パスポートの紛失証明書をもらうために、私はフィリップに、そこで待っていてくれるようにお願いし、駅の警察署に向かいます。そこはデスクの並んだ、会社のオフィスのよ…
パスポートを盗まれたことで、不法滞在者だとみなされ、逮捕されかけた私も、どうにか無事ザンビア入国を果たします。そして、水を飲み、一息をついた辺りで。私はようや…
パスポートを含めた全てを盗まれた私を。逮捕しようとする審査官に対して、フィリップは捲し立てました。この日本人は盗難の被害者であるのに、それを逮捕するのは、絶対…
国際列車内で、全てを盗まれ。到着した終着駅、カピリムポシで、パスポートを持たぬ私に、入国審査官がかけた言葉、不法滞在者なので、逮捕する、という言葉に。私は、驚…
タンザニアとザンビアを結ぶ鉄道の、終着駅。カピリムポシで、私は列車を降ります。手ぶらで。この先どうなるのか、まるで分からぬまま。不安を抱えたまま。駅のホームを…
私は、列車の通路を歩きます。足早に歩きながら。どこかに、私の荷物がないか。どこかに、何か手掛かりが落ちていないか。懸命に左右を見まわします。座席に周囲は無論の…
アフリカ、ザンビアという、アフリカに来るまで、聞いたこともなかったような国で。国際列車の、コンパートメントの中。パスポートも、お金もない。着替えすらもない。そ…
荷物がない。そう気付くまで。目覚めてから、暫くかかりました。上体を起こしたものの。頭がぼんやりして、まるで思考もまとまらず。ただ、喉が渇いた、と。そして、何か…
あの時。あれを食べなければ。いや、せめて。あれを食べた後も、暫くは意識がしっかりしていたのだから、その間に、きちんと内鍵をかけておけば。或いは、違った未来があ…
国際列車に乗って。タンザニアを出て、ザンビアへと入りました。いよいよ、ゴールの喜望峰がある南アフリカまで、残り三ヶ国です。もちろん、回り道も考えはしたのですが…
朝、船でザンジバルを出た私は。その三時間ほどの船上で、一人の日本人男性と出会います。静岡在住の投資家であるという彼は、ナイロビやダルエスサラームだけでなく、ヨ…
ザンジバルは平和な場所でした。少なくとも私にとっては、そう思えました。イスラムの街でした。アザーンが早朝から鳴り響き、人々は神に祈りを捧げる。非常に落ち着いた…
Mと私を取り巻く悪意は。共にモシを離れ、ダルエスサラームに着いても、同様で。無論、夜間外出など極力控えるだけでなく、昼間も一人外出は絶対にしないようにしていた…
Mの話は。血塗れの姿で語るだけに、ひどく生々しいものでしたが。血は乾いており、怪我は大したことはなく、貴重品も取られずに済んでいて、M自身も、話の途中からは、…
痛みはそれほど感じなかったものの。刺されたショックで、Mはマネーベルトから手を離します。強盗達は、この機を逃さず。マネーベルトのベルト部分を切ろうとしてか、或…
突然現れた、血塗れのMに。私は、驚愕し。思わず後退りしましたが。静かに部屋に入って来たMを、改めて眺めると。血塗れなのは、上着と帽子だけ。しかも、それらは十分…
アルーシャからバスでわずか三時間程度の街、モシ、という街に私はいました。そこは、小さな街でしたが、宿から一望出来る場所に、アフリカ一の高峰、キリマンジャロがあ…
アルーシャの、朝。50時間ものバス移動をようやく終えて、疲れ切った体で、揺れていない大地に降り立った私は。その日の夕方には、早くその街を出よう、と思っていまし…
日が落ちたころ。Mと私の乗った船は、ムワンザという街に着きました。首都ダルエスサラームに次ぐ、タンザニアでは二番目大きな街です。流石に大きな街で、宿やレストラ…
乗り込んだのは、大きなバスでした。ルワンダではずっと窮屈なワゴンバスだったため、大きいそのバスでは、手足を伸ばして座れることが嬉しかったのですが。それも最初の…
その小さな街で。ある日、私は一人の若い女性に声をかけられます。学校の制服を着た二人の子供を連れていて。自分は、学校の教師だと言いました。そして、子供達を私の方…
タンザニアの。小さな街にいました。そこは交通の要衝であり、舗装道路はあっても、まだまだ未開発の土地で。電気が使えるのが、午後六時からの二時間だけ。銀行などは、…
全ての教室を見終えて。案内人と私は、建設途中の建物へ戻りました。臭いが。体中に満ちている。衣服にも、皮膚にも、鼻腔にも染み込んでいて。私は、死臭に包まれて歩い…
その虐殺記念館にあったのは。白骨死体ではなく、無数の白いミイラであり。私はそれにひどく驚き、怯えますが。暫くして私は、死蝋ではないか、と気付きます死蝋とは、ミ…
南京錠のかかった扉を、案内人が開けると。私がその部屋に入る前に、想像以上の臭いが、襲いかかり。鼻に突き刺さります。覚えのある臭い。チベットの鳥葬場で裂かれた人…
世に言う、ルワンダ大虐殺。同一国民でありながら、対立状態にあったツチ族とフツ族。その対立が、あるきっかけで爆発、ルワンダ中で。フツ族がツチ族を殺戮し始める。そ…
入り口のゲートをくぐると、土の広場の向こう、建設途中らしい、足場の組まれた、しかし作業する人の誰もいない、コンクリートの建物が見えます。私が校庭を歩いていると…
キガリにようやく晴れ間の覗いた朝、私は意を決して、バスターミナルへと向かいます。しかし。いきなりそこで挫折です。そのターミナルから、目的地の近くの街、ブタレま…
虐殺記念館、などの、いわゆる「負の遺産」を記念して作られたものを、幾つかの国で、幾つか、訪れたことがあります。カンボジアや、ベトナムや、南京や。さほど有名では…
ルワンダの首都、キガリには。毎日のように、霧雨のような雨が降りました。坂道ばかりの小さな街でした。高層ビルなど見当たりませんし、道もほとんどが赤土、舗装道路も…
タクシーの運転手に、ホテルに連れて行ってくれと頼んだのに、連れてこられたのは、何故か孤児院でした。ホテルと、孤児院。最初の文字を「オ」と発音する以外に、何の共…
ウガンダの首都カンパラを出て、バスで南下。ルワンダに入りました。ここは、ケニア、ウガンダと違い、イギリスに支配された歴史はない。つまり、英語は余り通じない。そ…
ゴリラツアーを断念した私は。それから数日、そのウガンダの首都、カンパラで過ごします。退屈ではありますが、ファーストフードがあり、インターネットカフェがあり、自…
ウガンダで私は、ツアー参加を検討します。ジャングルに野生のゴリラを見に行く、ゴリラツアーです。しかし、これは、ケニアのサファリツアーのような、確実に楽しめるも…
カンパラでの日々は、穏やかで、快適なものでした。ナイロビとはまるで違い、街は非常に平穏です。恐怖を感じたといえば、せいぜい、一メートル以上ある巨大な鳥、ハゲコ…
全ての荷物を持って移動するのは、かなり危険に感じられたものの。Mと二人になると、非常に心強く。バスの出発時間まで、近くのローカル食堂で寛ぐなど、それまで一人で…
三日間のサファリツアーを終え、ナイロビに戻ってきた私は。早速ナイロビを出ようと思います。もうナイロビに見たいものもないし、そもそも、危険すぎて自由に外出も出来…
サファリツアー三日目に入ります。この日も、ライオンやキリン、象などを見て回り。先日見られなかった、セクレタリーバードやハゲワシなどを見た後、草原での食事に挑戦…
スラム街を出た後、ドライバーとジェニーと私だけの車は、西へと向かいます。延々と崖が続く大地溝帯が一望出来る場所を通り。ようよう、ナクル湖という国立公園に到着し…
朝早く、黒人の陽気なドライバーと、ジェニーと私が乗り込み。いよいよ、念願のサファリツアーへと出発……の筈でしたが。ジェニーの希望で、いきなり途中下車です。ナイ…
ナイロビの街は、まるで好きになれませんでした。白昼のノックアウト強盗などの話もあり、道を歩くだけでも怖い上に、歩けば歩いたで、通りがかりの連中にただ侮辱される…
ナイロビは、涼しい場所でした。アフリカ、赤道附近、ということで身構えていたのですが、標高1600mにあることで、10月のそこは、冷涼と言っても良いぐらいで。拍…
どこかに行きたい。そう強く思いながらも、私はまだしばらく、イスタンブールでダラダラしていました。理由は簡単なもので。行きたい場所が、見つからなかったからです。…
シリアを出国し、トルコに入ります。シリアにも増して道が良く、バスの便も整備されており、本当に移動がしやすい。カッパドキア、アンカラといった観光名所も多く、宿も…
ダマスカスを出た私は、いくつかの遺跡を見ながら、北に進みます。レバノンのバールベック遺跡や、十字軍の頃に作られた、クラック・デ・シュヴァリエという名城や。石で…
シリアのダマスカスにて、行き会った若い日本人集団と、食事に出かけた私ですが。しばらく話す内に、私は、気づいてしまいました。彼らは、そういう集団である、と。左翼…
幸いなことに。苦しみ始めてから二日目、症状は治り始めます。ふらつきはするものの、歩くことは出来る。ヨーグルトぐらいなら摂取出来る。動けない、意識がはっきりしな…
シリアのダマスカスで倒れた私は。ドミトリーのベッドで、痛みに苦しみ高熱に魘され、現実か夢か判然とせぬ光景を見続け。気付けば、朝になっている。レバノンツアーの出…
私は一人旅が大好きですし、そもそも旅は一人でなければいけないと、強く思っていました。誰かがいると、それがどれだけ気心が知れた相手でも、どうしても意見の相違が起…
二日間、みっちりペトラ遺跡を堪能した私は、西に向かいます。非常な塩分濃度のために、体が浮くことで有名な、死海へ。普通ならば、体を浮かせて遊ぶところなのでしょう…
カイロを出た私は。東に向かいます。目指すのは、いわゆる中東。シリアやヨルダンなどの国々です。どうせアフリカを南下し辛いなら。パキスタンから一旦タイに戻り、そこ…
日本からの友人は、エジプトに来る前に、ネット環境のない場所に行っている。そもそもカイロとてネット環境は悪く。いつカイロに着くのか分からず、私は、友人がくる筈の…
私は、カイロにいました。エジプトです。ただ、友人の女性に誘われたから。そんな程度の理由で、はるばるやって来た、その土地です。そんなことで再開された、その旅です…
ペシャワールを離れ、イスラマバードに入った私は。略称PIA。“Perhaps I arrive”の略称だと噂される、パキスタン航空に乗り。約七ヶ月ぶりに、バン…
トライバルエリア、という場所に私はいました。それは、アフガニスタン国境近くにある地域で。現地部族に自治が許されており、パキスタンの警察権力が及ばない場所。その…
アフガニスタン行きに。あれだけ執着していたのに。これだけあっさりと潰えてしまった。気が抜けた、というのは否めず。そこそこ高級ホテルの、ツインルームで。Tが抜け…
アフガニスタン行きを決意し。私は、インターネットカフェに向かいます。おそらく、アフガニスタンにはインターネットカフェはない。あったとしても、使うチャンスがある…
ペシャワールの役所で、パキスタン出国後の再入国許可申請を、ビザの期限切れを理由に却下された私は。「期限切れ」の認識が違うのではないか、そちらが間違っているので…
Tと私は。アフガニスタン入国にための、アフガニスタンビザを取得しました。続いて、アフガニスタン観光後、パキスタンに戻ってくるための、再入国許可の申請に、入国管…
ペシャワールにて、アフガニスタンに行くことを決めた私は、まずは手配をしれくれる代理店を探します。個人で行くことは危険過ぎるし、そもそも不可能でしょうから。そし…
アフガニスタンに行こうと決めた理由は、幾つもあります。その一つは、やはり観光で。タリバーンが破壊したことでも有名な、バーミヤンの仏像跡や。非常に美しいことで知…
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