芸術としての演劇~日本の近代化をふり返る
演劇の三要素は「戯曲(脚本)・俳優・観客」だが、それらを出会わせる場としての「劇場」という空間は演劇にとって不可欠である。日本におけるその歩みを120年さかのぼって追ってみたい。幕末から明治に入ると列強諸国に対抗するため日本は富国強兵を国家目標としたが、一方で西洋を手本とする近代化政策を推し進めた。能狂言をはじめとする伝統芸能、特に歌舞伎は前近代的な存在として排除されようとしたが、九代目市川團十郎は演劇改良会の後押しを受けて奔走し「天覧歌舞伎」が実現したことで命脈は保たれた。芸術教育においては東京美術学校・東京音楽学校(現在の国立東京藝術大学美術学部・音楽学部)が創設された一方で、文部省は演劇に関しては芸術科目から除外し現在に至っている。江戸時代、庶民の娯楽を代表する歌舞伎江戸三座(中村座・市村座・森田座...芸術としての演劇~日本の近代化をふり返る
2025/02/24 03:16