哲学と科学②
『哲学と科学』[改版](NHKブックス・2024/9/25・澤瀉久敬著)からの転載です。えたいの知れない学問この、「哲学は全体の学である」ということはよく味わっていただきたいと思います。いったい、哲学というものは、えたいの知れない学問です。そのことを田辺元博士は次のように言っておられます。すなわち、「哲学というものは何時でも性格がうさんくさい。表が出ているかと思えば裏であり、左であるかと思えば右であるという、何時でも裹と表とが、左とかとが、あるいは前と後とが、始終くっついている」。田辺博士のこの巧みな表現に示されておりますように、哲学は一面的に割切ることの出来ぬものなのですが、それは哲学が全面の学、むしろ全体の学であるからです。喩えて申せば、地球は太陽に照されている面は昼で、その反対側は夜です。科学という...哲学と科学②
2024/10/31 08:05