怪談……というか、不思議なお話を99話集めようと思います。ここに書かれているお話は私と、私の直接の知人が体験した話です。
2021年3月
第四十話「白猫天使」の話を聞かせてくれたFの娘が、まだ小学生のころの話。 学校から帰ってくるなり、娘が言った。「ママ、気づかなかったの? 手、振ったのに!」 なんのことかと、Fは思った。 Fの住まいはマンションの5階。娘は帰り道、部屋が見えてきたところで、Fがベランダにいるのを見つけた。こちらを向いているように見えたので大きく手を振ったが、ベランダの母はたたずんだまま、なんの反応もしなかったと言う。 そんなはずはなかった。Fは部屋の中にいたのだから。 結局、他のお宅と見間違えたのだろうということになった。 それからしばらくして、同じマンションの住人から、妙な噂を聞いた。「知ってる? ここ、火の…
猫の霊で、私もひとつ、自分の体験を思い出した。 高校生の時だ。学校から帰り、自分の部屋に行こうとすると、階段の下に猫がいた。グレーっぽい、トラ柄の猫が、毛づくろいをしている。 私はギョッとした。なんで猫が? 猫は好きだが、飼っているわけでもない猫が家の中にいたら驚く。それに少し前に、知り合いの家に野良猫が入ってきてしまい、出そうとしたら逃げ回って、ひどく苦労したという話を聞いていた。 どうしたらいいのかわからず、そのまま突っ立っていると、猫が私に気づいた。私を見て、ビクッと固まる。 野良猫なら、ここでサッと逃げるだろう。だがその猫は、固まった状態のまま、すーっと消えていった。「なんだ、霊か。び…
犬の霊の話をしたら、「うちには猫の霊がいる」 と話してくれた知人がいる。 Fは子どものころから猫との生活を続けているのだが、彼女の家には猫の霊がずっといると言う。もっとも、姿は見えず、気配だけなのだが。 その気配は、飼い猫が息を引き取る少し前から現れる。 子どものころ、Fは北海道で暮らしていた。暖炉のある家だった。暖炉の上には家族写真が飾られ、その中にトラ猫のミヨとFが写っている写真があった。Fの父はその写真を見ながら、ずっと昔に出逢った猫のことを、よく話してくれたそうだ。 それはFの父が結婚する前の話だった。まっ白な子猫を拾ったそうだ。目が赤かったので、いわゆる白猫ではなく、アルビノであろう…
2021年3月
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