「親切で世界を救えるか」 堀越英美
「親切で世界を救えるか」(堀越英美著2023年12月太田出版249p)を読みました。子どもが変わってきていると著者は言う。「鬼滅の刃」の登場人物たちにそれが現れていると言うのだ。炭治郎の行動の基盤は親の仇討ちでもないし御館様への忠誠でもない。弱きを助け、強きを挫く従来のヒーローにはない裏方仕事をする人たちへ感謝し兄を亡くした少年を文通で慰め上手な飯炊きで仲間たちの心を和ませる「ケアの倫理」を持っているところにある。妹の禰󠄀豆子もそうだ。こういう人物が子どもの心をとらえる時代。道徳の教材にある「手品師」の例も面白い。手品師が、少年に手品を見せるという約束をした日に(いい)仕事が入ってしまう。今後につながるような仕事だ。仕事か、少年との約束か……ところが現代の子どもたちは、そんな葛藤はしない。「仕事が入ったか...「親切で世界を救えるか」堀越英美
2025/05/25 06:53