とうとう捕まってしまった中坊達。高校生らに囲まれて、ミエ達三人は連行された。ジョハンは青ざめながら思った。こ・・こんなことに・・もうちょっとなのに・・。もうちょっとだったのに・・!塾はもう目と鼻の先だったのに、運悪く捕まってしまったことを嘆いた。高校生達はニヤニヤと笑いながら言った。「お前ら暴れっぱなしだけど、お互いが無事にいられるかは気にしねーの? 笑えよ、笑えってば〜」 「俺らがいじめてるように見えんだろ〜?」 ミエは近くに助けを求めようと辺りを見回したが、警察はおろか大人の一人もいない。ホンギュも奥歯を噛み締めるのみだった。やがて彼らはゲームセンターに着いた。目の前にはパンチングマシーンがある。「さぁ始めますかぁ〜」「さっき言ったろ?3対3で勝てば逃してやるって!」バキッ!ゲーセン男がそれを殴ると、...第九十四話④
ミエが読めない手のひらの番号に首を捻っている時、チョルはまだ街中にいた。コ・テグァンがその隣に立つ。「塾にはすっかり遅刻ですぞ」「あぁ、うん・・ありが・・」「だがおかげで小生もささやかなプレゼントを買うことができた」 「あ!」「早く行こう。バスが来た」そう言って駆け足になるチョル。カバンの中に入った飛行機が、カチャカチャと鳴る。真っ青に晴れた空に、街中の音楽が吸い込まれていく。コ・テグァンは、空を見上げながらポツリと呟いた。「ふぅむ・・誰かが呼ぶ声が聞こえる・・」ミエの叫びは、チョルではなくコ・テグァンの方に届いていたらしかった・・・。 <強いフリをしてみても>当のミエは、警察に電話しても取り合ってもらえなかった不条理を正に今嘆いていた。「てか何でずっとイタズラ電話だって言われんの?!一体誰が何を知って...第九十四話③
その頃のミエたちは・・・。「うわああああ〜〜〜!」絶賛非常事態継続中である。「おい待てっ!」「コラァ!中坊ども!」「逃げろっ!」「うわああ!」必死に走りながら、狭い路地へと逃げ込んだ。そこで足がもつれたミエは、派手に転んでしまう。「あっ!」「きゃっ!」「こっちだ!捕まえろ!」絶体絶命の大ピンチ。もうダメだ、と思ったその時!「起きろっ!」ふわっと体が持ち上がった。ミエはホンギュとジョ・ハンに支えられながら、なんとか再び走り出した。「待てーっ!高句麗!百済!新羅ーっ!」[早く走れっ!中坊たち〜!]違う中学の三人が、手を取り合って必死に走った。がんばれ、中坊たち! <黒騎士チャンス>結果、ミエたち三人は高校生を巻くことに成功した。高校生たちは、路地を一つ一つ、ゆっくりとした速度で歩きながらミエたちを探す。「あ...第九十四話②
<非常事態>ミエたちは言わずもがな非常事態だが、この人もまたそうであった。これは数時間前のチョル。ガク・テウクだと確信した人物を追いかけて、ようやく捕まえたと思ったのに・・・。結局勘違いの人違いで、チョルはペコペコと謝り倒した。相手はチョルのことを非常に怖がって、ダッシュで逃げていってしまった。申し訳ないやら恥ずかしいやら虚しいやらで、言葉もない・・。「・・・・・」顔を上げたチョルの目に、街の風景が映る。ふと、置いてきた三人のことが気にかかった。しかし今更合流する気にもなれなかった。「どこ行くの〜?」と聞いてくるミエの姿が浮かんだけれども。まぁ・・もう行っただろ・・はぁ・・・・上がった息が戻るにつれて、感情より理性が強まるにつれて、心が重たく凭れるようだ。ガク・テウクとか・・いいやもう・・塾行かな・・ ホ...第九十四話①
ホンギュは、地面に倒れている奴に掴みかかった。高速でパンチを繰り出す。「嘘かよ!マジでガク・テウクはいねーのか?!!」「騙されやがってよ、そもそもあいつと連絡取れるやつなんて誰もいねーよ。つーか鍛えたところでお前が勝てるわけなくね?」 太々しい態度の男に、ホンギュの堪忍袋の緒が切れた。 「あんだと!?」 「じゃあ試してみてやんよ!!」 パンチは男の頬にクリティカルヒット!「ぐっ・・おい、捕まえろっ!」「離せこの野郎!」「ぐあっ」一斉に飛びかかられたホンギュを目の当たりにして、ジョ・ハンも飛び出した。男の一人にタックルする。「うわああああああ!」これにはホンギュもビックリだ。「こいつらまとめて殺す!!」その瞬間、ホンギュとジョ・ハンはアイコンタクトを交わした。まるで相棒のように。「かかってこいっ!!」そこか...第九十三話④
突然の出来事に固まるホンギュ。彼が居る橋の下にいるミエもまた、口をあんぐりと開けて固まっていた。やがて、ゆっくりとホンギュの方を窺う。橋の反対側に、高校生たちも立ち止まっていた。彼らも顔を見合わせている。出遅れたモ・ジンソプは、一人青ざめてキョロキョロと周りを見回していた。「な、なんだ?!どうした?!」ネタバラシをされた男は、ネタバラシをした人物と仲間を交互に見た。橋の下にいるジョ・ハンのことだ。ジョ・ハンは大声でこれは罠だと言っていた。ガク・テウクは来ないのだ、と。バキッ!!全ての事情を把握したホンギュが、奴に蹴りを入れた。そのままくるっと方向を変える。「何してんだ!」「逃げろっ!」橋の下にいる、ミエとジョ・ハンにそう叫んだ。「ぐっ・・・」「ウワァァ!!」走るホンギュ、それを追う同級生達、橋の下で戸惑う...第九十三話③
てっきり逃げたかと思われたファン・ミエがまだ居たことに、ホンギュはもうわけが分からなかった。何お前??なんなん??ミエもミエで、ジェスチャーを送り続ける。ダメダメ!ダメだったら!とにかく「ダメ」のサインを送り続けるミエ。やはりホンギュにはいまいち伝わっていない。けれどミエは表現を変えて、メッセージを伝えようと頑張る。「うー!」マジでなんなん・・とホンギュは引き気味だ。「おいとにかく帰れ!危ないから早く!」とうとうそういうジェスチャーを残して、ホンギュは進み出してしまった。[あーダメー!!]ミエ、大ピンチ! <ドタバタ劇場>「あー!ダメだったら!どうしよう!どうすればっ」高架下にいる三人の方を見ても、解決策は浮かばない。ここにいるだけでは、ホンギュを止めることは出来ないのだ・・!ミエは視線でこのようなメッセ...第九十三話②
時は少し戻り、まだホンギュ一行がこちらに来る前。ジンソプはただ隠れていただけではなかった。やむを得ず、警察に電話しているのだ。プルルル、とコール音が聴こえる。ジョ・ハンは手を合わせながら、ずっと何かをぶつぶつ言っている。「あの、もしもし、警察ですか?」「ジンソプ君どうしたの?」「シーッ」 「今セモ川にいるんですけど・・」ソワソワ・・「はい、そうです。橋があって・・集団での喧嘩がちょっと・・いや僕らじゃなくて・・。・・ってかちょっと静かにしてくれよ!ミエの友達くんよ!」いまいち集中できない状況で、ジンソプは必死に説明した。しかし電話先の警察はどこか懐疑的なようだ。「いや違います、イタズラ電話じゃないです!え?さっき同じ通報があって何事もなかった?いや、それは僕は知らないですけど・・ はい?僕は学生じゃないで...第九十三話①
一行は”ガク・テウクとの待ち合わせ”の場所へと向かっていた。かつて取り巻きだった奴らは、ニヤニヤと笑っている。後方からついていくホンギュが、念を押して確認する。「ガク・テウクは来るんだろうな?」奴らはギクッとした後、取り繕うように言った。「当たり前だろこのクソが!」「来なかったら死ぬことになるからな?」「嘘言うわけないだろ?!お前が殴られるの見たくて来てんだ。 ガク・テウクが、お前がちょっと変わったって聞いて、気になって確認したいんだとよ!」 「は?ふざけんな」「早くついてこい!」 ホンギュは余裕そうに振る舞っていたが、実は汗が止まらなかった。心拍数がとんでもなく速い。握る拳に力が入った。あと数十分もすれば、この手でテウクを殴れるのだ。いよいよだ・・!奴らが、「お前今日誕生日なんだって?最高じゃん誕生日に...第九十二話④
”6月15日ファン・ミエの誕生日何が欲しい?”のメモを見て、ベ・ホンギュはしばし固まった。すると次の瞬間、ガチャッとドアが開いてチョルが顔を出す。「おい、ホンギュも飲み物いる?」「や!俺はいいや!」そう言って手を引っ込めた拍子に、丸めたメモがどこかへ飛んで行った。「なんか落としたぞ?」「え?だな!拾うわ!チョルは早く行ってこいよ!」「あぁ」 パタン ドアが閉まると同時に、ホンギュはメモが飛んで行った辺りを探し回った。 「おい、なんだよどこいった?!どこ入っちまったんだ?!」 机の下、段ボールの隙間、思い当たる場所は全て見てみたのに、メモは忽然と姿を消した。「こんなことある?!摩訶不思議かよ!・・じゃなくて!」・・てことは何? じゃあ豆子と俺の誕生日パーティーを一緒にやろうと思って、提案してるってこと?チョ...第九十二話③
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