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  • 「本屋のミライとカタチ」 北田博充

    「本屋のミライとカタチ」(北田博充著2024年2月PHP258p)を読みました。「本屋」って、本を売っている店のことじゃないんですよと著者は言う。(え?)「本屋」とは、人のことなんです。本をつくる出版社本を貸す図書館員本を選ぶ選書家教師も(本書では面白い試みをしている高校教師の嘉登さん)何かを媒介にして本を紹介している人も(TikTokで本を紹介してヒットを生み出しているけんごさん)自分の持ち場で楽しみながら本と人とをつないでいる人それが「本屋」なのだという。悲しいトーンで語られることが多い「本」界隈書店の数が減っている一軒も書店のない自治体が増えている売り上げが下がっている読書離れが進んでいる……著者は言う。「本が売れない時代だからこそ知恵のしぼりがいがある」いろいろな人に話を聞く。v字回復をした業界の...「本屋のミライとカタチ」北田博充

  • 「古代の都 なぜ都は動いたのか」

    シリーズ古代史をひらく「古代の都なぜ都は動いたのか」(吉村武彦他著2021年8月岩波書店314p)を読みました。飛鳥から難波、平城京、平安京と古代の都は動いた。なぜ、動いたのか?そして平安京はなぜそれ以降、動かなかったのか?もちろん結論は出ていない。(このシリーズの面白いところは最終章の座談会で結構忌憚のない意見を言い合っているところ)「動く」というのは大変なことだと思いがちだけれど案外そうでもないのかもしれない古い都の建物を分解して使うことが出来るからだ。(この時代、釘はどのくらい使われていたのだろうか?もしもホゾによる組み立てだったら分解→組み立ては案外容易だったのかもしれない。柱は、地面に穴を掘って立てる掘立柱だそうだし)新しい都の土地を探して動き回ったのは聖武天皇と桓武天皇聖武天皇は都の適地を探す...「古代の都なぜ都は動いたのか」

  • 「射手座の香る夏」 松樹凛

    面白いと聞いたので「射手座の香る夏」(松樹凛著2024年2月東京創元社345p)を読みました。SFです。これがデビュー作?とは信じられない。「射手座の香る夏」「十五までは神のうち」「さよなら、スチールヘッド」「影たちのいたところ」と全4編が読める。情景が目の前に現れる正確な描写の中に著者の素がふっと現れるのが魅力だ。「いやいい。大人の階段を上るのは一日に一歩だけでいい」(「十五まで神のうち」の蒼)「あたしはあたし以外の人たちがみんな喧嘩をしていてほしい。世界が平和にならないでほしい。そうすればきっとみんなあたしにだけは優しくしてくれるから」(「影たちのいたところ」のソフィー)時代を感じさせる出来事がさりげなく差し挟まれているのがリアリティを生んでいる。リーマンショック大震災と原発事故EU離脱……人物の「紹...「射手座の香る夏」松樹凛

  • 「父・堀内誠一が居る家 パリの日々」 堀内花子

    手帳を開いて今日のページにシールを貼るところから1日が始まります。今月は「ぐるんぱのようちえん」シール。堀内誠一さんの絵本です。「父・堀内誠一が居る家パリの日々」(堀内花子著2024年2月カノア139p)を読みました。雑誌「anan」のディレクターを辞めて(生活のために14才から働いていた)堀内誠一は一家でパリに渡る。仕事は絵本のみ。決して豊かな暮らしではない。中学生だった娘の花子さん小学生だった紅子(もみこ)さんの「言葉の分からない」学校生活もなかなか大変だった。しかし生活は豪華だった。「人」豪華なのだ。パリのアパートの部屋に同居していたのは小暮ひでこ・徹夫妻立ち寄ったのは谷川俊太郎安野光雅石井桃子瀬田貞二澁澤龍彦……日本では奈良原一高が「これをしのぐ素敵な写真の雑誌を日本では知らない」と言った写真誌「...「父・堀内誠一が居る家パリの日々」堀内花子

  • 「烈女の一生」 はらだ有彩

    「烈女の一生」(はらだ有彩著2024年3月小学館277p)を読みました。著者はテキストレーター(文章、イラスト、テキスタイルを作っている)「烈女」紹介本です。全文が「共感」のトーンに貫かれているので読んでいる方も共感して苦しくなる。(ということで元気な時に読んでください)ほとんどの人物が病に倒れる。過労?世間の無理解?各章に副題がついている。A辿り着かないなら最初から目指すべきではなかったのか?Bあらゆる理由が連鎖しているという事実は深い絶望でもあり唯一の希望でもあるC誰にも忘れてもらえない誰にも忘れさせてやらないD考えることで全て失ったとしても考えずに自ら捨てることはできないE走って走って走って意味を振りほどくAナイチンゲールBマータイ(政治家)Cダイアナ妃Dハンナ・アーレント(哲学者)E人見絹枝(陸上...「烈女の一生」はらだ有彩

  • 「66歳、家も人生もリノベーション」 麻生圭子

    「66歳、家も人生もリノベーション自分に自由に水辺の生活」(麻生圭子著2023年11月主婦と生活社191p)を読みました。作詞家の麻生圭子さんのエッセーです。(最近◯歳というタイトルの本が多いけどこの本の場合、不要では?)麻生さんは子どものころから感音難聴でついに全く聞こえなくなってしまった。人工内耳にするのをためらっていたけれど猫が助けを求めて鳴いているのに気が付かなかったという出来事をきっかけに手術。今は、金属的な音が聞こえる。琵琶湖畔の古い家を買ってリノベーションした。(リノベーション話が好きです)古いミシンの脚とか2m以上ある木の脚立とかロンドンで買ったビンテージの黒板とか痩せた体型のトルソーとかいいなあと思うものがいくつも!「若いときは昨日よりもしあわせになるが人生のテーマだったけど今は今日はし...「66歳、家も人生もリノベーション」麻生圭子

  • 「地雷グリコ」 青崎有吾 日本推理作家協会賞

    「地雷グリコ」(青崎有吾著2023年11月角川書店348p)が第77回日本推理作家協会賞「長編および連作短編集部門」に選ばれました。グリコというのはあの階段を使って子どもがやる遊びチョキはチヨコレイトで6段パーはパイナツプルで6段グーはグリコで3段進む(あれ、全部3の倍数になっている?)高校の文化祭の場所取りのために対決することになった生徒会の椚迅人(くぬぎはやと)と1年4組の射守矢真兎(いもりやまと)2人は神社の階段でグリコ対決をすることになる……グリコがミステリになるなんて…はじめから地雷ならぬ伏線だらけ「六分遅刻だ」「外に?」「この階段って、全部で何段?」(↑これが全部伏線!)以下百人一首を使った坊主衰弱5つの要素で戦うジャンケンだるまさんがころんだポーカーと続く。ついていくのに息が切れるほどの謎解...「地雷グリコ」青崎有吾日本推理作家協会賞

  • 「弥生人はどこから来たのか」

    「弥生人はどこから来たのか最新科学が解明する先史日本)」(藤尾慎一郎著2024年3月吉川弘文館220p)を読みました。地図をぐるりとひっくり返して日本列島を上にすると日本海はまるで湖のようで韓半島と日本列島はつながっているように見える。わたしたちは無意識に目に見えない「国境」線を引いているけれどそんなものがなかった時代半島からちょっと足をのばせばそこは日本列島だ。半島から伝わった「素晴らしい」稲作という技術にみんなが飛びついてあっという間に広まった?はて?そんなことはあるのだろうか……「英雄たちの選択」という番組で磯田道史さんは「米の味の魅力」と言っていたけれど色々なものを食べていた縄文人たちは豆(アズキ、ダイズ)や雑穀(キビ、アワ)の中にコメも取り入れて徐々に稲作が広まったのか(網羅的生業構造)それとも...「弥生人はどこから来たのか」

  • 「秘密の花園」 朝井まかて

    「秘密の花園」(朝井まかて著2024年1月日本経済新聞出版466p)を読みました。牧野富太郎が主人公の朝ドラ「らんまん」で妻のすえ子の推しだった馬琴先生が主人公そして次の大河ドラマの主人公蔦屋重三郎も出てくるということで予習しようかなと。朝井まかての女主人公は、とてもいい。「眩」(くらら)の葛飾応為(おうい・北斎の娘)「グッドバイ」の大浦慶(日本茶を輸出した人)この作品の主人公は滝沢馬琴だけれど妻のお百がとても面白い。「女房なるもの変幻自在、奇々怪界な生きものだ剥いても剥いても違う色の皮が出てくる」と馬琴を呆れさせかと思うと馬琴の兄の遺児を引き受けて育て馬琴が子どもを実母に返そうとすると嫌がって「お前様はほんに、意地の悪い猿のようだ」とあかんべえまでする。終点は盲目になった馬琴が亡き息子の嫁の路に代書して...「秘密の花園」朝井まかて

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