高校から海外移住した海外在住者が言語教育や海外生活、文化についてちょっと専門的に書こうとしているブログです。今はロシア語勉強中です。
子供と大人は違う『若ければ若いほど外国語を学ぶのには有利だ』とよく聞きますよね。私たちが子供の時は教科書で勉強をしなくても話せるようになったのに…そう考えると、大人には苦労ばかりな気がして余計に辛い気持ちになります。大人に必要な事を伝える為に、生きていく為にと言葉を覚える子供の母語習得と興味や目的の為に外国語を学習するのでは必死さも違います。そして、母語習得と外国語学習ではプロセスも使う脳の部位も違います。 本当に早く始めた方が有利なのでしょうか? 子供の言語習得は耳から 子供の習得と大人の学習に触れるとなると臨界期仮説は外せません。 少しまとめますと、ネイティブのように言語を扱えるようになる…
感謝の意味を持たない『ありがとう』『ありがとう』をどんな時に使いますか? 買い物をして店員さんに言われることは多いですが、明らかにこちらが時間をもらった時でも会話の終わりや区切れに『ありがとう』と返す場面はとても不思議でなりませんでした。例えば、最初から不機嫌だったオーストラリア人のオペレーターとの会話で、 『今からアカウントを調べるね』とオペレーター 『助かる、ありがとう』と感謝する私に 『ありがとう』とぶっきらぼうに言い返したオペレーター 『(どういたしまして??)』感謝に返す言葉感謝の言葉には『いいよ』とか『とんでもないです』とか感謝を受け入れたり謙遜したりして、場面に合った返答をすると…
マスクと日常 マスク着用が新しいマナーになってまだ時は浅いですが、売り切れてばかりだった時期を経て、今や目的や服に合わせて選べるくらいマスクが日常になりました。 私たちは秋冬には風邪予防、春には花粉症対策と以前からマスクを付ける習慣がありましたが、海外の人は少し違います。 海外でマスクをしていたらじろじろ見られたという経験や、喉が痛かった日本人の友人がマスクをしての接客中、『マスクをして人前にでるなんて失礼だ』と文句を言われたとも聞いたことがありました。(例え花粉が辛くてもマスクをしない海外の人には感心します)今回はマスクがどうして広まらなかったのかについて少し書こうと思います。 目は口ほどに…
受け取り方で変わる印象 ありがとう😊 ありがとう! ありがとう ありがとう。 この4つのメッセージにどんな印象を持ちますか? 言語は時代と共に微妙に変わります。紙とペンで文章を書いていた時代を後に、今はLINEやWhatsAppなどのチャットアプリで手軽に連絡が取り合える時代になりました。 そのチャットアプリの台頭で句点が変化しているというのが、ここ最近、言語学者の間で話題になっています。 デジタルネィティブGen Z20代前半までのZ世代 (Gen Z)と呼ばれる世代は、メールや電話が主な連絡手段でもあった時代に育ったミレニアル世代(20代後半~30代後半くらい)と違って、スマホ世代ど真ん中…
接客で見える文化 日本に行った人に感想を聞くと、接客の丁寧さにいい印象を持っている人が多くてつられて嬉しくなります。 海外のカジュアルな接客も最初は慣れませんでしたが、 『その買ったポーチ、今持っている鞄に合うね。夏っぽい!』とか 『今日はそのケーキないんだ。でもうちのティラミスも美味しいよ?』とか 気軽に話しかけてくれる接客にも慣れてくると『あ、友達?』と思って気を張らずに楽になってきます。 携帯ゲームをしながらの接客、明らかにカサ増し請求をする接客など色々な接客に出会いましたが、私の中で一番印象に残っている接客があります。 ロシアのお店での接客です。 ただハムが買いたかった 美味しいロシア…
ソトだから気づくこと 自分にとっては近くて気が付かないことも、ソト側の人から見ると興味深いことってたくさんあります。 生まれ育った環境からソトに出て、違う視点で見ると改めて気が付くこともたくさんありました。 今回の話はオーストラリア人の上司と仕事で日本に行ったときの話です。 『ここでも靴に履き替えるの?』 日本では靴を脱いで室内に入らなきゃいけないことは、日本に行ったことがない人でも知っているくらい常識として広まっています。 玄関でスリッパに履き替えて、 トイレのスリッパもある。 お風呂場に防水スリッパもある。 ベランダにでるときはまた別のスリッパに履き替える。 一体いくつスリッパが要るんだ?…
自己決定理論、最後の1つ成長するための挑戦と学習には意欲が必要です。 その意欲に必要な関係性・有能性・自律性を3つに分けて書いてきましたが、今回は最後『自律性』についてです。 自分で決めたことをする楽しさ生まれたときから私たちには探求心や向上心が備わっています。 子供の時、あれもこれもと自分でしようとして大人に迷惑をかけましたが、失敗しても時間がかかっても最後にできたら嬉しかったです。 誰かに言われたことには興味を示さず、自分で決めたことには無我夢中で取り組みました。 それが自律性です。 学習意欲を向上させるにはこの自律性を高める必要があります。 原因が何かを見極める自律性が欠けた学習者に多く…
自己決定理論、残りの1つ子供のときにはなんでも興味を示し、 『できるよ!』とぐちゃぐちゃにしながら挑戦して大人を困らせていた私たちですが、いつのまにか少しずつその気持ちを失いながら大人になっていきます。 本来持つ意欲を引き出す要になる自己決定理論、 関係性・有能性・自律性のうち今回は『有能性』についてです。 小さい事でも『できる』と思ってもらうこと 自己決定理論の3つで一番学習者の心理に絡んだ欲求が有能性だと言えます。 学習者が『自分にはできる』と思ってもらうことが鍵になるからです。 自分にはできる。 自分に能力がある。 自分は役に立つ存在だ。 その満足感からさらに知識を重ね、課題に取り組み、…
関係性・有能性・自律性のバランス 学習意欲が低い学習者には、本来持っている意欲を刺激するために関係性・有能性・自律性を満たす必要があるという自己決定理論の話を前回しました。 今回はその1つ、『関係性』に焦点を当てた記事です。 学習者との距離感 指導者と学習者の関係性は近すぎず遠すぎずなのが大前提です。 友達のような関係になると授業は楽しくなるかもしれません。 でも甘えが出たり、指導者としての尊厳を適度に保つのに苦労したりする指導者も見てきました。 だからといって、距離がありすぎると不必要なプレッシャーから学習者の伸びる機会を奪う場合もあります。 時代が変われば価値観も変わります。 価値観が変わ…
やる気がでない学習者、どうして? (学習意欲と自己決定理論)
意欲が低い学習者、理由は? 意欲が低い学習者はどんな学校でもどんなクラスでも必ずと言っていいほどいると思います。 学習内容に興味がない。 親にやらされている。 先生と合わない。 上達しないから。 その原因を挙げていけばきりがないほど多くの理由を持つ学習者に出会ってきました。 授業内容に集中したいところですが、意欲が低い学習者がいたらクラス内で差が出たり、準備した授業も受け手である学習者が受け止めてくれなかったら意味のないものになってしまったりしてします。 外発的動機と内発的動機 以前書いた外発的動機と内発的動機の記事が関係しているので大事な部分をまとめると、 (元記事は学習者目線で書いてありま…
前回の続きです 母語と外国語では処理される脳の領域が違うという話を前回しました。 母語の知識は意識せずに使える手続き記憶で、外国語の知識は意識して取り出す必要がある意味記憶に属します。 手続き記憶も意味記憶も長期記憶ですが、脳での処理や神経回路が異なっているので記憶を取り出す際の手間が違います。 今回はその違いを生む神経回路の経由地点からです。 海馬と大脳基底核の役割 外国語(意味記憶)も母語(手続き記憶)も神経回路を経て大脳基底核の別の領域に保存されていますが、経由地点が異なります。外国語は海馬、母語は大脳基底核です。 授業や教科書で文法中心に学ぶ外国語は海馬を経由。 海馬は脳が取り入れた情…
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