長いアラン・ロブ=グリエ紹介を終え、ようやく次の作品紹介に移れます。今回は五月末までGYAOで無料配信中のアンドレイ・タルコフスキー監督『ノスタルジア』です。第36回カンヌ国際映画祭で創造大賞を受賞しています。《Story》ロシアの詩人アンドレイは、通訳のエウジェニアを連れてモスクワからイタリア・トスカーナ地方の田園にやって来る。2人は18世紀のロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を追って旅を続けてきた。だが、アンドレイが不治の病に冒されたことで、その旅も終わりを告げようとしている。ある朝、アンドレイは周囲から狂人扱いされているドメニコという男と出会った。やがてドメニコはアンドレイに“ロウソクの火を消さずに広場を渡る”という、自分が成し得なかった願いを託す。それが“世界の救済”に結びつくと言うのだが…。...ノスタルジア
最後に紹介するアラン・ロブ=グリエ監督の作品は、1983年に制作された『囚われの美女(原題:"LABELLECAPTIVE")』です。《Story》場末のナイト・クラブ。なまめかしく踊るブロンドの美女を、男が見つめている。男の名はヴァルテル。地下組織で情報の運び屋をしている。シュルレアリスム画家ルネ・マグリットの多数の絵画をモチーフに、幻想と官能が交錯する不条理サスペンス。(「Filmarks」より)同題のマグリットの絵以外にも、マネの絵画などが映像で再現されるという美術愛好家にも嬉しい作品です。ただ、前作のように若干のエロ要素がありますので苦手な方は注意。 世にも奇妙な幽霊譚失礼な要約をするとしたら、二人の対照的な女性――「ますらをぶり」なバリキャリ風の女上司サラと「たをやめぶり」で魅惑的なマリー・アンジュ―...囚われの美女
そろそろ在宅映画にも飽き、東京での映画館解放が待ち遠しいこの頃です。今回は1974年に制作された『快楽の漸進的横滑り(原題:Glissementsprogressifsduplaisir)』という作品。タイトルからして既にセンセーショナルです。《Story》ルームメイト殺しの容疑で逮捕された美しい女アリス。心臓にハサミが突き刺さっている被害者の体には、書きかけの聖女の殉教の絵。一体なにが…?モラルも常識も超越したセンセーショナルな内容により、各国で上映禁止、フィルムが焼かれる事件まで発生した問題作。(「Filmarks」より)なお、人に自信をもって勧められる作品では全くございません。寓意の多いいかにも芸術映画という作品です。強烈な描写(教会の地下で行われるシスターへの拷問など)も多く、各国で上映禁止になったのも...快楽の漸進的横滑り
続いては1971年製作の監督初のカラー作品『エデン、その後(原題:"L'Edenetaprès")』です。因みに英題は"EdenandAfter"で直訳ですね。《Story》カフェ・エデンにたむろするパリの学生たち。倦怠と退廃、リビドーが充満するコミュニティに、突如現れた男が話す、知らない遠い国の話…。豪奢に浪費される極彩色、儀式のようなSM遊戯。“『不思議の国のアリス』と『O嬢の物語』の恐るべき邂逅“と評された初のカラー作品。(「Filmarks」より)この作品から少し他人にはおすすめできなくなります。幻想的で難解な映画で、冒頭にイメージと単語のみが提示される演出で嫌気がさす人もいるでしょう。不可解な展開に響く不協和音が印象的な作品です。カラー作品と言うこともあり、チュニジアにおける青い空と白い建物の対比、ま...エデン、その後
続いては1968年製作の『嘘をつく男(原題"L'hommequiment")』です。舞台は第二次世界大戦下のスロヴァキア。『不滅の女』のように異邦人である主人公の男が、嘘を駆使しながらある村に溶け込んでいきます。森の中をスーツ姿で走る男の姿は完全に異邦人。まずはトレーラーでご覧ください。《Story》ナチス傀儡政権下のスロバキア共和国。戦乱にあけくれる小さな村に、レジスタンスの英雄ジャンの親友だと名乗る男が現れる…。ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」を下敷きに、L・ピランデッロへのオマージュを込めつつ、「物語」の地平のかなたへ観るもの全てを誘う。(「Filmarks」より引用)ラテンアメリカ文学の巨匠、ルイス・ボルヘスの「裏切り者と英雄のテーマ」がベースになっているとのこと。ボルヘスを引用するとか本当にア...嘘をつく男
続いては1966年製作で、アラン・ロブ=グリエ監督の最高傑作との呼び声も高い、メタフィクションの金字塔『ヨーロッパ横断特急(原題"Trans-Europ-Express")』です。こちらもYoutubeにトレーラーが上がっていたので、宜しければまずは雰囲気だけでもご覧ください。《Story》パリからアントワープへと麻薬を運ぶ男の波乱万丈な道中を多重なメタで構築し、“ヨーロピアン・アバンギャルドの最重要作品”と絶賛され、公開時ヒットを記録。スリラー映画の枠組みを借りてシリアスとコミカル、嘘と真実、合理と非合理の境界を軽やかに行き来する快作。(「Filmarks」より引用) メタフィクションヨーロッパ横断特急に乗っている製作陣が映画『ヨーロッパ横断特急』の構想を練るという構成のわかりやすいメタフィクションの作品です...ヨーロッパ横断特急
では、随時アラン・ロブ=グリエ監督の作品個別感想をアップしていきます。年代順と言うことで、まずは初の映画監督作品『不滅の女(原題『L'imortelle』)』から。Youtubeにトレーラーが上がっていたのでまずは雰囲気だけでもご覧ください。《Story》イスタンブールに休暇でやってきた男は、白い車を乗り回す謎の美女と出会う。“夢の国”トルコでのアバンチュールを楽しむが…。従来の「劇映画」の概念を大きく逸脱した過激な語り口が世の驚愕と憤怒を同時に招来した、いまだ「新しさ」に満ちた記念すべき監督デビュー作。(「Filmarks」より引用)舞台はイスタンブール、同地で働いていた私としては当時の様子を映像で知ることができる良い映像資料です。テオドシウス城塞に始まりテオドシウス城塞に終わる、ボスフォラス海峡含め実にイス...不滅の女
みなさんこんにちは。ゴールデンウィーク中の自粛は順調ですか?意外とオンライン飲みが連日続き、飲酒量が増えた人も多いかもしれません。私はというと、AmazonPrimeでアラン・ロブ=グリエ監督の特集をやっておりましたので、解禁されている作品を全部観てみました。アラン・ロブ=グリエ(AlainRobbe-Grillet,1922年8月18日-2008年2月18日)は、フランスの小説家・映画監督。ヌーヴォー・ロマンの代表的作家とされる。(Wikipediaより) フランス人の映画監督ですが、映画よりも先に小説家としてデビューしています。既に表現者として成熟していたせいか、長編デビュー作である『不滅の女』の面白いことと言ったら!因みに、AmazonPrimeで観られる作品は年代順に以下の通りです。『不滅の女』("L'...アラン・ロブ=グリエ特集
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