム・チョルがファン・ミエを呼び止めた。ジョハンは「キム・チョルは怖い」と言って退散する。「ん?どした?」「あの・・」しかし呼び止めたものの、なんと言っていいのか分からなかった。ぎこちない表情でチョルは固まる。「なんでもない」「へ?」「なんだよぉ〜気になるじゃん!」そんなキムチョルの姿を、パク・ジョンウクはじっと見つめる・・。「もしかして明日の発表、緊張してんのかな」ミエはそう解釈して、家に帰ってから発表の練習をすることに決めた。  ・・が、その前にそういえば英語の宿題をしてないことを思い出し、ソッコーでやっつけた。やってなきゃ教えられるもんも教えられないもんねモ・ジンソプに英...第四十五話②

  • 第四十五話①

       キム・チョルがサッカーの二試合目を打診している頃、ミエはと言うと・・。  昼間、身体測定の時にからかって来た男子に向かって想像の中で拳を固めているところに、モ・ジンソプと遭遇した。はっ!!モ・ジンソプはミエをじっと見ていたかと思うと、突然パッと笑顔になって挨拶した。「どーも」ミエは「ひいっ」と息を飲んだ後、ペラペラと早口で捲し立てる。「どっどーも!いま帰り?髪、サッパリ・・いやかっこよくなったんじゃない?!」「うん、誰かさんのおかげで・・・いや君もパッツ・・いや、いい感じに切ったね」 「そんじゃね〜」 一刻も早くこの場から去りたいミエと、その逃げ道を塞ぐジンソプ。ニコリと笑う彼の背後から、金色の光が差している・・・。「ははは・・」私は・・私は悪くない・・! 本当に客観的に見ても、私はいっこも間違ってない!...第四十五話①

  • 第四十四話④

    その日の授業が終わり、ミエはユンヒと手を振り合って別れた。「うちら今日早く塾行くわ。今度遊ぼー」「うん!バイバイ!」「昼間のこと気にすんなよ!」「あんなやつそうそう会わないし!気にしないって!」ミエはハッと笑いながらユンヒにそう言って、鼻歌を歌いながら道路を歩いた。 ”気にしない”その言葉とは裏腹に、胸がぎゅっと締め付けられる。今日の出来事が引き金になって、時に晒されてきた心ない言葉が浮かび上がった。「小人!」「まじチッセー」「小学生?」「一年生?」 「キム・チョルの横にいるから・・」「くっ・・!!」ミエは胸に溜まった鬱憤を晴らすように、腕を大きく振りながらこう叫んだ。「そうですか!そんなにあんたら偉いんですか!?同情するなら金をくれっての!!みんな転べ!痔になれっ!」 「学年主任にバリカンで頭刈られろーっ!!...第四十四話④

  • 第四十四話③

    ミエは思わず耳を疑った。まるで知らない男子から、あからさまに悪口を言われたのだ。 <悪党退治> はっミエはキム・チョルの手前一瞬恥ずかしさを感じたが、瞬時に男子に言い返した。「なんなのあんた?!誰?!突然・・」「は?何見てんの?クソチビが」その男子は謝るどころか居丈高な態度でそう言った。ミエの怒りが爆発する。「はぁ?!」  「あんた何・・・?!」「しーっ、やめな」「やめなって!あの人ちょっと危ないから」食ってかかろうとするミエを、ユンヒたちが必死に止めた。男子はうざったそうにミエらを睨む。「は?うるっせ・・」しかしこの男子以上に強い視線を送っている男がいた。ミエの後方にいるキム・チョルである。ビクッチョルの厳しい目つきに男子はたじろいだ。少々動揺しながらチョルに言う。「なんだよ、何睨んでんだよ。お前のことは何も...第四十四話③

  • 第四十四話②

    生徒たちはジャージに着替え、身体測定が始まった。身長、体重、体力測定、採血なんてのもある。そんな中、憂鬱な顔をしたこの人は・・。トンッ「キム・チョル、18Xcm」チョルの身長を聞いたみんなのどよめきが広がった。チョルは(くそっまた伸びた)と思いながら、早足でそこから離れる。ミエはというと、やはりチョルの身長を耳にして驚きが隠せないようだ。「うわー大きいね」「あんなに大きいからサッカーも上手いんだろうね」「この前、試合出てんの見た?」「はい次の人ー」なんであんなに背が高いの? とにかく一緒に発表するんだから、私は1センチでも大きい方がいい!私もう中三だもん〜〜!祈るように目を瞑りながら、ミエは身長計に乗った。「腰真っ直ぐに伸ばして」トンッ「ファン・ミエ150・Xcm」ミエの身長を聞いて、友人たちがミエの周りに集ま...第四十四話②

  • 第四十四話①

    ファン・ミエを追って路地を曲がったはずが、そこにいたのはキム・チョルだった。モジンソプはキツネにつままれたような顔をしながら、思わずチョルの顔をじっと見る。 <日が西から> 「なんだ、キム・チョルじゃん。びっくりした」「おはよー。あ、俺用事があって先・・」そう言ってチョルの前に出ようとしたモ・ジンソプだったが、キム・チョルはモ・ジンソプの行手を阻んだ。「お?おお?」「あ、すまん。足絡まった」モ・ジンソプがチョルの足止めを食らっている間に、いつの間にかそこには誰もいない。モ・ジンソプは面白くなくなって息を吐いた。「なーんだよ・・もういいや、一緒に学校行こ」コク・・嫌がると思ったが素直にうなづいたチョルを見て、モ・ジンソプは意外そうな顔をした。そして二人は連れ立って学校へと向かう。 <気が引ける>歩きながら、モ・ジ...第四十四話①

  • 第四十三話④

    翌朝。スッキリしたファン・ミエが、早朝からチョルの家を訪ねて来た。「おはよ!今日発表準備するって決めた日だよね?!」「ちょっとお邪魔するよ!?早くやってしまお!」チョルは前髪をぱっつんに切ったミエを見てヘルメットを連想したが、特に何も言わずに部屋に通す。宿題を前回はファン家でやったので、今回はキム家で、ということらしい。「おはようございます!」「宿題しにきたの?あら髪切ったのね。かわいいわぁ」「ありがとうございまっす!」「あとで果物剥いてあげるわね」 二人はチョルの部屋で発表のリハーサルをすることにした。プリントを持ちながら、教壇の前に立ったつもりで。「こんにちは、私たちは・・7・・7番キム・チョルと、40番ファン・ミエです」 ミエは改めてチョルに聞いてみた。「あんた・・マジで身長どのくらいあんの?めっちゃから...第四十三話④

  • 第四十三話③

    「おはよう、ファン・ミエ」モ・ジンソプから挨拶をされたミエは、終始下を向いて顔が見えないようにしていた。明かに不自然である。「ん・・ん〜?んんん・・・」ミエの異変を目にしたチョルは、改めてモ・ジンソプの方を見た。モ・ジンソプは変わらぬ態度で、チョルに挨拶をする。「あぁ、おはよキム・チョル。二人して引っかかったの?ちゃんと揃えてなきゃ〜。あ、ていうか髪切ったんだけどどう?似合ってるかな?」「なぁ、ファン・ミエ」急に話を振られたミエは、ビクッと身を竦ませた。やはり目も合わせない。「んん?んー・・んん・・」たまらず、キム・チョルが口を開く。「お前何・・」「おいっ!!」するとそこを、教師に見られた。大声で呼び止められ、こっちに来る。「そこ何してる!離れろ!」「おっと、それじゃまたね!」そしてモ・ジンソプは、教師と連れ立...第四十三話③

  • 第四十三話②

    爽やかな朝の空気とは裏腹に、キム・チョルの周りには悶々とした空気が漂っていた。[キム・チョル16歳][誰に向かって冷たいと言ってんだ][全く呆れる]キム・チョルの心の中は、ミエへの不満でモヤモヤしていた。そんなチョルは、いまだにミエがどうしてサッカーを見たがったのかいまいちよく分かっていないのだった。[そもそもサッカーするだの見るだの、大騒ぎしてたのはどっちだよ]「おー!」[元々出る予定のない試合に出たのが気に食わないのか?] 「ともー!ん?!友よ〜!一緒に行こー!」  後ろからミエが声を掛けていたが、チョルはイヤホンをしているので聞こえない。[”友達”としてやれるだけやったぞ][これ以上どうしろって言うんだ?] 「聞こえないのかな!?足早いし!」もうサッカーはこれで終わりだ [終了!]  その時チョルは、「お...第四十三話②

  • 第四十三話①

    塾へ向かうバスの中で、ミエは未だ呆然としていた。予期せぬトラブルに巻き込まれて、楽しみにしていたキム・チョルの勇姿を見逃したからである。なんであんなに早く終わったの?何分くらいやってたの?テレビではもっと長くやってたよね??今日も混乱する16歳。ミエはプンプン起こりながら、塾の階段を上った。「てかなんでよりによってあの時にぃ〜!せっかくのチャンスだったのにさぁ〜!」おっミエは、ヘアピンが目に留まった。鏡を見ながら前髪を触る。するとそこに、チャ・ヨンヒが現れた。「そっちじゃなくてこっちじゃね?」「ユン・・ヨンヒ!これ?」「うん、それ」ヨンヒはミエに似合うピンを選び、チューインガムを膨らませる。「うん、かわいーじゃん。似合ってる」喜ぶミエの隣に、キム・チョルが通りがかった。ヨンヒが声を掛ける。「ねぇ、どう?いい感じ...第四十三話①

  • 第四十二話⑤

    チョルの参加するサッカーの試合が始まった頃、ファン・ミエはというと・・。「違うんですって〜〜!!」「カツアゲしてたんじゃなくて!!貸してたものを返してもらおうとして!!おい!お前からも説明しろよ!!」  職員室にて、先生に捕まっているところだった。 なぜ私はここにいるの、と言葉にならない声が出る。 「一体何が事実なの?ゴミは放り投げるし・・」と先生は呆れ顔だ。 先ほどの状況「お前500ウォン返せよ!俺のピアスも!」「へ?!嫌だし!何言ってんの?!」「出せってば!!」「あなたたち何してるの?!」 ・・というわけで、二人は職員室に連れてこられたのである。 「だからこの人が俺のお金と物を持ってて、返してくれないんですってば!」 「違います!この人にお金貸したことありませんけど!?ピアスだってこの人の方から勝手に・・」...第四十二話⑤

  • 第四十二話④

    放課後、校庭にぞくぞくと生徒達が集まってきた。彼らのお目当ては、もちろんこの人である。「あそこにいるじゃん」「マジでキム・チョルだ」囁く声が聞こえる中、チョルはチラと階段のあたりを窺った。だんだんとギャラリーが集まって来ていた。が、まだファン・ミエの姿はない。 チョルはそちらを見るのを止め、試合に集中することにした。今回の練習試合は3ゴールを先に決めた方が勝ち、という単純なルールだ。12組と2組のリーダー同士がジャンケンをする。  そしてその頃、ファン・ミエが何をしていたかというと・・・。    「うわあああ!」「もうみんな行ってるよね?!なんで急に捕まるかな〜〜?!」ゴミ袋を持って、全力疾走中であった。不運にも先ほど廊下で教師に声を掛けられ、用事を頼まれてしまったのだ。「あ、あなた湯沸室の掃除してゴミ捨てしと...第四十二話④

  • 第四十二話③

    ミエが混線電話に混乱している頃、チョルはホンギュらと共に歩いていた。「明日学校でサッカーすんだって?転校して初めてじゃね?」チョルは、いつの間にかサッカーの話題を口に出していたらしい。そして夜、自室でもチョルは、サッカーボールをドリブルしていた。知らぬうちに鼻歌まで口ずさみながら・・。  <意外な> 翌日、三年生の間では放課後のサッカーの話題で持ちきりだった。「大魔王練習試合出んだって!」「えっマジで?」「大魔王?キム・チョルのこと?」 「あいつサッカー上手いの?」「あそこ12組出てんじゃん」「へー突然どうしたんだろ」とりわけ皆の関心は、”サッカーの試合に初参戦する大魔王”である。そして、チョルが話題の中心になって面白くないのはこの男。あるシナリオを練って、ハン・ソンイに声を掛けた。「おいしかったよ、クッキー」...第四十二話③

  • 第四十二話②

    昼休みが終わり、チョルは教室へと戻って来た。[とにかく][これでいいだろ?]チョルは食べ終わったパンの袋を、ミエに見えるように持ち上げてみせた。ミエはそれを見て目を輝かせる。おおっ!食べた〜!食べたね! 嬉しそうに笑うミエの元に、チョルからのメッセージが届く。もう買ってくんなよ!めっちゃ甘かった・・と若干グロッキーなチョル。そして今度はミエがチョルにメッセージを書く。ぱっサッカー頑張って!!そこにはイラスト入りの、ミエの声援が書いてあった。明日の放課後、チョルが初参加する二組との練習試合があるのだ。もうこの辺にして授業聞けそのメッセージを見て、ミエが「分かった」と頷く。放課後が楽しみで、ミエは授業中大あくびだ・・。「ここはアフリカの草原か?あそこに一頭のライオンが・・」   <もしもし?>授業が全て終わると、チ...第四十二話②

  • 第四十二話①

    「宿題は順調?」小声ではあるが、ファン・ミエが学校で声をかけて来たことに驚いたチョル。なんとなく、普通に返事をしてしまった。「あ・・う・・ん」はっ気がつくと、ほとんどのクラスメートが自分たちの方を見ていた。チョルは思わずバッとミエから視線を外す。すると、後ろ席の男子がチョルの背中を指でトントンと叩く。「あのさ」「サッカーの予選、相手決まったよ。2組」「あ・・」「後で話そうね」その子はそう言いながら、チョルと、チョルと会話をしていたミエを交互にチラチラと見た。同時に先生が教室に入って来たので、チョルは前を向く。「はい、本開いてー」顔面蒼白なチョルは、急いでノートを取り出すとバババッと文字を書いた。”慌てんな!!!”それは”友人”になったものの、こんなにすぐに距離を詰められると思ってなかったチョルの最大の抗議だった...第四十二話①

  • 第四十一話④

    そしてまた朝がやって来た。チョルは今日も一人で通学路を歩いている。すると後ろから、小走りで近づいてくる人物がいた。”友人”ファン・ミエである。「おっはよ!良い天気だね!」「はい!どーぞ!」ミエはそう言ってあの因縁のクリームパンを差し出した。チョルは、ミエがなぜパンにこだわるのか分からない。「なんでまたこれ・・」「なんでかって?」友達だから!あげる!パン!”友達だから”という大義名分を手に入れたミエは、堂々とパンを差し出してくる。その引力に巻き込まれるように、チョルの頭の周りでパンが踊った。パンパンパンパンパン・・・まるで導かれるように、ミエのパンを受け取るチョル。そしてパン越しに手と手が繋がった瞬間、世界は光り輝いた———・・。やった〜!ミエはガッツポーズを決めると、固まっているチョルに念押しする。「食べたら中...第四十一話④

  • 第四十一話③

    青リンゴ塾に通うキムチョルらと共に、他の塾に通う高句麗中メンバーも加わり、サッカーが始まった。ベ・ホンギュが駆けて行く。キム・チョルはパク・ジョンウクと座りながら、少し話をしていた。「ミエちゃん、本当にサッカー見に来たそうだったぞ。連れてくればいいのに」「けど・・ややこしいだろ・・」下を向いてそう口にするチョルに、ジョンウクはこう言った。「すげー心配してんだな」「・・ちげーし!近所に住んでて親同士仲良いから・・ちょっとでもトラブルになると面倒だと思って・・」気恥ずかしさを誤魔化すようなチョルを見て、ジョンウクは数週間前のことを思い出した。  人気のない塾の階段で、二人で話した時のことを。「近くでガク・テウクに似た奴を見たんだ」「あいつはあいつの親父が、地方にある学校に行かせたんだろ」「・・とりあえずホンギュには...第四十一話③

  • 第四十一話②

    晴れてキム・チョルと”友達”になれたミエは、終始上機嫌であった。「そんじゃ後で塾でね!」いつもなら憂鬱な塾行きのバスも・・バスを降りて塾に向かうときも・・「運転手さんありがとうございました!」いつの間にか鼻歌まで歌う始末である。しかし・・。[とってもご機嫌なファン・ミエだけど、友達になれた喜びも束の間]ミエは中学三年生・・つまり受験生なのだった。[学生の本分は避けて通れない]「もうそろそろ中間テストの準備しましょうね」あれだけの宿題をこなしたのに、更に新プリント爆弾を投下されたミエは、目を白黒させていた。けれど勝算がないわけではない。中間テストは学校で習った部分だから大丈夫だけど・・厳しい目つきになるミエの視線の先には、”友達”となったキム・チョルが・・。ヨンヒが来たら一緒に勉強しようって誘ってみよっかな?友達...第四十一話②

  • 第四十一話①

    さて突然だが、ここでファン・ミエの根本的な疑問についておさらいしよう。[友達って何だろう?]”友達”というものについての考え方は、生まれた時からの環境によって左右されることが多々ある。[この町で育ったファン・ミエにとっては、友達作りは別段難しいものではなかった]「まぁ凛々しい坊ちゃんですわね」「娘ですの」(生まれた時からしっかりとした眉毛のファン・ミエは、男の子に間違えられることもあったようだ)[クラスメイトはいつも40人以上いて][気の合う子達と仲良くなって、喧嘩売ってくる子達もいたけど無視すれば良かったし]「よろしくね!」「よろしくー!ねぇファボ(ファイアーボーイズ)好き?」「うん!」「じゃあうちらもう友達ね」「うん!」今じゃ親友のユンヒとの始まりもこんな感じで、ミエは友達作りに関して特に不自由なく育ったの...第四十一話①

  • 第四十話④

    ザアアアアーー・・真っ暗になった部屋に、土砂降りの雨音が響く。少しだけ目が慣れてきたチョルは、先ほど落としてしまった電灯のネジを見つけた。そんな冷静なチョルと裏腹に、ミエは暗闇の中で右往左往している。「もーなんなの?またブレーカー落ちたかな?!ちょっと点けてくるね!」ガッ!!その拍子に、ミエは思い切りチョルの手を踏んでしまった。「あーっ!」そのチョルの叫び声で、ミエはもっとパニックになった。「ぎゃっ!?あんたどうして床に・・」ガンッ「あっ!また!」ドンッ!うっ、という呻き声と共に、二人の体勢が崩れた。ミエが咄嗟に叫ぶ。「ごめん!大丈夫?!」その時、雷が瞬いた。ピカッその一瞬の光の中で見えたのは、互いの顔。遠くで雷鳴が聞こえる。薄暗闇の中で二人は、吐息がかかりそうなほど近くにいた。 ザアアーーーー・・叩きつけるよ...第四十話④

  • 第四十話③

    半ば強引にファン家へと連れてこられたチョル。ミエの母は笑顔でこう言った。「それじゃお母さんはちょっと約束があるから行ってくるわね。冷蔵庫に果物あるからね。チョルくんは帰るときおかず持って帰ってね!」   ミエの母はそう言い残して、二人を残して出て行ってしまった。 バタンとドアが閉まる音を聴きながら、立ち尽くすチョルとミエ・・・。       <怒る必要ないじゃん> 相変わらずどんよりとした曇り空は続いて、まだ夕方だというのに既に暗い。  ミエはどうしようもなく気まずい思いで俯いていた。 来いって言われたからって本当に来るなんて・・ チラ、とチョルの方を見ると、チョルは無表情でミエを見下ろしている。  とにかくこうしていても仕方がない。 ミエは早速宿題について切り出すことにした。 「う・・」 「あの・・今宿題持っ...第四十話③

  • 第四十話②

    <優しい男> 昼休み、キム・チョルは化学室で一人勉強していた。次の授業が始まる時刻になり、チョルはそこを後にする。すると。化学室を出たところの階段に、ハン・ソンイが座っていた。目元に涙の跡がある。チョルはその顔にぎくっとし、思わずその場で固まった。その気配を感じたソンイが顔を上げる。「あっ・・いたんだ?こっちでよく会うね」慌てて目元を拭うソンイは、明らかに動揺しながらそう言った。チョルは何も言えずに、二人の間に沈黙が落ちる。何か言って誤魔化そうとも思ったが、ハン・ソンイの頭にふと一つの考えが浮かんだ。以前正門のあたりで、キム・チョルとモ・ジンソプが話していたのを思い出したのだ。「あの・・、モ・ジンソプ君と仲良いの・・?」真剣な表情でそう聞いたハンソンイは、渡せなかった自分の思いを、チョルに預けることにした——。...第四十話②

  • 第四十話①

    <かっこいい男>  お昼休みになり、ミエは売店の行き道を小走りしていた。発表・・発表・・頭の中は、宿題の発表のことでいっぱいだ。発表・・!すると校庭の方からボールを蹴る音と男子たちの声が聞こえる。「止めろ!」「止めろ止めろ!」男子たちのサッカーを見ているうちに、今度はミエの頭の中はサッカー一色になってしまった。サッカーサッカーサッカー・・!頭の中でサッカーをしているのはもちろんキム・チョルだ。しかし今校庭でサッカーをしているのは、学年一”かっこいい男”である。高い身長、端正な顔立ち、そしてサッカーも上手いらしい。「ゴール!」華麗にゴールを決めて、その男は口元を緩めた。彼の名はモ・ジンソプ。「きゃーっ!」「モ・ジンソプくん頑張ってーっ!」流石はプレイボーイ、応援席からは女子たちからの黄色い声援が届いていた。が、ミ...第四十話①

  • 第三十九話⑤

    体育が終わり、休み時間に入った時のことだった。「あの・・」声を掛けられたキム・チョルが振り返ると、そこには後ろの席の男子が立っていた。以前サッカークラブに一緒に入らないかと誘われたことがある。そのことが顔に出ていたのか、彼は最初に前置きをして話し始めた。「あ・・サッカークラブの勧誘じゃなくて・・・。体育大会のクラス対抗サッカーあるだろ?あの試合の前に予選をやるんだけど・・もし良かったら・・」しかしチョルは再び同じような話だと感じ、いつもの調子で反射的に返してしまった。「いや、なんで度々・・」「ひっ・・え?あ・・」チョルの表情を見て、彼はチョルが怒ったと思ってビクッとした。すると少し離れた席から、聞き慣れた大きな声がした。「あっ!!」「あ〜まだ蚊がいるぅ?」「蚊?」「おでこを・・いや、」「眉間噛まれたかなぁ〜?」...第三十九話⑤

  • 第三十九話④

    その日の夜も、ミエはイラつき、チョルは押し黙っていた。知らん!自分でやる!どちらも引くに引けない状態のまま、再び二人は朝を迎える・・。 <ディスるのは自分だけ>学校にて、お菓子を食べながらユンヒやチソンらがグチを言っていた。「道徳の宿題進んでる〜?」「あーもう新聞ってなんだよ〜」「なんでそんなことさせるかねーめんどー」たった一人、負のオーラを出しているファン・ミエを除いて・・。「アンタ・・大魔王と宿題うまくやってんの?」「イイエ・・」「まーそうだろうとは思ってたけど・・アンタまさか一人でやるんじゃないでしょうね?」 「いや・・」「そんじゃどーすんの?」 ミエ達が話していると、以前パンを盗み食いした男子が半笑いでこう言った。 「ふざけて殴られなきゃいいな? つーかすでに一発殴られたんじゃね?顔と足のアザはそういう...第三十九話④

  • 第三十九話③

    完全決別したかのように見える、チョルとミエ。下校中も目も合わせない。 授業中も・・登校中も・・塾でも・・休日も・・「ミエ、チョルくん達と夕飯食べに行かない?」「行かないっ!」[けれど、どんなに真剣に怒っていたとしても] 私マジで怒ってるから!先に謝ってよ!何をやらかしたのかも分かってないでしょ?!たった一人で宿題やってみろっての!  つーかサッカーでなんであんな騒ぐんだ?!興味もねーくせに!なんなんだ?!なんなんだよっ!?散歩中も・・「ムンクッ!ばっちいよ!あーばっちいばっちい!」そして・・ ピンポーン玄関のドアを開けると、そこにはおかずの配達に駆り出されたチョルが立っていた。[本当に気味が悪いくらいに]「おばさんにありがとうって伝えてくだっさい!」[どうしてこんなに出くわすの?!]関係が険悪になった今、二人の...第三十九話③

  • 第三十九話②

    チョル宛の”あっかんべー”レターを持って、スンジョン姉さんがお帰りです。「なんでミエと喧嘩してんのよ〜仲良くしなよぉ!」姉さんはついでに宿題伝達の使命も請け負って帰って来た。チョルはそれを引ったくりながら、怒りマークを顔に浮かべて声を上げる。「喧嘩とかじゃねぇ!元々そういう関係じゃねーんだって!頼むからくっつけよーとすんな!」「へーへー」姉はそう適当に相槌を打って、昔の二人を思い出してこう言った。「そういえば、田舎じゃ最初の日から帰る日まで大声出して逃げ回って喧嘩してたっけね」「結局4日間ずっと一緒にいたんじゃない?」「あいつに一方的に追っかけ回されたんだよ!」「へーへーそうでっか〜」スンジョン姉はそう言って笑い、さらにこんなことをする。「お手を拝借〜」「コ・ン・ビ〜!それ!」「コ・ン・ビ?」姉がそう言った瞬間...第三十九話②

  • 第三十九話①

    朝礼が終わり、授業が始まった。1時間目は英語。「Thatsoundslikeagreatdream、ここのライクはどういった用法でしょう?」 「好き、という意味ではなく、〜のようなといった意味です。  ここが分からない人はもういませんね?」  [モヤモヤ〜][モヤモヤ〜]  二人は明らかに不機嫌のオーラを発していた。 先生は文法について説明を続けているが、果たしてそれも聞いているのかいないのか・・。      <みんな正気じゃない>  実は二人がこんなにも不機嫌なのには理由があった。 というのも、前日—— ミエがブチ切れて捨て台詞を吐いたあの後だ。 「無理矢理いい人ぶるんじゃないよ!!」 「いい人ぶるって・・いつ俺が・・どうして・・」  チョルは苛立ちながら、もうあんな奴知らんと苛立ちを隠せなかった。 けれど脳...第三十九話①

  • 第三十八話④

    ミエがブチ切れた一夜が明け、再び朝がやってきた。「行ってきます」キムチョルは通学路を一人歩いていた。モヤモヤとした気持ちを抱えて。ドドド・・すると後ろから、歩幅の小さな足音が聞こえてきた。「おはよ!いい天気だね!見て見て!不思議でしょ!」そう言いながらミエが見せたのは、まるであっかんべーのような仕草だった。舌が鼻につくよぉ〜?不思議でしょお〜?その明らかな悪意ある挑発に、チョルはイラついて彼女のリュックを掴んで振り回す。「なんなんだよこの変人!何が不満なんだ?!言いたいことがあんなら言えよ!」「放せっ!放せーっ!」ん?ちょっと楽しいぞ?抵抗していたミエだったが、振り回されるのがちょっと楽しいことに気づくwすると路地の向こうに、見覚えのある後ろ姿が見えた。色素の薄い髪、その背の高い後ろ姿を見て、ミエはハッと息を飲...第三十八話④

  • 第三十八話③

    サッカーを見に行きたいミエと、NOと言い続けるチョルの話し合いは平行線。 <アンタはデリカシーが足りない> [実は・・ファン・ミエの頭の中では][沢山の言葉が高速で通り過ぎて行ったけれど]ヤンキー達みんながみんなカツアゲしたり殴ったりするわけじゃないのにどこもそういうわけじゃないだろうし、危険な区域に近づかなきゃいいんじゃないの?バス代は絶対もらうってことにすればいいし、何人もいるんだからよくない?[けど本人はどうしても気になるっぽいから]負担をかけないこと〜〜!!”キム・チョルと本当の友達プロジェクト”が、ミエの本音を押し留めた。「そっか・・」しょうがないね!  チョルはそれ以上続ける言葉がなく、下を向くミエをちらと見てみる。 何かを言いたくて我慢しているミエの口元が目に入った。 チョルは気になっていたことを...第三十八話③

  • 第三十八話②

    放心状態でバスから降りたミエは、そのまま家に帰ることがどうしても出来なかった。キム・チョルが自転車で帰ってくるのを、家の前で待つ。見るからにしょんぼりしたファン・ミエが、自分の到着を待っていた。チョルは一つ息を吐くと、自転車を傍に止める。  ミエは、心配していたことを一気に捲し立てた。「もしかして・・」「アンタに何も言わずに宿題とサッカー教えてもらったりしたから、気分悪くした・・?絶対さっきアンタ何かはぐらかしてたよね?どうしたって状況が・・」 「アンタが解説紙持ってきてくれた時は、もうほぼほぼ解き終わってたから・・ジョハンのノートもあったし、宿題とそれにサッカーも習ってたし・・」「・・関係ない」「よかった・・」ミエはそれを聞いて安堵の息を吐いたが、少し引っかかって微妙な気分になった。・・”関係ない”?宿題のこ...第三十八話②

  • 第三十八話①

    ミエはこれまでの出来事を、かいつまんでチョルに説明した。「・・ていうわけなの」 それを聞いてホンギュもジョンウクも笑っている。はははっ!少しバツの悪い表情をしているミエと、まだ驚きを隠せないチョル。広げられたノート、みんなでやっている宿題、転がったサッカーボール。そして、バラバラだった塾の面々が、どこか気安い空気の中で一緒に居る状況・・。「・・・・」チョルはホンギュに聞いてみた。「これ全部・・サッカー教えてる一環ってのか?」「俺は頼まれたからやってるだけ!」「ミエが宿題終わってからサプライズで言うって言ってたんだよ」「いや〜サッカーやったこともないのに突然割り込んだら、アンタとアンタの友達も嫌がるかもしんないって思ってさぁ・・。 あとサッカー、ある程度出来たらいいなと思って」 ミエはこの状況になった理由を説明し...第三十八話①

  • 第三十七話⑥

    宿題会も一段落した塾の屋上では、威勢の良いミエの叫び声が響いていた。「やぁ〜〜っ!!とおっ!やぁっ!!」 「取る!取るぞ〜〜!私ならできるーっ!」ベ・ホンギュのさばくボールを取ろうと奮闘するミエを、微笑ましそうに二人が見ている。じゃれ合ってんなー、とヨンヒが呟き、ジョンウクが静かに笑う。「シールももらって宿題も全部終わったからもう用無しってことなん?!アンタこんな風に生きてたらダメんなるよっ!? 私この先もっと上手になるかもしんないのに?!」必死に食らいつくミエだが、ホンギュは鼻で笑う。「いやーダメなもんはダメだって。お前は足だけは早いけど運動音痴・・」その時だった。バッ!不意にホンギュの足元からボールが掬われた。ミエは高らかに笑いながら、そのボールを掻っ攫う。「うわっ!待てっ・・!」「イエーーーーーッ!!!」...第三十七話⑥

  • 第三十七話⑤

    <ファン・ミエの事情③>あれよあれよという間に、宿題をする集まりは大人数になった。[それで、その後ずっと集まって宿題してたんだ]その顛末を、ミエはチョルに説明する。宿題をする会は、塾の屋上でも行われた。もはや公共財産となったジョハンのノートを中心に、皆がそれを見て宿題に取り組んだ。そして恒例のサッカー特訓教室も続いていた。ひとしきりボールを追いかけたミエが、ジョハンに聞く。「うちらさ、サッカーちょっと休んで先に宿題終わらせない?」「ダメだ・・!」「じょ、情熱がすごい・・」なぜだかジョハンがサッカーに燃えているので、仕方なくサッカー教室は続行・・。また塾に行って、宿題して、また校庭でサッカーして・・。「うわっ!ファン・ミエ!」ガンッ!そしてまた、屋上で宿題会。皆で問題を解いて、解説し合って、談笑し合った。「お前な...第三十七話⑤

  • 第三十七話④

    <ファン・ミエの事情②>晴れて生徒が二人となった、ベ・ホンギュによるサッカー特訓教室。空高く上がったボールに向かって、生徒であるファン・ミエとジョハンが走る。「ボール見ろ!ボール見て走れ!二人ともどこ見てる?!」「瞬発力死んでんなマジで!オメーは女子より飛べねーのか?!」オタオタとボールを追う二人に、遠慮のないホンギュのゲキが飛ぶ。「2対1なのにボール奪えねーのかよ!?」「おいっ!どこ蹴ってんだ!!」 [うちらめっちゃイジメられながら習ったけど、ホンギュもパンを・・いやシールを集めたかったみたいだから][思ったよりチョロい奴だったよね!]相変わらずサッカー特訓の授業料はパンについてるシールで、ジョハンが加わってからは彼が3枚献上した。そしてジョハンからの献上品はもう一つ・・。ジャジャーン![それにジョハンのノー...第三十七話④

  • 第三十七話③

    とにかくキムチョルに頼らず宿題を終わらせたいミエは、Sクラスの面々に手当たり次第頼むことにした。「ヨンヒ、一緒に宿題しよ?」ミエはホンギュから返されたパンを食べながら、まずはヨンヒに共に宿題をやろうと誘った。「適当に写せよ〜どうせ授業で全部習うんだからさぁ〜」が、ヨンヒはどうにもやる気がないようだ。続いて残るたった一人の女子、新羅中のあの子にもミエは声を掛ける。「ソラちゃん!ソラちゃんだよね?一緒に宿題・・」「嫌」  残る女子、ジョン・ソラには秒で断られてしまった。 [それでね、私女の子達と仲良くなりたんだけどうまく行かないんだ。 女の子、たった二人なのに] [そしてこの人は・・]「・・宿題?」[この人、名前なんだっけ?何を言ってるのかよく分かんなかったけど、とにかく嫌なんだと思う] 「宿題・・終焉・・忙しい・...第三十七話③

  • 第三十七話②

    <ファン・ミエの事情①>実はミエは心の中で、いつもキム・チョルに話し掛けている。[チョル、話があるの]それはチョルに秘密を持った時からずっとだ。例えば図書館に向かうために乗ったバスの中。「お前、塾の宿題・・量も多かったけど、難しくなかったか?」「ううう〜〜んそのぉ〜〜」 まさに今なんとかしてるとこぉ〜〜!・・とは言えずに、ミエは近況を心の中でチョルに話す。[ジョンウクに度々聞いてみてる。アンタの友達勉強も出来るし、本当に親切だよね。どこで仲良くなったの?あ、高句麗中か] 「・・それでc二乗は、a二乗とb二乗の和になるんだ」「うん、うん!」「もう分かった?」「うん!」チョルの友人、パク・ジョンウクはとっても親切に宿題を教えてくれた。「それじゃあこれ解いてみて」「うん!ありがとうジョンウク!」「いいえ」 親切すぎて...第三十七話②

  • 第三十七話①

    とある日の夜。ミエの部屋に入って来た母が、封筒を差し出す。「はい、これ塾の月謝」その封筒を見ながら、ミエはこう切り出した。「お母さん、お小遣い上げてくんない?」「えぇ?」「最近本当にどうしたの?!変なことしてるんじゃないでしょうね!?」「違うよ!ただ早く出て勉強してるから、 バス代も要るし塾の子達とおやつも買って食べるし・・普通に生活するのにお金が要るんだって!」 「なんで塾のバスじゃなくて普通のバスに乗るのよ!」 「とにかく!友達の中でも私が一番お小遣い少ないの!中三なんだからもうちょっと上げてよ!」 「高校に行ったらアップするって言ったわよね!?中学生のお金の使い道なんて!」 「いっぱいあるよ〜!?」  お小遣いについてぎゃあぎゃあと言い合う母と娘。一体どちらに軍配は上がるのか・・。「は〜〜〜〜」「これで最...第三十七話①

  • 第三十六話④

    <気になる少年>家に帰ってからも、チョルの胸の中のモヤモヤは濃くなるばかりであった。[キム・チョルは、このままやり過ごすつもりは全くなかった][この前までは、塾の宿題のことを隠していたからかもしれないけれど]他に何かあったか?答え渡すっつってんのになんで? いや、てかなんで隠すんだ?チョルを悩ませるのは根本的な疑問の部分である。学校の宿題一人でやるんなら、何のために先延ばしにするんだ?塾も、早く行ってんのに勉強してるわけでもねーし・・塾の宿題に関係ないことまで隠して、学校の宿題も先延ばしにする理由・・ミエはいつも塾には早く向かうが、塾の教室には授業に合わせて来る。何かをひた隠しているミエの本心を、チョルはここ最近の彼女の動向と示し合わせて想像する・・。  図書館に行った時に見せたミエの横顔は、いつしか学校の正門...第三十六話④

  • 第三十六話③

    左目の下の傷のみならず、膝下にアザまで作っているミエに、チョルは訝しげな視線を送っていた。 <通信を試みる> 授業が始まっても、気になってミエの方ばかり見ているチョル。 [どう見ても][転んだんじゃなくてぶつけてる・・]アザを隠すように足を組んでいたミエだったが、それを教師に注意されていた。「ファン・ミエ!足組むな!生意気に〜」ハッ・・のを気にして鼻歌で誤魔化しているらしいが、チョルの心の中ではこの疑問だけが膨れ上がる。・・こいつは何をやってるんだろう?「・・・・」チョルはふと思いつき、文字を書いたノートをミエの方に差し出す。”お前、本当に転んだのか?”しかしミエはそのメッセージそのものではなく、チョルが筆談をしたことに感動していた。アンタの方から筆談を・・?キラキラした目で自分を見るミエを目の前にして、調子が...第三十六話③

  • 第三十六話②

    翌日。授業の終了を知らせるチャイムが鳴る。何かを誤魔化し、チョルの元から逃げるファン・ミエ。違和感は拭えない。[その後、ファン・ミエは更に変だった]バババッ!ササーッ誰よりも早く身支度を済ませ、教室を出るミエ。チョルはぽかんと口を開けて彼女の残像を追う。 夕方になり、塾の開始時間が迫っていた。ファン・ミエは授業の前にトイレに寄った。小走りで教室へ向かう。バッタリふとそこで、二人が出くわした。思わず笑顔になるミエ。「あっ」しかしチョルの目に飛び込んで来たのは、ミエの左目の下にある傷だ。「顔どうした?」「えっ?!」「走ってたら転んじゃって!目立つ?」「転・・」「あっ、授業始まっちゃう!アンタも急ぎなよ!」ミエはそう言って、そのまま走って行ってしまった。違和感は拭えないどころか、謎は深まるばかりである。  すると塾の...第三十六話②

  • 第三十六話①

    ミエ母との会話を終え、チョルは帰宅し自室に入った。机の上に置いてあった解説紙が目に入る。胸の中が再びモヤモヤと曇った。もうこれ以上、振り回されるのはゴメンだ・・・・。 チョルはそれを持って、ミエの家へと向かう。まだ塾に行くには早い時刻だし、家にいるだろう。するとマンションの前で、走るミエと出会した。ドドドド、と凄い勢いで駆けて行く。!するとミエもまたチョルに気がついた。「あ!チョル・・キム・チョル!ヤッホー!今から行くの?」「ちょっと・・」「ん?」 「これ」そう言ってチョルはそれを差し出した。これを渡しさえすれば、もうこの胸のモヤモヤからは解放されるはずだ。「え?何?」「塾の宿題の解説」「え?!塾の?!解説?!」「俺はもう全部見たから、要るなら持ってってくれていいから」「これアンタが手に入れたの?!」「あぁ。要...第三十六話①

  • 第三十五話③

    冷や汗が一筋、チョルの頬を伝う。見られたくない自分の一面を、この子の前で見せてしまった——・・。ミエはカバンの紐を両手でギュッと掴みながら、この緊迫した空気の中口を開く。「あ・・行・・」「行こ!後ろから回って行こ」ミエは先ほどのことには言及せず、くるりと後ろを向いて歩き出した。チョルはそのことに困惑し、自分の方から口にする。「あ・・あれは・・あっちから絡んできて・・」 ミエは特に気に留めた様子もなく、再びチョルに背を向けて歩き出した。「分かってるよ〜大人達には言わないよ!」「あ・・」[キム・チョルは取るに足らないことだと思ってそう行動したのだが、 なかなか思うようにはいかなかった] 自分の行動ひとつが、他人を変えてしまうこともあることを、チョルは少しずつ学んでいく。 しかし、実はファン・ミエが何を思っていたかと...第三十五話③

  • 第三十五話②

    ミエは図書館の二階で、居なくなったキム・チョルを探しているところだった。どこ〜?!どこ行った〜?!しかしそこにはチョルは居ない。自販機の前で、大きなクモのせいで棒立ちになっているからである。来るな・・来るな・・!来るなーーっ!!「高句麗中、百済中の奴らもいるぜ。挨拶するか?あ、俺らは勉強しに来てんじゃねーよ?ここタバコ吸うのにいーんだよ」そうキム・チョルが願っていることなど露知らず、向かいの男は話し続けていた。けれどどんなに話を振ってもキム・チョルは返事をするどころか、 じっと固まったまま終始無言であった。「この中坊が!また俺一人で喋ってんじゃねーかよ!」痺れを切らせた男は思わず声を荒げてキム・チョルの肩を掴んだが、次の瞬間我に返った。「いや、これは・・」スッ・・男がよく見ると、キム・チョルはどこか様子がおかし...第三十五話②

  • 第三十五話①

    ダダダ・・ミエはチョルを置いて一人走った。二階から入り口辺りが見える窓に張り付き、モ・ジンソプ一行の動向を探る。・・が、そこには誰も居なかった。ミエは彼らが見える位置までヒョコヒョコと動き、窓の下を覗き込む。すると少し移動した場所で彼らを見つけた。彼らは少しの間その場所に留まっていたが、やがて図書館とは別の方向に歩き出した。ミエは安堵の息を吐く。・・が、なぜかその後彼らは再び戻って来ると、図書館に入って来るではないか。「!!」ミエは慌ててその場から移動する。なんなん?!なんで中に入って来るのー?!トイレ?!本借りに?一階?二階?彼らが直接見える階段の踊り場で、その動向を探るミエ。とりあえず上がっては来なさそうだな・・  ミエはそう判断し、一旦キム・チョルの元へと戻ることにした。もう一回チョルに動いてもらお!「キ...第三十五話①

  • 第三十四話④

    穏やかな表情のチョルを前にして、ミエは幾分驚いていた。こちらには気づかないチョルに声を掛けようと、ミエが手を上げたその時・・。「あ・・」「ちょっと!じっとしなさいってば!」前を歩いていた姉弟らしき子達が、しゃがみ込んだ弟に向かって声を荒げる。「お母さんに言うよ!ちょっとこいつ捕まえて!」「捕まえてるって!」「放せよーっ!』その時、キム・チョルは口元に笑みを含ませていたが、ようやくミエに気がつくと、いつもの彼に戻った。ミエは上げた手のやり場に困りながら、その場に立っていた。小銭を取るのに酷使し過ぎた右手が、痛むのもある。「おい、どこ行ってたんだ?」「え?」「コーラ飲むって言ってたのに財布置きっぱだったから」 「え?あー財布・・そう、財布忘れたからトイレだけ・・」 「なんでこんなに遅ーんだよ」 「あーごめん!」「っ...第三十四話④

  • 第三十四話③

    その頃のキム・チョルは、というと・・。突然出て行った割にちっとも帰ってこないファン・ミエを待ちながら、チョルは時間を持て余していた。ふと机の上を見ると、カバンの中に緑色の財布が挟まっている。?財布置いて・・ 確かファン・ミエは飲み物を買いに行くと言っていた。なのになぜ財布を忘れたまま、長時間席を空けているのか・・。色々と考えていると、ふと気がついた事があった。あ・・眉間先ほどミエに指摘された、「眉間にシワを寄せるクセ」が出ていたのである。無意識のうちのそれも気にしながら、チョルは一人席を立つ・・。   <危機対処能力1級> ミエは、これ以上顔を見られないようにと帽子を目深に被って下を向いていた。そしてそれを見下ろす彼は、なんとも良い気分なのだった。[モ・ジンソプは、偶然発見したこの子が慌てているのが、ちょっと楽...第三十四話③

  • 第三十四話②

    「?」よく分からない理由でこの場を後にしたミエと、席に取り残されたチョル。ミエは今、コピー代を手に入れるために例の自販機まで走っている。  <危機対処能力2級> 「くうう〜〜!」ほっぺたを地面に擦り付けながら、ミエは精一杯手を伸ばした。「ううっ・・!届きそうだけど・・届きそうなんだけどー!トイレですっぽん借りてくれば良かったー」「届・・」「きそ・・」するとカサッという音と共に、大きめのクモがミエの手に上って来た。「ぎょえっ」「何よも〜!急げ急げ!やれることは全部やるぞ!」そう言ってもう一度寝そべった時、どこかからか声が聞こえた。ミエがピクッと反応する。「大魔王・・あの野郎」「最近完全に良い子ちゃんだな・・」「わざわざ行ったのに、頑固でよぉ・・」「てかガク・テウクぶっ飛ばしといて、なんでこんな静かに・・」ミエは少...第三十四話②

  • 第三十四話①

    「アンタ、本当にすごいね!」裏のない素直な笑顔でミエにそう言われて、思わずチョルは固まってしまった。そしてじわじわと、正面切って褒められたのだと実感する。「いや、ただ・・」「もし必要なら・・」そうやってチョルは塾の宿題について口にしようとしたのだが、ミエが全然関係ないことを言い出した。「てかアンタ、それ癖?話す時眉間がギュッと・・どういうタイミングでそーなんの?」「は?俺が?」「うん!」「ここ、ここ!こうよ!」そう言って眉間にシワを寄せるミエ。そしてチョルは、なんと全くの無自覚であった。「俺がいつ?」ミエはそれがおかしくて堪らなかったが、これ以上言うと怒られそうなので、この辺にして切り上げた。  <印象派>再び二人は、文献探しに勤しんだ。「この本は違うな・・」と呟くチョル。「ほら!今も!」そう言ってシャッと棚の...第三十四話①

  • 第三十三話③

    そして二人は、図書館の最寄りのバス停でバスを降りた。 <宿題しよう①> 図書館への道すがら、ミエは上機嫌でチョルに話し掛ける。「あ〜!超いい天気!」「花いっぱい咲いてる〜!あれ?あの人小銭落としちゃった!もったいな〜」目に付いたもの全てを言葉にするミエの隣で、チョルが一言こう言った。「お前・・図書館では静かにな」「え?当たり前じゃん!」「とりあえず席確保ね!」小銭を落としてしまったその人物は、「あーあ、小銭なくなっちった」と言ってため息を吐いた。色素の薄い髪、口にはチュッパチャップス、耳に光るピアス。どこかで見たことがあるような・・・・。   さてチョルとミエは図書館に到着し、早速宿題を開始することにした。[宿題;申師任堂(しん・しにんどう)、またはペスタロッチについて隣の席の人と一緒に調査し、新聞にする。 ポ...第三十三話③

  • 第三十三話②

    ピーッとバスの発車音が鳴る。ミエが財布の中の小銭を確認してみると、なんとピッタリバス往復代のみしか入ってない。「ぴえん・・」「一番後ろの席・・」そう言って一歩踏み出した途端、そこにあった手摺りにぶつかった。ぶっちゃけ、帽子のせいで全然前が見えていないのだ。「ふ、ふん!」「ふん?お前財布」「あっ!」「つーかなんで帽子かぶってんだ?」チョルのその問いかけに、ミエは若干得意そうにこう答えた。「これで顔見えないっしょ?!」「は?」「こうしてたら誰が見ても、うちらが誰か分かんないじゃん!あ、アンタは大きいから分かっちゃうかもしんないけど!」 けど私が誰か分かんないから〜チョルはそんなミエの言葉に、少し思うところあるようだった。自分がミエのことを気にしていたように、ミエもまた、チョルのことを気にしていたのだ・・。  <バス...第三十三話②

  • 第三十三話①

    はっチョルは思わずハッとした。「一緒に宿題をしよう」と誘ったら、ミエが固まっている。ぽかん「うん!」しまった、とチョルは若干身を引いたが、ミエの起動スイッチはオンになってしまったようだ。「しようしよう!道徳の宿題!隣の席の人と一緒にやるんだよね!偉人を調べて新聞にしなくちゃいけないんだよ! そーだ!それじゃあさ、」 「図書館行こっ!一緒に!」「図書館?」チョルはそう聞き返して、瞬間躊躇した——「あ・・」——のを、ミエに悟られた・・しゅん・・・・ので、すぐに了承したのだった。「分かった」 ドサッそして帰宅したチョルは、またしてもうつ伏せでベッドに倒れ込む。[グルグル回る16歳の頭の中]チョルの心境というのは、複雑であった。一緒に行くの誰かに見られっかも・・まぁそれもしょうがねーんだけど・・図書館にいる人達が俺とフ...第三十三話①

  • 第三十二話③

    翌日、道徳の授業の最後に先生がこう言った。「それじゃあ今回の宿題は、それぞれ隣の席の人とやること」「!!」ミエは驚いてパッと顔を上げると、続けて”隣の席の人”ことキム・チョルの方を見た。バッけれどチョルは微動だにしない。反応なし「あ・・あ・・ああ〜〜〜」学校の宿題、そして塾の宿題、どちらもミエの肩にのしかかる。そしてどちらについても言及できないまま、授業は休み時間に入ったのだった。  <俺も分からん> 休み時間、賑わう校庭横をキム・チョルは一人で歩いていた。パス!こっち!とサッカーをしている声が響く。思い出すのは、塾の階段でファン・ミエに言われた言葉と、「色々教えてくれない?塾の進度についていくのもめちゃ大変で」それによってハン・ソンイに頼み事をした時のことだった。「解説が欲しいの?答えじゃなくて?」「うん、そ...第三十二話③

  • 第三十二話②

    ミエ達が高句麗小でサッカーをしている頃、チョルは早めに塾に着いた。自転車の車輪のキャップは見つからないままだが、そのまま乗って来てしまった。Sクラスに入ると、誰もいなかった。・・と思ったが、後ろの席にカバンが置いてある。ファン・ミエの物だ。すげー早いな。カバン置いてどこ行ったんだ?チョルがミエのカバンを見ていると、その下に大量のプリントがあるのに気がついた。どこか見覚えがあるような・・。チョルはそのプリントをペラペラと捲ってみた。それはどう見ても自分が持っているのと同じ塾の宿題なのだが、あろうことか全て、白紙であった。「・・・」学校帰りにミエを呼び止めて塾の宿題のことを聞いた時、ミエは「全部やったよ」と言っていたのに・・。チョルはその意図が分からず、一人途方に暮れた。あの場でも嘘だと思ったけれど、今それが確信に...第三十二話②

  • 第三十二話①

    家に帰ってから、ミエは血相を変えて机に向かった。「宿題・・宿題・・!」「着替えもしないで何してるの?」制服のまま机にかじりつく娘を見て母が不思議そうにそう聞くも、ミエは答える余裕もない。ドッサリ・・あわわ・・[尻に火がついたミエ]どうしていいか見当もつかないが、とてつもなくヤバイということだけは分かった。追い詰められたミエの尻に、ようやく火がついた——・・。  <どうして> 一方こちらはキム・チョルの家。ドサッバサッ帰宅するやいなや、カバンもジャケットも投げ出したチョルは、ベッドにうつ伏せで倒れ込んだ。ファン・ミエに塾の宿題のことを言い出せなかった自分にも、何一つ思ったとおりにならない現状にも、チョルは打ちのめされていた。「は・・・」文字通り言葉に出来ない、モヤモヤとした感情に苛まれたチョルは、しばらくの間そう...第三十二話①

  • 第三十一話④

    ベ・ホンギュとのサッカーの特訓は続き、充実した日々を送っているファン・ミエ。そんなある日のこと。チカッチカッパッ点滅するライトを見ながら、ミエは何かを考えていた。なんだ・・?何か忘れてるような・・居間から母の「りんご剥いたから食べなさい」という声かけに曖昧な返事をしながら、ふとミエは何かを忘れているような気がしてじっと部屋の中を見ていた。何か・・すごく・・大事なことを・・チョルの残していった片方のスニーカー、チョルのお下がりの椅子、そして向かいにあるチョルの部屋を、無意識にミエは目に映していた。しかしそれが何なのか、まだ彼女は思い至らない。   翌日。授業が終わり、ミエはさっさと帰宅する。重要なこと・・大事なこと・・?いまだ思い出せないミエは、首を傾げながら小走りで帰っているところだった。すると、後ろから名前を...第三十一話④

  • 第三十一話③

    塾が終わり、学生達が一斉に教室から出てくる。ミエは人と人との間で埋もれながら、ゆっくりと外に向かっていた。ふと気がつくと、隣に大きな人が立っていた。キム・チョルである。「おお!」ミエは隣に来てくれたことが嬉しくて、思わずチョルに話し掛けた。「アンタもまだ出れず?!」「生徒が多いのに塾が狭いから通れないよね!エレベーター乗るのも一苦労だよ!自転車の車輪のキャップは新しく買ったの? 今日は塾のバス乗らないんでしょ?」 「おい」「お前」「その」その?チョルの意図が伝わらず、首を傾げるミエ。「塾の宿題、解説まで全部分かるように勉強したから、見てやれるぞ」とは、なかなか言い出せないチョルである。「その・・・」すると廊下の方から、二人を見つけてチャ・ヨンヒが寄って来た。「おーっとチョルとミエ!何してんだ〜?」「おいファンミ...第三十一話③

  • 第三十一話②

    さて、ベ・ホンギュによるサッカーの特訓が始まった。「今度は奪ってみろ!」そう言って足元にボールを置いたベ・ホンギュの元に、ファン・ミエが突進する。「やああーーー!」けれどいとも簡単に、ヒョイとかわされてしまった。「やぁ!やっ!あやーっ!」何度やってもボールに触れることさえ出来ない。ベ・ホンギュはそんなミエを見ながら失笑した。「予習したんだって?ww」その顔が気に障ったらしいミエは、次の瞬間ベ・ホンギュにタックルを仕掛けた!「やああーーーーっ!」「ぎゃっ!」ドタンと転んだベ・ホンギュは、頭に大きなタンコブを作ってしまった。「手ェ使ったら・・反則だぞ・・基本基本基本!!!」「あ・・知らなくて・・」  まさに[ハンドリングを宣言しました]と解説が入るところである。 二人の特訓はまだまだ続く・・。   <理由と目的> ...第三十一話②

  • 第三十一話①

    ミエはベッドに横になりながら、ベ・ホンギュと言い争った時のことを思い出していた。[実はファン・ミエは、ベ・ホンギュと口喧嘩をした後、ちょっと反省したのだった]  [あ、もちろんベ・ホンギュにではなくキム・チョルに対して] ベ・ホンギュに対しては耳まで引っ張ってしまったが、それはあっちも失礼なことを言って来たのでお互い様だ。 ミエは、チョルに対して申し訳なく思っているのである。 [どうやら今までグイグイ行き過ぎてしまったようだ。 小さい頃からの知り合いで気楽だからか、近づきすぎたのだ] [キム・チョルの間合いに合わせられなかった]  それでも自分を見るチョルの眼差しに、一筋の希望は見えている。 私たちは”まだ”友達じゃないだけだ。友達になれないわけじゃない。 もう16歳だもん。 小さい頃みたいに追いかけるんじゃな...第三十一話①

  • 第三十話④

    時は一年ほど前に遡る。ここは高句麗中学である。ベ・ホンギュは季節外れの転校生を見ていた。隣ではクラスメートが噂話に興じている。「転校生見た?」「あだ名大魔王だって」「ガク・テウクが呼び出したけど、ガン無視したらしい」「うーわ」  カッケーじゃん!ベホンギュはそう言って、パク・ジョンウクと顔を見合わせた後、その転校生に話しかけることに決めた。「なぁ、転校生!」「昼メシ、俺らと食いに行かね?」ベ・ホンギュは”大魔王”を恐れることなく、チョルを誘った。「あと、サッカー好き?」 持ち前の明るさで、ベ・ホンギュは光の当たるところへキム・チョルを連れ出す。「はははは!」抜けるような青空の下で、彼らはサッカーをして笑い合った。「うわーっ」「おいお前ら固まんな!」「パスしろ、パス!」その様子を、じっとりと睨む男がいた。その名も...第三十話④

  • 第三十話③

    「アンタまじでやなやつ!」ベ・ホンギュの耳を引っ張ったミエは、そう言って顔に怒りマークを浮かべる。ベ・ホンギュは耳を押さえながら、屈辱にまみれてワナワナと震えた。「おい!見たか?!見ただろ?!」「悪いやつ!」「こいつまじでイカれてるわ!正気じゃねーって!」「はぁ?!なんだって?!」 「変人なんじゃねーの!?おいキム・チョル、お前もそう思うだろ!?」  喚くベ・ホンギュの隣で、パク・ジョンウクがミエに向かって親指を上げる。 ”GoodJob”の合図を見て、ミエは嬉しい表情になった。 「こんなんアリかァーー?!」 「おい、マジでこいつと友達なのか?!そうだ、当事者に直接——・・」  騒ぐベ・ホンギュのことを、同じクラスの新羅中連中がジロジロと見て行った。冷めた眼差しで、この女子も——。しかし彼女は特にアクションを起...第三十話③

  • 第三十話②

    あーーーーっ!!と夜空に二人の苛立ちが響き渡った。ベ・ホンギュとファン・ミエは、五十歩百歩の言い争いを続行中である。「見かけ通り完全に小学生だな!!トシ誤魔化してんじゃねーの?!」「はぁ?!小学生?!」 「つーか今年から同じクラスになったんだろ!?なんでこんなに堂々と言えんだ?! 俺は去年からずっと友達だったんだよ!」  「お前そーとー寒いぞ!正気になれよ!」 「ウケるんだけど!私なんて小さい時から知り合いだし!うちら指切りもした友達だし!」 「はぁ?!お前何・・嘘つくなよ!」 「嘘じゃないし!キム・チョルの田舎に遊びに行って超楽しく遊んだし!」 「は?田舎?ジョーダンだろ?避暑かなんかで行ったんなら、どーせ1日2日だろ!」 「違うし!3泊4日だし!」そんな二人の言い争いを、路地の隅で新羅中のクラスメートが覗い...第三十話②

  • 第三十話①

    ベ・ホンギュは言った。「お前、キム・チョルが気になるんだろ?」ミエは聞き返した。「”気になる”?」「キム・チョルのことが・・?」「そーだよ、キム・チョルのことが!」ベ・ホンギュはそう念を押し、さらにこう続けた。「気になってるから、ずっとつきまとってんだろ?サッカーなんてお前が見てどーすんだよ。ルール分かんのか?」 二人が会話しているのを、パク・ジョンウクが見つけて驚いた表情をして駆け寄ってくる。 「興味あんのか?チョルにじゃなくてサッカーに」 「私はただ・・みんなと一緒にスポーツを・・」ミエがそう答えても、ベ・ホンギュは尚も高圧的に続けて来た。「おい、早いとこ諦めた方が身のためだぞ。キム・チョルは理想高ぇぞ?」「お前が一方的につきまとっても・・」「おい!お前何してんだ!チョルは自転車取りに行ってるんだ。ちょっと...第三十話①

  • 第二十九話⑤

    「さようなら〜!」塾が終わると、途端にミエは駆け出した。キョロキョロ外に出て、背の高いその人を探す。「!」ちょうど路地を曲がろうとしていたキム・チョルを見つけ、ミエは声を掛けようと駆け寄った。「ねぇ!キム・チョル!」「私も一緒に・・」「おい」すると横道から、ベ・ホンギュがヒョイと出て来た。ミエはぽかんと口を開けたまま目を丸くする。「なんでキム・チョルを呼ぶ?」「え?あ・・」いきなりで驚いたが、思えばこの人に聞いてみても良いのだ。ミエは目をキラキラさせながら、ずっと考えていた”サッカー”についてベ・ホンギュに聞く。「ねぇ私もサッカー見に行ってもいい?!」「はぁ?なんでお前が・・」「え?だって・・」「うちら同じ塾の友達じゃん!」笑顔でそう言ったミエに、ベ・ホンギュが眉間にしわを寄せた。「友・・」あベ・ホンギュは、ミ...第二十九話⑤

  • 第二十九話④

    願いを叶えると言われている飛行機を数えてみても、ミエの胸中はモヤモヤとしただけだった。無駄な考えは頭の中をぐるぐる回り、一歩踏み出そうにも踏み出せない・・。  <無駄な考えは一瞬にして> 翌朝。下を向き、小石を蹴飛ばしながらミエはトボトボと歩いていた。私から話しかけなきゃ、関係がないのと同じことなんだなぁミエが拗ねてから一週間が過ぎ、その間チョルとは一言も言葉を交わしていない。思えば昔から、二人の関係はそんな感じだった。「下の名前で呼ぶな!鳥肌立つだろーが!」「どーして?!」 「俺たち、別に仲良くねーだろーが!」 ついこの間までも、こうだった。「馴れ馴れしくすんじゃねぇ」「ガキん頃ちょっと会ったくらいで友達ヅラか?」思い出せば思い出すほど、気分が沈んで行く。結局ミエがどんなに近づこうとしたって、相手が拒んだらそ...第二十九話④

  • 第二十九話③

    その日の夜——。ハン・ソンイから受け取った解説を見ながら、問題集を見直すチョル。脳裏には、母親から聞いたミエ情報が流れた。「ミエちゃんクラスで10位には入るって言ってたわよ。勉強以外にも興味出ちゃうみたいだけど、頭良いみたいよ!」 その情報は一人娘自慢タイムのミエママによってもたらされ、 チョルママによりそしてお前もがんばれという意味に変換された情報である。 からかってんじゃねーだろーな・・うるうるした眼で「勉強教えて〜」と泣きついて来たミエが浮かんだ。頭が良いのなら、そんな必要ないんじゃないのか・・?しかし、本当にからかって来ているのはこの人たちの方であった。「ま、うちのチョルはもうすぐ全校一位になりますから!」この間、ミエの家族と食事をした時に言われたことを思い出す。「チョルくん、勉強教えてやっておくれ」「...第二十九話③

  • 第二十九話②

    ミエが”スネる”という対応を取ってから一週間、特に変わったことはなかった。別段、チョルが心配して声を掛けてくるなんてことは。けれども、そろそろミエは限界だった。「ちょっと、アンタ・・」フイッ我慢出来ずに声を掛けたミエだったが、チョルはミエには気づかず講師の方へ行ってしまった。ミエは怒りに震え、そしてまたスネてチョルの横を通り過ぎた。これにはチョルも気がついたようで、その不自然なリアクションに疑問符を浮かべる。「?」「なんだ?」「知らん」なぜスネたのか、には思い至らないようであったが・・。   黙々と勉強するチョルに、隣に座ったベ・ホンギュが「お前最近超頑張ってね?」と聞く。それを耳にしたミエは、皮肉のようにこう思った。勉強にはあんなに頑張ってるくせに、私に対してはどう?! 役に立たないって?必要ないって?同じ物...第二十九話②

  • おまけ漫画③(ミッドナイトライブラリー)

    久しぶりにおまけ漫画が載っていたので記事にしました〜お楽しみください[ファン・ミエが受験生になって]中間テスト、模試、入試の準備毎日怒られ小言を言われ 一人離れた塾まで通い[この運命から抜け出せないことを知った時]「高校に行ったらこんな人生も終わるのかな。いや大学に行っても同じなんじゃ・・学校という監獄に制服という囚人服着て・・」「本で見たんだけど、お前チェス知ってるか?」「チェス?」「チェスの駒を置く時ってさ、パターンがすごく多いから、正解を一つに決めることはできねーだろ。人生もそういうもんなんじゃねーのか」「正しい答えがたった一つあるわけじゃなくて、人生の道は様々であって・・」「おお・・?どこでそんな素敵な言葉を・・?!」「これ」[友達が勧めてくれた良い本は]「”ミッドナイトライブラリー?”」「興味あるなら...おまけ漫画③(ミッドナイトライブラリー)

  • 第二十九話①

    授業が始まっても、ミエはずっと上の空だった。先ほど目にした光景のことが、頭から離れない。誰だろ? 女の子みたいだったけど、チョルの知り合いの女の子なんていたっけ?思い出すのは、昨日の塾でのやり取りだ。「これ、明日学校で食べて!これ持って行って、明日お腹空いたらー・・」「いいよ大丈夫」「そんなことまで考える必要はない」必要はない?!あの時感じた虚しさや、憤りや、恥ずかしさ、気まずさが、一気に爆発する感じだった。心の中では、疑問が次々と湧き上がる。あの子のパンは必要ってか?!同じ売店で買ったパンでしょ?なんで私のは必要ないの??「友達だもんね?私達・・」「え?」あのチョルの「え?」が、より一層感情に拍車をかけた。それじゃああの子は友達なの?私と違って?だから受け取ったの?!?![驚いたファン・ミエの胸中が、静かに揺...第二十九話①

  • 第二十八話④

    ダダダダダダ・・・ミエは走った。見ちゃいけない(であろう)ものを見てしまったし、じきチャイムも鳴る。けれど動揺のせいか、教室のある校舎とは違う方向に来てしまったようだ。「あー!間違えた!早く早く!チャイム鳴っちゃう!また戻んないと!ビックリしたから・・」あまり来ることのないその場所を通った時、ふと視線の端に見覚えのある姿が映った。ミエは足を止め、数歩下がってその場所を覗き込む。ガラス戸一枚隔てたその場所に、キム・チョルが立っていた。ここからは見えないが、誰かと話している。チョルはプリントを受け取った後、相手からパンを差し出された。それは売店で売ってる、そしてミエが拒絶されたのと同じパン——・・。    チョルと会話していた相手とは、この子であった。「この前は助けてくれてありがとう」先日キム・チョルは、ハン・ソン...第二十八話④

  • 第二十八話③

    教室にて、ミエはノートを取りながら思った。・・なんかすごい、難しいよーーーーーっ!!難しいのは、授業の内容だけじゃない。ミエは昨日塾にて、人間関係の難しさを実感したところだったのだ。自分が投げかける好意や善意は、時に他人には悪意や偽善になることがある。[あ〜マジでホントに難しい]苦悶の表情を浮かべているミエのその隣で、この人もまた色々と悩んでペンが止まっていた。[難しいのは誰も同じ]自分に正直に行動したはずが、そのせいで他人を傷つけてしまうことがある。色々と上手くいかない人生に、チョルは深い溜息を吐く。  しかし休み時間のミエはというと・・。「ファン・ミエ、新刊見る?」「うん!」 「読み終わったら持って来てくれる?」「うん!」 ・・案外すぐに立ち直っていたのだった。   <見ちゃいけないもの>  心の中で、主人...第二十八話③

  • 第二十八話②

    塾にて、講師がプリントを配りながらこう言った。「はーい、新しい宿題ですーどうぞー」「これが終わったら中間テストの特別講習よー」それを聞いてミエは青ざめた。今ですら、ついて行くのでいっぱいいっぱいなのに・・。「あ」ミエはそう言って立ち上がり、廊下に向かって歩いて行く。「みんなどこ行ったかな〜」バチッふと、前の方の席に座っていた新羅中の男子と目が合った。「何?」「あなた名前は?言わんか〜」その後、男子は一言も喋らずミエから目を逸らし続けた。新羅中の子と打ち解けるには、まだまだ時間がかかりそうである・・。   廊下に出ると、自販機の前にチョル達がいた。 チョルの視界の端に、手振りで何かを伝えようとしているミエが映った。階段階段!ちょっと来て!「俺ちょっと・・」「ん?ああ」チョルはそう言って、ミエの言う階段の方へと向か...第二十八話②

  • 第二十八話①

    体育も終わり、次の授業が始まるまで教室はザワザワと騒がしい。「おい何してるー?先生が遅れたからって騒ぐなよ。はよ座れー」「本開いてー」先生が入ってきたことでミエも慌てて席についた。ふと、引き出しに入れっぱなしにしていたパンの袋を見る。「ん?」なんと、パンが半分食べられていた。小さな炎がミエの心の中に灯った。それはどんどん燃えて大きくなって行く。「本開けー」「ハイー」とりあえず授業が始まるので、再びパンを引き出しに仕舞う。そして授業が終わるまで、心の怒り炎を燃やしたままミエは静かに過ごしたのであった。 <あいつはモブに過ぎない>そして授業が終わるやいなや、ミエは教室の端の席に座るあの男子の元へ行った。「ちょっと!!」「アンタさっき私の席座ってたよね!?これアンタが食べたの?!」先ほどの休み時間、ミエの席にこいつは...第二十八話①

  • 第二十七話④

    ミエやチョルのいる12組が体育の授業の片付けをしている頃、モ・ジンソプ率いる9組軍団は、校舎裏を歩いているところだった。彼らの話題の中心は、なんとキム・チョルだ。「なぁ、12組の女子がキム・チョルがかっこいいって言ってたぞ?」「まー背ぇ高ぇしな」「体育の時に超飛んでるらしい」 「ガク・テウク倒してっし、実際最強だよなーー」  「あ〜俺がキムチョルだったらなぁ〜」「めっちゃ勉強してんだってよ」 「そんで何位なんよ?」「勉強したら女にも会わねぇってのかァ?」 羨み半分、妬み半分のような会話をしながら、彼らは各々キム・チョルのことを語った。 モジンソプは相変わらずチュッパチャップスを咥えながらそれを聞いている。 「あいつは俺たちみたいな考え方はしねーんだろうなぁ」 「全く羨ましーぜ」 「おい!モ・ジンソプ、お前高句麗...第二十七話④

  • 第二十七話③

    ミエが教室の外へ歩いて行くキム・チョルの背中を見ていると、ドアから何人かの男子が飛び込んで来た。「おい!6組行こーぜ!」「ワハハ!」「おい!ちょっ・・」メガネの男子は、チョルを友人と間違え肩を叩いたようだった。見上げて真実を知った途端、ヒッと息を飲む。「ご、ごめん・・」誰だ?他のクラス?大丈夫、と言おうと思ったチョルだったが、そのうんざりとした表情に恐怖を感じたのか、メガネの男子はより一層ビビってしまった。ヒイッ怒ってる!「ほ、本当にごめん!つい間違えちゃって・・友達だと思って・・その・・」バッ!小さく「ごめん、ごめん」と繰り返す彼と自分達を、クラス中の人間が遠巻きに見ていた。メガネの男子は冷や汗を垂らしながら、下を向いて謝罪を繰り返す。見えない、矢のような視線が後ろからチョルを刺す。チョルは拳をグッと握り締め...第二十七話③

  • 第二十七話②

    ミエは小走りで学校に向かいながら、今日実行すべき作戦のことを口に出す。「まず売店行かなきゃ!何がいいかな?クリーム?チョコ?あー!さっき聞けばよかったー!」 その作戦とは——・・ <パン渡し大(?)作戦> パンの種類は迷った挙句、結局クリームパンに決めたミエ。それは今ポケットの中にある。休み時間の今、ミエ達が何をしているかと言うと・・「もうすぐヨンタン兄さんの誕生日だから、みんな丁寧にローリングペーパー作ってね!」「カラーペンでデコろー!」「字、綺麗にね!」ユンヒ達がヨンタン兄さんのバースデー祝いを作成している中、ミエはチョルのことが気になって、クラスの中を見回していた。クラスの中に四十何名いる生徒達を見ながら、(改めてキモいくらい多いな・・)と感じるミエ。心ここにあらずのミエに、ユンヒが「ファンミエ何してんの...第二十七話②

  • 第二十七話①

     両手に花、ならぬ前後にイケメン。後ろにいるキム・チョルは、咄嗟のこととはいえこうなってしまったことに固まっている。あ・・?同じく目を丸くして固まっているミエを見て、じわじわと今の状態がよろしくないことに気がつく。はっ・・!ミエもまた気がついた。目の前にいるのは、またこの人なのだ。「・・・・?」あまりにも不自然な表情の二人を前にして、モ・ジンソプは疑問符を浮かべる・・。  <もうちょっと自然にしたら?>「んー・・」「またこの組み合わせ?」そう言われ瞬時にパッと離れるチョルとミエ。モ・ジンソプは二人を見てこう続ける。「なんだ・・マジで二人知り合い・・」「うっわー!転ぶとこだったぁー!二人とも掴んでくれてサンキューッ!」「あ・・ウン・・」モ・ジンソプの言葉に被せるように、大声でミエはお礼を言った。けれどそんな簡単に...第二十七話①

  • 第二十六話④

    「行って来まーす!」爽やかな朝がやって来た。ミエは元気よく家を飛び出した。タタタタ・・ミエは昨夜、布団の中で考えていたことを反芻していた。スンジョン姉さんの言葉が蘇る。”アンタはどう思う?あの子のこと理解できる?” [スンジョン姉さんの突然の質問は、どうしたって共感してほしいもので・・。] [ファン・ミエはIQよりEQの方がすこ〜し高いのだけれど][それなりにキム・チョルには思うところがあり] [また、考えるのであった]EQ=[EmotionalintelligenceQuotient]「心の知能指数」と呼ばれるそれが高いと、人への共感能力が高くなるという。ミエは今までの経緯やスンジョン姉さんからの話を心の内で汲み取って、それを踏まえてキム・チョルを見つめる。「ねぇ!ちょっと!」「アンタ模試何点だった?!」「は...第二十六話④

  • 第二十六話③

    その日の夜。ミエは天井でぼんやりと光る星と月のシールを見ていた。昼間スンジョン姉さんに言及されたチョルのスニーカーは、まだタンスの上。脳裏に、五年前のキム・チョルが浮かぶ。ミエは、キム家がこっちに引っ越して来た時に、チョルの母親から聞いた話を思い出していた。「チョルは体が大きいから、小さい時からずっと周りから言われて、顔の傷を見て誤解する人も多かったんです。治療しても消せなくて」 「それでも高句麗中は楽しく通ってたんだけど、 同じ学校の子が静かに暮らしてたチョルをからかって来て・・」 「チョルは強制的に転校させられたわけじゃないんだけど、 その子の親御さんが自分の息子も殴られたのに、うちの子だけ転校させるわけにはいかないって言い張られて・・。 うちの主人とあちらのご主人がお互い告訴するだの殴り合うだの、騒動にな...第二十六話③

  • 第二十六話②

    ミエが皆のアイスクリームを選んでいると、スンジョン姉さんが告白した。「実は、私見たんだよね」「えっ?何を?」「前に、ゴミ捨て場に二人でいるとこ」「!!」「タバコ吸いに外出たら、チョルが転んだりアンタらがわちゃわちゃしてんの見たの。超ウケた」忘れもしない3月1日、あの日の夜に、なんとスンジョン姉さんもゴミ捨て場に居たと言うのだ。「泣いてんの?!」ミエは、チョルに言われた”約束”のことを思い出していた。「・・あの日、ゴミ捨て場で俺を見たこと」「ただ喋らないでほしい・・そうしてくれるか?」 チョルの家で試験勉強をした時、念を押されていたのに。どうしたらいいのか分からないミエは、ただただ動揺した。「あ・・それは・・!あ・・あの・・」スンジョンはそれも折り込み済みのようで、ミエが言葉を選ぶ前にこう言う。「別に言ったりしな...第二十六話②

  • 第二十六話①

    腕の中で、ファン・ミエが目を丸くして自分を見ているーーー・・。そのことに気がついたキム・チョルは、今自分がどういう体勢になっているかということにようやく気がついた。はっパッ!チョルが弾かれたように両手を上げたので、その勢いでミエがグラッと倒れそうになる。パシッ・・のをチョルがなんとか止めた。気まずい表情のチョルと呆然とした顔のミエの間に、しばし沈黙が流れる。小さくチョルが口を開いた。けれど続く言葉が見つからない。「あ・・その・・」ドクンミエはゆっくりとチョルの方を見上げる。その間、心臓がやけに音を立てて跳ねていた。ドクンドクンドクンドクンドクン一体なぜ鼓動が早鐘を打つのか、まだミエには分からないーーー・・。  「なんだよぉ〜!びっくりすんじゃん!驚いたせいで心臓バクバク言ってる!ほら!」「突然引っ張って何なの?...第二十六話①

  • 第二十五話④

    一瞬、何が起こったか分からなかった。ミエはゆっくりと顔を上げる。 目の前に、真剣な顔をしたチョルがいた。低く、静かな声でこう言った。「ダメだ」「何も言うな」「知らないフリをしろ」二人の身体が密着する。ミエの心臓が、まるで一つの生物のように蠢く。ドクンドクン先ほど、スンジョン姉さんから聞いた話を思い出した。「中三の一年間、問題を起こさずに全校一位になったら、もう一度あいつの願いを受け入れることになってる。 だから静かに勉強ばっかして暮らしてるんだよ」 「願い?」 「あの子は田舎に戻ろうとしてるんだ」  スンジョン姉さんの話と、今目の前でチョルが言った言葉が重なった。この人はその”願い”を叶えるために、じっと息を殺して耐えているのだ・・・。ドクンドクン心臓の音が大きく聞こえる。再び、スンジョン姉さんの言葉が反響する...第二十五話④

  • 第二十五話③

    和やかな昼食会は続いていた。今度また田舎に遊びに来るか?と聞くチョルの父親に、トイレ直ってますか?とミエが聞く。笑い声が絶えないそのテーブルで、チョルは一人黙って下を向いていた。 食事も終わり、大人達は食後のお茶を飲みながら談話をしている。子供達はというと、ファニの持って来たおはじき(コンギ)でミエが遊んでやっていた。「ねぇ、ファン・ミエ」「はい?」「ミエから見ても、チョルってガリ勉だと思う?」「んー・・はい!」 ミエの正直な答えに、スンジョンは「あはは」と笑う。小さい頃から変わらないミエに、スンジョンはこんなことを話し出した。「小さい時に一度会ってるってのはあるけど、アンタは偏見がないね。まぁ自分から問題を起こす子では絶対ないから。 どうしてか分かる?」 キョトンとした顔をしたミエに、スンジョンはとある話を教...第二十五話③

  • 第二十五話②

    「たくさん食べなさい」テーブルに並んだ料理を前に、ミエのテンションは上がった。そんな愛娘を、父はニコニコ見ている。「わ〜!」「ミエ、いっぱい食べなさい〜」ふと前を見ると、チョルもまた黙々と料理を口に運んでいた。「チョルはよく食べるんですよ。牛一頭食べるんじゃないかってくらい」そんな子供達を見ながら、大人達は感慨深そうに会話を続ける。「子供達がもう受験生なんて・・月日が経つのは早いですねぇ」フシギそのチョルの食べっぷりを見たミエが、口をあんぐりと開けていると・・。何見てんだよギロリと睨みながら、チョルが口だけ動かしてそう言った。うっ・・・チョルが妹の方を見て「口元を拭け」と声を掛ける。そんなチョルのことを、ミエはイライラしながらじっとりと見ていた。 「今年は正念場ですね」「今年頑張れば、二人とも良いところに行けま...第二十五話②

  • 第二十五話①

    「週末まで顔を見たくない」そんな台詞で喧嘩別れしたチョルとミエ。次の日(日曜日)、思わぬところで顔を合わすことになる。「集まったわね。入りましょうか?」「ここが美味しいと評判の・・」二人は、「□□飯店中華料理」の前に居た。呆然と突っ立っている二人に構わず、家族はゾロゾロと店へと入って行く。「家族で外食初めてだわぁ」「そうなんですよ、引っ越して来てからかなり経つのに」「うわぁ・・」と呟くミエと、深いため息を吐くチョル。何と二人は、週七で顔を合わせることになってしまったのである・・。 <やめて、お父さんお母さん>「子供達も一緒に食事するのは初めてじゃないですかね?」「ですね」「田舎からこっち出て来るまで機会がなかったですもんね。たまにこういう場を設けましょうよ」 「いいですね!」「あとでスンジョンも来ますので」 週...第二十五話①

  • 第二十四話⑤

    チョルに捨て台詞を吐いたミエが外でチャ・ヨンヒを待っていると、ヨンヒは風船ガムを膨らませながらこう言った。「あ、ゴメン今度にしよ。約束あったの忘れてたわ」「!」一緒に勉強しようと誘って来たのはヨンヒなのに・・。ミエは面白くない気分のまま寄り道をした。[プンプンしていたファン・ミエは、図書館に行って一人勉強・・][・・・]その時地下鉄で突然手が出てきて・・と続く文章に目が離せないミエ。勉強していたのではなかったのか・・?貸し出しでピッ結局そのホラー本を借りたミエは、図書館を出ると、とぼとぼと夕焼け空の下を歩いた。[面白い本を読んでいる時はしばらく忘れていたけれど][頭の中でリピート再生される、塾での出来事] 「嫌がってる奴がいるから、一旦ちょっと考えようぜ」 「俺がどうにかするから気にすんじゃねぇ!何でこんな・・...第二十四話⑤

  • 第二十四話④

    「さようならー」塾の授業が終わり、学生達はゾロゾロと帰路を急ぐ。「先行ってて」「うんっ」エレベーターは混んでいるので、ミエは階段を小走りで降り出した。すると。「おい、ファン・ミエ」振り返ると、そこにはキム・チョルが立っていた。「あ・・うん?何?どしたの?」なんだかちょっと期待しながらミエは、階段の上にいるチョルに聞く。もしかしたら一緒にネットカフェに行ってもいいと言ってくれるのだろうか・・。しかしチョルの口から出たのは、予想もしていなかった話題だった。「ピアス返したか?」ピアス・・・?突然すぎて目がまん丸になるミエ。何故チョルは、そのことを何度も聞いてくるのだろうか。「あ・・ううん?」「じゃあ明日預かる。ダメなら月曜の朝。俺が返しとくから」 「へ?なんで?」 「モ・ジンソプが誤解したらどーすんの?」「それは俺が...第二十四話④

  • 第二十四話③

    「あ〜スカッとする〜」ミエは炭酸飲料を飲んでカラカラと笑った。ここは塾の自販機前・・。連れて来られたチャ・ヨンヒと共にミエは、高句麗中のメンバーと並んで立っている。気まず・・場に流れる空気は気まずいものだったが、ミエは男子三人をマジマジと見ながらこう思っていた。この子達が高句麗中の面々・・!すると、隣に居た男の子が話し掛けて来た。「チョルと同じクラスなんだって?」「あっ、うん!しかも隣の席なの!家も真向かいだし!」「名前のせいでめっちゃからかわれるだろ」「う・・まぁ・・」唇を尖らせるミエの横で、チャ・ヨンヒがチョルに視線を送る。「誰がキム・チョルをからかうっての?牙を失くしでもした?」話題の中心にされるのが苦手なタイプのチョルは、今の状況に息が詰まりそうだ。気心知れたような彼らのやり取りに、ミエは改めて聞いてみ...第二十四話③

  • 第二十四話②

    夕方、ミエはいつも通り塾へと顔を出した。宿題について質問すると、チャ・ヨンヒはガムを膨らませながらこう答える。「あぁ、宿題はそれザッとやっときな〜。全部やっときゃ、間違っててもそんな言われねーから」  あっ!! するとミエは、とある物がヨンヒのカバンについているのを発見した。「それ、ヨンタン兄さんだよね?!」「ドリンクのCMのやつだ!めちゃ可愛い!」「あー使ってないカバン背負ってきたらこんなのついてたか。 アンタ、ヨンタン好きなの?あげよっか?」 そう言ってヨンヒはバッジをカバンから外すと、ミエの方に差し出す。「私別に好きじゃないけど、めんどくて外さなかっただけだからさ」「えっくれるの?ヨンヒのでしょ? あっ、そうそう!うちの学校にヨンタン兄さんが大好きな・・」 ヨンタン兄さんのことを話そうとしたミエに、ヨンヒ...第二十四話②

  • 第二十四話①

    ”読書クラブ”の教室に一足踏み入れたチョルは、仏頂面をして立ち止まっていた。こちらを向いてニコニコしている、モ・ジンソプが居たからであった。空席は前の方にいくらでもあった。モ・ジンソプは、そっぽを向いて歩くチョルに向かって話し掛ける。「あ〜マジで寂しいなぁ〜」「カツアゲしてると思われて〜挨拶しても毎日無視されて〜ホントひどいよね。超傷ついたんだけど〜」モ・ジンソプの言葉が、チョルの背中にグサグサと突き刺さる。チョルは胸の内で、皮肉にも似た言葉をなぞる。[「身代わりにピアスを預けたのは上手くいったのか?」と聞きたかったけど]けれど、とチョルは思い直す。[失態は失態だ]「すまん。さっきは俺が悪かった」そうストレートに謝った。じっとモ・ジンソプを見る。教室では、その謝罪を聞いた生徒達がざわついている。 モ・ジンソプも...第二十四話①

  • 第二十三話④

    翌日ミエは昨夜、まるで気絶するように眠ってしまった。キム・チョルと塾では普通に話が出来ると、幾分ワクワクしてバスに乗ったというのに・・。 <すれ違い>ドーン学校でも、ミエはずっと机に突っ伏してダウンしている。チョルはそんなミエのことを横目でじっと見ていた。ここ数日のことを思い出しながら。「塾では仲良くしても良いでしょ?」彼女はそう言っていたが、昨日のミエといえば・・。うわあああガクガクガク「悪霊の声聞こえんだけど」シュウ〜ブーン「・・・・」傍目から見ていても、ミエがパニック&放心状態であることが分かった。チョルのことを認識していたかどうかさえ謎だ。放課後のチャイムが鳴り、皆が席を立つ。「クラブ移動して〜」「はーい」クラブで宿題しよチョルはそう思いながら、実質自習クラブである”読書クラブ”へと向かう。そしてチョル...第二十三話④

  • 第二十三話③

    ファン・ミエはキム・チョルを追いかけて、普段あまり来ない棟の中をひた走っていた。キョロキョロチョルの気配を感じ続けながら、その足取りを追う。やがてチョルは、いつも昼休みに訪れている”科学室”に到着した。しかし・・。ミエが追いかけて来ているのは、チョルも気がついていたのだった。科学室には入らずに、チョルはすごい速さで違う道を行く。バババババ!バババッ!タッそうして曲がり角を曲がったちょうどその時、ミエがフロアに到着する。バッ!確かに気配を感じていたのに、そこにはもう誰もいなかった。「あれっ?どこ行った〜?」ミエが狐につままれたようになっていた頃、チョルは階段の下で息も絶え絶えであった。ゼーハーゼーハーあまりに急いで階段を駆け下りたので、転ぶところだったらしい。[大魔王は、しばし人生の走馬灯を味わった]何やってんだ...第二十三話③

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