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ネクタイゲホッゲホッと海がむせかえった。「これ……お酒入って……」「少しだけ……ね。このくらいなら大丈夫」少量でも生まれて初めてまともに口にしたアルコールにみるみる海の顔は赤く染まる。【体が熱くて……】心拍数が上がっていく。「あの……僕……すみませ……」海はフラッと立ち上がり、トイレに向かって歩き出した。「ちょっ……海くん、待ちたまえ」その後を高須が追い、海の腰に手を回しトイレに入っていく。そんな2人を裕貴が見て...
海にとって俺は……倉田のバイクがホテルへ到着した。倉田は携帯を取り出して再び裕貴に電話を入れる。ピリリリリと携帯が鳴り裕貴は急いで出た。「たった今ホテルに着いたんだが。お前どこにいるんだ?」『今、最上階のバーにいる』「海もそこにいるのか?」『ああ……そうだ』倉田は唇をかんだ。『おい、誤解するなよ? 海が一緒に居るのは俺じゃない。あのヘンタイ医師だ』「ヘンタイ……医師?」『お前知らないのか? 海のことをつけま...
愛のカタチ「海……」エレベーターの中で2人きりの高須は待ちきれなかったのか海にキスをしてきた。「ん……や……。んんっ」拒む海の手首を掴み壁に体を押し付け、膝を海の足の間に食い込ませて膝を割ろうとする。海は必死で顔をそむけた。「仕方のない子だね。少し飲んでから部屋へ行こうか」そう言うとエレベーターは最上階のバーへ向かった。「バーか。よし」裕貴はエレベーターを呼び、同じく最上階へ向かう。チンと言ってエレベー...
僕に触るな「ん……」海が目を開けると病室の天井がぼんやりと見えた。【頭が……痛い】海はボーっとして高須が現れてからの事を思い出そうとした。パジャマもキチンと着ているし、布団もちゃんとかぶっていた。「あれは……夢?」【高須の事を嫌だ嫌だと思うばかりに見た悪夢だろうか?】次第になんだかお腹がゴロゴロとしてくる。【お腹……痛っ】海はベッドから起きあがり、スリッパを履いてよろよろとだるい体を引きずりながら出口へ向か...
【※性暴力表現あり】【なにが終わっているの? 裕貴……僕はどうなっちゃうの?】海はそのままパタッと床に手を垂れた。【裕貴……】そして深い眠りの底に落ちて行った。高須は軽い海の体をベッドへ寝かせ、もう一度海の意識がないか頬を数回ペチペチと叩いた。……無反応。海のパジャマのシャツをはだけ、細い白い首筋にむしゃぶりつく。ジュルジュルとあちこち音を立てて吸い上げた。甘い海の体臭が鼻をくすぐり、さらに熱く中心が高ぶ...
先生やめて【※性暴力表現あり】カツンカツン……と廊下に響く靴の音に海はガバッと起き上がった。次の看護師の見回りの時間はまだまだ先の時間だった。【やっぱり……来た】海はベッドから降りるとそのベッドの下にもぐった。今日は高須の当直の日。ましては海は明日退院する。海は絶対になんらかのアクションを起こしてくると踏んでいた。カツンカツンと言う靴音は海の部屋の前で止まる。ガチャッとノックもなしにドアの開く音。そし...
バカ野郎ゾクゾク……とする体。力が抜け陸はその場にへたんと座り込む。目の前に立浪が立つと半勃ちのモノを手で掴んでブラブラとゆすった。「これ……ほしいだろ? ん?」陸は立浪のモノに手を伸ばしながらも上目使いでギロっと睨んだ。「いい顔だ。陸」そう言うと陸の髪を掴んで口内に押し込んだ。「ん……ぐっ」【くそ……。ムカつく。ムカつくのに……立浪さんのこれが……ほしい】すっかり立浪のモノにならされた体は立浪を求めて疼く。陸...
あれからどのくらい経ったのか。いっこうに2人は控え室から出てこない。【裏口から帰したのかな】陸は気にしながら、最後の客を見送った。いつものように後片付けと明日の準備をする。そして腰巻きタイプの黒いエプロンを外しBGMを止めた。「……」ふとなにやら陸の耳に入ってきた。【なに?】そう思った次の瞬間陸の顔がかぁぁぁぁと顔を赤くなる。「ああっ、……んん」【喘ぎ……声?】まさか……そんな……いき……なり? 面接の時点でかよ。...
面接「海……好きだ。お前が好きだ」「倉……田」倉田は海のパジャマを脱がせてすでにほぐしたその場所に唾液を塗り込めると熱い高ぶりを押し付ける。「あっ、ああ」倉田の熱い想いに海の体はのけ反った。久々の圧迫感にんんんっと声を漏らす。「もう……離さねぇ」「倉田……」【裕貴……ごめんね?】軋む体の痛みよりも張り裂けそうな心の中で海は裕貴への想いに静かに封をした。【裕貴が一時でも僕を好きになってくれただけで……それがわか...
全身全霊「俺に話す事はねぇ。コイツはもう俺のもんなんだ。ダチなら手ぇ出すな」「倉田……」「もう……遅ぇんだよ。裕貴」「遅……い?」「ああ遅すぎだ」そういうと目の前で再び海を押し倒した。「倉田……? やっ」【まさか裕貴の前で? ……嘘。やめて】「さっきの続き……しようぜ? 海」「やめて……く、倉田」倉田の体を必死で押しのけようとする海の手を掴んでベッドに押し付け唇を吸い上げた。「や…っ んんんっ」【やだ。裕貴が……】見...
覗き【覗……かれてる?】「倉……やっ、 誰かが……」「海……静かにしろって。さすがに隣に聞こえちまう……だろ?」そう言って海の口を大きな手で塞いだ。「んんんっ」海は顔を左右に振る。【違う……違うって。倉田、誰かが見てるんだってば】倉田は海の顔を見つめ、頬を赤らめながら海の鎖骨の辺りに吸いつく。そして手で海のモノを掻き上げた。「んんんっ」海は悶えつつ、再びドアを見るとフッと笑った口元が見える。【この口元。もしかし...
9年間「覚えてるか海」「え?」「俺等が高校生の時にお前が風邪で寝込んで俺がチャリ飛ばしてさ、駅前で買った花束を俺がお前んちに持っていったこと」海はそう言われてふと高校生の頃を思い出した。【そうだ、当時不良っぽかった倉田が照れながら花束をくれて……】===============『な?俺ならお前の事大事にしてやれるからさ、俺と付き合えよ』『いいよ……。付き合っても……いい。裕貴の事忘れさせてくれるなら付き合っても……いい』...
ベタ……ボレ?「悪いが……開店前だからな、それ飲んだら出て行ってもらおう」そう言うと立浪が控え室の方へ消えた。「ごめん、倉田。送ってくれてありがとう」「いや……。お前大丈夫か? なんかアイツ怒ってる見てぇだが……」「うん。ごめんね?」倉田はぐいっとウーロン茶をあけると椅子から立ち上がった。「あ、倉田」「ん?」「海、明日退院できるみたい」「……そうか。今から行ってくる」「うん。それから倉田」「なんだよ」「さっき...
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「バカ野郎。体なんてもん温められてもその後醒めた時空しくなるだけだろが」「そう……だね。倉田のいうとおりだ。その頃の俺は
陸の話陸が病院の廊下を歩いていると倉田が向かい側からやってきた。「倉田」「陸か。今から仕事か?」「お前こそ、こんなに早く海のお見舞いかよ」「まぁな……。少しでもあいつの傍に居てぇからな?」陸はそんな倉田の言葉を聞いて倉田の腕を引っ掴んだかと思うと「ちょっと来て」と引っ張る。「なんだよ……おい。陸っ」「お前に話が……ある。バーまでバイクで送ってよ」「……話?」仕方なく倉田はバイクを出し陸にヘルメットを渡すと陸...
やばい、眠い。結構更新しちゃったんで目次はまたやります(;^ω^)すみません…。夜の更新はここまで。そしておいらは泥のようにねます、おやすみなさいまし。...
少しだけ海はベッドから降りると部屋から廊下へ出た。スリッパでは足音が廊下に響く。だから裸足でペタペタと歩いた。階段を降り明かりの洩れる自動販売機に足を向けた。目的はその隣の今時珍しいピンクの公衆電話だ。受話器を取り小銭を入れた。ずっと前に裕貴に貰った名刺を取り出して数字のボタンを押す。【少しだけでいいから裕貴の声が聞きたい】090……そして「やっぱりこんな時間に迷惑だよね?」と受話器を置いた。ジャラジ...
傍に居るのに「ごめ……裕貴。ごめん俺……」「とにかく中へ入ろう……な?」裕貴は陸の体を支えながら部屋の中へ導いた。「なんか……飲むか?」「……ううん」陸はカーペットに座り込み下を向いている。裕貴も海との事を陸に話さなければいけないと思っていた。【その前に陸の話を聞いてやらないと……。俺の話はあとでもいいから】裕貴は陸の前に座った。「何があったんだ? ……ん?」陸は唇を噛んで変わらず下を向いていた。「りーく。どう...
裕貴が振り返ると陸が上目使いの目で寂しいと訴える。「陸……」「中入って休んで行って? 1人で寝るのやだ。ね? 裕貴様、裕貴大明神様ぁ」陸はずっと1人で居たせいか裕貴に対してだけは高校の頃から
誤解「父さんも母さんも疲れただろ? 俺見ててやるから一度家帰んなよ。ね?」「そうねえ。お父さんは明日仕事だし……」「俺は今日の夜から店に入ればいいからさ、ここでウトウト寝れるからそうしなよ」そう言って陸は2人の背中を押した。「そう?ならそさせてもらうわね? 海、明日の朝、お母さんまた来るから……」「うん。ありがとう」そう言うと両親は帰って行った。陸は「さてと……」と言って裕貴の腕を引く。「裕貴はさ、家で休...
好きだ陸がガラスにはり付いて中を覗く。ゴクッと唾を飲み込んで倉田は中を覗いた。「海……」【お前のそんな姿……見たかねぇ】「目を……覚ませよ……海」海は目を閉じたまま動かない。「目ぇ覚ませって。海っ! おいっ! 目ぇ覚ませっ!」倉田はドンドンとガラス窓を叩く。「く、倉田やめろって」裕貴と陸が倉田を抑えこむが倉田に振りほどかれ、陸は廊下に尻もちをついた。「おいっ! 海っ。バカ野郎っ、いつまで寝てんだ。起きろっ」「...
嫌悪と後悔海が高校を卒業して少し離れた大学へ進むことを知った時……俺はケツまくって海から逃げだした。アイツを置いて、いつか海が俺の前からいなくなるかもしれないと言う
電話「主治医の先生によると幸い海の場合、貧血のような状態になってめまいから軽い脳しんとうをおこしただけようだ。しかし今日1日はもしものためにこちらで様子をみるらしい。……大丈夫。海は強い子だ。小さな頃からどんなつらい治療にも耐えてきた子だよ? 陸が一番知っているじゃないか」そう言って父親は陸の頭をなでる。「そうだけど。そうだけど。海……。海……」陸はガラスに貼りつき海を見て溢れる涙を袖で拭いた。「海がこ...
めまい相田 海【やっぱり……あの時の】「334番の飯田様ー?」「は……はいっ」「お待たせしました。5日分出てますね。お顔の方の傷にはこちらの……」薬の説明をする海をじーっとみたまま奈津子は呆然とする。【この人が……剛にぃの……】海は説明しながらじっくり見られていることに気づき、奈津子を見た。「あの……。何か説明で分からないことでもありましたでしょうか?」「い……いえ。もういいです」そう言って奈津子はお金を払うと薬の...
偶然の出会い「海? 海、時間じゃないのか? 目ざまし鳴ってんぞ?」海は目を開けた。陸が眠そうに海の顔を覗き込んだ。「ど、どうしたの? その顔」海は腫れている陸の顔を見て驚いた。「ちょっとな……」「陸……。もしかしてあの人から」「平気平気」そう言って陸は笑った。【陸……】「……湿布貼らなきゃ腫れ引かないよ? 今日もお仕事なんでしょう?」そう言って海は立ち上がった。ふとグラッと天井が回った気がした。よろっと壁に手...
【※性暴力表現あり】立浪は陸のパンツのベルトを外し、パンツと下着を足で引っ掛け引きずり下ろす。陸のその場所を唾液をつけた指である程度解すと立浪のペニスが一気に侵入してきた。「はぁっ、……や……やだ」「陸……」立浪は陸の体をガクガクと揺さぶった。「んっ……あぁ」陸は立浪にすがりつく。立浪に乱暴に突かれ、思いとは裏腹に体はゾクゾクと反応し陸のモノは大きくそりかえる。「いいのか? ……陸」「あ……。いいっ、あうっ」「...
歪んだ愛情【※性暴力表現あり】最後の客が帰り、陸がそろそろ閉めようかと据え置き型の看板をしまっているとふと誰かの革靴が目に入った。「すみませーん。もう閉店なんで……」そう言いながら顔を見上げると立浪だった。「どこ行ってたんだよ」陸の問いかけに答えずに店内に入っていく。その時ふと女のフレグランスの匂いがして陸は目を見開いた。【立浪さんて……
視線「ちわーっす」そう言って陸はバー[Roots]の裏口からいつものように入店した。中に入ると立浪がグラスを拭いて開店の準備をしている。「何しにきた? ここはもうお前の来るところじゃないぞ?」そう言って立浪が振り返ると少し驚いた表情を見せた。ストレートパーマをあてサラサラな黒髪の陸 ―――「次が決まるまでは働くよ。けじめ……だからね」「……勝手にしろ」「勝手にするよ」陸はそう言ってエプロンをした。【陸のやつ、どう...
強い薬「ごゆっくり」そう言って梶原は休憩室から出て行った。4畳もない畳の部屋に裕貴を寝かせる。裕貴は気持ちよさそうに眠っていた。海は膝を抱えて座り込み、ただただ裕貴を見ていたがその横にコロンと転がった。裕貴の手をゆるく握って目を閉じる。【少しだけ。少しだけこのままで居させて。ごめんね? 陸】ピリリリリと携帯の着信音が鳴り裕貴はハッと目覚めた。「はい、小林です。はい、お世話になっております。はい……え...
抱きしめられたい「258番の方……」今日は海が受付で患者に薬を渡す当番だった。自動ドアが開き、「これ、お願いします」そう言って1人の患者が海に処方箋を差し出した。「お預かりします」そう言って番号札を抜き、それを渡そうと顔を見た。「よっ」「あ……、裕……貴」まさか昨日の今日でまた裕貴に会えるなんて思ってもいなかった。「湿布薬貰いに来たんだ」「まだ腫れてるの?」「今朝のアレでちと悪化しちまって」「あ……」海は今朝...
海は微笑み合う陸と裕貴を目の当たりにしキュッと唇をかんだ。「それって……そう言うこと? 2人……寄り戻すっつーことだよな? いやぁめでたいっ。そっかぁ」倉田は陸と裕貴の肩に腕を回してバシバシッと叩く。「いてっ。いてぇって倉田っ。加減しろよっ」陸はそう言って笑った。裕貴も笑いながら海を見ると今にも泣きだしそうな海の顔。裕貴の顔もそんな海を見て真顔になり、2人は再び見つめあった。【なんで、んな顔するんだよ海…...
こちらのサイトに
豹変【や……べぇ】2人を乗せたエレベーターは5階でストップした。ドアが開き、神代は陸の背中を押す。トゥルルルと携帯が鳴ると陸にスタンガンを押し付けたまま神代は携帯に出た。「5階だ。……ああ。部屋番は?」神代は陸を見て聞いてきた。「……505」そう言うと「505号室だ」と言って電話を切った。「誰から? なんでうちの部屋番聞くんだよ」「いいから行けって」そう言って陸を押す。部屋の前に立ち、躊躇していると目の前でスタ...
送りオオカミ「家まで送るよ。住所おしえてくれる? ナビに入れるから」「え? ああ……」【なんだ。ほんとに食事だけのつもりだったのか。神代さんってマジいい人だったんだ?】陸はホッとする。神代は唇の端でにやりと笑った。「ところで陸くんは
俺はペット「いやだっ。た……立……さんっ」【助けてっ】「東京湾にコンクリとキスしたまんま沈みたくなければ、そこまでにしとけよ。坊主」男達が声の方を振り返り、陸を押さえる手を離した。陸は解放されゆっくり振り返る。【うそ……なんで】そこに立っているのは立浪だった。「なんで……あんた、ここに」「うちのペットがなにやら粗相をしていると聞いてな? 引き取りにきたまで」「そ……粗相ってなんだよ。ペットってもしかして俺の...
悪酔い【※性暴力表現あり】「モスコー・ミュールおかわりぃ」陸は二丁目の別のゲイバーのカウンターで5杯目のカクテルをおかわりした。「大丈夫ですか? だいぶ焦点があってませんけど……」「まだまだ大丈夫ですよぉー。……っぷ。いや、ちょっとヤバいかな? トイレぇ」そう言ってフラフラと歩いてトイレに行った。陸がトイレの個室に着くなり、ウェッと何度か吐いて口をガラガラと洗面台でゆすいでいると鏡の中に男が2人。陸を見...
とおとお100P到達しましたー。奈津子という倉田の幼馴染の女の子も出てきて幸せだった倉田と海はこの先どうなるんだっていうところですねぇ。倉田にとったら厳しい状況。「なんで……んなことになっちまったんだ?」↑このセリフにすべてが………。このお話……まだまだ続きます。今後の展開をお楽しみにー д゚)...
「倉……田?」ツーツーと切れた電話を片手に海は呆然とする。【今の……】================『金輪際うちの息子とお付き合いなさらないでくださいっ』=================「倉田の……お母さん?」≪お付き合いなさらないでくださいっ≫「嘘……」【倉田のお母さんに僕達の事……知られてる?】海の足元からすぅっと体温が引いていき、携帯を耳に当てたままぺたんとその場に座り込んだ。* * * * * ...
愛の行方「うん。奇跡的に打撲と擦りキズ……あと裂傷ですんだのだー。あはは」と笑う奈津子に倉田はムッとした。「ばっか野郎。笑い事じゃねぇ! 心配……したんだぞ。マジで」「剛にぃ……」「あぶねぇから乗んなっつったろ」「ごめん……なさい」シュンとする奈津子の肩に倉田の母親が手をかける。「まぁまぁ剛士、なっちゃんだってこれからは気をつけるわよ。……ねぇ」奈津子はコクンと頷いた。「煙草……吸ってくるわ」そう言って倉田は...
事故海は倉田の腕の中で倉田の携帯のバイブに気づいた。「倉田……電話みたい」「ああ?」そう言うと素っ裸のままめんどくさそうに倉田は携帯を取りに隣の部屋へ行った。海は暗闇に慣れた目で倉田の体を目の当たりにして、あの体に抱かれているのかと思うと赤くなった。倉田の話し声が聞こえる。そしてあわてるように和室を覗き込んだ。「海、悪い。帰るわ」「どうしたの?」「親からで幼馴染が事故にあったって……。とにかく俺病院行...
衝撃Ⅱ信じられない。剛にぃの相手が男の人だなんて。綺麗な女の人ならまだ諦めもつくけど……そんなの諦められないよ。奈津子の方がずっと剛にぃの事知ってる。ずっと好きだった。【あんな……男の人なんかに剛にぃのこと取られたくない】キキキキィと横を走っていた車が奈津子を見落として急に奈津子の方に迂回した。ハッと奈津子はブレーキをかけるがそのまま車に衝突する。ものすごい衝撃に奈津子の体は宙に浮き、次の瞬間地面に叩...
一目この目で高校も男子高だったから安心していたが、社会人になってとうとう剛士に女の影。【おばあちゃん、奈津子に力を貸して】奈津子は両手を組んで祈る。ふと倉田が事務所から出てきて奈津子は急いでスクーターに跨った。倉田はバイクを走らせ、その後を奈津子のスクーターが飛び出して行った。【剛にぃの好きな人ってどんな人なんだろう】見たい。倉田のバイクは颯爽と走りぬけ、スクーターの奈津子は何度も見逃しそうになっ...
温度差陸には見えてるんだ。僕と倉田の間にある
優しさ【本当はもう行けないって言うべきなんだろうけど……見るだけだし……。いいよね?】海はタクシーから降りると部屋の前に着いた。時計を見ると16時を指している。【倉田が来るし、晩御飯なんにしようかな】そんなことを考えながら鍵を差し、ドアノブを引いた。「ただいま」「海っ!」「リ……く」海の声を聞き、和室から陸が飛び出して陸は海の顔を見て抱きついた。そして何度も何度も謝る。「ごめんな? ごめんな、海。こんなこ...
嘘も方便?「田中、お前相変わらず体かったいなぁ」そう言って裕貴に背中を押されイテテと言っている子供。裕貴も決して柔らかい方じゃない事をしっている海は思わずフフッと笑った。そんな海の様子を裕貴は見てしーっと人差し指を口元に当てる。ふとその唇に自分の唇を押し付けたことを思い出し、海は赤くなった。ピリリリリと携帯が鳴り、見ると倉田だった。少し後ろめたい気持ちで携帯に出る。「もしもし」『海か? おはようさ...
気持ちお前は倉田の事が好きでつきあっているんじゃないのか?【お前の気持ちがわからない……】海は布団の中で唇を指でそっと触る。ほんのりと温かくなった気がした。【ずっとこの感触を忘れない】倉田はずっと僕の事を好きでいてくれた。ずっと見守っていてくれたし、愛してくれた。目覚めたらいつもの自分に戻らなければ……。裕貴への気持ちはここに置いて。* * * * * * 「...
秘密のキスそして2人は裕貴のマンションに向かい、海にシャワーを使わせるとコンビニで買ったおでんを頬張った。「海……冷たいぞ?」そう言って裕貴は腫れあがった海の頬に湿布を貼ってやる。海は少しひやっとした顔をした。「痛む……か?」「ううん。大丈夫」そう言う海の首と手首には何かの擦れたようなほんのり赤くなったアザが見て取れた。【殴られて縛……られたのかよ。無茶しやがって】そう思うと海が愛しくなり、その白いうな...
海はシャツを脱いでジャージを着る。相変わらずそれは海の体にはブカブカだった。フワッと裕貴の香りがした。昔の日向の香りにプラスαでコロンのいい匂いがする。【洗濯したばっかなんて……ウソばっか】海は高校の時のことを思い出していた。あの時もこうしてジャージを貸してくれた。甘酸っぱい大切な思い出。【あの頃と比べたら僕はずいぶん汚れてしまった】裕貴はとある近くのコンビニに車を停めた。「なんでも好きなもん買え。...
帰りたくない海はバー[Roots]から少し離れた公園の前をフラフラと歩いていた。先ほどからパンツの後ろポケットで携帯のバイブがブルブル何度も震えていたが、とても出る気にはなれなかった。あんな形で殴られ犯されてひどく精神的に参っていた。深夜と言うのもあり、すれ違う人間はまばらだったが頬が腫れ唇が切れ、ボタンの全然ないシャツの前を両手でぎゅっと閉じて歩く海の姿は周りの人間の目をひいた。「どうかしたの?」と声...
嘘『大当たり――。……久しぶりだな、倉田』「あ……あぁ。お前なんでこっちに?」倉田の表情が強張る。【なんで海と裕貴が?】『2カ月前に転勤でさ。海とも今日の朝、薬局で偶然会ったんだ』「へ……ぇ」陸が倉田に「貸して」と言って携帯を取り上げた。「裕貴。裕貴なの?」『その声は陸か? 久しぶりだな、元気にしてたか?』「……うん。元気にしてた」『そうか』「……うん。電話ってのもなんだからさ、今から店においでよ。ね? 住所...
そしてある程度冷やすとカバンの中から今朝貰った湿布を取り出し足に貼りつけた。「裕貴、大……変」海が個室の中から声をあげる。「あ? どうした?」そう言いながら急いで靴下を上げ靴を履くと海が個室から出て来た。「裕貴、先生のスーツまで……持ってきちゃって……る」2人は顔を見合わせそしてプッと笑った。「ま、いっか。明日着る服なくてあのオッサンの慌てふためく姿が目に浮かぶぜ」「……だね」裕貴に支えられながらホテルの...
好きトントントンとノックする音。一度無視するももう一度トントントンとノックの音がして、忌々しそうに高須が海の中に入れた指を引き抜いて立ちあがった。「誰だ、こんな時に」海はとりあえずホッとする。高須はバスローブを身にまとい、安全バーをしたままドアを少し開けた。覗くとなかなかの男前が頭を下げている。「……なんだ?」「本日当ホテルにてお誕生日をお迎え頂いたお客様よりふるまいのお酒をホテル館内のお客様へサー...
胸騒ぎ「あ……れ?」海は椅子から降りてそれを拾い上げた。【なんだか目が……霞む気が……】「どうか……した?」「いえ……」海はもう一度椅子に座リ直す。【あ……れ? おかしい。体が……】「すみ……ません。僕は……これで」そう言うとタクシーを呼ぼうと携帯の電源を入れた。倉田からのたくさんのメール。「倉……田」海はカウンターに伏せった。「どうした? 海。動けないのかい?」耳元で高須が囁く。【はめ……られた。ウーロン茶の中に薬を……】...
企み「どうだったかな? ここの料理は」「は……はい。とてもおいしかったです。しかしこんな高級なところだとは思っていなくて」そう言うと海はナフキンをテーブルの上へ置いた。「安心しなさい。私が誘ったんだ、こちらで支払うから心配する必要はない」「……すみません」海は下を向いた。薬剤師と言えどまだまだ新米の身の海は、人が思っているほど給料もたくさんもらっているわけではなかった。その上、社会人になってからは定期...
片思い「せ……先生。携帯返して下さい」「だめだ。これは人質」そう言って海の携帯を胸のポケットへしまいこむ。ピリリリリと鳴り続けていた携帯がピタリとやんだ。【あ……】海は諦めたように目をふせた。【きっと裕貴……変に思ってる】「なんで出ないんだ?」もう一度リダイヤルを呼び出すと「おい、裕貴の番だぞー」と言われ、裕貴は「今行く」と言ってため息をついて携帯をしまった。* * * * ...
約束倉田はトラックのハザードをたいてハンドルを切り、路肩に幅寄せしながらニシシと笑った。『じつは……』「なんだとっ?!」海から事情を聞き、倉田は思わずトラックの中で立ち上がり頭を天井でぶつけた。「って。で、その先公とやらと食事、行くのかよ?」『行きたくない。他あたってみるよ。ごめんね? 仕事中に』「ほ……他あたるって誰と……っておいっ! 切るなよっ」倉田はチッと舌打ちをする。【その先公でなくても俺以外の奴と...
==================『や……やだ。先生、ごめんなさい』『ほら、こうして直接握って?』『やだ。先生』『気持ちいいよ? 海くんの手。あぁ、イク。イクよ』==================今考えるとおかしな話だ。医者(研修医)が
もう1つの再会ゴホッゴホッと咳をする男。「あら先生。お風邪ですか?」「……かな? どうやら患者の風邪を貰ったらしい。医者の不養生だな?」「あらあら。内科の先生がそんなことじゃ困りますよ? お薬、頂いてきましょうか?」「いや、私の診療時間ももう終わりだからね。散歩がてら自分で行くよ」そう言うと男は処方箋を持って病院の外に出た。ぐっと伸びをして肩をトントンと叩き隣の薬局を覗きコンコンコンと窓口のガラスを叩く。「...
「陸は……元気にしてるのか?」裕貴から陸の名前を聞いてピクンっと体が反応した。「うん。元気……だよ?」【陸に……会いたい? 裕貴】「あ、そうだ。どこが悪いの? 薬局にくるなんて」「ああ、これこれ」裕貴はスーツのパンツの裾を少し上げた。そこには包帯が巻かれている。「ど、どうしたの? それ」「俺さ、日曜に少年サッカーチームのコーチのバイトやってんだ。そんでグキッとね」「捻挫?」「軽い……ね。湿布薬処方してもらってそれで。審...
裕貴はそこに置いてあった小冊子を見ていたが、中のなんだかバタバタした事態にふと目を向けていた。海は薬局の裏口から外に出て、腰下くらいの高さの車止めに座った。マスクと眼鏡を外して己のふがいなさにジワリと出た涙をぬぐう。「やっぱり……海だ。俺、小林裕貴。高2の時に転校した……覚えてるか?」「……裕貴」裕貴は笑顔で声をかけてくる。【……忘れるわけない。ずっとずっと好きだったんだ。裕貴が大阪に行ってしまってもずっと...
再会「お願いします」「はい。では番号札でお呼びしますので椅子にお掛けになってお待ちください」受付窓口担当者がそう言うとスーツを着た男性が長椅子に腰かけた。金曜の午前中は病院が休診になることもあり、薬局も忙しかった。海は処方箋を見ながら梶原がプリントアウトした名前の印字された袋に淡々と薬と同じく梶原が作成した薬の説明書を詰めていく。何セットかできると薬を入れたカゴを窓口に持って行った。「お願いします」「は...
やり直そうハァ……と海は布団の中で溜息をついた。チクッと胸が痛む。【あ……来る】ギュウっと絞めつけられるような鈍い痛み。「あ……、くっ」==================『
アドバイス倉田はグイッとウーロン茶を飲み干してグラスをダンッと置いた。「……なるほどねぇ。昔みたいに海とラブラブしたいと」「それとなくアプローチしてんだけどアイツ全然気付いてねーのか……」「気付かないわけないじゃん」「……だったらなんでだよ?」陸は勝手にお酒を作り、倉田の前に見せる。「奢ってくれる? これ」「あぁ。なんでも好きなもん飲め」「わーい、いっただっきまーす」そう言ってゴクッと飲んだ。「海ねぇ、最近あんま体の調...
ノンケさんシール倉田は陸の働いていると言うバー[Roots]の前でバイクを停めた。「ここか……」倉田はヘルメットを外して革の手袋を外した。【おいおい。勘弁してくれよ】バイクから降りた倉田を早速男達が値踏みするようにジロジロ見ている。逃げるように店の中へ入った。店内は薄暗く、やはりその手のゲイ達が入ってきた倉田を全身舐めまわすように見た。【チッ】倉田は陸を探した。カウンターの中で客の相手をする陸をみつける。倉...
「なんだよ?」「ううん。いつもほんとに倉田っておいしそうに食べるよね? 昔と変わってない。いただきます」そう言って海は手を合わせるとスプーンでオムライスをすくって口に入れた。【昔と変わってない……か】海……。お前は何も変わってねぇって言うけど、
踏み出せない距離「腹減ったー」そう言ってエレベーターへ乗り込む倉田に、海は「何もないよ?」と言った。「
【神様のくれた時間】始まりました。只今42Pめ。1日に更新できるMAXページにて更新中です。楽しんで頂けていると良いのですが……。ちょっと病気ネタを含んでおりますので苦手な方もおられると思います、すみません。双子のお話はずっと前から書いてみたいと思っていて今回実現できました。ただいま高校生編ですね。ちょうど4人の関係に変化が起こり裕貴の両親が離婚をすることになり…急展開を迎えていますね。高校生編はほんとさ...
離婚「ただいま」裕貴は玄関でふと立ち止まった。【親父の靴……。親父、帰ってきてるのか】裕貴は靴を脱ぎ、自室へ行こうと廊下を進むと「裕貴?」と母親に呼び止められ振り返った。「着替えたら大事な話があるからリビングに来てちょうだい」「……わかった」裕貴には何の話が待っているのかなんとなくわかっていた。着替えてリビングに向かうと父親と母親が気まずそうにソファに座っている。重たい空気 ―――「座りなさい」父親が裕...
安らぎ「やっちまった……」裕貴はジンジンする掌を見る。【思いっきり叩いちまった。だって陸のヤツ自分の兄貴に対してあんな事言うから】陸はバスの中で窓の外を見ながら腫れた頬を手でさする。【自分の発言で裕貴に叩かれても仕方ないってわかっている。わかっているけど……】今ほど海の事を恨んだことはなかった。「裕貴の心を返してよ、返してよ海」裕貴は俺のものなんだから。* * * * ...
不安母親の声にパジャマ姿の陸がマンガ本を片手に飛び出してきた。「裕貴。寄ってくれたんだ?」「お……おい。病人なんだからじっと寝てろよ。悪化すんぞ?」「だってぇ……」陸はふと海を見た。「あれ……海どうしたの? その格好。そのジャージ……裕貴の?」海はギクッとして「あの……これは」としどろもどろになっていると裕貴の一言で救われた。「海のヤツ用務員さんの巻いた水ひっ被っちゃってさぁ。な?」「う……うん。そうなんだ」「ふ...
口づけ普段陸のジャージ姿なんていくらでも見ているのに、同じ顔でも海のジャージ姿はとても新鮮だった。襟元から見える細いうなじも、ダボダボに布のあまった腰回りも指先しか出てこない袖口さえもなんだか愛しくて袖を折り込んでいる海を見て思わず無意識のうちに抱き締めていた。【やっぱ陸よりも細い……】「ゆ、ゆ……き 苦しい」海の声にハッとし、思わず体を離す。【俺……今何した?】「わ……悪い」「こんな格好してるから……陸と...
「今出て行った奴等なんだろ? 俺が行ってとっちめて……」海は裕貴の足にしがみついて首を横に何度も振った。「なんで? いつからお前こんなことされてんだ? アイツら倉田がどうのって言ってたけど……」裕貴は海に手を差し出しその場から立たせた。「陸には言わないで」「え……?」「心配……するから。ね? 陸には言わないで。裕貴」そう裕貴の前で不安そうに言う海のシャツが濡れ、うっすらとピンク色の乳首が透けて見えていた。裕貴...
【牛……乳?】海は階段上を見上げた。すると3年の先輩達が牛乳パックを持ってクスクスと笑っている。海は唇を噛みつつあくまでも平静を保ち、放課後一番人気の少ない別館のトイレに足先を変えた。そして誰もいないことを確認すると上着を脱いで水で濡らしたハンカチで汚れた所を叩く。ふとポンポンと叩く手が止まった。【なんでこんなことされなくちゃならないんだろう。なんで? もう……やだ】そう思うとジワッと涙があふれてきた。...
転機内心裕貴の心は荒れていた。海のことを気にしないでおこうとすればするほど、気になってしまう。そのたびに倉田の言葉が頭に浮かんだ。===================『お前、本当は海のことが好きなんじゃねぇの? 俺に殴りかかった時のお前、まるで愛しい人でも奪われたようなツラしてたぜ? もしそうなら代役にされてるのは陸。そっちの方がやってること酷くねぇか?』====================そんなはずは……ない。陸の事が好きだ。海の事...
図書館で「ダメだ。お前の企んでることくらいわかってるんだからな?」と裕貴は倉田を見ると倉田は「はぁ? なんだよ、俺の企んでることって」と返した。「勉強するっていうのは名目で海にまた変なことしようって思ってんだろ?」【変な……こと】海はカァァと顔を赤らめた。「なにい?」「
そしてますます好きになる「嘘……」海は驚いてその場に立ち尽くした。テストが終わり、各学年の総合点の上位100位までが掲示板に貼り出された。海の肩に手を回す陸がゲゲゲッと言う。「嘘だろ?」======================1 小林裕貴 (997点)2 相田 海 (995点)3 田中… (986点)4 ………======================【2点差で……裕貴に……】「おおっ、俺1位? マジで? 海とは
とまどう海に覆いかぶさるように倉田は壁に両手をついた。「まぁいい。バイ菌扱いされてる時よりはマシだ。少しずつ俺に慣れろよ、海」見下ろす倉田の目から逃げるように海はその場から立ち去った。「おい、今の見たか?」「倉田先輩と相田先輩だよな? それも大人しい方の…。あの2人ってそういう関係だったのか。痴話げんかか?」そんな2人のやり取りは別館の移動教室からは丸見えで、1年のとあるクラスの奴等の口からたちまち2...
意外な一面海が振り落とされないようにぎゅうっと裕貴にしがみ付くと裕貴はさらに加速した。海が陸達と別れて1週間ぶりに教室に入ると、まず目に入る男はただ1人……。倉田 ――――倉田を意識しつつも海は黙って自分の席に座った。「倉田さん、海来ましたよ」倉田は机の上に伏せって寝ている所を起こされ、不機嫌そうにしながらも斜め後ろの自分の席から海を見る。片肘をついたまま「よお」と海の背中に話しかけるが、海は前を向いた...
「お母さん、お花のお水かえてくるわね?」「うん。陸、リンゴ食べる? 甘くて美味しいよ」「うん」陸はつまようじにささったリンゴをシャクっと頬張った。母親の兎型のリンゴを久々に口にした。小学生の頃は学校から帰っても母さんは海の病院につきっきりでいつも書き置きのメモと少しばかりのお小遣い、そしてラップのかかった冷えた晩御飯がテーブルの上に残されているだけだった。だからこうして母さんにリンゴをあたり前のよ...
複雑な気持ち裕貴は小さな紙袋を無造作にポケットに突っ込んだ。結局直してやることができずに代わりのものを購入した。クロスの形のペンダント型のピルケース。なんとなく海に似合う気がして ――* * * * * * 「え……入院?」次の日、裕貴がいつものように自転車で迎えに行くと陸の口から海がそのまま入院したことを告げられた。「うん。……って言っても
壊れたペンダント「海は……陸の
動け心臓「な……なんだよ、いきなり」「頼むっ、来てくれ。海がっ……」「え……?」「海が死んじまうっ」【海になにかあったんだ】陸と裕貴は顔を見合わせた。3人は急いで体育用具室へ走る。ガラガラガラ……と開けるとそこにほぼ裸の状態で横たわる海の姿 ――今は何故半裸なのかとか……そんなことはもうどうでもよかった。海をたすけなければ……「か……海っ。裕貴大変だ。海……息してない。海っ、海っ、目開けて。海っ」駆け寄った陸が海の体...
ドキドキが止まらない「あはは。うん……そうなんだよ。わかった、待ってる。うんうん、じゃあな?」陸は携帯を切り嬉しそうにベッドへ寝転がる。海は英会話のCDを止め、ヘッドホンを外した。「……裕貴?」「うん。あのさ、明日明後日親いないじゃん?」「うん」「だからさ、裕貴に泊まりに来いって言っちゃったんだけどいいだろ?」「え?」ドクンッと胸が鳴る。「裕貴、く……来んの?」「そんな言い方なくなぁーい? いいだろ? こんなチ...
【※性暴力表現あり】自分のモノとは明らかに違う見たこともない大きなグロテスクなモノに海は驚きためらった。『や……やだ。先生、ごめんなさい』『ほら、こうして直接握って?』そう言って無理矢理その小さな手に握らせた。そしてその上から大きな手で握り前後に動かす。『やだ。先生』『気持ちいいよ? 海くんの手……』【や……ヌルヌルして気持ち悪い。やめて】海は顔をそむける。手だけがその部分に握りこまれ、先生の硬く腫れ上が...
回想―潔癖症【※性暴力表現あり】海が潔癖症になったきっかけは、まだ小学校低学年の頃にさかのぼる ――当時、小児病棟の大部屋で毎日を過ごしていた海は、担当の研修医だった[高須信輝(たかす のぶてる)]先生に特に可愛がられていた。高須はよく海に外での話を面白おかしく話してくれて中でも大好きな先生だった。この頃よく大きな発作を引き起こしてはそのたびに個室へ移っていてそんな海を待っていたかのように夜遅く先生が個室...
温泉旅行「え、温泉!?」夕食時に母親から出た言葉に海と陸は思わず目を合わせた。「そうよそうよ、そうなのよぉー。2泊3日の温泉旅行ペアでご招待ーに当たっちゃったの」とうとう当てちゃったんだ? 母さんの懸賞好きもここまで来るとすごい。「でねでね、ペアだしお父さん
「か、返せよっ! 返せ」「おおっと」そう言って倉田は眼鏡を高々と手に持って上げた。そんな2人のやり取りを面白そうにクラスの連中が黙って見ている。倉田はつま先立ちで眼鏡をとろうとする海の手首を掴むとその体を机の上にガタガタガタッと押し倒した。【な……】倉田はニヤニヤと笑う。「な……何を……」「笑えよ。笑った方がもっと陸らしくて萌えるぜ? ん?」何言ってるんだ?コイツ。だから僕は陸じゃないって言ってるだろう?「...
僕は僕海のクラスは陸のクラスの隣だった。ややこしいからと言って2人同じクラスと言う事はめったにない。だからか海はよく≪同じ来るならこっちに陸が来ればよかったのに≫と陰口を言われた。そんなことを言われることにももう慣れっこだった。この時間、たまたま先生の都合でプリント2枚をやるだけの
静と動 光と影サラサラの黒髪に眼鏡。いつ見ても誰かと居るわけではなく1人きりで本を読んでいた。陸と違って大人しく、体育の時間も木陰で見学している姿をよく目にしていた。なんで? って疑問には思っていたけれど ――【心臓に疾患……そうかそのせいで】陸の話を聞いて裕貴はやっと海のことを知った気がした。自分に向けられる海の態度はなんだかいつも冷たかった。冷たいと言うか反応が薄い。それなのにたまに感じる海の強い視...
理由小林裕貴はスポーツ万能、成績優秀。サッカー部に入っているだけあっていつも太陽の匂いのする男だった。そしてなんだか馴れ馴れしいヤツで陸が双子だとわかったとたん、兄である海にまで何かと声をかけてくる。===================『待っててやるからさ、一緒に行こうぜ?』===================裕貴の言葉を思い出し、海は顔を赤らめた。【なんで僕にまでかまうのかな……。変なヤツ】そんな風にうざったく思いながらもほんのち...
慣れ慣れしいアイツ「おはようございまーす」「来たっ!」陸(りく)は残りの食パンを口の中に押し込み胸をトントンと叩きながらコーヒーを口にした。そして学生カバンを掴んでダイニングを飛び出す。それが最近の相田家のいつもの風景――「行ってきまぁすっ」「行ってらっしゃい。車に気をつけるのよー?」「わかってるー」「まったくあの子ったら。少しは海(かい)みたいな落ち着いたところがあればいいのに」そう言い、後片付けをしな...
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今回のお話は藤崎には珍しい純愛的な? 何かをテーマに書いた作品。高校生~社会人にスライドしていく長めのお話です。もしよかったら遊びに来てねぃ。≪作品内容(あらすじ)≫ 双子の弟・陸(りく)の彼氏の裕貴(ゆうき)を密かに想う兄・海(かい)。みんなに人気者の陸と生まれた時から心臓に疾患を持った大人しい海は光と影のような兄弟だった。陸を通じて海の存在を知った裕貴は次第に海が気になる存在になる。そんな時、母親の当てた...
無事に完結しましたー。読みに来て下さった方、本当にありがとうございます。やっぱり読み手がいないと書いててもつまらないので感謝です。藤崎的に田崎さんはツボッたなぁ。好きだっ真面目でイケメソで眼鏡で貯金も計画的にしてそうで(笑) そして抱擁力はんぱなさそうだし
あとがきお疲れ様でしたー。いかがだったでしょうか?藤崎にとって長編に入るはじめての作品でした。長い分思い入れもひとしおですね。後半の途中から相馬悟史どっかいっちゃってますね…(;´Д`A ```悟史もきっと遥の幸せを天国から見守っている事でしょう……。 ←取って付けた感が否めないこの小説の中では田崎がダントツ人気だったのを思い出しました。中盤遥とまさかの兄弟設定。可哀想な事をしたなぁと思います。きっと兄弟じゃな...
絶対絶命とうとうその日がやってきた。神埼コーポレーションの清掃管理の日――遥達はゴクンと唾を飲み込んで、神崎コーポレーションの前にいた。掃除の時間は午前9時~お昼までの3時間。【よりにもよってなんで
忘れたい過去「えええーっ あんな大きなところで? なんで辞めちゃったのー? もったいない」「ちょっといろいろとその……」「そうか、それでうちに話しがきたのかな?」「そ……それは違います。ここで働いていること言っていないし、それに……そんな名前の社長は知りあいではありません」「なんだ、そうか。しかし前に働いていたとなると……逆に知ってる人とかいて仕事しずらいかな? 来月からの神崎の清掃スタッフに千葉君も入れてる...
年間契約一真は今こうして社長になりすっかりそこに胡坐をかき、その事を忘れていた自分を恥じた。「あんなガキに教えられるとは……な」一真はフッと笑ってコーヒーを口にした。「藤崎クリーンサービス……か」一真は喫茶店を出て待たせていた社長車に乗り込んだ。「社長、お帰りなさいませ。紫藤くんとなにをお話に? 遥のこと……ですか?」田崎は不思議そうに尋ねた。「ちょっと……な。社に戻るぞ?」「はぁ……」一真は社長室へ戻るなり...
掴み取るもの「……でなんで俺はあんたにここに呼びだされてるわけ?」紫藤は喫茶店でストローを咥えて不機嫌そうだった。次の日一真に電話でここに呼び出されたのだ。「遥には会えたんでしょう? で昨晩はベッドの上でラブラブだったんじゃないの? なのに今更あんたに呼びだされる意味がわからないね」そう嫌みを込めて言い、コーラをチューっと飲んだ。「……逃げられた」ブッとコーラを噴き出す。「はぁ? なんで?」「……実はあれか...
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