iPadでの『太平記』読書が時間の関係もあってはかばかしく進まない中、気が付けばジャパン・ナレッジで筑摩の「明治文学全集」が読めるようになっていた。こちらはPCでも比較的ページめくりに時間がかからなかったので、iPadとの住み分けも考えて、PCで読んでみた。 とりあえずは、最初の作品からだろうということで、第1巻「明治開花期文学(一)」を開く。この「明治文学全集」は、…
チェコ語で小型の猛禽類を表わす言葉がsokolなのに対して、大型のものはorelと呼ばれる。こちらは、幸いなことに、日本語のワシと、意味だけでなく使い方でもほぼ対応している。つまり、一般的には「ワシ=orel」で、具体的な種名を表わすときに、日本語ではワシの前に、チェコ語では後ろに言葉を付け加えるのである。 だから、お気に入りのテレビドラマ「チェトニツケー・フモレスキ…
日本語の種名としてのハヤブサが、チェコ語のsokol stěhovavýに相当することはすでに紹介したが、他のハヤブサ科の鳥たちもsokolなのだろうか。残念ながらタカの場合と同様に、sokolという言葉が使われるのはハヤブサ一種だけで、ほかの鳥たちは別の言葉で呼ばれているようである。 今回はチェコ語を基準に紹介する。日本語で聞いてもどんな鳥なのか、普通のハヤブサとどう違うのか…
さて、次の問題は、sokolのもう一つの訳語であるハヤブサである。日本語でハヤブサに対するイメージというと、やはり「速いもの」、「スピードのあるもの」だろうか。たしか、鉄道の特急や、バイクの愛称として使用されていたが、それも速さを強調するために付けられたもののはずだ。新幹線の命名に使われた音や光の速さが、目に見えない、実感できない速さだとしたら、ハヤブサは目で見る…
前回書いたように、日本語の「タカ」には、トビやノスリなども含まれるのだが、それらのタカの仲間たちはチェコ語では何と呼ばれているのだろうか。種の名称としてはjestřábだということが確認できたので、日本語でタカと呼ばれる鳥たちの多くはjestřábに形容詞が付いた形で種名とされているのだろうと予測したのだが、その形のものは「オオタカ=jestřáb lesní」だけだった…
チェコ語のsokolについては、確か京産大の出版局が発行した『チェコ語・日本語辞典』で調べたときに、「鷹」とあるのを見て以来、ずっとタカを意味するものだと思っていた。実際に、使われる場合も、日本語のタカと同様、大抵は小型の猛禽類(チェコ語ではdravec)を指すのに使われていたし、鷹狩、鷹匠を意味するチェコ語の言葉も、sokolから派生したものだったし、自分の頭の中には、sok…
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iPadでの『太平記』読書が時間の関係もあってはかばかしく進まない中、気が付けばジャパン・ナレッジで筑摩の「明治文学全集」が読めるようになっていた。こちらはPCでも比較的ページめくりに時間がかからなかったので、iPadとの住み分けも考えて、PCで読んでみた。 とりあえずは、最初の作品からだろうということで、第1巻「明治開花期文学(一)」を開く。この「明治文学全集」は、…
いや、覚悟はしていたのだけど、『太平記』長い。軍記物とて登場人物も多くなってきて、断片的な時間を見つけての読書では、話の流れを追いきれなくなってきた。それで、1頁、2頁ずつではなく、一章分ぐらいずつ読むようにしているのだが、そのためのまとまった時間を取るのも厄介だし、一章まとめて読むとなると、時間もかかるので、完全に気楽にというわけには行かず、多少の気力が必…
日本の歴史的な時代区分の中で、一番理解しにくい時代が室町時代だというのに異論のある人はあまり多くないだろう。末期の戦国時代として画期される部分も、織田信長の登場以降は、日本が統一されていく過程としてわかりやすくなるけれども、その前の応仁の乱から三好政権のあたりは、何がどうしてこうなったのかわからないことが多く、全体的な歴史の動きが見えてこないというか、理解で…
年が明けて、職場に出られるようになると、iPadをしばしば持参するようになった。どうしても発生してしまう待ち時間や、休憩時間に暇つぶしがてら古典を読もうと考えたのである。職場のほうがwi-fiの状態がよくて、ページめくりが失敗することもほとんどなく、ストレスなく読み進められるので、特に『太平記』のような長い長いお話を読む際にはありがたい。 ただ、自宅と職場の間を持ち…
思い返してみれば、軍記物語は、『平家物語』を部分的に読んだことがあるぐらいである。それで、『太平記』に行く前に、時代はさかのぼるけれども、古い軍記物語を、一つ二つ読んでおくことにした。『平家』は、光瀬版を通読したので理解はしやすいだろうけど、長すぎるので、先ずは、あれこれ伝説に彩られた平将門の反乱を描いた『将門記』を選んだ。昔荒俣宏の『帝都物語』を読んで以来…
続いて全集でも同じ巻に収録されている『徒然草』である。こちらは、『方丈記』が平安から鎌倉への転換期に書かれたのに対して、鎌倉、室町の転換期に書かれている。ただ、同時代の作品、もしくは『徒然草』のほうが古いんじゃないかと思い込んでいたことは、自戒も込めて書いておかねばなるまい。この誤解は、文章を読んで受ける印象から生まれたもので、文学史などで書誌的なことを学ん…
ほぼ一年前に書いて放置していたものである。 次なる読書の対象として選んだのは、「ゆく河の流れは絶えずして」で始まる冒頭の部分が名文の誉れも高い『方丈記』である。久しぶりの古典ということを考えると、平安期の女流文学の作品を読むのはつらい。読みやすそうなものとなると、こちらが学んだ古典文法に比較的忠実な形で書かれている中世の擬古文である。その代表が『方丈記』と『…
『霊異記』といえば、ジャパンナレッジでは、「東洋文庫」にも入っていて、原文はないが、現代語訳で読めるようになっている。以前、加入したばかりのときに、せっかくだから「東洋文庫」も読んでみようと思って手を出したのが、日本の『霊異記』と中国の『捜神記』だったのだけど、コンピューター画面上での表示とページめくりの遅さにたえかねて、どちらも最初の数話で投げ出してしまっ…
古典の読書を始める前にしたことは、一度の充電でできるだけ長く読み続けられるように、設定を変更することだった。最近のPCも含めたこの手の機械は、作り手だけが便利だと考えている機能が山のようについていて、しかも購入時点でオンになっているのが困り物である。それで設定画面を開いて、オンになっているのを片っ端からオフにしていった。ネット閲覧ソフトが動いて、ジャパンナレッ…
昨年の11月末だったか、12月初めだったかに届けられたiPadは、大きな箱に入れられていた。パッケージも、本体と充電のためのアダプターしか入っていないのを考えると、ちょっと厚すぎないかと言いたくなるもので、ちゃんとしたマニュアルが入っているんじゃないかと探してしまった。アップルの製品にそんなもの期待するのが間違いだったけど。 実際に手にしたiPadは、思っていたより…
個人用のコンピューター、つまりパソコンの一般への普及の黎明期ともいえる1980年代に中高生だった我々の世代にとって、アップル社のパソコン、マッキントッシュは憧れの対象だった。あのころ実際に目で見て触ったことのあるパソコンは、せいぜい友人の持っていた会社は忘れたけどMSXとかいう規格のものだけで、NECの98、88シリーズも存在は知っていたけど、テレビでしか見たことはなかっ…
承前 プラーハは百塔の都とも称せられて居る。ゴチック式の尖塔高く林立したる盛観は他の欧州に於ける都府で多く見らるるものでない。夫が皆中古の面影を存して基督教の勢力を振った当時を追憶せしむるのである。大詩人ゲーテはプラーハを都市のディヤデムにある真珠なりと激…
諸戸博士のモラビア・シレジア紀行に続いて、歴史学者の黒板勝美氏が世界周遊旅行の途中でプラハに立ち寄った際の記録を紹介する。『西遊二年欧米文明記』(1911年刊)については、すでにここで簡単に紹介したが、今回は記事を引用しながら、解説を加えてみる。黒板博士がこの世界旅行に旅立たれたのは1908…
これまで、猛禽類のうちの昼行性のもの、タカ、ワシの仲間について、日本語での名称とチェコ語での名称を検討してきたのだが、毒を食らわば皿までで、夜行性の猛禽類、つまりはフクロウ、ミミズクの仲間についても取り上げることにする。 昔話、それをモチーフにした映画なんかにもよく登場するから、チェコ語でフクロウのことを、一般的にはsovaと呼ぶということは知っている人も多い…
チェコ語で小型の猛禽類を表わす言葉がsokolなのに対して、大型のものはorelと呼ばれる。こちらは、幸いなことに、日本語のワシと、意味だけでなく使い方でもほぼ対応している。つまり、一般的には「ワシ=orel」で、具体的な種名を表わすときに、日本語ではワシの前に、チェコ語では後ろに言葉を付け加えるのである。 だから、お気に入りのテレビドラマ「チェトニツケー・フモレスキ…
日本語の種名としてのハヤブサが、チェコ語のsokol stěhovavýに相当することはすでに紹介したが、他のハヤブサ科の鳥たちもsokolなのだろうか。残念ながらタカの場合と同様に、sokolという言葉が使われるのはハヤブサ一種だけで、ほかの鳥たちは別の言葉で呼ばれているようである。 今回はチェコ語を基準に紹介する。日本語で聞いてもどんな鳥なのか、普通のハヤブサとどう違うのか…
さて、次の問題は、sokolのもう一つの訳語であるハヤブサである。日本語でハヤブサに対するイメージというと、やはり「速いもの」、「スピードのあるもの」だろうか。たしか、鉄道の特急や、バイクの愛称として使用されていたが、それも速さを強調するために付けられたもののはずだ。新幹線の命名に使われた音や光の速さが、目に見えない、実感できない速さだとしたら、ハヤブサは目で見る…
前回書いたように、日本語の「タカ」には、トビやノスリなども含まれるのだが、それらのタカの仲間たちはチェコ語では何と呼ばれているのだろうか。種の名称としてはjestřábだということが確認できたので、日本語でタカと呼ばれる鳥たちの多くはjestřábに形容詞が付いた形で種名とされているのだろうと予測したのだが、その形のものは「オオタカ=jestřáb lesní」だけだった…
チェコ語のsokolについては、確か京産大の出版局が発行した『チェコ語・日本語辞典』で調べたときに、「鷹」とあるのを見て以来、ずっとタカを意味するものだと思っていた。実際に、使われる場合も、日本語のタカと同様、大抵は小型の猛禽類(チェコ語ではdravec)を指すのに使われていたし、鷹狩、鷹匠を意味するチェコ語の言葉も、sokolから派生したものだったし、自分の頭の中には、sok…
チェコに住んでいる人は、気づいていると思うが、昨年の十一月、十二月ぐらいからチェコ政府による外国人いじめが一段と進行している。外国からの郵便物に関しては、その内容が何である可に関わらず、手紙扱いであったとしても、確か50グラム以上のものは、全て税関で止めて通関手続きを求めるようになっているのである。これまでは、2キロ以下の手紙扱いで送ったものは、箱入りの小包で…
『霊異記』といえば、ジャパンナレッジでは、「東洋文庫」にも入っていて、原文はないが、現代語訳で読めるようになっている。以前、加入したばかりのときに、せっかくだから「東洋文庫」も読んでみようと思って手を出したのが、日本の『霊異記』と中国の『捜神記』だったのだけど、コンピューター画面上での表示とページめくりの遅さにたえかねて、どちらも最初の数話で投げ出してしまっ…
古典の読書を始める前にしたことは、一度の充電でできるだけ長く読み続けられるように、設定を変更することだった。最近のPCも含めたこの手の機械は、作り手だけが便利だと考えている機能が山のようについていて、しかも購入時点でオンになっているのが困り物である。それで設定画面を開いて、オンになっているのを片っ端からオフにしていった。ネット閲覧ソフトが動いて、ジャパンナレッ…
昨年の11月末だったか、12月初めだったかに届けられたiPadは、大きな箱に入れられていた。パッケージも、本体と充電のためのアダプターしか入っていないのを考えると、ちょっと厚すぎないかと言いたくなるもので、ちゃんとしたマニュアルが入っているんじゃないかと探してしまった。アップルの製品にそんなもの期待するのが間違いだったけど。 実際に手にしたiPadは、思っていたより…
個人用のコンピューター、つまりパソコンの一般への普及の黎明期ともいえる1980年代に中高生だった我々の世代にとって、アップル社のパソコン、マッキントッシュは憧れの対象だった。あのころ実際に目で見て触ったことのあるパソコンは、せいぜい友人の持っていた会社は忘れたけどMSXとかいう規格のものだけで、NECの98、88シリーズも存在は知っていたけど、テレビでしか見たことはなかっ…
承前 プラーハは百塔の都とも称せられて居る。ゴチック式の尖塔高く林立したる盛観は他の欧州に於ける都府で多く見らるるものでない。夫が皆中古の面影を存して基督教の勢力を振った当時を追憶せしむるのである。大詩人ゲーテはプラーハを都市のディヤデムにある真珠なりと激…
諸戸博士のモラビア・シレジア紀行に続いて、歴史学者の黒板勝美氏が世界周遊旅行の途中でプラハに立ち寄った際の記録を紹介する。『西遊二年欧米文明記』(1911年刊)については、すでにここで簡単に紹介したが、今回は記事を引用しながら、解説を加えてみる。黒板博士がこの世界旅行に旅立たれたのは1908…
これまで、猛禽類のうちの昼行性のもの、タカ、ワシの仲間について、日本語での名称とチェコ語での名称を検討してきたのだが、毒を食らわば皿までで、夜行性の猛禽類、つまりはフクロウ、ミミズクの仲間についても取り上げることにする。 昔話、それをモチーフにした映画なんかにもよく登場するから、チェコ語でフクロウのことを、一般的にはsovaと呼ぶということは知っている人も多い…
チェコ語で小型の猛禽類を表わす言葉がsokolなのに対して、大型のものはorelと呼ばれる。こちらは、幸いなことに、日本語のワシと、意味だけでなく使い方でもほぼ対応している。つまり、一般的には「ワシ=orel」で、具体的な種名を表わすときに、日本語ではワシの前に、チェコ語では後ろに言葉を付け加えるのである。 だから、お気に入りのテレビドラマ「チェトニツケー・フモレスキ…
日本語の種名としてのハヤブサが、チェコ語のsokol stěhovavýに相当することはすでに紹介したが、他のハヤブサ科の鳥たちもsokolなのだろうか。残念ながらタカの場合と同様に、sokolという言葉が使われるのはハヤブサ一種だけで、ほかの鳥たちは別の言葉で呼ばれているようである。 今回はチェコ語を基準に紹介する。日本語で聞いてもどんな鳥なのか、普通のハヤブサとどう違うのか…
さて、次の問題は、sokolのもう一つの訳語であるハヤブサである。日本語でハヤブサに対するイメージというと、やはり「速いもの」、「スピードのあるもの」だろうか。たしか、鉄道の特急や、バイクの愛称として使用されていたが、それも速さを強調するために付けられたもののはずだ。新幹線の命名に使われた音や光の速さが、目に見えない、実感できない速さだとしたら、ハヤブサは目で見る…
前回書いたように、日本語の「タカ」には、トビやノスリなども含まれるのだが、それらのタカの仲間たちはチェコ語では何と呼ばれているのだろうか。種の名称としてはjestřábだということが確認できたので、日本語でタカと呼ばれる鳥たちの多くはjestřábに形容詞が付いた形で種名とされているのだろうと予測したのだが、その形のものは「オオタカ=jestřáb lesní」だけだった…
チェコ語のsokolについては、確か京産大の出版局が発行した『チェコ語・日本語辞典』で調べたときに、「鷹」とあるのを見て以来、ずっとタカを意味するものだと思っていた。実際に、使われる場合も、日本語のタカと同様、大抵は小型の猛禽類(チェコ語ではdravec)を指すのに使われていたし、鷹狩、鷹匠を意味するチェコ語の言葉も、sokolから派生したものだったし、自分の頭の中には、sok…