ときじくのかぐの木の実
野見宿祢の自伝 26 わたしがケハヤとの天覧相撲のために出雲から宮中に召し出され、そのまま天皇(すめらみこと)にお仕えするようになって、長い年月が過ぎた。 わたしがお仕えしていた第11代の天皇陛下(垂仁天皇)は、その年の秋に崩御されたのである。 荘厳な葬儀が行われ、陛下のご遺体は菅原の御立野(すがわらのみたちの)に壮大な御陵を築き葬られた。 そして陛下の御子であるオオタラシヒコさまが第12代天皇(景行天皇)として即位された。 こうして天皇の代替わりの儀式もあらかた済んで、落ち着いたころのことである。 先帝である垂仁天皇陛下の忠臣であったタジマモリが、常世国(とこよのくに)から日本に帰国してきた…
2022/08/10 19:30