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  • シクラメン

    五年前、シクラメンの鉢植えをいただいたそして境内で咲かせて下さいと言い残して帰っていった人がいた耳を疑った露地でシクラメンが咲いているのを見かけたことがなかったからだしかし調べてみると地植えでも栽培可能な原種シクラメンだったさっそく適切と思われる場所に植えてみたそれを見ていた婆さん達は「枯れる、枯れる」と声を枯らしての大合唱だった婆さん達の言う通りで、夏の暑さと湿気をどう乗り切るか悩んだしかし見守るだけにした原種の生命力にかけてみたかったのだそしてシクラメンは夏を乗り切り、晩秋に再び花をつけたそれから毎年、健気に花をつけてくれるシクラメンこぼれ種も育ち、家の庭に植えるため持ち帰る人もいる鉢植えのシクラメンも可愛いらしいが、この地に根をはった力強さと素朴さが好きであるシクラメン

  • 一本杉

    九月の半ばだというのに針葉樹などが褐葉していたバイカル湖の墓参から二か月が過ぎた色彩豊かな紅葉も玲瓏だが、針葉樹の褐葉も妙妙たるものがあったお寺への目印として針葉樹のメタセコイアがそびえている一か所から動かない確かな存在だ誰が植えたのか、はたまた飛んできたのか謎だが、いつの間にか大きくなったらしい曙杉と言う和名があるので一本杉と呼んでいる人もいる春には新緑を楽しませ、夏には涼しい木陰を秋には褐葉、そして冬には枝を渡る北風が虎落笛を吹き鳴らす小衲にとって心の杉である曙杉の褐葉バイカル湖畔の褐葉9/20本日のバイカル湖は-19℃これでも周辺より暖かいらしいシベリア墓参につきましては以前の投稿をご覧ください一本杉

  • 代表

    携帯電話を見ると、着信ありの表示が出ていたそして伝言メッセージも・・・メッセージを聞いた切迫した女性の声である何を言っているのか聞き取れなかったただ聞き憶えのある声だ一時間程すると携帯電話が鳴った番号を見ると先程の人だ電話に出ると「何考えてるの・・・」いきなり咎める口調だっただが確かに聞き憶えのある声「あたしはあんたを認めないわ、何よ傲慢な男が・・・」話の内容から相手が誰か割り出そうとした罵られる言葉の意味を自分の生活に結びつけようとした「何黙ってんだよ、あたしが本気じゃないと思ってんだろ・・・」「もし」いささかムッとして言った「誰に話してるのかな」沈黙が続く不意に声がした「もう一度言ってみろや、おかしな声出しやがって。ドス利かせてるつもりかよてめぇがどれくらい駄目な男かあたしはよく知ってんだ、あっちこっち触り...代表

  • 移菊

    白菊に霜が降る白い花びらの端から紫に染まる移菊(うつろいぎく)平安の世では随分と愛でられたらしい所謂、霜焼けってヤツだなのだが、そう言ってしまうと風情がない残菊とは言うが、末枯れ菊(うらがれぎく)、尽がれ菊(すがれぎく)というのもあるのかも知れない随分と昔に呼んだ小説なので作者もタイトルも忘れてしまったが実話をもとにした僧侶と女性の恋物語であった僧侶であるが故に恋はゆるされないが、どうしても自分の気持ちを伝えたいそこで僧侶は女性へ一輪の花を贈ったすると一輪の花が女性から届けられたそれから文の代わりに花を通わすこととなった二人花に言葉を託して送り、その意味を読み解く、そしてまた花に言葉を託す花の種類だけでなく、本数、長さ、蕾など、花の状態にも意味を持たせていたという儚くも切ない物語だった現在の花言葉は明治以降にも...移菊

  • 先日は偽物のボランティアに怒ってしまったさぞかし毒が体中を駆け巡ったことだろう恥ずかしい限りだしかしこれでも若い頃と比べて人間の喜怒哀楽についての沸点が相当高くなったと思っているわずか十度ぐらいの熱で喜び、怒り、哀しみ、楽しんでいたことが五十度、六十度ぐらいにならないと感情が湧きたたなくなってしまった人間の感情の頂点に位置するのは「恥」だと思っている「恥」が人間の喜怒哀楽を制御しているのではないか別の表現をすれば人の成長度は「恥」の成長度が関係しているのかも知れない様々なことを経験して己の「恥」に気付く今、「恥」だと思うのは、自分の読むお経で何も感じないと言われることただ、それだけである恥

  • 昼前、爺さんが一升瓶をぶら下げてやってきた「爺さん、芋が焼けるよ」「ふん、芋で酒が飲めるか」「焼けると言っただけで、誰もあげるとは言ってないよ」「まぁ、食べてやってもいい」爺さんとの会話はいつもこんなふうだったこの地で十四歳の時から六十年以上庭師をしている男だ濡れ縁に座って芋を片手に酒を飲み始めた座るとき、腰につけているらしい鈴が小さな音を立てたそれから紅葉を眺めながら一升瓶を半分程空けて帰っていった夕方になって爺さんの孫娘がやってきた、中学生だ「おじいちゃん何か言いませんでしたか」「機嫌がいいのか、悪いのかわからなかった」「そうですか、本当は淋しいんです」「なんで」「ユキが死んだから」一瞬、なんのことかわからなかった爺さんの古女房が亡くなったのは一年半程前で、導師を務めた「おばあちゃんが可愛がっていた猫。あた...鈴

  • 皇帝

    皇帝たちが林立する天を目指し、青い空を射るように・・・皇帝と言えば、世紀の色男、秦の始皇帝が頭に浮かぶ桁違いではないかと疑ってしまうが側室は三千人もいたらしいそうなると、行き先に困るそこで牛車の牛が止まった所に行くと宣言したすると一人の側室が牛の好物である塩を玄関に盛ったこれが盛り塩の始まり時は流れ、運(客)を招くおまじないとして残ったありゃ、お題がまじないになってしまったまあいい・・・皇帝ダリア皇帝向日葵皇帝

  • 木瓜

    境内の落葉が日増しに増えてきた掃除には多少の手間を費やすが、ありがたいことであるこれで焼き芋が出来るのだ落ち葉を集め、火を起こす不思議なもので煙というヤツは逃げれば、逃げたほうへ追いかけて来る風もないのに・・埋火に芋を放り込んで焼けるのを待っていたふいに、誰かの視線を感じたような気がした振り返ったそこには木瓜の花木瓜

  • 精神科の医師になった姪っ子がいる年に一度行う「行」では断食、断水、不眠が述べ八日間続くその時、研究という名目で江戸から遥々やって来て毎日診察してくれるこのデタラメなおっちゃんを気遣ってくれる心優しき姪っ子である先日、電話で憑依の正体について意見交換をしていたその時、彼女から恐るべき事実を聞いた人が一度怒ると約六万個の白血球が破壊され、しかも毒と化すらしいのだ一時間も怒り続けるとその毒の量たるや八十人の人間を殺すことが出来るそうだ生きているのは臓器が解毒しているからだが、その負担はかなりのものらしいそして酔狂にも彼女は毒を採取して色を調べたすると感情により毒の色は異なり、怒りは鳶色、悲しみは灰色、悔しさは竹色だったという怖い話である「身体に毒」とは言うが感情によって自分の身体で毒が生成されていたのだ心の様相が感覚...毒

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