日々認知症診療に携わる病院スタッフのブログです。診療の中で学んだ認知症の診断、治療、ケアについて紹介していきます。
前回は、「意味性認知症」になると「失語」だけでなく「視覚性失認」も呈しやすいということをお話しし、当院で実施している「視覚性失認」の有無を確かめるテストをご紹介しました。 今回はその続きになります。 「意味性認知症」は「アルツハイマー型認知症」に間違われやすい 以前もお話したように、特に「意味性認知症」は「失語」症状が「もの忘れ」に勘違いされやすいため、「アルツハイマー型認知症」に誤診されやすくなっています。 そのため「意味性認知症」の患者さんに「アルツハイマー型認知症」治療薬が投与されているケースが少なくありません。 「意味性認知症」は「前頭側頭葉変性症」に含まれているように「前頭葉症状」が…
前回は、「失語」の具体的な症状についてお話しするとともに、「失語」症状は「意味性認知症」でなくても出現しやすいものであり、認知症患者さんが合併する症状としては決して珍しくないというお話をしました。 ただ、明らかな「記憶障害」を伴わずに病初期から「失語」症状が前景化している場合には、やはり「意味性認知症」が強く疑われ、その場合には「意味性認知症」において病初期から出現しやすいその他の特徴的な症状についても、簡単なテストで有無を確認していくというお話をしました。 今回は、その続きになります。 「意味性認知症」になると「視覚性失認」を呈しやすい 「意味性認知症」になると障害されやすい側頭葉には、言語…
前回は、当院で実施している「失語症スクリーニングテスト」と失語症が疑われるよくある回答や反応についてご紹介しました。 また、認知症患者さんの多くが言葉の視覚的理解よりも聴覚的理解の方が障害されやすい傾向があることについてもお話ししました。 今回はその続きになります。 「失語」の具体的な症状について 「失語」があると具体的にどのような症状が出現してくるのかについて、ここで一旦整理してみたいと思います。 「失語」とは、言葉を「聞く」「話す」「読む」「書く」ことが障害される症状になります。 もちろん脳の障害される部位やその大きさによって、障害される機能や程度は変わりますが、いくつかの機能が重複して障…
前回は、「失語」症状のある人は、言葉の意味が分からなくても、そのことを相手に悟られないように「聞こえないふりをする」「笑ってごまかす」「話をそらす」「急に不機嫌になって怒り出す」「その場からいなくなる」といったふるまいをすることがよくあるというお話をしました。 また、「失語」症状は「もの忘れ」に間違われることがよくあるということもお話ししました。 今回はその続きになります。 当院で実施している「失語症スクリーニングテスト」 前回までにお話ししてきたように、「失語」症状は周りにいる人たちから「難聴」や「もの忘れ」に間違われやすいため、「難聴」や「もの忘れ」として表現されることが少なくありません。…
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