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2019/10/03

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  • 小さき花-第7章~7

    いずれ後日天国に行ってから、この島流しの世の辛く陰気な日の事を思い、天主様の為に堪えたこの苦痛を喜んで思い起こすでありましょう。父の殉教(病苦)は三年も長く続きました。しかしこの三年は私にとって最も利益になる最も大切な年であったと思います。その苦しみの三年間はいかに優れた慰さめよりなお貴重でありました。そして私はこの時に受けた心の苦痛を耐えた功績……即ちこの上もない価値のある彼の宝を思いますと、感謝に堪えずしてこう叫びます「主よ祝せられ給え……苦しみの中に過ごした彼の恩恵豊かな年の為に大いに感謝いたします」と。親愛なる母様、私等はその苦しい境遇の中でも絶えず私等の心が愛と感謝の念とに満たされておりましたからこの苦き十字架は如何にも貴重で、如何にも甘味でありました。そのときに私等は完徳の道に歩むばかりでなく...小さき花-第7章~7

  • 小さき花-第7章~6

    人々もみなこのような天候に雪の降ったことを不思議に思っておりました。そしてその時から人々は私のかねてからの望みを知って、雪を好むのは妙であると思いながら、この事を私の着衣式の小さき奇蹟であると申して、その後度々互いにこのことについて話しておりました。とにかくこのことが知れたのは結構であります。即ちこの奇蹟が、童貞の天拝というべき聖主……雪の如く白い百合(清浄潔白の霊魂)を愛せられるところの聖主の、いうに言われぬ慈しみぶかき事をも一層明瞭に表すのであります。式が終ってから後、司教様は私にいろいろと肉親のように親切にしてくださいました。司教様は側に居られた多数の司祭方の面前で、私が修院に入ることについて願った事や、ローマに旅行した時の事や、垂髪を結んだ事までも、お忘れなく話されて後、御手を私の頭にあてて種々と...小さき花-第7章~6

  • 小さき花-第7章~5

    この忠実な僕の徳行に相応しい報いが無かればなりません。父自らこの酬いを願っておりました。母様はまだご存じでございましょう。ある日父はこの修院の応接室に来られて私等に「私はアランソン市から帰ってきた、この市の「姫君の大天主堂」の中で非常に大いなる恩寵と慰めを得たのでこういう祈禱をした「主よ、私は慰めに満ち溢れて感謝に堪えません。実に私はあまりに幸福者であります。私はこのままで天国に行くことが何か済まないような気が致しますから、主の為に何かの苦しみに遭いとうございます。それで私の身を主に……」と申されました。、が……犠牲として捧げます……という終わりの言葉を私等に知られぬ様に口籠りましたが、私等は直ぐにその意味であるという事を悟りました。母様、あなたはその時の私等の悲痛をよく知っておられましょう。私は胸も張り...小さき花-第7章~5

  • 小さき花-第7章~4

    ここに母様、父の徳行について一つの例証を申し上げましょう。私等がローマを参拝した時、昼夜長く汽車に乗っておりましたので、人々の多くは退屈しのぎにカルタ遊びをしておりましたが、この遊びについてしばしば議論が起こっておりました。ある日これを弄ぶ者の一人が私等にともに遊ぶことを勧めましたが、私等はその遊び方を知りませんからこれを謝絶しました。実際に私等は彼らと違って記者の中では退屈を感じないばかりかかえって沿線の立派な光景を眺める時間さえも足りなかったのであります。私等が断ったために彼らは不満足を顕わしたので父は落ち着いて「ローマに参拝する為であるから、少し余計に祈禱をすればよい」というような意味で、穏やかに私等を弁護しました。彼らの中の一人は白髪に対して尊敬すべき事も忘れて、すぐに「幸いにファリゼオ人は少ない...小さき花-第7章~4

  • 小さき花-第7章~3

    これは真にもっともな事であります。然るこの打ち明けにくいという事は、私の霊魂が淡泊なためであったにしても全く一つの試しであった今日はなお一層淡泊になったにもかかわらずすべての思想をも至って容易に打ち明ける事が出来たのであります。先にイエズスは私の教導者であったという事を申し上げましたピシヨン神父は私の霊魂の教導に任せられると間もなくイギリス領カナダの方に遣わされましたので、私はわずかに毎年一度しかお手紙を受けておりませんでした。このカルメル会に移植させられた「小さき花」は教導者ともいうべき聖主イエズス様を仰ぐようになりました、そしてうるわす露としてイエズス様の御涙と御血を受け、輝く太陽としてイエズス様の尊き面影を受けて十字架の陰で花を咲かせておりました。私は今までこの尊き面影の中に、隠れた宝の深さを十分に...小さき花-第7章~3

  • 小さき花-第7章~2

    私は唯今述べたようなことばかりではなくこの修院に入るや否やなおこれよりも苦い試しが、しばしば手を広げて私を迎えましたが、私はその都度愛を以ってこれを歓び迎えました、私は誓願を立てる前に公に知らせた如く、私が此の修院に入りましたのは霊魂を救うため、また殊に司祭方のために祈る目的でありました、目的を達する為にはこれを達する方法を採らねばなりません。イエズスは十字架を以って霊魂を救う恩寵を与えるという事を諭してくださったのでありますから、私は種々の十字架にある度毎に、倍々苦しみを愛するという心が強くなったのであります。そして私は五年間の間この十字架の道を歩みましたがしかしこの苦しい道を歩んでいるという事を隠して誰も知りませんでした。ちょうど私がイエズス様に捧げたいと望むところの隠れたる花は、このように人に知られ...小さき花-第7章~2

  • 小さき花-第7章~1

    1888年4月9日月曜日は、私が「カルメル会修院」に入るために決められた日でありまして、この日はちょうど四旬節の為に延期された。聖母のお付けの祝日でありました、その前日訣別の為にみな自宅に集まりましたが、これは家族らの最後の集会で有りました、こういうような訣別は如何にも胸が張り裂け利用なものであります、出来るだけ人々が自分に気をつけないようにと望んでいるのに、却って人々が一層の親切を以って愛を表されるので、なおさら訣別の悲しみが増してきます。翌朝幼年の時から愉快な月日を送っていたこの家の最後の見納めとして振り返り振り返りつつ「カルメル会修院」に向かって進みました。前日の如く親族一同と共にミサ聖祭に与りました聖体拝領の後、即ちイエズスは彼ら親族の心の中に降臨せられてから、彼らは皆涙にむせびました、私はその時...小さき花-第7章~1

  • 小さき花-第6章~11

    リジューに帰ってから後、一番先にカルメル会修道院を訪問しました。この時の訪問はどういう事であったか、母様あなたはまだ覚えておられるでありましょう、私は最早すべての工夫を尽くした後で有りましたから、万事あなたの思し召しにまかせました、その時あなたは私に、「司教様に、あなたが約束したことを思い出させるため、今一度手紙を出しなさい」と仰せられましたので私は直ぐにその通りにしました。そして手紙を郵便に出して後は、すぐにも修道院の方に飛んでゆく事が出来ると思って、毎日首を長くしてその返事を待ちかけておりましたが、一向に返事がなくそのうちに遂にご誕生の喜ばしい祝日が過ぎたのであります。御主はまだ眠って居られ、ご自分の手毬の事を気に懸けられずそのままに地に置かれています。その時の試し!苦しみ!は実に辛い事でありました、...小さき花-第6章~11

  • 小さき花-第6章~10

    かく憂い悲しみに沈んでおりましても、参りました聖き所については多大の興味を覚えております、幸いにもフロランスに於いて、カルメル会修道女等に取り巻かれているバジーの聖女マグダレナの遺物を見ることが出来ました。参拝者は各々のコンタツをこの遺物に触れようとしましたが、この格子の中に手を入れることが出来るのは、ただ私の小さい手だけでありましたので私は人々に頼まれてコンタツをこの遺物に触れる役をしました、これが長く続きましたが私は喜んでその務めを尽くしました。私はこういう特別の取り扱いを得たのは今度初めてではありません、ローマに於いても、エルサレムの聖十字架の天主堂の中に聖き十字架の木片や、茨の冠の二つの茨や、御血の染まった一つの釘がありましたので、私は緩々とこれを拝見するために一番後まで残っておりました、その時こ...小さき花-第6章~10

  • 小さき花-第6章~9

    ナーブルに行ったときに聖マルチノ修道院で愉快な散歩をしました、この修道院は少し小高い丘の上に建てられてあるので、このナーブル市の全景が見えます、帰途馬車の馬が暴れたので真に危ないことでしたが、無事に立派な宿屋に着くことが出来たのは、全く我らの守護の天使のご加護であったのでありましょう、いま立派な宿屋と申したのは少しも褒め過ぎた言葉ではありません、実はこの旅行中いつも贅沢を極めた宿屋に泊まりました、今までこういう派手な建物を見た事がありませんでした、真に栄誉や財産は真の幸福を与えるのではないという事を経験しました、私はこの時にこういう栄華な境遇に居りましても、蝋石の階段、絹の敷物の中におりましても、心の中に悲しみ愁いがありました、もしこれがカルメル会に入る許可を得ているならば、藁ぶきの家に居ったにせよ逸走降...小さき花-第6章~9

  • 小さき花-第6章~8

    私の試みは烈しく大になりました、しかし天主様のお招きに応じて行くために私の力の及ぶだけの事を致したのでありますから、涙を流している時でも心の中に大いなる平和を感じておりました、この平和安心は心の奥底に潜み、苦い悲しみは充ちております。そしてちょうどイエズスは居られないように黙っておられました、御容姿を示される何の徴候もありませんでした。この日にも太陽が光をあえて見せませんでした、イタリアの美しい蒼空は暗雲に閉ざされて私と共に泣くように大雨が降りました、私は許可を得ようと思った目的が外れましたので、もはやこの旅行は私にとって何の愉快もありません、しかるに教皇陛下の最後の御言葉は一つの預言の如くに私に慰めを与えるはずでありまして、種々の妨げが集まって来たにも拘らず、私の身の上は「天主様の聖慮」通りになりました...小さき花-第6章~8

  • 「ロザリオの秘密」聖ルイ・グリニョン・ド・モンフォール

    St.LouisMariedeMontfort-TheSecretoftheRosary.pdfで検索すると英文ですが見つけ出しダウンロードすることが出来ます。これによると49のバラ154までとなっています。原文はフランス語?日本語訳は28のバラ91まで邦訳を出されておられる御方がいらっしゃいます。国会図書館サーチでは見つかりません。「ロザリオの秘密」聖ルイ・グリニョン・ド・モンフォール

  • 小さき花-第6章~7

    こうして6日の間このローマの尊く珍しい主なる不思議を遊覧いたしました。そして7日目に一番尊く珍しい不思議なものを見ました。即ちこれは時の教皇レオ13世陛下であります。私はこの日を待ち望んでおりましたが、また一面に畏れを抱いておりました、この日に於いて私の運命が決まるのでありまして、未だ司教様から何の知らせもありませんでしたから、是非とも教皇陛下の御許可を願うより外に途がなく、これが私にとって唯一の手綱であります。ああ私は数人の枢機官を始め大勢の大司教や司教様の面前で、思い切って教皇陛下に嘆願せねばならないのでありました、かかる重いだけでも私の心を戦慄させました。私等がバチカン宮殿内にある教皇陛下の聖堂に入りましたのは、11月20日の日曜日の朝でありました。8時に教皇陛下のミサ聖祭に与りましたが、このミサの...小さき花-第6章~7

  • 小さき花-第6章~6

    聖書の中に「マリア・マグダレナは常にイエズス様のお墓の傍を離れず、中を見るためにしばしば身を屈めていたところが、ついに2位の天使を見ることが出来た」という事が記されてあります。それで私も彼女の如く絶えず身を屈めながら降り口を覗いておりますと、天使を見ませんでしたが、幸いにも捜していた降り口を見出しました、そこで私はついておいでなさい、通ることが出来ます」と喜び叫びつつ、姉と共に急ぎ走って崩れた後をよじ下がってゆくと、遠方に居られた父はこの大胆な行動を不思議に思われてか、私等を呼ばれましたが、何にも聞こえませんでした。私等は軍人が危険の真っ最中に勇気が増すのを感じるように、私の喜びも目的を達する為に冒す危険と疲れが、増せば増すほどなお喜びも増えてきました。セリナは私よりも注意深い気質でありましたから先に案内...小さき花-第6章~6

  • 小さき花-第6章~5

    こういう追懐は真に愉快であります。しかしながら私等にとって最も大いなる慰めと思うのは、この聖き家に於いて聖体を拝領し、御主が御生活なさった同じ場所で、私はイエズス様の活ける聖堂となったことであります。ローマの慣例では聖体は各天主堂にただ一の祭壇が設けられ、そこに保存せられてあります。そうしてその祭壇により司祭が信者たちに聖体を授けます。この小さき聖き家は、貴重なダイヤモンドが白い蝋石に囲われている如くに天主堂の中にあります。そしてその側には聖櫃の置かれてある祭壇がありまして参拝者は皆この祭壇のもとでミサに与り聖体を拝領します。しかし私等はこの部屋で聖体を受けるよりも、この聖き家の中……即ち飾り箱のなかではなくダイヤモンドの中で、天使のパン(聖体)を受けたかったのであります。この聖き家の中にも祭壇がありまし...小さき花-第6章~5

  • 小さき花-第6章~4

    「カンポ・サント」(イタリア語、聖地という意味で墓地の名)はことに私に感動を与えました。白き大理石で作られた、大小の碑像が、三々五々という具合に処々に多数ありまして、これがみな活きているように見えますので、これを慰めたいような気が致します。中には顔は憂愁を帯びていながらも、真に静かに穏やかにちょうど何ごとも天主様に任せているような想をしているのがあります、がこれ等は皆如何にも得難い傑作であります。ここには父の墓そばに立って花を撒いている子供の像があります、これを見ておりますと同じ石で作られたあるその花びらが石のようには見えず、ちょうどその子供の指先から自然に滑り落ちるように見えます。また寡婦の軽い被巾や、若い女の子の髪を結び飾ってあるリボン等が、風に動いているように見えます。私等はこれを見ている時の感想や...小さき花-第6章~4

  • 小さき花-第6章~3

    目的地に着くまでにスイスを通りました。まことに山水の眺め美しいところで高き山が峭立ち大きな瀑布が懸かり、時々雲に質されて山の頂が見えないようになりますが雲が晴れると左右の山は皆雪で白く日影に輝き、あるいは緑の大きな麁朶(そだ…切り取った木の枝)、あるいは深い渓谷険しい断崖……親愛なる母様、この撒き散らしたような自然の妙景は大いに私に利益を与えました。私の霊魂は儚きこの地上にさえもかくの如き傑作を撒かれたところの御方の方に益々惹かれるようになりました……列車は時に高き山の頂を馳せて今にも天外に飛ばんとするかと思えば、忽ちにして深き渓間に入り、眼の届かないような深い淵に臨んで今にも吞みこまれんとするようになり、忽ちにしてまた美しい村落の中を通ると別荘や鐘楼が見え隠れ、可愛らしい小さき天主堂の棟には紫の雲がたな...小さき花-第6章~3

  • 小さき花-第6章~2

    11月4日の夜明けの3時頃暗夜の静けさの時、リジューの市中を通って停車場に出ました、私は少しも知らない地に行き、ローマでは私の身の上について大事な事が待っているという事を感じておりました。パリ市に着きますと、父は名所旧跡に案内してくれました、が、私にとって唯一の名所は「ノートル・ダム・デ・ビクツアール」(勝利の姫君)の天主堂でありまして、この堂に詣った時に私はいかなる感じが起こったか到底言い表す事が出来ません、その時も又聖母は私が初聖体の時に与えてくださった恩寵と同じ恩寵を与えてくださいましたので、私の心は非常な平和と幸福とに満たされました、ここに我が母なる童貞マリアが以前病気の時に私に微笑みせられた御方、私の病気を治してくださった御方はご自分であるという事を明らかにさとされました、熱心に祈って「いつも私...小さき花-第6章~2

  • 小さき花-第6章~1

    第6章バユーの旅行が終って後、3日目になおこれよりも長い旅行をせねばなりませんでした、即ちローマ……教皇陛下の御座所に決められているので永遠の市ともいうローマに、門出を致したのであります、この旅行の間、この世の儚きこと、むなしきことなどよく悟りました。しかるに立派な景色を視、宗教上や美術上の傑作を視、殊に使徒たちが踏まれた地を訪ね、殉教者の血に染まった所の聖き旧跡の地を踏みましたので、大いなる霊魂の広い知識を得ました、私はこのローマに行くことが出来たので喜ばしく思っております、その時多くの人々は、父が修院に入りたいという私の決心を翻さす目時でローマに連れて行くのであると思っておりました。なるほど人々がこういう考えを持っていたのは決して無理ではなかった、という事を今日悟ります、実際堅き決心を抱いていない者で...小さき花-第6章~1

  • 映画はお好きですか?

    Top100Pro-CatholicMoviesという記事を見つけました。https://gloria.tv/share/T2SN3aWUhoXQ4VAtgSAUxxdZG見ているようで見ていないものです。ThePassionoftheChrist(2004)TheSongofBernadette(1943)Thérèse(2004)TheMiracleofMarcelino(1955)BenHur(1959)BrotherSun,SisterMoon(1972)TheFlowersofSt.Francis(1950)Golgotha(1935)TheTenCommandments(1956)くらいでしょうか。映画はお好きですか?

  • 小さき花-第5章~11

    いろいろと談話の末「いま確かに返事することが出来ぬ、いずれ総院長に照会わせて後に決定しよう……」という事になりました、先に総院長が許可の出来ぬほどの反対をしておられたので、私はこの言葉を聞いて非常に悲しみました。それでこの時先に副司教に注意せられたことがあるにもかかわらず、「ダイヤモンド」を司教様に見せたばかりでなく、沢山に差し上げたのであります、しかしこのために司教様も幾分か感動せられたと見えて、今まで他の子供に対してなされなかったほどに、深く私を慰めてくださいました、「我が小さき娘よ、まだ見込みがなくなったというのではない、そなたはお父さんと一緒にローマに行くそうであるから私は喜んでいる、それでその間に自分は確かに天主様に召されたものであるという事をますます明らかに分かるようになるから、泣くよりも却っ...小さき花-第5章~11

  • 小さき花-第5章~10

    1887年の10月31日、私は司教様のもとを訪れるため、父と共にバユー市に向かって出発しました、途々私は自分の望みが効き入れられると信ずると同時に、司教様に謁見せねばならぬことについて、いろいろの感に打たれました、私は他人を訪問する時には、いつも姉達と一緒でありましたが、しかも始めて一人で会わねばなりません、その上この初めての面悦する人が司教でありました、また今までは唯質問に答えるばかりでよかったのですが、今度は私は確かに天主様に召されたものであるという事を証拠する為に、今日カルメル会修院に入りたい理由を、十分に説明せねばならんのであります。こういう風に自分の怖じ気に克つためにいろいろと戦う必要がありました、「キリストの模範」に「愛する者は万事為し得うべしと確信するが故に、出来ざることを以って言い訳とせず...小さき花-第5章~10

  • 小さき花-第5章~9

    またこの時代にイエズス様は私に、幼児等の美しく無邪気な霊魂たちに近づく恩恵を与えてくださいました。すなわちある貧しい家の母親が、哀れにも病気に罹りましたので、私は六歳を頭とするその子二人の幼き姉妹を大切に世話しました、私がこの二人の幼児に話すことはよしどんな事であっても真実に信用しますので、私は大いに楽しくありました。小さい時から、犠牲を捧げるためには、未来永遠の幸いを受けたいという望みだけで、充分である、という事を見れば、疑いもなく洗礼を受けた霊魂には、対神の徳が深く刻まれて居るに相違ありません、私はこの二人の幼児が互いに仲良くするのを見たい時には、彼女らにおもちゃとか菓子類を与えるという約束をする代わりに「幼きイエズスさまがおとなしい子供に、英会陰終わりなき褒美を与えてくださる」という事を申しておりま...小さき花-第5章~9

  • 小さき花-第5章~8

    三日過ぎた翌日、土曜日であって、私は叔父の家を訪問しましたが、私に対しての叔父の様子が不審に思われるほど変わっていました。私は何も申しませんのに、叔父は自分の部屋に導き、私が幾分か遠慮するような様子でいるのを少し咎めて後「私が願った奇蹟が最早不必要になった、なぜならば私は天主様にもしも聖慮ならば、どうか私に許すような心の傾きだけでも与えてくださいと祈っていましたが、その傾きを与えてくださったからである」と申されました。私はこの時の叔父は、以前とは全く変わった人のように思いました、彼は親の様な愛情を以って私を抱きながら「親愛なるわが娘よ、平安に行け、そなたは主が摘み取りたいと思召すところの、特別に恵まれたる小さき花である。私は決して反対しないから聖慮に従いなさい」と大いに感動して申しました。ああ、私はいかに...小さき花-第5章~8

  • 小さき花-第5章~7

    私は早くカルメル会に入りたいという希望を打ち明け、涙ながらにその許可を願いましたところ、そのとき父も泣きました。そして私の望みを翻さすためカルメル会に入るなとは言わずただ「斯様な大事な事を決心するには、まだ少し若い」とのみ言われましたので、私はそのことについていろいろと弁護致しました。私の感心なる父は正直寛大な性質をもっていましたから、私の言い訳をよく聴き入れてくれましたので、私の心の中は晴れました散歩が長く続きまして、父は最早涙を流さず私に向かって聖人のように話し、やがて少し高い壁垣の方に行って、私に白く小さい花を見せました。この花は小さい画像等によく描いてある百合に似ております。父はその花の一つを取って私に渡しながら、天主様がいかなるお世話を以って今日までこの花を育てられ、これを咲かせなさったかという...小さき花-第5章~7

  • 小さき花-第5章~6

    天の招きに応ずることを、励ましまた勧めてくれたものは私の親愛なるポリナばかりでありました。私の心が彼女の心の裏に映写したようです。もし彼女がいませんでしたら、どうしてもカルメル会に入ることは出来なかったでしょう。五年以前から……親愛なる母様よ、あなたから離れ、まるであなたを見失っておりましたが、しかし試みの時に、私は貴女の手に歩行付き道を示してくださいました。私はその時に大いなる慰めの必要があったのです。その訳はカルメル会修院に面会に来るのは随分つらい気分がしたのです。マリアは私がまだ年齢が若いと思い、親愛なる母様も私のこの熱望を出来るだけ緩めようとなされました。無論、これは私を試すためであったのでしょう。かくのごとく最初はただ反対や妨げのみを受けておりました。その上私は何事をも打ち明けていたセリナにこの...小さき花-第5章~6

  • 小さき花-第5章~5

    聖主は私の望みを良く知っておられましたぁら、神父に対して私に一週間に数回聖体を受けるのを許しなさるように、計らってくださいました。そしてこの許しが直接聖主からくられると感じますので、私も一層感謝の念が増しました。この時私の心の感じを打ち明けるのを遠慮しておりました。私の霊魂の進み行く道は、至って真っすぐで明るく、イエズズ様の外他の案内者の必要を感じませんでした。私は神父が人々の霊魂の中にイエズズ様を写す忠実な鏡に譬えて比べておりました。しかるに聖主は直接私の霊魂を照らしてくださるように思っておりました。即ち園丁がある果物を時期が来ない先に早く熟させようとして、特別な世話をしますが、これはこの果物を熟させて後、樹に遺す為ではなく、その果物を食卓に供えて賓客に与えるためであります。ちょうどその通りの目的で聖主...小さき花-第5章~5

  • 小さき花-第5章~4

    「イエズズキリストの模範」にも『天主様が時として烈しい光明によてご自分を示され、また時として温和に暗影形像(かげかたち)のもとに隠れて語らる(三巻43の4)』とかくの如く、私等の心に私の霊魂にご自分を顕してくださいます。しかし私にとってはこの暗影形像の幕が至って薄いので天主様が私の霊魂にご自分を顕して下さることは至って確かで少しも疑う余地がありません。それゆえもはや信徳と望徳が無くなって、私等が捜している所の御方を、この世界に於いても愛によって見つけることが出来ました。「雅歌」の中にも「この御方一人を見出したので、その御方が私に愛の接吻をしてくださって、この後誰も私を卑下する事が出来ぬよう計らってくださいました。(8の1)斯様な深い天上の感想は、永く実らずにいることが出来ませんから、漸次にその結果が洗われ...小さき花-第5章~4

  • ~ファイル修正~

    ベツレヘムからカルワリオへファイルを修正しました。正三時間の誤参事官の~ファイル修正~

  • 小さき花-第5章~3

    まことに聖主は私に対してかくのごとくにして下さいました。私は今この意味深き言葉についていちいち私の身の上にまるで実行せられたという事を証拠立てるができますが、しかし直に申し上げた所の恩寵が、これを証拠とするに十分であろうと思いますから、ここにはただ聖主が「豊かに」与えて下さった養いだけについて一言申しましょう。私はまだ聖書の中に含んでいる、かくれたる意味を悟ることが出来ませんでした。「イエズスキリストの模範」は私の霊魂の利益になる唯一の書物でありました。この書物の中に含まれてある「一番純潔なる粉」は永く前から私の霊性を修養しておりました。私はこの小さき書物は決して離しませんでした。これが為家族の者等が面白がって、ときどき叔母などは無造作にこの書物を開いて、自分の眼についた章句を私に尋ねて居りました。14歳...小さき花-第5章~3

  • 小さき花-第5章~2

    私の此の祈祷は必ず聞き入れて下さると心の中に感じました。しかしなお続いて他の憐れな霊魂を立ち返らすために働く勇気を与えて頂こうと思って「主よ、私は不幸なるブランジニの罪科を赦して下さるという事を確かに信じます。よし彼は死刑を執行される前に、告解をもしませんでも又もし痛悔すること事を云い現わさないでも、私は主の限りない慈悲を深く信じておりますから、必ず彼を赦して下さるという事を疑いません。しかしこの者は私が改心させたい最初の罪人でありますから、何卒これが私の慰めの為に彼が痛悔の念を起こしたという何か1つの印を与えて下さるようお願い致します。」と。ところが私の祈祷は望む通りに聞き入れて下さい。父は決して私らに新聞を読ましめませんでしたが、私はこのブランジニに関わる記事を見る為に新聞を閲読しても、父の意に背かな...小さき花-第5章~2

  • 小さき花-第5章~1

    【5】天井から私に莫大の恩寵を与えて下さいましたが、私はこの恩寵を受けるだけの功績も価値もない者でありました。私は善徳を行いたいという熱望をいつも絶えず抱いておりましたが、私の行為にはいろいろの不完全が混ざり、至って激しい感情が他人にとってはさぞうるさい事でありましてでしょう、そしてこの困った欠点は如何に諭されても直すことが出来ませんでした。然るにかような欠点がありながら、どうして近いうちに「カルメル会修道院」に入ることが出来るだぞと思っていたでしょうか、私はこの欠点に打ち勝つには、ぜひ一つの奇蹟がなければならないと思い、平素これを望んで居りましたところが、1886年の12月25日という忘れる事の出来ない日に於いて、聖主イエズス様は此の奇跡を行ってくださったのであります。即ち愛すべき幼きイエズス様は、この...小さき花-第5章~1

  • 小さき花-第4章~37

    この会に入るため一週間に二三度、前の童貞学校に行きました。この時私は気恥ずかしいため、少し行きにくかったのです。無論童貞達を深く愛し、私になさる全てのことを皆有難く思っておりましたが、前に申し上げた通り、古い生徒たちの如く数時間も一緒に談話することが出来るように、特別に私を愛してくださる童貞がありませんでしたし、そして私は唯一人黙って稽古をしておりましても、誰も私に気をつけませんから、稽古が済むと直ぐ聖堂の二階に上がり、そこで父が迎えに来て下さるのを待っておりました。その時戸の寂しい聖堂の中で黙想する事が唯一の慰めでありました。私は他の人々と共に談話するのは唯私の心を疲れさせるばかりでありましたから、唯一の友なる聖主イエズス様を訪問し、この御方のみに会話する事を知っておりました。しかしまた他の者に棄てられ...小さき花-第4章~37

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