最近、菅義偉官房長官の記者会見において、野党議員ばりの舌鋒鋭い質問を飛ばすとして東京新聞の望月衣塑子記者が話題になっています。 しかし本来そこから感じられるべきことは、「この記者は勇敢で素晴らしい」ということでも、「女性なのに頑張っている」ということでもないのではないでしょうか。つまり、「野党議員のような」質問を飛ばす記者が取り上げられる時、当の「野党議員」は何をしているのか、ということです。 「安部一強」と言われて久しいですが、それ以前から振り返ります。 主に日本の政治というのは、所謂55年体制が構築された後、自民党が政権を取っているが、時々国民がそれに辟易して野党に政権を渡す、ということを…
痴人の愛 (新潮文庫) 作者: 谷崎潤一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1947/11/12 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 123回 この商品を含むブログ (226件) を見る この作品はと言えば、「エロチシズム」や「マゾヒズム」を扱った文学作品として知られているわけですが、一方私は、山田詠美先生の小説『賢者の愛』を基にしてWOWOWでドラマ化されたものを見て、それが谷崎潤一郎先生の作品をオマージュしたものなのだと知って、そういうルートでこの作品に出会いました。 15歳の少女を貰ってきて、自分好みに育てる。多くの場所で指摘されております通り、そこには『源氏物語』にも見ら…
陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫) 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2006/02/01 メディア: 文庫 購入: 22人 クリック: 348回 この商品を含むブログ (613件) を見る 伊坂幸太郎、ここに極まれり。とまで言うつもりはありません。もうある種、伊坂幸太郎先生の作品は形式美・様式美にまで達していると思うのです。それは内実を伴っていないという意味では無くて(むしろ、形式を踏襲しつつ毎回面白いのは驚嘆すべきところですが)、何度何を読んでも爽快。 例えば、「トムとジェリー」というアニメを見る人は、もう大体が、どうせトムとジェリーが喧嘩することを知ってい…
民進党内部からの動きもあり、民進党の蓮舫代表が戸籍謄本を公開する方針であると言いました。主に保守系の(あるいは所謂「ネトウヨ」の)長らく主張して来たことです。 一方、それに対して左派系の人々からは「そんな必要はない」との主張があります。その理由というのは、「人種差別に繋がる」であるとか「ダブルルーツの人々への偏見に繋がる」というものらしいのですが、しかしこれは全く筋違いの話です。 二重国籍は何が問題か 二重国籍について、何が問題なのか、という意見もあるでしょう。もちろん市井には二重国籍の人など山ほどいるでしょうし、その全ての人に非難が向けられているわけではありません。 今回の蓮舫代表の二重国籍…
オーデュボンの祈り (新潮文庫) 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/11/28 メディア: 文庫 購入: 21人 クリック: 154回 この商品を含むブログ (836件) を見る 伊坂幸太郎先生の作品は『ラッシュライフ』と『ゴールデンスランバー』を読んだことがありました。どちらもとても面白かった。緻密に編み上げられる世界、それが緩やかに美しく解かれていく様子。ただ一方で、そういう本は一気に読んでしまいたいという我が儘もあって、その2冊を読んだ後は、時間がかかっても良いような本ばかりを選んでしまって、伊坂幸太郎先生の作品からは離れていたのですが。 しかしやはり、…
教団X (集英社文庫) 作者: 中村文則 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2017/06/22 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る なんだか近頃売れているらしい、との噂を聞きつけて買いました。元々個人的に宗教というものに興味があり、論文なんかを読んだわけではありませんが、自分なりの宗教論のようなものは体系的に構築されているつもりです。その宗教論を試してみる意味でも、他の人の描く宗教というものに興味があって読んでみました。 読んだ方は分かるに違いありませんが、別にこれは宗教の話ではない──そう言うと誤解を招きそうですから、厳密にいうと、これは「世俗的な宗教を描いたわけ…
国家なるものの特性 国家というものは本来的には膨張したがるものである、と考えなくてはならないでしょう。 太古の時代、日本の歴史教科書では「クニ」と書かれるような小国が群立していた時代があるます。その時国家が膨張したのは、短絡的に富を求めるものであったということになるでしょうが、この場合これを「国家」と呼んで良いものかは疑問です。我々が想像するような国家体が構築されたのはせいぜいここ数百年のことで、それ以前はより短絡的に必要の上で構築された社会的集合体と言うより他にないでしょう。 「国家」が構築されたのはいつ頃でしょうか。古代エジプトにおけるファラオ、古代中国における王──皇帝、日本における天皇…
近頃、マイノリティへも目が向けられるようになっていました。何でもかんでも近現代の変化をネットの発達と結び付ける性向は好きではないのですが、これに関してはネットの影響を排除できないものと思います。 障害者であるとか、LGBTであるとか、そういう人々に対する意識は相当改善されているのだろうと思います。 障害者がTwitterで何か自分の経験を語ったりすると、それについて一応の知識がある人が、「そうそう──」と補足してそれを拡散していきます。LGBTなんかは割と本人たちが発言力を持つようになったマイノリティかもしれないですが、そうはいかない場合も多く、マイノリティに近い人々がその状況をレポートする形…
よるのふくらみ (新潮文庫) 作者: 窪美澄 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/09/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 窪美澄先生の作品を拝読するのはこれで2度目でした。1度目は映画化もされた『ふがいない僕は空を見た』でしたが、その際の鮮烈な印象が今でも記憶に残っています。 あの作品で自分が驚いたのは、ものすごく生々しいものであるはずなのに、それが日常の中に溶け込んでいるということでした。文学と言うのは得てして性的なものを描きたくなるものですが、そうなるとそれはそれで作品の中に「官能的なパート」が出来て、なんだかそこだけ異質な雰囲気を持ってしまうものだと思うので…
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