法条遥「リライト〔新版〕」ハヤカワ文庫 2025年 タイムリープ映画『リライト』を見たついでに原作も読んでみた。2012年の作品。オビに「かなりダークな原作小説」と書いてある通り、史上最悪というのは大袈裟にも聞こえるが、映画よりドロドロした因縁が渦巻いて、いじめや殺人事件も絡んでくる。 映画の夏祭りシーンは脚本のアレンジなのかと思っていたら、ちゃんと原作にも書いてあった。映画はドロドロした淀みを薄めて、学園ドラマ風なさわやか風味を強調させている感じで、原作ほど後味は悪くない。 映画なら今が誰の出来事かは一目瞭然だが、小説では文字頼りなので、あの人の話だと思って読んでいると別のあの人の話だったり…
ルル・ミラー「魚が存在しない理由:Why Fish Don't Exist」 サンマーク出版 生物学を学ぶ本かと思ったら、魚類学者であり、元スタンフォード大学学長だったディヴィッド・スター・ジョーダンの伝記みたいなもの。誰かが名前を付けるまではその魚は存在しない。 そんな魚をこつこつ収集して片っ端から命名して存在させていったディヴィッド。大量の標本が落雷や地震で台無しになっても一時もくじけなかった立派な学者の話だったはずが、だんだんと優生学支持者としてたくさんの女性を傷つけた酷い男だったことを批判するような話になって行く。ジェーン・スタンフォードの死にまつわる話はもうサスペンスドラマみたいにス…
『リライト』 https://rewrite-movie.jp/原作:法条遥 (ハヤカワ文庫)監督:松居大悟出演:池田エライザ/阿達慶/橋本愛/久保田紗友/倉悠貴/山谷花純/大関れいか/森田想/福永朱梨/前田旺志郎/尾美としのり/石田ひかり/篠原篤/長田庄平/マキタスポーツ 原作未読だけど読んでみようかなぁ。原作者の法条遥氏は静岡県出身のようで、原作の舞台は静岡県になっているらしいが、この映画では尾道?ラベンダーの香り?タイムリープ?そりゃぜひ見たくなっちゃうじゃん! 学校に男子転校生が出現して「僕は311年後の未来から来た」とか言っちゃうケン・ソゴルじゃなくて園田保彦くん。もう始まってすぐ言…
『MaXXXine マキシーン』 https://happinet-phantom.com/maxxxine/ 監督:タイ・ウェスト出演:ミア・ゴス/ケヴィン・ベーコン/エリザベス・デビッキ/ジャンカルロ・エスポジート/モーゼス・サムニー/リリー・コリンズ/ミシェル・モナハン ミア・ゴス主演によるタイ・ウェスト監督作品『X エックス』の6年後の物語らしいけれど『X エックス』って見たことないし、それどころか『X エックス』と『Pearl パール』に続く3部作の完結編だってさ。にゃんと完結編だけ先に見てしまった。 そんなわけで、どういう世界観の映画なのかまったく知らないまま見た。なんとなくいわく…
『オールドカー ~てんとう虫のプロポーズ~』 https://www.oldcar360.jp/ 監督:あべこうじ出演:哀川翔/鈴木砂羽/片山右京/新原泰佑/暁月ななみ/天野浩成/中林登生/熊田曜子/ひょっこりはん/池田倫太朗/西岡德馬/泉ピン子 高橋愛ちゃんの旦那芸人あべこうじ氏の初監督作品。鹿児島県で旧車仲間とつるんで走り回って、自分でレストアもしてしまうおっさん源太(哀川翔)と家族の物語。好きなことばかりやっていて家族をほったらかしにしている源太と家族の間に摩擦が生じているところから始まる。元F1レーサーの片山右京も出演している。なつかしい。片山右京と鈴木亜久里は名前がかっこよかったなぁ…
ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング https://missionimpossible.jp/ 監督:クリストファー・マッカリー出演:トム・クルーズ/ヘイリー・アトウェル/ヴィング・レイムス/サイモン・ペッグ/ヴァネッサ・カービー/イーサイ・モラレス/ポム・クレメンティエフ/ヘンリー・ツェニー/シェー・ウィガム/アンジェラ・バセット 2年前に『デッドレコニング』を見た時に「後編公開の頃には世界が平和になっていればいいなぁ」なんて書いたんだけど、世界のあちこちで火の手が上がってますますキナ臭くなっている昨今、地球が終活を始めてるのか。人類が滅亡するとこのブログも自動的に消滅する。…
『サブスタンス』 https://gaga.ne.jp/substance/ 監督:コラリー・ファルジャ出演:デミ・ムーア/マーガレット・クアリー/デニス・クエイド これはエグいホラー映画なので苦手な人はわざわざ見ないほうがいい。エロくはないけれど、ちょっぴりセクシーな映画でもある。だから(R15+)なのか? 一流スターの主人公エリザベス(デミ・ムーア)も50歳を過ぎて美貌に翳りが見えて来ていた。おまけにプロデューサーの陰口まできこえてしまってすっかり自信をなくしていた。そんな折りに知った若返りシステム(サブスタンス)に飛びついてしまう。 若返りと言ってもホラーなので尋常ではない。『アーサーズ…
『終わりの鳥』 https://happinet-phantom.com/tuesday/ 監督:ダイナ・O・プスィッチ出演:ローラ・ペティクルー/ジュリア・ルイス=ドレイファス/リア・ハーベイ/アリンゼ・ケニ 原題「Tuesday」は余命いくばくもない車椅子に乗った少女の名前。その少女の元に鳥が舞い降りた。かわいいシマエナガだったらよかったんだけど、気味の悪い顔をした妙な鳥、どうやら死神っぽい奴らしい、名前も「DEATH」、死神が来たってことは少女はもうじき死ぬのかも。 そんな感じに始まった映画、少女は鳥としゃべって過ごす。死神だからしゃべってもいまさら不思議ではない。そうこうするうちに母親…
ガルシア=マルケス「族長の秋」新潮文庫 2025年 コロンビアの作家ガルシア=マルケス「族長の秋」をようやく読み終えた。「百年の孤独」を読み終えたのだからきっとこれも大丈夫だろうと思い、読み始めたが、やはり改行の無い苦行はキツかった。同様に改行のない600ページ「百年の孤独」は最初のうちこそしんどくて読み始めたことを後悔していたが、だんだんと、その町に巻き起こる不思議な出来事が気になりだしてなんとか読み続けることができた。 「族長の秋」は400ページなのでもっと楽かとおもったらそうでもなく、最後まで後悔しっぱなしのまま、巨大な睾丸の独裁者と気の毒な取り巻きの人生や壁を突き抜けて出たり入ったりす…
櫻井武「SF脳とリアル脳」講談社 BLUE BACKS 2024年 SFのテーマとしてよく扱われる「脳」について考察する本。サイボーグの進化、埋め込みデバイス、冷凍睡眠、記憶の書き換え、時間とは何か、AIは心を持てるか、などなど、可能なのか不可能なのか、SFファンがワクワクするような事柄について書かれている。 隠れていた脳の機能が覚醒して超能力を発揮するSFの話から、「人間は10%しか脳を使ってない」という10%神話について触れる。それだったら90%の脳は無駄な部位だからとっくに縮小・軽量化方向に進化していたはず、そうなってない理由は脳が四六時中フル稼働しているから、という解説に納得。 各節の…
サンダーボルツ* https://marvel.disney.co.jp/movie/thunderbolts 監督:ジェイク・シュライアー出演:フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス なぜかアベンジャーズがいない状況、世界を救うために集められた超能力者たち。ホントは目立ちたいのにヒーローっぽくなれなかった、道を踏み外したやつら。集められた理由からして謎だらけ。人気だけじゃなくメンタルもボロボロの彼らに世界を救えるのか? アベンジャーズがいなくてよかった。アベンジャーズ…
「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」@森美術館 https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/machine_love/index.html AIやVR、ゲーム、仮想現実など、今時話題のテクノロジーを使用したアートに特化した展覧会。12人のクリエイターの作品が展示されている。コンピュータを使うケースが多々ある分野なので、映像作品が多い。意味不明にダラダラ長いだけの映像は苦手だけれど、好きな映像は好き←そりゃそーだろ 今回いちばんツボった作品は佐藤瞭太朗氏の《アウトレット》という11分くらいの映像。2回見た。ビデオゲームに登場するさまざまな3D…
「ヒルマ・アフ・クリント展」@東京国立近代美術館 https://art.nikkei.com/hilmaafklint/ アートテラーとに~さんのアート企画「MOMAT完全攻略ツアー」に参加した。とに~さんに会うのはコロナ禍以前の2020年1月以来5年ぶり。髪が伸びてた。今回の企画は「ヒルマ・アフ・クリント展」+「所蔵作品展 MOMATコレクション」の痒くない所にも手が届いちゃいそうな解説付きツアー。 美術館の前に聳え建つ青い柱はイサム・ノグチが開館の際に制作した作品で、イサムちゃんの指示で時々色を塗り替えていて、今の青色は東京都の清掃車の色だって、そんなの知らなかった。 日本で最初の国立美…
#真相をお話しします https://shinso-movie.jp/原作:結城真一郎監督:豊島圭介出演:大森元貴/菊池風磨/中条あやみ/岡山天音/伊藤健太郎/栁俊太郎/齊藤京子/綱啓永/桜井ユキ/田中美久/原嘉孝/伊藤英明/福本莉子 ミセス大森元貴が映画主演&主題歌担当をしている映画。これの原作は読んだことがある。5つのエピソードが独立した作品として収録されている。どれもミステリー調で終盤になると謎解きが語られるという形で#真相をお話ししてくれるのだ。割と手軽に読めた感じだった。 その本が映画になったのでちょっと気になっていた。5つあるエピソードのどれが映画になるのだろうかと。あれかなこれか…
2005年1月1日から20年以上使ってきたgooブログが今年の11月18日で終了するという衝撃の告知があった。うひゃぁぁぁ~、どうしよ~と思ったら移行サービスがあると聞いたので、さっそく試してみた。 4/16から文章のバックアップが可能になったので、gooブログからダウンロードを開始、それほど時間はかからず「export_blog.zip」ができあがった。約1MB。 はてなブログとアメーバブログが推奨されていた。でもアメブロではコメントの移行ができないし、カテゴリ分けが引き継がれずすべて「ブログ」カテゴリになっちゃうと書いてあった。トラックバック廃止以後はほとんどコメントは無かったけれど古いの…
『A LEGEND/伝説』監督:スタンリー・トン出演:ジャッキー・チェン/チャン・イーシン/グーリーナーザー/ポン・シャオラン/アーリフ・リー/リー・チェン 『THE MYTH/神話』、『カンフー・ヨガ』でも演じた考古学者の三作目だそうだが、前2作は見てないので比べられない。いきなり騎馬民族の時代で始まったので「あぁそういう映画か」と思って、考古学者の設定を忘れていた。だって古代にもジャッキーがいるんだもん。 話がある程度進むと現代に場面転換、考古学を懸け橋にして、現代のリアルと古代の夢・空想が交互に進行する手法は、昨年見た『八犬伝』の、作者の人生と物語の世界を行ったり来たりする感じに似ている…
『アマチュア』原作:ロバート・リテル監督:ジェームズ・ホーズ出演:ラミ・マレック/レイチェル・ブロズナハン/カトリーナ・バルフ/ローレンス・フィッシュバーン 主人公チャーリー・ヘラー(ラミ・マレック)はCIAの分析官。始まって早々に愛妻がテロで殺されてしまう。絶望の淵から復讐を誓うチャーリー。しかしチャーリーはCIAとはいえ、パソコンとにらめっこする職種なので、筋肉ムキムキでもなければ凄腕スナイパーでもない。格闘や銃撃をするタイプではない。 それではどうやって復讐をするのかというのがこの映画の見せ所。IQ170という、筒井康隆に迫るくらい明晰な頭脳で目的を果たすべく奮闘する。プロフェッショナル…
『HERE 時を越えて』 原作:リチャード・マグワイア 監督:ロバート・ゼメキス 出演:トム・ハンクス/ロビン・ライト/ポール・ベタニー/ケリー・ライリー/ミシェル・ドッカリー 地球上のある地点を定点観測する映画。とある場所の、とある家の窓ぎわの広間で繰り広げられる生活、さまざまな家族の出入りがあり、また、その家ができる前の風景までも交えて、いろいろな時代が時系列ではなく行ったり来たりする。時系列のほうが分かりやすかったとは思うけど、時たま大昔に戻ることで、その場所の移り変わりを思い出させてくれる。 カメラ位置が動かない映画ってのも珍しい。この部屋自体がタイムマシンみたいになっていて、目まぐる…
『片思い世界』 脚本:坂元裕二 監督:土井裕泰 出演:広瀬すず/杉咲花/清原果耶/横浜流星/小野花梨/西田尚美/田口トモロヲ/伊島空 これはうっかりネタバレを読んじゃう前に早めに見に行った方がいい。まぁ大概の映画はそうだけど。ちょうど見たいと思っていた上映回に舞台挨拶のライブビューイングも付いていたのはラッキーだった。 美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)、一緒に暮らす三人組、バスの中で出会ったべらぼうにイケメンな男(横浜流星)が気になって仕方ない美咲。話しかけろと急かす最年少のさくら。そんなこんなでラブストーリーが始まりそうな予感。始まったら始まったで3人の生活が壊れるのでは…
『ミッキー17 MICKEY17』 原作:エドワード・アシュトン (ミッキー7) 監督:ポン・ジュノ 出演:ロバート・パティンソン/ナオミ・アッキー/スティーブン・ユアン/トニ・コレット/マーク・ラファロ 借金が返せなくて地球脱出を考えた主人公ミッキー、何度でも生きかえられるという、いいんだか、わりぃんだかわからん仕事にサインする。長い旅路の果てに到着した星で、業務についた途端、使い捨て人間(エクスペンダブル)として、殺されては生きかえる悪夢のような人生が始まった。命の大切さが主題なのかもしれないが、何度も生き返る精神的な辛さという面はユーモアを交えて軽妙に済ませて置いて、現場で起こる事件が重…
ピエール・ルメートル「わが母なるロージー」(文春文庫)2019年 パリ警視庁、身長145cmのカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ3部作の4作目。なんだって? 3部作の4作目って日本語おかしいだろ! でも3部作の4作目なのだ。 ①「悲しみのイレーヌ」、②「その女アレックス」、③「傷だらけのカミーユ」の3部作はすでに完了していたが、出版社からの依頼で出来上がった物語だそうで、せっかくなのでカミーユにも出て来てもらおうということになったようだ。 順番としては②と③の間に起こった事件だそうだ。でもこれだけ読んでも単品として楽しめる。3部作は各々400ページ前後あるのに「わが母なるロージー」は半分の2…
『少年と犬』 原作:馳星周 監督:瀬々敬久 出演:高橋文哉/西野七瀬/伊藤健太郎/伊原六花/柄本明/宮内ひとみ/斎藤工 北から南へ犬が旅をしながらいろんな人に会うほのぼのした映画かと思ったら、問題山積み映画だった。東日本大震災をきっかけに飼い主を失った多聞(たもん)という名の犬。さまよう多聞に巡り合う人々が人生に悩んだり失敗したりしている姿が映し出される。多聞に出会い自分を見つめ直す機会を得る人々。優しさを取り戻す人々。犬の映画だから子供向きかというとそうでもない。 原作は読んでない。ストーリーが単純に時系列に語られるわけでもなく、時が進んだり戻ったりしながらエピソードが語られるので油断せずに…
「ミロ展」@東京都美術館 「ホアン・ミロ」かと思ってたら「ジョアン・ミロ」になったりしてたのに近頃は「ジュアン・ミロ」と呼ばれている。調べたら「ホアン・ミロ」はカスティーリャ語発音、「ジョアン・ミロ」は英語発音、「ジュアン・ミロ」はカタルーニャ語発音だそうで。日本語表記が定着しちゃってから変わると違和感が生じるけどしかたない。「ツヨイコノ・ミロ」 約100点を集めたミロの大回顧展。都美の地階・1階、2階が展示室になっていて、最後の2階フロアのみ写真撮影が可能となっている。ミロは昔から好きなほうだった。好きな作品もあれば好きじゃない作品もあるっちゃあるけど。 初期の写実的作品は何の絵なのか見れば…
『Flow』 監督:ギンツ・ジルバロディス 出演:動物 大洪水の中を動物たちがヨットで旅、というか漂流していくアニメ映画。ラトビア生まれの監督が手がけた長編2作目。すごくいい。大きな目玉の黒猫がメインキャスト。 この映画にはセリフは無い。猫はにゃーにゃー、犬わんわんわん、猿うききききー。普通はそうだからすごく自然なアニメになっている。「腹減ったにゃー」とか「お前は森の王になるのだ」とか余計なことはしゃべらない。人間の言葉はしゃべらないけれど、人間が造った船に乗り、人間が築いた壮大な建造物の脇を流されて行く。 洪水でどんどん盛り上がってくる水面や、嵐に翻弄されるヨットのシーンはコワイくらいリアル…
『知らないカノジョ』 監督:三木孝浩 出演:中島健人/milet/桐谷健太/風吹ジュン/眞島秀和/中村ゆりか/八嶋智人/円井わん 大人気作家になった夫と、ミュージシャンになる夢を諦めた妻、それでもうまくいっているように見えた二人だったが、いつしかふたりの人生の歯車が狂い始める。ある時、目覚めた夫は、自分が出版社の編集社員になっていて、妻は売れっ子ミュージシャンに変わっていることを知る。反転しただけでなく、妻だった人は夫の顔さえ知らない他人になっていた。 この異様な状況に納得できない夫は当然ながら妻のはずの大スターに超接近してストーカー呼ばわりされてしまう。これで厳重な警備が入れば映画は終わっち…
『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』 監督:ジェームズ・マンゴールド 出演:ティモシー・シャラメ/エドワード・ノートン/エル・ファニング/モニカ・バルバロ/スクート・マクネイリー 若き日のボブ・ディランを描いた作品。まだ誰にも知られてなかった若い男が、田舎からフラリとやってきたニューヨークで、秘めたる能力を発揮してあれよあれよと言う間に人気者にのし上がって行くアメリカンドリーム。 ミュージシャンの出世物語を見ると大抵、なかなか目が出ず落ち込んだり、悪いやつに金持ち逃げされたり、ふんだりけったりな人生が描かれる。ボブ・ディランにはそういう事はあったのか無かったのか。そりゃ音楽的な…
『ゆきてかへらぬ』 監督:根岸吉太郎 出演:広瀬すず/木戸大聖/岡田将生 明治・大正・昭和をまたぐ時代に生きた、詩人・中原中也(木戸大聖)、文芸評論家・小林秀雄(岡田将生)、女優・長谷川泰子(広瀬すず)の不可思議な三角関係を描いた映画。まだ無名だった頃に知り合った三人は互いに惹かれて行く。 天才詩人ならではの激情的な性格の中原に愛想をつかす長谷川。そんな長谷川の激情的な性格に愛想をつかす小林。長谷川泰子が精神を病むシーンでは、広瀬すずちゃんが甲高い大声でわめく。基本的に静けさを感じる映画なので、館内で騒ぐなよぉ!って引くくらい叫んでいた。そんな広瀬すずちゃんの演技にドキドキワクワクする映画。 …
ピエール・ルメートル「傷だらけのカミーユ」(文春文庫)2016年 身長145cm、パリ警視庁・カミーユ・ヴェルーヴェン刑事3部作の3作目。1作目で精神的にズタズタになってしまったカミーユ。2作目で無理やり捜査に引っ張り出されて気を取り直したカミーユ。3作目でタイトルからして傷だらけのローラ、じゃなくてカミーユって何じゃそりゃ。またしてもダメな邦題だねぇ。 今回はいきなり強盗事件発生、通りすがりの女性が哀れにもその場を通りかかったばかりに、邪魔するなと死ぬ寸前まで痛めつけられるという暴力描写、たまたまその女性を知っていたカミーユはすぐさま捜査に向かう。初っ端からすごいスピード感をもって物語が走り…
『ドライブ・イン・マンハッタン』 監督:クリスティ・ホール 出演:ダコタ・ジョンソン/ショーン・ペン 空港から乗ったタクシーの中での会話がすべて、と言う感じの、面白いのかどうなのかちょっと不安になりそうな舞台設定。だから銃撃戦もカーチェイスもUFOも登場しない。ドライバー(ショーン・ペン)と乗客(ダコタ・ジョンソン)しか出てこないと言っても過言ではない。あとは交通整理の警官などのチョイ役が少し出てくるだけ。ギャラコストパフォーマンス高そう。 大阪のおばちゃんじゃないから、タクシーに乗った途端にしゃべり出したりしないので、話し出すまでの静寂もまた、「あぁ気まずいな」とか観客が勝手に緊張するシーン…
「横浜美術館リニューアルオープン記念展 おかえり、ヨコハマ」@横浜美術館 2021年から大規模改修工事で休館していた横浜美術館が全館オープン。記念の所蔵作品展に行ってきた。改修後の館内には昨年の横トリで入ったので、物珍しさはそれほどない。 今回は以前と展示室の導線が違っているが、矢印で進行方向が示されているので、矢印に沿って進めばあっちかなこっちかなと悩むことも無く会場を一回りできる。 所蔵品展なので見たことのある作品が多いが、たまに新作もあり、たまに未見作品もある。いままでダリの大きな三連作があった場所に、淺井祐介《八百万の森へ》という大きな作品が展示されている。9枚のパネルを並べ替えること…
「生誕120周年 サルバドール・ダリ -天才の秘密-」@横須賀美術館 諸橋近代美術館で昨年開催された展覧会。諸橋には行けなかったけれど、横須賀に巡回して来たので行ってきた。今回はほぼ諸橋の所蔵品だが、時折、他の美術館の所蔵作品も混じっている。マグリットやデ・キリコなどの作品も含めて約120点を展示。4月6日まで開催。2月16日(日)は市制記念日とかで観覧無料らしいぞ。 この美術館は山本理顕設計で2007年に開館、私はようやく3回目の訪問。諸橋ほどではないが、ちょっと行きづらい場所にある。景色がいいので開場時間までは美術館の周りを散歩しながら海を見る。晴れた日の方がいい。美術館の裏山に上ると、三…
ピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」(文春文庫)2015年 パリ警視庁、身長145cmのカミーユ・ヴェルーヴェン警部、3部作の第1作。でも日本では第2作「その女アレックス」が先に出版されてたようで、私はそんな事情を知らなかったにもかかわらず、多くの読者と同じく第2作を先に読んでしまった。古書店に第2作だけ置いてあったからである。まぬけである。 そのせいで、イレーヌに何が起こるのかを知っていたので、それがいつ来るかいつ来るかと思いながら読むことになる。それはそれで読むのがつらい。そうでなくても「悲しみのイレーヌ」という邦題はダメだ。イレーヌという人が悲しむ物語だと想像できてしまうから。それに…
『TOUCH/タッチ』 原作:オラフ・オラフソン 監督:バルタザール・コルマウクル 出演:エギル・オラフソン/Koki/パルミ・コルマウクル/本木雅弘/メグ・クボ/奈良橋陽子/中村雅俊 アイスランド映画。初期の認知症と診断を受けた男クリストファーが、心残りなことを清算しようと旅に出る。目的は50年前に突然姿を消してしまった恋人ミコ(Koki)の消息を確かめること。高橋(本木雅弘)の経営する日本料理店で働いていた当時を思い起こし、アイスランドからイギリス、日本へとはるばる旅をする物語。 突然いなくなった謎を知るのはもちろん映画の本筋だが、あまり見慣れないアイスランドの風景も興味深いし、まさかの日…
ピエール・ルメートル「その女アレックス」(文春文庫)2014年 先日読んだ「僕が死んだあの森」の作者が2011年に書いた殺人サスペンス。パリ警視庁の身長145cmのカミーユ・ヴェルーヴェン警部の三部作のひとつ。文庫が数十円で買えたのでひょいと買ってしまい、事情を知らずに読む順番を間違えたことに途中で気づいた。事件が引き続いているわけではないので大して問題はないが、できれば「悲しみのイレーヌ」を先に読んだほうがいいかもしれない。 新たに発生した誘拐事件に緊張が走る。ヴェルーヴェン警部は誘拐事件に関する悲しくも苦い過去を持つ。なので、本当は担当したくなかった事件だが、容赦なく捜査に引きずり出されて…
『アーサーズ・ウィスキー』 監督:スティーヴン・クックソン 出演:ダイアン・キートン/パトリシア・ホッジ/ルル/ジュヌヴィエーブ・ゴーント/エスメ・ロンズデール/ハンナ・ハウランド/ボーイ・ジョージ/ローレンス・チェイニー/デヴィッド・ヘアウッド/アディル・レイ 発明家の夫が残したウィスキーを飲んだ70代の女性3人組、寝て起きると20代のピチピチギャルに変身していてびっくり。これはすごいと喜んで、はめを外しに街に繰り出すのだが、数時間過ぎたらもとのおばあちゃんたちに戻っちゃって大慌て。しんでれらか! 寝て起きると変身、とか言ってながら、映画が進んで行くにつれて、変身するまでの時間が曖昧になって…
『室町無頼』 原作:垣根涼介 監督:入江悠 出演:大泉洋/長尾謙杜/堤真一/松本若菜/江本明/北村一輝 歴史書に1行載っていただけの名前「蓮田兵衛」を元に原作者・垣根涼介氏が書き上げた小説からできた映画。だから史実と言っても他に何の資料も無いので、「フィクション」というか「たぶんこうだったんじゃないか劇場」みたいなものかな。 蓮田兵衛を演じる大泉洋、いろんなバラエティやドラマなどで目にしているが、気のせいかもしれないけれど、もしかしてだけど、この映画の大泉洋がいちばんかっこいいんじゃないかと思った。 才蔵(長尾謙杜)の修業シーンはジャッキーチェンの映画を見ているようで面白い。江本明の個性が強烈…
『エマニュエル』 監督:オードレイ・ディヴァン 出演:ノエミ・メルラン/チャチャ・ホアン/ナオミ・ワッツ/ウィル・シャープ/ジェイミー・キャンベル・バウアー/アンソニー・ウォン 最初の『エマニエル夫人』が公開されたのは1974年。ずいぶん話題になったのは覚えているが、当時の私はすぐに見られる年齢ではなかったので、実際に見たのはずっと後で、多分レンタルビデオでも借りたのだろう。 私は、見たことのある映画をEXCELで一覧表にしてある。監督名や出演者、公開年、評価、備考も書いてあったりなかったり。ど忘れして載せていないものもあるだろうが、『エマニエル夫人』を確認したら一覧表に載っていた。『続・エマ…
『人体の構造について DE HUMANI CORPORIS FA BRICA / THE FABRIC OF THE HUMAN BODY』 監督:ルーシァン・キャステーヌ=テイラー/ヴェレナ・パラヴェル 上映館によっては昨年から公開されていたようだが私の近所では年明けの公開だった。カメラでの生々しい手術の様子が映されるドキュメンタリー映画。内視鏡はもちろんのこと、脳の開口手術や帝王切開、前立腺全摘、湾曲した背骨の手術など、ややグロ的な血しぶきドバッな映像が続く。「ひえぇ~!」なんて思いながら見る。 局部麻酔で脳に穴を開けている医師と開けられている患者が話している。ネジを回しながら「ここは?」…
ピエール・ルメートル「僕が死んだあの森」(文春文庫)2021年 フランスのある村の物語。母と二人で暮らしている12歳のアントワーヌ少年。なにげない日々の営みに溶け込んでいた少年だが、ある日、殺人事件が起こる。ここから先、少年と周囲の人々の人生がガラリと変わる。そこまでは何だかパッと冴えない小説だなぁなんて思いながら読んでいたのに、突然先が気になって気になってしかたなくなる。この少年はどうなるんだ、母はどうなるんだ、隣人たちはどうなるんだ、物理的に精神的に追い詰められる犯人の動揺がずっしりとこびりついたまま最後のページまで不安な読書が終わらない。
3年半ぶりにスマホを買い換えた。シャープのAQUOS sense9(SH-M29)SIMフリーモデル。使っていたスマホの調子が悪いわけでもなく、不満があるわけでもないのに、電池の持ちが悪くなると買い換えるという変な風潮がある。気軽に電池交換ができないからしかたない。SDGsに逆行している。今回も前機同様追加料金を払ってガラスコーティングをした。綺麗で後が気楽なので気持ち良い。 液晶サイズは5.8インチから6.1インチに広がったが、筐体がバカでかいわけではなく、ホールドしやすい。今まで画面の下部にあった指紋センサーが右脇の電源スイッチと一体になった。良いのか悪いのか微妙だが、慣れれば問題ないかも…
一触即発で世界が滅亡しそうな昨今ですが、順当に新年になってしまいました。皆様イカがお過ごしですか。今年もよろしくお願いします。戦後80年経っても人間は愚かなままですね。一回地球割れたほうがいいのかもしれません。んちゃ! 今年の年賀状は「がんばりマヌカン」、昨年開催されたデ・キリコ展に出てきた目鼻口の無いマヌカンがお気に入りなので、そいつを流用して自転車に乗ってもらいました。マヌカンはマネキンのことです。「夜霧のハウスマヌカン」なんていう歌が昔ありましたね。デ・キリコとは関係ありません。「マネキントリオ」なんていうアイドル3人衆が昔いませんでしたね。とりあえず年賀状の説明を記しておきます。 ・(…
1月 ロシアによるウクライナ侵略が継続中。 1月 イスラエルとハマスの戦闘が継続中。 1月 元旦に石川県で震度7の地震が発生し245人以上死亡。令和6年能登半島地震と命名。 1月 2日、羽田空港で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が滑走路上で衝突し海上保安庁搭乗員5人死亡、旅客機乗客は全員無事。 1月 イランの爆発テロで103人死亡。 1月 山手線内で20代のサンダル女が刃物で男性4人に切り付け、3人重傷、1人軽傷。 1月 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件の証拠隠滅容疑で池田佳隆衆院議員を逮捕。 1月 ダウンタウン松本人志が芸能活動休止。 1月 火事で旧田中角栄邸が全焼。 1月 八代亜…
2024年に見た美術展のベストテン(^o^;) と思ったら全7本だった。遠くなったなぁ~。ハシゴしたりちょいと覗いた画廊・ギャラリーなどは含めてない。 (01)「サルバドール・ダリ - エンドレス・エニグマ 永遠の謎 - 」@角川武蔵野ミュージアム → 360度の没入型デジタルアートでダリ作品がうにょうにょ動く面白い体験ができる。この美術館には初めて行った。 (02)「デ・キリコ展」@東京都美術館 → シュルレアリスムの元となった形而上絵画の先駆者。目も鼻もないタマゴ頭(マヌカン)がお気に入り。図録もハードカバーでしっかりしていた。 (03)「田名網敬一 記憶の冒険」@国立新美術館 → 脳が炎…
2024年、わざわざ劇場へ足を運んで見た映画のベストテン(^o^) 今年は全30本。そのうち邦画13本だった。ベストワンに大好きな「時をかけるおっさん」的な作品を置けたので満足かな。 (01)『侍タイムスリッパー』:幕末の侍が時代劇の撮影所にタイムスリップ。カルチャーショックに狼狽えるシーンが笑いのツボ、ワクワクしながら楽しめるタイムスリップ映画、ラストシーンも笑えた。タイムパラドックスが無くても面白い。元の時代に戻ることなんかさらさら考えてない作りもいい。でももし続編を、などと欲張ると、きっと元の時代に戻ったりしちゃうんだろなぁ。 (02)『八犬伝』:八剣士の活躍と馬琴の人生、ひとつぶで二度…
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