感度の高い言葉の共鳴函 〜「内部」エレーヌ・シクスス
「ことばを食する」と題し、本や言葉をテーマにしたこのブログを始めたとき、いつか書きたいと思いながら、果たしていない作品がいくつかあります。「内部」(エレーヌ・シクスス、新潮社、絶版)が、そう。かつて20歳代前半のわたしに、精神的な暴力に近い衝撃を与えた小説です。 シクススの「内部」、そしてベケットの戯曲「ゴトーを待ちながら」や「モロイ」をはじめとした小説は、わたしにとって刺激的であればあるほど、深刻で絶望したくなる作品群でした。 高校のころからわたしは、純粋な読み手である「読者」ではなく、自らも言葉に大切なことを託す「書き手」として、あらゆる本に接していました。特に意識したわけでなく、気づけば…
2025/03/24 22:36