chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
長内那由多のMovie Note https://blog.goo.ne.jp/nayutagp01fb-zephyranthes

映画レビュー、俳優論など映画のことを中心としたブログ

最新映画や海外ドラマ、Netflix配信作を中心とした映画レビュー。アカデミー賞予想記事も有り。半期毎に総括ベストテン記事も書いています。「ドラマも同じくらいの熱量で見ていなければ今の映画は語れない!」が最近の信条です。

長内那由多のMovie Note
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2017/03/20

1件〜100件

  • 『ブレット・トレイン』

    バカ映画の割には前半の滑りが悪いし、せっかく列車内に物語を限定したアクションは地の利を活かしておらず(これがチャド・スタエルスキーだったら!)、暴走列車が京都市街を脱線する画は日本のプロダクションが入っていればやらなかっただろうなとは思うが、こういう映画にとやかく言っても仕方がない。AppleTV+『パチンコ』、HBOMAX『TOKYOVICE』と日本を舞台にした革新的な作品が相次いだ年に、伊坂幸太郎『マリアビートル』を原作とした本作がハリウッドにおける日本描写の“定番”をやっている。伝説的な悪党“ホワイトデス”の息子と身代金を巡って殺し屋どもがくんずほぐれつするアクションコメディは、オールスターキャストを楽しめればそれで十分だろう。主演のブラピはさすがにこの手の映画をやるには歳を取りすぎた感は否めないも...『ブレット・トレイン』

  • 『NOPE ノープ』

    まったく、いったいどうやったらこんな奇妙な映画が作れるんだ!『ゲット・アウト』『アス』と唯一無二の独創的なホラー映画を撮り続けてきた異才ジョーダン・ピール監督の第3弾は、彼のトレードマークである人種差別や格差問題という社会的イシューはやや控え目に、劇場へ観客を呼び戻すべくスペクタクルこそを本懐とするSFホラーだ。ハリウッド郊外の砂漠地帯で撮影用のスタント馬を専門に調教しているヘイウッド牧場。主人公OJはここを父と2人で切り盛りしている。ところがある晴れた昼下がり、父は馬の上からガクリと崩れ落ちた。“飛行機事故”によって上空から降り注いだ金属片の1つが顔面を貫いたのだ。父を殺したのはコインで、またがっていた馬には鍵が突き刺さっていた。以来、相次ぐ怪異にOJは確信する。この上空に何かがいる。『ゲット・アウト』...『NOPEノープ』

  • 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』リキャップを連載中です

    リアルサウンドにU-NEXTで配信中のTVシリーズ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』のリキャップを寄稿しています。連載第1弾はエピソード1を見終えてのファーストインプレッションです。監督やキャスティング、そして本家『ゲーム・オブ・スローンズ』とは異なるストーリーテリングに注目しています。記事はこちらその他、記事中で触れられている各作品については下記からどうぞ↓『クォーリーと呼ばれた男』『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン7『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン8『サウンド・オブ・メタル』『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』各エピソードのリキャップはこちら↓第2話第3話第4話第5話『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』リキャップを連載中です

  • 『バズ・ライトイヤー』

    “アンディ少年がバズ・ライトイヤー人形を買うきっかけになった95年公開のSF映画”という設定だが、おいおいピクサーは子供がおもちゃを欲しい!と思う衝動を忘れちゃいないか?『バズ・ライトイヤー』は生真面目なばかりでスリルに乏しく、90年代映画のようなチャームもなければ、ピクサーならではのユーモアとセンス・オブ・ワンダーもない。クリス・エヴァンス演じる(え、ティム・アレンは?)バズ・ライトイヤーはある失敗を挽回しようと躍起になるばかり、周囲との協調を忘れ頑なとなったトキシックマスキュリニティを解体されるべき存在であり、それはもちろん95年のハリウッド映画にはない機知だが果たしてこれでアンディ少年はおもちゃを買うだろうか?ピクサーは旗揚げ当初からの中核メンバーの加齢により創作的老成を得てきたが、本作は企画書レベ...『バズ・ライトイヤー』

  • 『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』

    30年ぶりの同窓会というから楽しみにして会場へ向かった。サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムら初代『ジュラシック・パーク』メンバーが再集結するというのだ。特に近年、『ビッグ・リトル・ライズ』や『マリッジ・ストーリー』など大活躍のダーンが恐竜相手にキレまくってくれるのか、老いてますますテキトーさに磨きのかかるゴールドブラムが大作でどう遊んでくれるのか楽しみだった。しかし、行ってみれば彼らとお話する機会はほとんど得られなかった。そもそも『ジュラシック・ワールド』に始まる新シリーズの完結編である。MCUとのダブルヘッダーで一気に大ブレイクしたクリス・プラットが面白くて格好良くなきゃいけないが、どうした全く冴えない。前作『炎の王国』のクライマックスを受けて世に放たれた恐竜と人類が共存を模索する、と...『ジュラシック・ワールド新たなる支配者』

  • 『私は最悪。』

    ユリヤは医大生。でも、学校生活がどうにもピンと来ない。遺体の解剖を見てもふぅん、こんなものか。いや、私は人間の体内を見たいんじゃなくて、精神を見たいんだと心理学へ乗り換え。ところがひょんな事から写真に手を出してフォトグラファーを目指してみたり、何やら書き溜めてみたり。気付けば30歳目前。チャーミングなユリヤは当然モテる。衝動と欲望のままに恋人も変わり、結婚や子供を持つというヴィジョンも定まらないままここまで漂泊してしまった。そんな彼女を指して原題“TheWorstPersonintheWorld”とは辛辣が過ぎるが、しかしユリアはあっけらかんとしている。チャーミングな主演レナーテ・レインスベの細長い手足が、オスロの街に良く映える。とうに若者と呼べる歳ではない男のモラトリアムを描いた作品はこれまでも作られて...『私は最悪。』

  • 『プレデター:ザ・プレイ』

    ディズニーに買収された20世紀フォックス社内で、“オワコン”状態の『プレデター』が大きな期待をかけられていなかった事は想像に難くなく、本国アメリカではhulu、日本ではディズニープラスでの配信スルーとなった。この期待値の低さが功を奏して資本家たちの目を光学迷彩の如くかいくぐり、こうも大胆にフランチャイズを甦らせることに成功したのだろう。18世紀アメリカを舞台に狩人を志すコマンチ族の少女を主人公にして、シリーズをタイトなアクションスリラーへとアップデートしたのは2016年の『10クローバーフィールド・レーン』で長編監督デビューしたダン・トラクテンバーグだ。緊迫感あふれる密室スリラーにヒットタイトルのモンスターをマッシュアップする手法はベースとなるスリラーの作劇、演出に類稀な力があってこそ成立する離れ業。それ...『プレデター:ザ・プレイ』

  • 『WANDA ワンダ』

    『草原の輝き』などに出演し、23歳年上のエリア・カザンの妻としても知られた女優バーバラ・ローデンは、1980年に48歳の若さでこの世を去る前、1本の監督・主演作を遺していた。それが1970年の初監督作『WANDAワンダ』だ。この作品は同年のヴェネチア映画祭で最優秀外国語映画賞を獲得するなど大きな反響を得たが、アメリカ国内での評価は黙殺にも等しく、2003年に配給権を取得したイザベル・ユペールによってフランス国内で公開されるまで忘れられた存在だった。その後、2010年にはマーティン・スコセッシのフィルムファウンデーションとGUCCIがプリントの修復作業を行い、ニューヨーク近代美術館にて復刻上映。2017年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録され、再評価を得る事となる。出るべくして現在に発掘された映画...『WANDAワンダ』

  • 『私の20世紀』

    イルディコー・エニェディ監督の2017年作『心と体と』はベルリン映画祭で金熊賞を受賞し、米アカデミー賞では外国語映画賞(現国際長編映画賞)にノミネート。監督にとって99年の『Simon,theMagician』以来、18年ぶりの長編作品だった。そして30年ぶりに日本で再公開された伝説的長編デビュー作『私の20世紀』を見ると、この監督が稀代ビジュアリストであり、語るべき物語を持った映像作家であることが良くわかる。モノクロームの漆黒を一帯に吊るされた電飾が照らし出す。時は1880年、エジソンによる電球の発明に世界が湧き立ち、宇宙の彼方からは星々が語りかけてくる。これは光が織り成す幻想奇譚であり、それは光と電気によって生まれた映画そのものである。時を同じくしてハンガリーのブタペストで双子の姉妹が生まれる。リリと...『私の20世紀』

  • 『グレイマン』

    『アベンジャーズエンドゲーム』のルッソ兄弟が手掛ける200億円クラスのアクション大作は、Netflixが株価暴落を経てハリウッドサマーシーズンに挑む起死回生の1本だ。マーク・グリーニーの小説を原作とする本作は単純明快。CIAの凄腕スパイ、コードネーム“シエラ・シックス”が機密情報と少女の命を巡って世界をまたにかけるアクション活劇で、『エンドゲーム』に3時間をかけたルッソ兄弟はこれを何と2時間9分に収めるタイトな手並みを発揮している。カメラは時にほとんど常軌を逸したかのように駆け抜け、アクションに次ぐアクションの猛連打。マイケル・マン信奉者でもある兄弟ならではの市街地銃撃戦と、緩急巧みなクロスコンバットに“あぁ、『ウィンター・ソルジャー』の頃のMCUは良かったよなぁ”とMCU全盛はかくも遠くなりけりという想...『グレイマン』

  • 『X』

    『ウィッチ』『イット・カムズ・アット・ナイト』『聖なる鹿殺し』『ヘレディタリー』『ミッドサマー』『ライトハウス』など作家主義ホラーレーベルとして定着した感のあるA24が、またしてもユニークな作品をリリースだ。『悪魔のいけにえ』を思わせるおよそ2022年の映画には見えないルックの『X』は、ポルノ映画の撮影隊がロケ地であるテキサスの農場を訪れる。そこには何やら怪しい老夫婦が住んでいて…とあとは説明不要のあらすじだ。しかし、その恐怖の根源には思いがけないアイデアが込められている。老婆パールはその昔、将来を嘱望されたダンサーだった。しかし夢破れ、夫と共にこの辺鄙な農場に訪れる若者たちを殺しながら、やがて朽ち落ちていった。方や主人公マキシーンはリンダ・カーターに憧れ、彼女のようなセックスシンボルになるべく田舎を飛び...『X』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6』

    『ベター・コール・ソウル』シーズン6についてはリアルサウンドで全話レビューしています。以下のリンクからご覧ください。シーズン6第13話第12話第11話第10話第9話第8話第7話第5話〜第6話第3話〜第4話第1話〜第2話過去シーズンはこちらをどうぞ↓シーズン5シーズン1〜4『ベター・コール・ソウルシーズン6』

  • 『エルヴィス』

    かねてより企画されてきたエルヴィス・プレスリーの伝記映画『エルヴィス』は、然るべきタイミングに登場したことでこの偉大なミュージシャンを再定義することに成功している(パンデミックがなければあと2年は早くリリースされてより時宜を得たかもしれない)。貧困ゆえに黒人居住区で育ったプレスリーは、そこでブルースやゴスペルといった黒人音楽と出会い、ロックンロールを生み出していく。惜しくも打ち切りとなったNetflixのTVシリーズ『ゲットダウン』でヒップホップの黎明を描いたバズ・ラーマン監督にとって、本作は“アメリカ音楽クロニクル”の1本であり、老成とは無縁の過剰で狂騒的な演出はプレスリーが文字通り黒人音楽の“啓示”を受ける場面でしばしば批判されてきた文化の盗用ではなく、黒人文化への傾倒と解釈されている。エルヴィスは2...『エルヴィス』

  • 『説得』

    キャリー・クラックネル監督はいったいどうしてジェーン・オースティンをこんなに間の悪い、辛気臭い映画にしてしまったんだ?オースティン最後の小説『説得』は周囲の説得により結婚を諦めたヒロインが、8年を経て社会的に成功して財産を得た元カレと再びヨリを取り戻すというお馴染みのラブコメディだ。主演にはコスチュームプレイには珍しいダコタ・ジョンソンが迎えられた。ジョンソンはB級ロマンス映画『フィフティ・シェイズ・グレイ』シリーズでブレイクを果たしたが、その本分は意外やルカ・グァダニーノ監督『胸騒ぎのシチリア』『サスペリア』等ヨーロッパ映画にあり、この手の映画にはどうにも水分が多い個性である。『フリーバッグ』よろしく画面のこちら側に話しかけてくる“第4の壁”モノローグがキマるためには、フィービー・ウォーラー・ブリッジ級...『説得』

  • 『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』(寄稿しました)

    リアルサウンドにイルディコー・エニェディ監督の最新作『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』のレビューを寄稿しました。エニェディの過去作『私の20世紀』『心と体と』を参照しながら、監督にとって初の原作モノでありながら一貫されている作家性、テーマについて書いています。そして見所はもちろん絶好調レア・セドゥ!御一読下さい。記事はこちら『ストーリー・オブ・マイ・ワイフ』(寄稿しました)

  • 『WeCrashed〜スタートアップ狂騒曲〜』

    “ユニコーン企業”とは創業10年以内に10億ドル以上の評価額が付けられている非上場のベンチャー企業を指す言葉だ。近年、ハリウッドではこれらのスタートアップを描いた作品が相次いでいる。Showtimeからリリースされたジョゼフ・ゴードン・レヴィット主演『SuperPumped』はUber創業者のトラヴィス・カラニックを、日本ではディズニー+で配信中のアマンダ・サイフリッド主演作『ドロップアウト』はセラノスのエリザベス・ホームズが主人公だ。そして本作『WeCrashed』はコワーキングスペース“WeWork”を創業したアダム・ニューマンの栄枯盛衰が描かれる。記憶に新しいところではフェイスブックの創業者ザッカーバーグを描いたデヴィッド・フィンチャー監督作『ソーシャル・ネットワーク』が同ジャンルに存在し、いずれも...『WeCrashed〜スタートアップ狂騒曲〜』

  • 『コンビニエンス・ストーリー』

    近年の日本映画の害悪の1つがオフビートを気取った内輪ウケの笑いだ。これはおそらくTVに対するカウンターとして小劇場演劇で興り、TVや映画へと逆輸入されたのだと思われるがその結果、50歳を過ぎた福田雄一や三木聡が臆面もなくこれを続け、日本の映画館には後始末もされない駄作が腐臭を上げているのである。今年、『大怪獣のあとしまつ』が近年稀に見る酷評をウケた三木聡がぐっと予算を抑えた本作をリリースするが、いったいどうして映画を撮り続けることが許されるのだろう?マーク・シリングなる人物と組んだ本作のストーリーをいちいち書き連ねるつもりはない。ナンセンスコメディを気取った品のないデヴィッド・リンチ映画のパロディ(劇伴はアンジェロ・バダラメンティそっくり)に過ぎず、主演の成田凌は決定的な間の悪さでコメディセンスの欠如を証...『コンビニエンス・ストーリー』

  • 『リコリス・ピザ』

    青春恋愛映画として一応のハッピーエンドを見るが、この2人はそう遠くないうちに別れるだろう。映画レビューが結末から書き始めるなんて何事だと思うかも知れないが、ptaの『リコリス・ピザ』を観る上で予備知識は何の意味もないし、そもそもこの映画にはストーリーらしいストーリーがない。1970年代のハリウッド、サンフェルナンド・バレー。15歳の少年と25歳の女性が恋に落ち、くっついたり離れたりする。映画の冒頭で2人はこんなやり取りをする。「あなたは16歳になって、私は30歳になる。いつか私のこと忘れる」「忘れるもんか」。別れたって、結ばれなくたって、生涯忘れることのできない出会いはある。ptaの半自伝的映画とも言われるが、本人は1979年生まれ。これは彼が幼少期に見聞きした記憶と、本作で献辞が捧げられているロバート・...『リコリス・ピザ』

  • 『ソー ラブ&サンダー』

    今やハリウッドの稼ぎ頭であるMCUをおちょくった底抜けバカ映画『マイティ・ソーバトルロイヤル』で大ブレイクを果たし、監督に役者に大忙しのタイカ・ワイティティ。彼の人を喰った陽性のオフビートコメディが思いの外、ハリウッド映画と相性が良かったのかも知れないが、さすがに『ジョジョ・ラビット』でオスカーまであげてしまって、ちょっと持て囃し過ぎやしないか。『フリー・ガイ』の悪役演技で見せた“野放し”ぶりに嫌な予感はしていたが、再び雷神ソーと組んだ本作『ソーラブ&サンダー』はひとりよがりなギャグが尽く上滑りし、劇場はほとんど氷の惑星ヨトゥンヘイムのような寒々しさだ。これまで抜群のコメディセンスを発揮してきたクリス・ヘムズワースはどうにも冴えず、せっかく『アベンジャーズエンドゲーム』のクライマックスで合流したガーディア...『ソーラブ&サンダー』

  • 『夜明けの夫婦』

    山内ケンジ監督による『夜明けの夫婦』は相当な低予算で製作されている事が伺える苦心の1本で、監督のヴィジョンを実現できているとは思えない。ワンシーンワンカットのメソッドは低予算ゆえに強いられたものであり、俳優たちの誠意あるアンサンブルによってかろうじて成立したものだ(無益なアドリブが野放しになっている場面も少なくない)。コロナ終息後という舞台設定や、社会活動家である義母のキャラクターに山内監督の考えも伺い知れるが、夫婦の性愛をテーマにした艶笑劇である本作においてはノイズにも近く、義父が同居する息子の嫁に欲情を募らせる場面には卒倒しそうになった。印象深いのはよりささやかな場面だ。韓国にルーツを持つ2人の女性がひっそりと母国の言葉を交わす時、彼女らの抱える“生きづらさ”が浮かび上がる。2022年の上半期は『パチ...『夜明けの夫婦』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第10話』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ベター・コール・ソウル』シーズン6第10話のリキャップを寄稿しました。シーズン1〜5の間で少しずつ描かれてきたシナボン店長ジーンこと、『ブレイキング・バッド』後のソウル・グッドマンの行方がついに描かれます。復習必須のエピソードのため、ぜひ拙稿を御一読ください。記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第10話』(寄稿しました)

  • 『ピースメイカー』

    『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』に登場したヴィラン、ピースメイカーを主人公にしたTVシリーズはジェームズ・ガンがほぼ全エピソードの監督、脚本を務め、映画版のファンが楽しめる痛快作に仕上がっている。ヨトゥンヘイムでブラッドスポートに破れ、息絶えたと思われていたピースメイカーは生きていた。彼はアマンダ・ウォラーの監督する政府組織に再び回収され、新たな任務を与えられる。地球外生命体が密かに人間社会に紛れ込み、政府要人に成り済まして地球征服を企てている…前作同様5秒で語れるプロットラインが素晴らしい。この危機に立ち向かうのはピースメイカーの他、ほとんど事務要員(『ザ・スーサイド・スクワッド』では後方支援に当たっていた)のようなメンバーばかり。自称ピースメイカーの“ずっ友”自警ヒーローのヴィジランテも...『ピースメイカー』

  • 『オザークへようこそ シーズン4』

    ※シーズン1のレビューはこちら※シーズン2のレビューはこちら※シーズン3のレビューはこちらいくらなんでもこれは分が悪いだろう。メキシコカルテルの資金洗浄に手を染めた一家の地獄巡りを描く本作は、先行する傑作『ブレイキング・バッド』の後継者と目されてきたものの、同時期にリリースされた『ブレイキング・バッド』前日譚『ベター・コール・ソウル』の類まれな完成度を前に、只々作劇の不手際を曝す事となってしまった。これで“アルバカーキサーガ”がいなければ評価も少しは異なったのかも知れないが、前後編2部作という勿体ぶった構成の最終シーズン4はまるで夜逃げでもするかのようにプロットを畳むばかりで、キャラクターアークには何1つ注目されていない。プロットを転がすためだけに新しいキャラクターが投入され、その最も効果的な役割は死ぬ事...『オザークへようこそシーズン4』

  • 『無責任大統領と17人の告発』

    アメリカのコロナウィルス対策がトランプ政権の失策による“人災”だったと追求するアレックス・ギブニー監督の聡明な本作を見て、これを対岸の火事と思える日本の観客はまずいないだろう。パンデミックの直前に実施されていた疾病対策シミュレーションが反映されなかったのは政権が“予想外”の事態を軽視したからであり、トランプによる“お友だち人事”で組織は正確な意思統一ができず、そしてトランプはまったくもって科学を信じていなかった。オバマ政権時代に備蓄されたN95マスクをはじめとする防護用品は保持期限を過ぎていたために払い下げられており、自給率が皆無に等しいアメリカ国内で枯渇。その確保を無給でボランティアが担っていたという話には目眩すら覚えた。オバマ政権の功績を徹底的に潰そうとしたトランプのエゴが成した事態と言っても過言では...『無責任大統領と17人の告発』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第9話』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ベター・コール・ソウル』シーズン6第9話のリキャップを寄稿しました。前日談としては実質上の最終回となる傑作エピソードです。印象的なジミーのセリフを中心に、『ブレイキング・バッド』への最後のミッシングリンクを読み解いていきます。御一読ください。記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第9話』(寄稿しました)

  • 『ストレンジャー・シングス4』

    今やNetflixの生命線とも言える看板シリーズもいよいよ次回シーズン5での完結が発表され、その人気はピークに到達しつつあるようだ。前後編に分けられたシーズン4は全9話の放映時間がそれぞれ1時間強あり、シーズンファイナルに至ってはなんと2時間30分である。近年、MCUはじめとしたアメコミ映画やフランチャイズ映画の長尺化が相次いでおり、ストリーミングドラマの世界からハリウッド映画のお株を奪った『ストレンジャー・シングス』もご多分に漏れず、このトレンドに乗ったようだ。ファンは大好きな作品が長ければ長いほど歓迎し、近年は上映時間が必ずしも興行成績にネガティブな影響を及ぼしていない。当然Netflixが口を出す理由はなく、ダファー兄弟に全権委任されたこのシーズン4はファンの期待に答え、Netflixの株価を(ある...『ストレンジャー・シングス4』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第8話』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ベター・コール・ソウル』シーズン6第8話のリキャップを寄稿しました。いよいよ最終回まで残すところ6話!次々とミッシングリンクが埋まり、思いがけない怨念の深さに戦慄する衝撃の49分。『ブレイキング・バッド』とのつながりも振り返っています。来週の第9話を前にぜひご一読下さい!記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第8話』(寄稿しました)

  • 『ユーフォリア/EUPHORIA シーズン2』

    ※シーズン1のレビューはこちら※“Z世代のセックス、ドラッグ、バイオレンスを描いたリアルでハードな青春ドラマ”という謳い文句に二の足を踏むのは勿体ない。『ユーフォリア』は『ゲーム・オブ・スローンズ』同様、ルール無用のエクストリームな刺激に満ちたHBO式ヒューマンドラマだ。恐れ知らずの監督サム・レヴィンソンは、ほとんど過積載気味だった前シーズンからコロナ禍に撮影された2本のブリッジストーリーと、ゼンデイヤと再タッグを組んだNetflix映画『マルコム&マリー』を経て、格段と洗練された。自社株価のために再生産を繰り返すフランチャイズ映画やTVシリーズが氾濫する昨今、真にオリジナルでチャレンジングな作品は『ユーフォリアシーズン2』である。第1話はドラッグ売人フェズコの半生から幕を開ける。10代でアウトローの祖母...『ユーフォリア/EUPHORIAシーズン2』

  • 2022年上半期ベスト10

    【MOVIE】※6月30日までに見た劇場公開作、配信作、旧作計44本から選出。1、『トップガンマーヴェリック』監督ジョセフ・コシンスキー2、『アネット』監督レオス・カラックス3、『ウエスト・サイド・ストーリー』監督スティーヴン・スピルバーグ4、『ロスト・ドーター』監督マギー・ギレンホール5、『パリ13区』監督ジャック・オディアール6、『フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』監督ウェス・アンダーソン7、『カモンカモン』監督マイク・ミルズ8、『コーダあいのうた』監督シアン・ヘダー9、『HUSTLEハッスル』監督ジェレミア・ザガー10、『アポロ10号1/2宇宙時代のアドベンチャー』監督リチャード・リンクレイター上半期最大のトピックスはなんと言っても『トップガンマーヴェリック』だろう...2022年上半期ベスト10

  • 『ベイビー・ブローカー』

    2018年の『万引き家族』でカンヌ映画祭パルムドールを受賞して以後、精力的に国外へ活動の場を拡げている是枝裕和監督。最新作は世界を席巻する韓国映画界での製作だ。わずかなスタッフを除いてはほぼ単身での渡韓であり、日本にもある“赤ちゃんポスト”を題材にしながら韓国での製作を選んだところに資金面での苦労があった事が推察される。冒頭、土砂降りの雨の中、赤子を抱えた若い母親が坂道を上がる『パラサイト』の借景に身を乗り出した。是枝から翌年ポン・ジュノへとカンヌパルムドールは格差社会を撮らえたアジアの名匠によってリレーされ、さながら『ベイビー・ブローカー』は『パラサイト』へのアンサーかもしれない。ここでもソン・ガンホが貧困から赤ん坊の人身売買に手を染めるブローカーに扮し、映画の顔となる。本作でポン・ジュノすら渡せなかっ...『ベイビー・ブローカー』

  • 『オビ=ワン・ケノービ』(寄稿しました)

    リアルサウンドにディズニープラスで配信中のTVシリーズ『オビ=ワン・ケノービ』のレビューを寄稿しました。『シスの復讐』から10年後を舞台に、オビ=ワン・ケノービが新たなる冒険に旅立つスター・ウォーズ最新作です。見るべき所は多い作品ですが、スター・ウォーズファンゆえの愛憎か、かなり厳し目の批評をしています。ぜひ御一読ください。記事はこちら『オビ=ワン・ケノービ』(寄稿しました)

  • 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』

    2013年当時流行りのヴァンパイア映画もジム・ジャームッシュの手にかかれば孤高のアーティストの話となる。アダムは公の場に一切姿を現さないオルタナミュージシャン。その正体は遥か昔より生きてきたヴァンパイアだ。かつてはシューベルトに人知れず交響曲を書き下ろしたが、今やグーグルが我が家を突き止め、YouTubeには許可なく自作が流されている。肝心の生き血は手に入らないから、病院で買い上げた血液をアイスバーにして食べるしかない。何とも生きづらい時代になったもんだ。アダムの憂鬱はすなわちインディーズ作家ジャームッシュの憂鬱なわけで、人を食ったオフビートな笑いを交えながらヴァンパイアのメロウな日々が描かれていく。トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントンの2人ほど人外のキャラクターが似合う俳優は稀で、ここに妹役でミア...『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』

  • 『スノーピアサー』

    今やオスカー監督となったポン・ジュノのハリウッドデビュー作は、ありとあらゆるセンス・オブ・ワンダーを投入して作られたSFアクションだ。腹に来るストーリーテリング、ヒューマニズムにあふれたギャグ、そして名刺代わりと言わんばかりのアクションが盛り込まれているものの、ファイナルカットはワインスタイン・カンパニーに握られ、残念ながら興行的にはさほど振るわずに終わってしまった。近未来、地球は氷河で覆われ、唯一生き残った人々は大陸横断特急“スノーピアサー”の中で18年もの時を過ごしていた。狭苦しい車両は階級別に分けられ、後方車両の奴隷たちが前方へ乗り換えることは一生涯不可能だ。この設定はポン・ジュノにとってアイデアの方舟となった。同じカメラワークを2度使わないと言わんばかりのメソッドに、ポン・ジュノは奇抜で、痛覚を刺...『スノーピアサー』

  • 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『機動戦士ガンダムククルス・ドアンの島』のレビューを寄稿しました。TVシリーズのスタンドアローン回のリメイクではありますが、監督の安彦良和が手掛けた漫画『THEORIGIN』の設定に準拠しており、キャラクターの解釈や作風が異なっていることや、映画版の後に続く話がTVシリーズ第25話『オデッサの激戦」であり、奇しくも現在(いま)を映していることに触れています。(文中、僕の筆不足で意味が伝わらないフレーズがありますが、あえて捕捉はしません。本文を読む上でのノイズになってしまいましたが、「下手な文章だなぁ」とお思いください)記事はこちら『機動戦士ガンダムククルス・ドアンの島』(寄稿しました)

  • 『FLEE フリー』

    第94回アカデミー賞で国際長編映画賞(旧外国映画賞)、長編アニメーション賞、長編ドキュメンタリー賞の3部門で史上初“ハットトリック”ノミネートを獲得した異色作。アフガニスタン紛争の最中、カブールで幼少期を送った少年アミンが戦火を逃れ、ロシアへ亡命。そこから過酷な密入国を経てデンマークに渡った波乱の半生を、本人のインタビューを元にアニメーションで再現している。アミンを含め登場する家族の名前は全て仮名で、彼らの匿名性を守る手段としてのアニメーション表現だが、インタビュー中は横たわり、目を瞑ってさながらセラピーのように語るアミンの姿を見ると、凄惨な過去を緩和するための心理療法の一種に見えなくもない。そしてこの表現手法が中東はもちろん、現在起きているウクライナ紛争をはじめ、あらゆる暴力、理不尽によって故郷を追われ...『FLEEフリー』

  • 『スパイダーヘッド』

    『トップガンマーヴェリック』が社会現象級の大ヒットとなっているジョセフ・コシンスキー監督、マイルズ・テラー主演の最新作が早くもNetflixから登場だ。『トップガンマーヴェリック』が当初の2019年から再三公開延期となったためのタイミングだが、株価暴落にあえぐNetflixにとって渡りに船だろう。とはいえ、トム・クルーズが標榜する“大スクリーンのための映画”ではない。週末に自宅で楽しむ“いつものNetflix映画”であり、やけに小ぢんまりとした作品である。コシンスキー監督の気質は『トップガンマーヴェリック』や『オンリー・ザ・ブレイブ』といったスケール感あるアメリカ映画と、『トロン:レガシー』『オブリビオン』のSFに分かれている様子で、ジョージ・ソーンダースの短編小説を原作とする本作も後者に属する。謎の施設...『スパイダーヘッド』

  • 『トップガン マーヴェリック』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『トップガンマーヴェリック』のレビューを寄稿しました。冒頭部で重要な引用をされる83年のフィリップ・カウフマン監督作『ライトスタッフ』や、0年代以後トムの重要なクリエイティブパートナーであるクリストファー・マッカリーの存在、トムのキャリアを総括する自己言及的な作風について書きました。ぜひ御一読ください。記事はこちら『トップガンマーヴェリック』(寄稿しました)

  • 『HUSTLE ハッスル』

    はぐれ者のスカウトマンと貧困層出身のバスケットボール選手が、フィラデルフィアを舞台にNBAを目指す…という筋書きの映画がイヤな仕上がりになるハズがない。Netflixからリリースされたジェレミア・ザガー監督による『HUSTLE』は、週末の自宅視聴にうってつけのスポーツ映画であり、何より注目すべきはこのフィールグッドムービーのグレードを1つも2つも上げているアダム・サンドラーの名演だ。キャリアの決定的な転換点となった『アンカット・ダイヤモンド』の躁的ハイテンションから一転、サンドラーはこれまで見せたことのない優しさに到達している。サンドラー演じるスタンリーはフィラデルフィアを拠点とする大手バスケットボールチームのスカウトマン。彼もまたかつて将来を嘱望された選手だったが、一線を退いた後は確かな目利きぶりでスカ...『HUSTLEハッスル』

  • 寄稿しました『TOKYO VICEと笠松将』

    リアルサウンドにTVシリーズ『TOKYOVICE』出演の笠松将について寄稿しました。お恥ずかしながら、僕はこの作品で初めて彼を知りましたが、おかげで本作を観た海外の視聴者同様、フレッシュな衝撃を受けました。“海外ドラマ”ファンにとっても今年上半期のブレイクスターとして重要な存在です。要注目!記事はこちら寄稿しました『TOKYOVICEと笠松将』

  • 『レニー・ブルース』

    1950年代から60年代半ばにかけて活躍したコメディアン、レニー・ブルースは現在Amazonprimeで配信中のTVシリーズ『マーベラス・ミセス・メイゼル』で、主人公ミッジに笑いの薫陶を受ける師匠として描かれる。物語自体はフィクションだが、ルーク・カービーが洒脱に演じるレニー・ブルースはさながら主人公の守護天使であり、74年のボブ・フォッシー監督作でダスティン・ホフマンが演じたそれとは随分、解釈が異なる印象だ。レニー・ブルースがオーバードーズでこの世を去ったのは1966年。フォッシーが同時代を駆け抜けた人物であり、年齢も2つしか違わない。そんな距離感の近さが74年の本作『レニー・ブルース』には反映されている。2作品に共通するのは“死の匂い”だ。レニーが現れると、華やかなプロダクションデザインの『マーベラス...『レニー・ブルース』

  • 『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

    2020年代にサム・ライミがマーベル映画を監督してるって一体どんなマルチバースだよ!と驚いてしまうが、そこはさすがケヴィン・ファイギ。前作の監督スコット・デリクソンの離脱による酔狂の人選ではない。近年も『ドント・ブリーズ』や『クロール凶暴領域』など、ホラーの巨匠として精力的にプロデュースを続けてきたサム・ライミも62歳。正直なところ映画監督としては“過去の人”であり、その作風は古臭さくもある。しかしそれがこれまでにないレトロな風味をMCUにもたらしており、126分という上映時間は近年ハイコンテクスト、大作化が顕著なハリウッド映画において娯楽映画を極めた巨匠ならではの的確な塩梅とも映った。これくらいの“肩の凝らない”ハリウッド映画なんて久しぶりではないか。本作には随所にサム・ライミ映画のセルフオマージュが散...『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第7話』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ベター・コール・ソウル』シーズン6第7話のリキャップ記事を寄稿しました。シーズン6は前半がこれで終了し、残る6話が7月からオンエア予定。『ブレイキング・バッド』へと繋がる残された謎についてもピックアップしています。ぜひ御一読下さい。記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第7話』(寄稿しました)

  • 『マーベラス・ミセス・メイゼル シーズン4』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『マーベラス・ミセス・メイゼルシーズン4』のレビューを寄稿しました。シーズン4がミッジをはじめとしたキャラクター達の“プライドの物語”であることや、インディーズとメインストリームの戦い方、そして実在の芸人レニー・ブルースがこの物語に及ぼした影響について書いています。ぜひ御一読下さい。記事はこちら『マーベラス・ミセス・メイゼルシーズン4』(寄稿しました)

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第5話、第6話』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ベター・コール・ソウル』シーズン6第5話、第6話のリキャップ記事を寄稿しました。ガスは決着の場がラボになることを見越しているのか?ラロに施された演出の変化、そして憐れなハワードについて書いています。御一読下さい。記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第5話、第6話』(寄稿しました)

  • 『パム&トミー』

    1995年に起きたトミー・リーとパメラ・アンダーソンのセックステープ流出事件を描く本作は、回を追う毎にいくつものレイヤーが重ねられ、全8話を見終える頃には全く異なる地平に辿り着くユニークな作品だ。モトリー・クルーのドラマー、トミー・リーとプレイメイト出身の妻パメラ・アンダーソンの大豪邸を改築工事していた大工のランドは、ロックスターの気まぐれ(というか奇行)に翻弄され、ろくに工事費も払ってもらえないまま一方的に解雇される。当然、怒りを募らせたランドは腹いせに豪邸へ忍び込み、金庫を強奪。その中にはトミー・リーとパメラ・アンダーソンのセックステープが納められていた。『パム&トミー』はこのセス・ローゲン演じるランドから物語を始めたのが正解だ。風采の上がらないランドに対して、トミー・リーはイケメンのロックスター。おまけに...『パム&トミー』

  • 『窓辺の女の向かいの家の女』

    なんとも奇妙なタイトルだが、原題も“TheWomanintheHouseAcrosstheStreetfromtheGirlintheWindow”。主人公アナが窓辺から向かいに住む女が殺される場面を目撃する…というヒッチコック風のサスペンスだ。彼女の通報によって警官が駆けつけるも、死体どころか殺人の痕跡すら見当たらない。アナはかつて起きた恐ろしい事件によってアルコールに依存しており、そもそも目撃者として信頼性が怪しいのだ。警察の捜査に納得がいかないアナは、素人探偵よろしく独自に事件の真相へと迫るのだが…。ここまで読んでもらえればわかる通り、アナは所謂“信頼できない語り手”であり、彼女の目から見える世界はちょっとおかしい。凄惨なトラウマにも関わらず主演のクリステン・ベルにまったく悲壮感がなく、かといってドラマは...『窓辺の女の向かいの家の女』

  • 『窓際のスパイ』

    ストリーミングサービスでは後発となるAppleTV+がいよいよ攻勢に転じた。この春は『セヴェランス』『パチンコ』『WeCrashed』と注目作を相次いでリリース。量で優る他社に対して質で勝負し、話題を席巻している。そのいずれもがビンジウォッチには適さない、やや重量級の作品である中、“箸休め”とも言える娯楽サスペンス『窓際のスパイ』をリリースする所に確かな戦略性と充実がある。MI-5の工作員リバーは訓練中の大失敗により、通称“泥沼の家”と呼ばれる別館業務に配置換えされる。いわゆる“窓際”であり、同僚達も様々な事情からここへやってきた落ちこぼれスパイばかりだ。そんな彼ら“SlowHorses”を束ねるのが、やる気のない中間管理職ジャクソン・ラムである。かつて『裏切りのサーカス』で伝説的スパイ、ジョージ・スマイリーを...『窓際のスパイ』

  • 『ボバ・フェット The Book of Boba Fett』

    『マンダロリアン』シーズン2で37年ぶりに大復活を遂げたボバ・フェットが早くも単独TVシリーズで再登場だ。ジャバ・ザ・ハット亡き後の暗黒街を牛耳るべく、殺し屋フェネック・シャンド共に因縁の地タトゥイーンに降り立つ。これでボバが“SayMyName”なんて言い出せば、さながらスター・ウォーズ版『ブレイキング・バッド』じゃないか!…と期待を抱いたが、いやいやこれは家族で楽しむディズニープラス配信作品である。良い意味でも悪い意味でも期待を裏切られるシリーズであった。『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』でサルラックの大穴に滑落し、あえない最期を遂げたと思われていたボバ・フェットが脱出する。ほとんど口承伝説と化していた場面に往年のファンは興奮を禁じえないハズだ。行き倒れた彼を助けたのは砂漠の蛮族タスケン・レイダーだった。...『ボバ・フェットTheBookofBobaFett』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第3話、第4話』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ベター・コール・ソウル』シーズン6第3話、第4話のリキャップ記事を寄稿しました。『ブレイキング・バッド』に繋がる重要なミッシングリンクの1つが埋まる衝撃の第3話、そしてさらなる展開へと続く転調の第4話と目が離せません。最新第5話を見る前のお供にどうぞ!記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第3話、第4話』(寄稿しました)

  • 『パリ13区』

    『リード・マイ・リップス』『真夜中のピアニスト』『預言者』など、現代フレンチノワールを手掛けてきた巨匠ジャック・オディアールが『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ、ノエミ・メルランを迎え、とても齢70歳とは思えない瑞々しさの都会の恋愛映画を撮った。大都市だからこそ起こり得る人間の交錯を描いた群像劇で、原作はエイドリアン・トミネによる短編フラフィックノベルだ。ハードボイルド映画の巨匠が女性クリエイターと組んだ、時代に則ったフェミニズム映画と括りかねないが、いやしかしオディアールはかねてから“女優の監督”であった。エマニュエル・ドゥヴォスにセザール賞をもたらした『リード・マイ・リップス』では社会から疎んじられた難聴のヒロインが、前科者の男ヴァンサン・カッセルを従えて危険なヤマを踏む。『真夜中のピアニスト』で昼は地上...『パリ13区』

  • 寄稿しました『ムーンナイトとレギオン』

    リアルサウンドにMCU最新TVシリーズ『ムーンナイト』に大きな影響を与えている『レギオン』のレコメンド記事を書きました(諸々の都合か、『レギオン』の画像が1枚もないのはご愛嬌…)。記事はこちら『レギオン』については当ブログでもレビューを書いているので、あわせてご一読下さい。シーズン2はこちらシーズン3はこちら寄稿しました『ムーンナイトとレギオン』

  • 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

    前作『黒い魔法使いの誕生』から顕著ではあったが、いよいよこのプリクエルシリーズは継続が難しい状態にある。内気な魔法生物学者ニュートが邪悪な魔法使いグリンデルバルドと戦うドラマツルギーが脆弱で、この物語に必然性が見出だせないのだ。このシリーズ第3弾ではグリンデルバルドと浅からぬ因縁を持つダンブルドアが主軸となり、ニュートらがイマイチよくわからない作戦に駆り出されて、僕らも全体像が見えないまま焦れったい想いを抱える事になる。ニュートと付かず離れずのいじらしい恋模様を見せてきたティナ(キャサリン・ウォーターストン)に至ってはラストシーンにチラと登場するばかりで、ニュートのナラティブがこれっぽっちも重視されていないのだ(順調にキャリアを重ねているウォーターストンにとってはここでシリーズと手を切るいい機会かも知れない)。...『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』

  • 『ベター・コール・ソウル シーズン6第1話、第2話』(寄稿しました)

    リアルサウンドにいよいよファイナルシーズンに突入した『ベター・コール・ソウル』のシーズン6第1話、第2話のリキャップ記事を寄稿しました。日本で海外ドラマをリキャップした記事は珍しいのではないかなと思います。今後、隔週2話ごとに連載していきます。初回はシーズン冒頭に出てきたアレや、懐かしやケトルマン夫妻、そしてますます複雑さを増すラロの魅力などについて書いています。ネタバレ全開ですので、鑑賞後のお供にぜひ!記事はこちら『ベター・コール・ソウルシーズン6第1話、第2話』(寄稿しました)

  • 『カモン カモン』

    ケネス・ブラナーの『ベルファスト』、リチャード・リンクレイターの『アポロ10号1/2宇宙時代のアドベンチャー』など近年、映画作家による半自伝的エッセイ映画が相次ぐ中、マイク・ミルズ監督は一貫して人生の折々に映画をしたためてきた“エッセイ映画作家”である。父と向き合った『人生はビギナーズ』、母をはじめ人生に重大な影響を与えた女性たちへのラブレター『20センチュリー・ウーマン』、そして本作『カモンカモン』は自身の子供をお風呂に入れている最中に着想を得たという。全編に渡って実際に取材した子供たちのインタビューが散りばめられ、僕たちは時に意外性に満ち、時にこの世の真実を衝く彼らの声に耳を澄ませるのである。主人公ジョニーはアメリカ各地を回り、子供たちの実直な声を拾い集めるジャーナリスト。ある日、やや疎遠だった妹から数日間...『カモンカモン』

  • 『アネット』

    “紳士淑女の皆さま、ただ今より映画を始めます。歌ったり笑ったり、拍手やオナラをしたい時はどうぞ頭の中で願います。頭の中だけですよ。最後までどうぞお静かに。息すらも止めてご覧下さい”。『アネット』そんなレオス・カラックス自らのアナウンスと共に始まる。彼の傍らには娘ナスティアの姿がある。本作の原案、作曲を手掛けるスパークスが歌い始めると、程なくしてカメラは通りに繰り出していく。先導するのは最高のアダム・ドライバーと最高のマリオン・コティヤールだ。2人は“bonvayage”と見送られ、さぁ、『ホーリー・モーターズ』以来10年ぶり、レオス・カラックス6本目の長編映画の始まりだ。スタンダップコメディアンのヘンリーと、オペラ歌手のアンが恋に落ちる。コメディアンとは名ばかりで人々を不快にさせるアナーキーな芸風のヘンリーと、...『アネット』

  • 『TITANE チタン』

    アスガー・ファルハディ監督作『英雄の証明』、レオス・カラックスの『アネット』、そして濱口竜介による『ドライブ・マイ・カー』と例年になく力作が並んだ2021年のカンヌ映画祭で、最高賞パルムドールを受賞したのが長編第2作目となるジュリア・デュクルノー監督の『TITANEチタン』だ。暴力、殺人、異物愛、人体変容、愛と憎悪、体液と粘膜という恐れ知らずのモチーフが並ぶこの映画は、どちらかと言えばミッドナイト・マッドネスで熱狂を呼ぶであろう異形作だ。眉をひそめ、嫌悪を示す人も少なくないだろうが、しかしここには108分間の未知なる衝撃がある。車が大好きな少女アレクシアは交通事故によって右のこめかみに金属製プレート(TITANE)を埋め込まれる。数年後、成長した彼女は車上でエロチックに舞うダンサーとしてアンダーグラウンドな人気...『TITANEチタン』

  • 『アポロ 10号1/2 宇宙時代のアドベンチャー』

    1969年、ヒューストンに暮らす9才の少年スタンのもとにNASAの職員がやって来る。“宇宙船のサイズをどういうワケか子供サイズに間違って作ってしまった。このアポロ101/2号で月へ向かってもらいたい”。リチャード・リンクレイター監督の最新作はこんな出だしで始まるアニメーション映画だが、胸躍る空想科学アドベンチャーではない。リンクレイターがヒューストンに生まれ、当時9歳であった事を知らなければジャック・ブラックによって延々と昔語りが続くことに面食らうだろう。本作はリンクレイターが『6才のボクが、大人になるまで』の撮影中、はてこの年頃の自分はどうだったかと振り返った際に着想を得たエッセイ映画なのだ。近年、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA』、ケネス・ブラナー監督の『ベルファスト』と映画作家が自身の半生を振り返...『アポロ10号1/2宇宙時代のアドベンチャー』

  • 『レア・セドゥのいつわり』

    フランスの名匠アルノー・デプレシャンの新作が前作『ルーベ、嘆きの光』に続いてまたしても日本劇場未公開となった。2018年に亡くなったアメリカ文学界の巨匠フィリップ・ロスの小説『いつわり』の映画化だ。彼が人生を取り巻く女性たちとの会話を地の文なしに書き綴り、デプレシャンはそれを時間も場所も(時には脳内世界にまで到る)超えて言葉を交わし合う会話劇に昇華した。この奔放さこそデプレシャン、と言いたいところだが、かつてトリュフォーの再来とも称された俊英も62歳。さすがに『そして僕は恋をする』や2015年作『あの頃エッフェル塔の下で』の瑞々しさには及ぶわけもなく、愛人に魅せられたロス同様、レア・セドゥに前のめりでカメラを向けているのが現在(いま)である。それにしてもレア・セドゥの輝きたるや!『007/ノー・タイム・トゥ・ダ...『レア・セドゥのいつわり』

  • 『ベルファスト』

    英国が誇るシェイクスピア俳優、演出家であるケネス・ブラナーが北アイルランドはベルファストでの幼少期を映画化した本作は、アカデミー賞7部門ノミネートをはじめ彼の最高傑作として高い評価を獲得した。2007年の『スルース』以後、ブラナー作品の撮影を手掛けてきたハリス・ザンバーラウコスによる美しい構図のモノクロームと、ヴァン・モリソンによる音楽を得た本作はブラナーの記憶が紡がれる“エッセイ映画”だ。時は北アイルランド紛争が激化する1968年。日々の生活と紛争の暴力に両親は如何にして子供たちを守るかと心を砕くも、9歳の主人公バディの目線はまだ幼い。クラスの女の子に淡い恋心を寄せ、近所のお姉ちゃんとは駄菓子屋で万引きする。おじいちゃんとおばあちゃんはいつも話が楽しく、優しい。なんとも愛らしい子役ジュード・ヒルが無邪気に駆け...『ベルファスト』

  • 『ナイトメア・アリー』

    『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー作品賞他計4部門を制したギレルモ・デル・トロの最新作は、グッと格を上げた感のあるシックなホラー映画だ。これまで自身のオタク趣味を全開にした娯楽作と、スペインを舞台に陰惨な歴史と向き合う怪談を描いてきたデル・トロだが、本作では愛する異形の姿を出すことなく、然るべき2時間30分という時間をかけて人の心に巣食う獣性にスポットを当てている。その語り口はもはや名匠とも呼ぶべき風格だ。舞台は1930年代。降りしきる雨の中、流れ者の男スタンが旅芸人一座の元に辿り着く。怪力の大男、小人、電気を通す女、透視する占い師、そして鶏の生き血をすする“ギーク”らを見世物とするフリークショーが売りの一団で、スタンは読心術を謳った奇術に魅せられていく。数年後、人の心の奥底にあるトラウマを読み、死者と...『ナイトメア・アリー』

  • 『ウィンター・オン・ファイヤー:ウクライナ、自由への闘い』

    2013年11月21日から2014年2月23日まで繰り広げられた“マイダン革命”の様子を克明に描き、2015年度のアカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた本作が今再び注目を集めている理由は言うまでもないだろう。ロシアによるウクライナ侵攻である。配給するNetflixは本作をYoutube上で無料公開しており、多くの人々がこの戦争の背景、ウクライナの人々の不屈の闘争心を知るハズだ。EUへの加盟を公約に当選したヤヌコヴィッチ前大統領が方針を転換、ロシアへすり寄る政策を打ち出す。後にロシアへ亡命した事からも明らかなように、彼はプーチン大統領の息がかかった新ロシア派の傀儡だったのだ。これに反発したウクライナ国民は首都キエフでデモを決行。瞬く間に数万人規模へと膨れ上がったそれを、ヤヌコヴィッチはベルクトと呼ばれ...『ウィンター・オン・ファイヤー:ウクライナ、自由への闘い』

  • 『私ときどきレッサーパンダ』

    ここのところベテラン監督と新人監督の作品を交互にリリースしてきたピクサー。クオリティの高い作品を安定して製作し続けているのはさすがだが、それでもジョン・ラセターやピート・ドクター、アンドリュー・スタントンにブラッド・バードらスター監督を続々と輩出した往時の勢いには及ばない、というのが正直な感想だ。そこに現れたのが本作で長編デビューとなる新人ドミー・リーである。感情が高ぶると巨大レッサーパンダに変身してしまう少女を描いた本作で、リーはピクサーに新風を吹き込んだ。これまでのピクサーのタッチであった過度に劇画化されたCGキャラクターや、パペットアニメーション風の触感を捨て、絵柄も演出も昔懐かしい日本のギャグ漫画風に刷新(ドミー・リーは高橋留美子の『らんま1/2』からの影響を公言している)。そしてドミー・リー以下、主要...『私ときどきレッサーパンダ』

  • 『THE BATMAN ザ・バットマン』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『THEBATMANザ・バットマン』のレビューを寄稿しました。かつてジム・キャリーが奇天烈に演じた悪役リドラーの現代的な再設定や、満を持してメインストリームに帰還した怪優ロバート・パティンソンによるバットマン像、名手グレイグ・フレイザーの撮影など見所満載の176分(!)です。ぜひ御一読ください。記事はこちら『THEBATMANザ・バットマン』22・米監督マット・リーヴス出演ロバート・パティンソン、ゾーイ・クラヴィッツ、ポール・ダノ、ジェフリー・ライト、アンディ・サーキス、コリン・ファレル、ジョン・タトゥーロ『THEBATMANザ・バットマン』(寄稿しました)

  • 第94回アカデミー賞予想

    例年、オスカーノミネート発表前から本番に向けて段階的に予想を書いていたが、今年はバタバタしていたら既にオスカー本番直前。下馬評もほぼ固まり、あまり面白みがなくなってしまったが、とりあえず記録しておこう。【助演男優賞】コディ・スミット=マクフィー『パワー・オブ・ザ・ドッグ』トロイ・コッツァー『コーダあいのうた』ジェシー・プレモンス『パワー・オブ・ザ・ドッグ』シアラン・ハインズ『ベルファスト』J・K・シモンズ『愛すべき夫妻の秘密』ノミネート段階で多くの有力俳優が落選した今年の激戦区の1つ。前哨戦前半は子役出身、25歳の若手コディ・スミット=マクフィーの独走状態だった。映画を見ればわかるが、実質上の主役であり、大スターのカンバーバッチ相手に全く引けを取らない存在感。久々に若手俳優がこの部門を制するかと思われた。ところ...第94回アカデミー賞予想

  • 『ウエスト・サイド・ストーリー』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ウエスト・サイド・ストーリー』のレビューを寄稿しました。61年ロバート・ワイズ版のリメイクではなく、57年に上演されたブロードウェイ版の再映画化という触れ込みですが、ワイズ版に出演し、プエルトリコ系として初めてオスカーに輝いた御歳90歳のリタ・モレノを招聘したことで密接な繋がりが生まれています。その他、スピルバーグにとって“勝負作”を任せられる関係となった脚本家トニー・クシュナーによる脚色ポイントや、ほぼ同時期に背中合わせで撮影されていたという、リン・マニュエル・ミランダ原作『イン・ザ・ハイツ』のことも触れています。ぜひ御一読ください。記事はこちら『ウエスト・サイド・ストーリー』21・米監督スティーヴン・スピルバーグ出演アンセル・エルゴート、レイチェル・ゼグラー、アリアナ・デボーズ、デヴィッド...『ウエスト・サイド・ストーリー』(寄稿しました)

  • 『アダム&アダム』

    ショーン・レヴィ監督とライアン・レイノルズが再びタッグを組んだ新作『アダム&アダム』は、前作『フリー・ガイ』のような新味はないものの、休日に自宅で楽しむには十分なNetflix製アドベンチャー映画だ。父親を亡くした12歳の少年アダムのもとに、2050年の未来から大人になったアダムがやってきて…。マーク・ラファロとジェニファー・ガーナーがアダムの両親に扮し、レイノルズも思いの外マジメに芝居をして好演。他愛がないと切り捨てるには惜しい、ハートのこもった場面がいくつかある。これがレヴィとレイノルズの標榜した80'sアンブリンテイストと言うなら、その目標は達成できているのではないだろうか。『フリー・ガイ』と本作の連投ですっかり息の合った2人は、ディズニー移籍後初の製作となるレイノルズの看板シリーズ『デッドプール3』で3...『アダム&アダム』

  • 『フレッシュ』

    ノア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)はマッチングアプリでデートを繰り返しているが、どうにも上手くいかない。今日の男は会う前から“現金、割り勘で”と場所を指定。会話はどうにも退屈だし、おいおいスカーフが焼きソバにくっついているのにも気付いていない。当然、店を出る時にドアを開けて待ってくれるハズもなく、正直に「私達は合わないと思うから、次はないかな」と告げると“クソ女”と吐き捨てられた。あー、なんなんだ。そんなある日、スーパーの野菜売り場でナンパされた。ちょっと変わってる人だけど面白いし、何よりイケメンだ。意気投合したノアはこの謎のナンパ男スティーヴと恋に落ち、ついに2人揃って週末の小旅行に出かけるのだが…。おっと、ここまで。『フレッシュ』はできる限り予備知識なしで見る事をオススメしたい。明らかにMetoo以後の...『フレッシュ』

  • 『ブータン 山の教室』

    ブータン映画として初のアカデミー国際長編映画賞にノミネートされた本作は、家にいながら異国情緒を味わえるコロナ禍には打ってつけの1本だ。落ちこぼれ教師ウゲンは山間の僻地ルナナ村への教育実習を命じられる。都市部からバスで半日、そこからはなんと1週間をかけて標高5000メートルの山々を越えなくてはならない。彼方に望むのはヒマラヤ山脈という、もは秘境と言ってもいい辺境の集落だ。雄大な自然に分け入るカメラを追うだけでも目にも楽しく、ワクワクしてしまう。ルナナ村の生活は清貧そのものだ。電気が点くかは運次第、窓ガラス代わりに紙を貼り、もちろんトイレットペーパーなんてありはしない。村の主要産業は放牧。ヤクの糞は貴重な燃えさしにもなる。決して容易くはないが、しかし人々は皆、幸せそうだ。タイではGDP、GNPではなくGNH(Gro...『ブータン山の教室』

  • 『ドリームプラン』

    テニス界最高の選手ヴィーナス&セリーナのウィリアムズ姉妹は如何にして誕生したのか?2人(特にヴィーナス)の偉大な1歩を描いてはいるが、本作の主人公は彼女たちではない。“KingRichard”(=原題)とまるでシェイクスピア劇のような仰々しさで題された父リチャード・ウィリアムズの物語だ。過酷な人種差別をくぐり抜けてきた彼は、娘たちには世界中からリスペクトされる存在になってほしいと願い、未だ白人優位のスポーツであったテニス界に切り込むべく78ページの計画書を作り上げる(それも2人が生まれる前に!)。見様見真似、独学の指導法で来る日も来る日も娘たちにトレーニングを課し、強い自己肯定心とリスペクトの精神を叩き込む。ほとんど山師同然のリチャードは頑固一徹な“メンドくさい”人だが、一本筋の通った信念の人でもある。ウィリア...『ドリームプラン』

  • 『セバーグ』

    1959年のジャン・リュック・ゴダール監督作『勝手にしやがれ』でヌーヴェルヴァーグの寵児となった女優ジーン・セバーグの名を冠する本作は、彼女が1968年にブラックパンサー党と接近し、FBIから執拗なマークを受けた事件が描かれている。セバーグは飛行機内で出会ったブラックパンサー党幹部ハキーム・ジャマルに心酔し、彼の愛人兼党のスポンサーとなる。彼女が人種差別に憤っていることはセリフで描かれるが、アイオワに生まれ、フランスでスターとなった彼女がなぜこれほどまでにブラックパンサー党の活動に傾倒するのか、その真意とルーツに映画は踏み込んでいない。本作だけを観ても背景事情はさっぱりわからないため、サブテキストには同年の出来事を描いた『シカゴ7裁判』『ユダ&ブラックメシア』、そして『サマー・オブ・ソウル』の名前を挙げておきた...『セバーグ』

  • 『タミー・フェイの瞳』

    1970〜80年代に熱烈な支持を獲得したキリスト教福音派TV伝道師タミー・フェイと、その夫ジム・ベイカーを描く本作は、興味深いエピソードが矢継ぎ早に登場するもそれらを掘り下げるには至っていない。学生結婚した事で神学校を退学させられた2人は、パペットショーや歌謡を取り入れたポップな伝導スタイルで全米を巡業。やがて黎明期のTV伝道と出会い、自らがホストを務めるクリスチャン向けの番組“PTLクラブ”を発足させる。これが今日のメガチャーチに代表される宗教の産業化であり、ついにはキリスト教保守派を取り込もうとしたレーガンによって共和党の票田にまで肥大化していく。敬虔で純真な信仰者であった夫妻がTV伝導の力に魅せられ、何の疑いも持たずに献金横領に手を染めていく過程はポスト福音主義ホラーの亜種と言ってもいい不気味さであり、彼...『タミー・フェイの瞳』

  • 『私の帰る場所』

    第94回アカデミー短編ドキュメンタリー賞ノミネート作。3年間に渡ってアメリカ西海岸各地のホームレスを追った40分の力作だ。『オーディブル』の頁でも触れたが、昨今の撮影機材の性能向上によって、本作もまた素晴らしい空撮を成し遂げており、都市の美しい夜景と広大なテント集落が対比されるランドスケープは衝撃的だ。映画は様々な事情から家を失い、明日をも知れぬ境遇に置かれた人々を点描していく。中でも幼い我が子に現状を知られまいとシェルターを“キャンプ”と言い、毎朝開館前の図書館に並んではそこで1日を過ごす母親の告白は胸が痛む。真に追い詰められた人々は行政に辿り着く事はおろか、助けを求める声すらあげられないのだ。これは自分にも起こり得る事であり、決して対岸の出来事ではないと知るべきだろう。『私の帰る場所』21・米監督ペドロ・コ...『私の帰る場所』

  • 『ホークアイ』

    MCUテレビシリーズ第4弾はアベンジャーズの苦労人、弓の名手ホークアイの単独ソロ作品だ。『アベンジャーズ/エンドゲーム』から数年後、家族と平穏な生活を送っていたホークアイことクリント・バートンが再び事件に巻き込まれる。常々指摘してきたが、エヴァンス、ヘムズワース、プラットらMCUをきっかけにブレイクした新進スターと異なり、既に演技派俳優として評価を確立していたポール・ベタニーやマーク・ラファロ、そしてジェレミー・レナーらを脇役としてMCUに10年間拘束してきた事には功罪があると考えている。彼らのスターバリューを上げたかもしれないが、俳優にとって10年という月日は決して短くない。それだけに本作でホークアイのキャラクターが掘り下げられ、レナーに演技的見せ場が用意された事にはようやく溜飲が下がる気持ちだった。クリント...『ホークアイ』

  • 『シラノ』

    これまで何度も舞台化、映像化されてきた『シラノ・ド・ベルジュラック』の最新映画化となる本作は、演出家エリカ・シュミットによって上演されたミュージカルが原作となっている。シラノ役にはミュージカル版から引き続き『ゲーム・オブ・スローンズ』の名優ピーター・ディンクレイジが扮し、物語の要となるシラノの容姿は長鼻から小人症ゆえの背丈に置換えられた。醜さゆえに世間から蔑まれ、しかし剣士として幾多の修羅場をくぐり、兵士たちからの信頼も厚く、そして愛する女性に一途な想いを捧げる…まさにティリオン・ラニスターなシラノはディンクレイジの当たり役だ。それもそのはず、本作の翻案を手掛けたシュミットはディンクレイジの妻であり、『ゲーム・オブ・スローンズ』が人気絶頂の2018年に上演されたディンクレイジあっての演目なのだ。深く響き渡る低音...『シラノ』

  • 『コーダ あいのうた』

    サンダンス映画祭4冠を皮切りに、Appleによる史上最高額26億円での配給権買付を経て、いよいよアカデミー作品賞にノミネートされた『コーダ』は見れば見るほど多面的な表情を見せる愛おしい作品だ。舞台はアメリカ地方部の田舎町。主人公ルビーは漁業を営む家族で唯一人の健聴者だ。両親、兄は聴覚にハンデを抱えており、まだ高校生の彼女がまるで保護者のように一家と社会の接点を担っている。毎朝まだ暗い時間から海に繰り出し、魚を揚げてから登校するのが彼女の日課だ。そんなある日、ちょっと気になっていた男の子を追いかけて合唱クラスに入ってみれば、レッスン次第で音大も狙えると才能を見出されて…。ルビーの置かれた境遇は複雑だ。健聴者である彼女は家族の直面する問題を実感することができず、一方で学校に行けばCODA(=ChildrenofDe...『コーダあいのうた』

  • 寄稿しました『ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ』

    リアルサウンドで『ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ』を紹介しています。スターチャンネルEXで現在全話配信中、3月9日からはスターチャンネルでも放送開始予定のTVシリーズです。御一読下さい。記事はこちら記事内で触れられている各作品のレビューはこちら↓『ザ・クラウン』『チェルノブイリ』『追想』寄稿しました『ビースト・マスト・ダイ/警部補ストレンジウェイズ』

  • 『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』

    黒人差別に対するプロテストソング『奇妙な果実』を歌ったビリー・ホリデイと、その影響力を恐れたアメリカ政府の攻防を描く本作は、人種間対立が未だ終わる事のない現在に語り直されるべき物語だ。しかしながらリー・ダニエルズ監督は的確なストーリーテリングを見つけるには至っていない。ホリデイを語る上で欠かすことのできない暴力男や薬物、アルコールへの依存、精神疾患というモチーフはいずれも描き切れておらず、彼女の後半生を追う展開は凡百の伝記ドラマ同様、偉人の足跡を追うダイジェスト版に過ぎない。ついには木に吊るされた黒人一家を幻視するシーンで映画は露頭に迷ってしまったように見える。何よりリー・ダニエルズはビリー・ホリデイに扮したアンドラ・デイの偉大なパフォーマンスに応え切れていない。映画初主演にしてアカデミー主演女優賞にノミネート...『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』

  • 『ゴヤの名画と優しい泥棒』

    1961年、ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画『ウェリントン公爵』が盗まれる。英国政府が14万ポンドもの大金をかけて収集家から買い戻した時の名画とあって、世間は話題騒然。ついには007第1作『ドクター・ノオ』で悪の秘密基地に飾られた始末だ(撮影当時に犯人は捕まっておらず、ドクター・ノオの犯行とされた)。だが犯人は悪の秘密結社ではなく、下町に住む年金暮らしの老人ケンプトン・ハンプトン(ジム・ブロードベント)だった。困った老人である。BBC(国営放送)の受信料徴収に抗議すべくTVから受信用コイルを抜き出してはお縄にかかり、無学の見様見真似で脚本を投稿し続けるが箸にも棒にも引っかからず、定職に就いても長続きした試しがない。当然、家計を支える妻(ヘレン・ミレン)からの風当たりは冷たく、映画は屈託のないジム・...『ゴヤの名画と優しい泥棒』

  • 『ブランニュー・チェリーフレーバー』

    闇夜のハイウェイに始まり、ハリウッド、映画監督、フリークスとデヴィッド・リンチ好きには堪らないキーワードが揃った『ブランニュー・チェリーフレーバー』(終盤にはリンチ組パトリック・フィッシュラーまで出てくる)。Netflixオリジナルシリーズの中でも群を抜く怪作と言っていいだろう。主人公リサ・ノヴァは自主制作のホラー映画が大物プロデューサー、ルー・バークの目に留まり、ハリウッドに招かれる。リサ自らがメガホンを執る商業映画デビュー作としてトントン拍子に話が進むも、ルーの「当然だろ」と言わんばかりのセックスを断ったばかりに彼女は解雇され、映画の権利を奪われてしまう。怒りに燃える彼女の元に、怪しげなホームレスの女が現れた。「黒魔術を使ってルーに復讐しましょう…」。かねてより映画、小説、コミックあらゆる物語がLAには“何...『ブランニュー・チェリーフレーバー』

  • 『コリン・イン・ブラック・アンド・ホワイト』

    あなたがアメリカンフットボールに興味がなくても、コリン・キャパニックの名前は聞いたことがあるだろう。2016年8月26日、プレシーズンマッチの試合で国歌斉唱を拒否し、起立しなかったことで物議を呼んだ選手だ。人種差別が横行する国家に敬意を払うことはできないとした彼の抗議は大きな批判に晒されるが、時同じくして激化していったBLMを受けてコミッショナーが擁護を表明し、キャパニックの行動は正当化される事となる。そんな彼の半生を振り返る本作は自由闊達な構成に驚かされる1話30分、計6話のTVシリーズだ。キャパニック自らがナビゲーターを務め、再現ドラマやブラックカルチャーの解説とジャンルを縦横無尽に往復していく。製作を務めたのは『ボクらを見る目』のエヴァ・デュヴァネイ。彼女自ら監督を手掛けた第1話は黒人の髪型“コーンロウ”...『コリン・イン・ブラック・アンド・ホワイト』

  • 『ベナジルに捧げる3つの歌』

    第94回アカデミー短編ドキュメンタリー賞ノミネート作。アフガニスタンはカブールの難民キャンプに暮らす年端もいかない夫婦を追った22分間の作品だ。間もなく第一子を迎えようとする彼らの生活は困窮しており、夫は確かな収入を求めて国防軍の採用面接を受ける。しかし入隊には近親者の同意が必要で、彼が戦地に赴くことを良しとする者は誰もいない。土を固めただけの住居、土を掘っただけの用水路という過酷な生活環境はもとより、映画のほとんどの場面で上空に監視気球、ドローン、軍用ヘリが見切れている事に彼らの現実を見る。そして国防軍の仕事が得られなければ、後はケシ畑の収穫しか職はない。少しでも幸せになれたらと願った夫の4年後の末路はあまりにも苦しい。しかし、本作の真のエンディングは映画の外にある。2021年、米軍のアフガニスタン撤退による...『ベナジルに捧げる3つの歌』

  • 『ことりのロビン』

    第94回アカデミー短編アニメ賞ノミネート作。Netflixからのリリースという事で新興スタジオの作品かと思いきや、『ウォレス&グルミット』シリーズで知られるアードマン・アニメーションズの新作だ。アードマンと言えばクレイアニメの印象だが、ここでは布地のパペットで全編ハンドメイドのような手触りがあり、美術は細部に至るまで目にも楽しい。そしてアードマンには珍しくシニカルな英国流ギャグがほとんどなく、ネズミの一家に育てられたことりのロビンの冒険はなんともキュートなのである。老舗スタジオならではの充実の32分だ。『ことりのロビン』21・英監督ダン・オジャリ、マイキー・プリーズ出演ブロンテ・カーマイケル、リチャード・E・グラント、ジリアン・アンダーソン※Netflixで配信中※『ことりのロビン』

  • 『私はヴァレンティナ』

    ブラジル。トランスジェンダーの少女ヴァレンティナはシングルマザーの母親と田舎町に越してくる。学校で入学手続き進め、補講の話がまとまると不意に顔を曇らす。「出欠はありますか?」ブラジルは法整備が進み、自らの意思で性別と通名を選択することができるが、未成年の彼女は両親のサインが必要だ。失踪した父の行方は知れず、果たして彼女はヴァレンティナを名乗れるのか?ヴァレンティナが直面する数々の困難と執拗な差別にこの題材が『ボーイズ・ドント・クライ』の頃からストーリーテリングに変化がないのかと思わせられるが、ブラジルの現実を知れば近年のハリウッドにおけるクィア描写はあまりに理想的過ぎるのかも知れない。エンドロールで明かされるトランスジェンダーの平均寿命が35歳という現実こそ本作の重要なモチーフであり、いくら法的整備が進もうと世...『私はヴァレンティナ』

  • 『ロスト・ドーター』

    近年、俳優達が相次いで監督デビューを果たし、そのいずれもが傑作というムーブメントが続いているが、2021年は2人の俳優監督に注目が集まった。共にNetflixからリリースされている『PASSING』のレベッカ・ホールと、本作『ロスト・ドーター』のマギー・ギレンホールだ。ギレンホールはエレナ・フェッランテの原作小説を自ら脚色し、ヴェネチア映画祭で脚本賞を受賞。そしてアカデミー賞では脚色賞にノミネートされている。その多才に驚かされるばかりだが、HBOのTVシリーズ『DEUCEポルノストートinNY』で既にエピソード監督を務めており、満を持しての長編映画デビューだったのだ。その語り口は自信に満ちており、『ダークナイト』『クレイジー・ハート』等で知られるバイプレーヤーらしく、役者の使い方もすこぶる巧い。本作でオスカー候...『ロスト・ドーター』

  • 『僕を育ててくれたテンダー・バー』

    J・R・モーリンガーの自伝小説『TheTenderBar』を原作とした本作で、ようやくジョージ・クルーニー監督は肩の力が抜けたところを見せてくれている。J・Rがまだ幼い頃、父親は家族を捨てて出奔。以後、J・Rは母に隠れてラジオDJである父の声を聞きなが育つ事になる。母の実家で暮らす大家族生活は裕福とは言えないが、伯父チャーリーが父親代わりとなった。自ら経営するバーに“ディケンズ”と名付けるチャーリーは早くからJ・Rの文才に目を留め、あらゆる名作に触れる機会を与えていく。チャーリー役のベン・アフレックがいい。酒と野球を愛する市井の人気者であり、文学を愛する知性の人という役柄は監督、脚本もこなすハリウッドスターの彼にピッタリだ。そんなチャーリー伯父さんが何より大切にしたのが“男の作法”だ。まだまだ幼いチャーリーに女...『僕を育ててくれたテンダー・バー』

  • 寄稿しました『最新ブラックコメディ特集』

    リアルサウンドに最新ブラックコメディ作品について寄稿しました。映画から『ハウス・オブ・グッチ』『ドント・ルック・アップ』、TVシリーズでは『サクセッション』『ホワイト・ロータス』を紹介しています。気付けばハリウッドはダークな笑いのコメディ作品が百花繚乱。それら“重喜劇”は一体何を笑っているのか?ぜひ御一読ください。記事はこちら記事内で紹介している各作品のレビューはこちらからお読み頂けます↓『ハウス・オブ・グッチ』『ドント・ルック・アップ』『メディア王華麗なる一族』寄稿しました『最新ブラックコメディ特集』

  • 『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

    『グランド・ブタペスト・ホテル』でアカデミー監督賞他計10部門のノミネートを獲得し、名実共に現代アメリカ映画界を代表する監督の1人となったウェス・アンダーソン。その後、気負うことなく偏愛のストップモーションアニメ『犬ヶ島』で“ハズし”、待望の実写長編新作が本作『フレンチ・ディスパッチ』だ。20世紀フランスを舞台に架空の出版社フレンチ・ディスパッチを描く本作は、旧き良き雑誌カルチャーに愛が捧げられ、わずか108分という尺の中でその“誌面”が再現される唯一無二のウェス・アンダーソン映画になっている。“誌面”はモノクロとカラーを自由闊達に往復し、アンダーソン印の美術はもとより、仏はアングレームの街で敢行されたロケ撮影がセット以上の密度を獲得している事に驚かされた。そしてアンダーソンが敬愛する著述家達へのリスペクトは3...『フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

  • 『ドライブ・マイ・カー』(寄稿しました)

    リアルサウンドに『ドライブ・マイ・カー』のレビューを寄稿しました。ぜひ御一読ください。記事はこちら『ドライブ・マイ・カー』(寄稿しました)

  • 『クライ・マッチョ』

    さすがに足腰は衰えた。声にも張りがない。つまびくような劇伴が信条だったハズだが、本作を見る限りでは演出家としての耳も怪しい。シーンの繋ぎも明らかにおかしいのだが、「そんなのちゃんと見てりゃわかるだろ」と言わんばかりだ。いいや、91歳の現役スターにして映画監督が、世界配給で新作をリリースした試しがかつてあっただろうか?ゆらりゆらりと荒野を歩く姿は美しく、この大スターは今も自分の見せ方を心得ている事がよくわかる。無批判の信奉という誹りを受けても構わない。しきりに「もう寝るぞ」と床につく彼につられて何度かウトウトしてみれば、僕はこの心地にすっかり平伏してしまったのである。クリント・イーストウッド、91歳。監督50周年40作目。ほとんど遺作のような『グラン・トリノ』から十余年が経ち、ようやく老いが見えた。「ちゃんとした...『クライ・マッチョ』

  • 『ハウス・オブ・グッチ』

    1995年、人気ファッションブランド“グッチ”の社長マウリツィオが妻パトリシアによって暗殺されたこの事件を、リドリー・スコットは思いのほか笑える映画に仕立てている。パトリツィア役に『アリースター誕生』で女優としての才能を証明したレディー・ガガが扮し、マウリツィオをスコット監督の前作『最後の決闘裁判』からアダム・ドライヴァーが続投。グッチ家総帥アルドにアル・パチーノ、マウリツィオの父にジェレミー・アイアンズと大御所が居並び、そしてグッチ家の屋台骨を傾けたパオロに特殊メイクで大変身したジャレッド・レトが扮した。オールスターキャストがイタリア訛りで仰々しく演じる様は、さながらハリウッド最上級のコント大会だ。スコットはやはり実在する大富豪一族を描いた『ゲティ家の身代金』で、家族の命よりも金を優先する家長ゲティにこの世の...『ハウス・オブ・グッチ』

  • 『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

    前作『スパイダーマンファー・フロム・ホーム』のラスト、強敵ミステリオのフェイクニュース殺法によって全世界に正体をバラされてしまったピーター・パーカー。“親愛なる隣人から一転”、ミステリオ殺しの容疑者とされてしまった彼は苛烈なキャンセルに晒される。その影響は彼ばかりか親友のネッド、恋人MJの大学進学にまで及び、彼はドクター・ストレンジに頼んで全宇宙の人々からピーター・パーカーの記憶を消そうとする。ところが、あろうことかピーター自身のヘマによって(ちゃんと打ち合わせしとけよ!)魔術は失敗。ピーターを知る別次元マルチバースの敵を呼び寄せてしまう事になる!スパイダーマンの映画化権を持つソニーがディズニー・マーベルと提携して実現したのがこのトム・ホランド版スパイダーマン『ホーム3部作』であり、いわゆる“大人の事情”をクリ...『スパイダーマンノー・ウェイ・ホーム』

  • 『マクベス』

    コーエン兄弟の兄ジョエルの単独監督作がシェイクスピア映画と聞いて驚いた。弟イーサンが興味を示さなかったため単独監督作となったそうだが、それも納得だ。オーソン・ウェルズ、ムルナウ、ベルイマンなど相変わらずクラシックへのオマージュはふんだんに盛り込まれているものの、オープンセットを駆使して演劇と映画の中間に位置する本作は驚くほどオーセンティックなシェイクスピア映像化になっている。これまで我々が見てきた“コーエン兄弟”作品がいかに兄弟2人よる共同作業であったか、逆説的に明らかとなった格好だ。『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』『バスターのバラード』で組んだ撮影監督ブリュノ・デルボネル、音楽カーター・パウエルら常連スタッフを揃える一方、演劇界から大女優キャサリン・ハンターを魔女役で招聘し、その驚くべき身体性を収めるな...『マクベス』

  • 2021年ベスト10

    【MOVIE】1、『パワー・オブ・ザ・ドッグ』監督ジェーン・カンピオン1、『ドライブ・マイ・カー』監督濱口竜介3、『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』監督ジェームズ・ガン4、『DUNE砂の惑星』監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ5、『PASSING白い黒人』監督レベッカ・ホール6、『セイント・モード狂信』監督ローズ・グラス7、『イン・ザ・ハイツ』監督ジョン・M・チュウ8、『TheHandofGod』監督パオロ・ソレンティーノ9、『ドント・ルック・アップ』監督アダム・マッケイ10、『最後の決闘裁判』監督リドリー・スコット今年も(頑なに)2021年初公開を基準に選定している(『セイント・モード』の衝撃に、例外的に第6位の選出をした)。選外の作品については上半期ベスト10の頁も合わせて参照してもらいたい。他、下半期か...2021年ベスト10

  • 『スワン・ソング』

    ベンジャミン・クリアリー監督の長編デビュー作は静謐で洗練されたSF映画だ。近未来、不治の病によって余命いくばくもないキャメロンは、家族のために人知れず自身のクローンを遺そうとする。スマートフォンは姿を消しており、代わってコンタクトレンズ型の携帯デバイスが日常的に使われているが、公共交通機関も住宅事情も現在とさほど変わらない世界。『スワン・ソング』は僕達の生活の延長線上にある。一方で、クローン技術の描写はハッタリが効いている。まるでiPhoneのように記憶を同期すると、あとは一週間の試験を経て本人と入れ替わるだけ。マハーシャラ・アリは迫る死期に戸惑うキャメロンと、自身が複製物である事を自覚したクローン人間という難役を演じ分けており、名優の仕事ぶりだ。時に不穏な空気が立ち込め、先の読めない展開に固唾を飲むが、本作も...『スワン・ソング』

  • 『フィンチ』

    前年の『グレイハウンド』に続きAppleTV+スルーとなったトム・ハンクスの最新作は荒廃した地球で生き残った男とロボットのロードムービーだ。宇宙人侵略でも最終戦争でもなく、開いたオゾンホールによって大量の放射線が降り注ぎ、陽に晒された地表の生物は全て死に絶えた。天気は荒れ狂い、昼は灼熱によって砂漠化が進み、夜は身も凍る極寒が訪れる。そして日に何度も訪れるトルネードに、先ごろアメリカを襲った巨大竜巻を想起せずにはいられない。決して『キャスト・アウェイ』のやり直しではなく、地球環境問題が深刻さを増す2021年最新版のアポカリプスムービーなのだ。ハンクス演じるフィンチが決して英雄的なサバイバーではない事も重要だろう。ミズーリ州で母を看取った孤独な男であり、彼がロボットだけを友とするのは人間不信からに他ならない。201...『フィンチ』

  • 『愛すべき夫妻の秘密』

    アーロン・ソーキン監督の最新作は1950年代に国民的人気を博したTVドラマ『アイ・ラブ・ルーシー』製作の舞台裏だ。実生活でも夫婦であった主演ルシル・ボールとデジ・アーナズによって演じられたこのシットコムは、人気絶頂の最中「ルシル・ボールは共産主義者だ」と誤報を打たれたことで番組存続の危機に立たされる。しかし、それ以上に彼ら夫婦も危機的関係にあった。巻頭早々、ソーキンらしい会話の応酬劇で魅せ、ルシル・ボール役ニコール・キッドマン、デジ・アーナズ役ハビエル・バルデムも好演。50年代当時の番組製作風景も楽しい。キッドマンはプロフェッショナリズムの塊であるルシルを気風良く演じており、アカデミー主演女優賞ノミネートもありそうだ。しかし、ソーキンはこの魅力的な題材をまとめ切れていない。映画は製作から収録までの1週間と、ルシ...『愛すべき夫妻の秘密』

  • 『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』

    第93回アカデミー賞で作品賞はじめ6部門にノミネートされ、ダニエル・カルーヤの助演男優賞と主題歌賞を受賞した本作は本国から遅れること約半年、“DVDレンタルのみ”という石器時代のようなフォーマットで日本リリースとなった。配信レンタルはそれからさらに半年後の2022年1月である。ワーナー・ブラザースの日本支社はまったくやる気がない。どうかしているとしか言いようがない。2021年は『マ・レイニーのブラックボトム』や『あの夜、マイアミで』など優れた黒人映画が相次いだが、アカデミー賞で作品賞にノミネートされたのはシャカ・キング監督による本作だけだった。ブラックパンサー党指導者フレッド・ハンプトン暗殺事件を描く本作は、クラシカルなルック(マーク・アイシャムのジャズスコアが素晴らしい)と創り手の知性によって1969年当時の...『ユダ&ブラック・メシア裏切りの代償』

  • 『ドント・ルック・アップ』

    巨大彗星が地球に衝突する!大学教授ミンディと院生のケイトが発見した脅威から始まるこの映画は懐かしや『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』を彷彿とさせるが、そうはならない。出演する朝の情報番組ではイジられ、ケイトが必死の形相で危機を訴えればグレタ・トゥーンベリよろしくディスられる。大統領はこの危機を政治利用し、そこにイーロン・マスクよろしくIT大富豪が現れれば、いつしか彗星破壊計画は埋蔵しているレアアース入手のための“撃墜”作戦へと切り替わる。世間は彗星衝突は陰謀論だという風説によって「俺たちDon'tLookUp!」という冷笑が蔓り、#LookUpとチャリティコンサートで“意識の高い人たち”は何かをやった気になっている。いやいや、地球崩壊まであと半年なんですけど!『マネー・ショート』『バイス』のアダム・マッケ...『ドント・ルック・アップ』

  • 『オーディブル 鼓動を響かせて』

    Netflixはじめストリーミングサービスの隆盛によってこれまで困難だったドキュメンタリー映画へのアクセスがグッと容易になった。毎年、アカデミー賞がノミネート発表の前に公開する一次選考通過作品(ショートリスト)を見渡すと、多くの作品が何らかの方法で視聴可能であることに驚かされる。そしてストリーミングサービスの存在は多くの映像製作者の“最大公約数”を拡大し、この開かれた門戸はジャンルの表現を急速に進歩、多様化させてきた事がわかる。メリーランドのろう学校にあるアメフト部を追った本作は、ほとんど劇映画のような洗練されたルックだ。激しく身体がぶつかり合う競技内容とは裏腹に、本作には僅かな劇伴を除いてほとんど音がない。健常者相手に16シーズン負けなしというこの強豪校で、クオーターバックを務める少年アマレは敗北を喫してしま...『オーディブル鼓動を響かせて』

  • 『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』

    1969年夏、世界がウッドストックに熱狂していた頃、そこから160キロ先のNYハーレムでも歴史的な音楽フェスティバルが開催されていた。若き日のスティーヴィー・ワンダー、ド級のマヘリア・ジャクソン、そして“アフリカの女王”とも言うべき絶頂のニーナ・シモンらブラックミュージックの大スターが集結し、延べ30万人以上を集客したと言われる「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」だ。しかし、今やその存在を知る者はほとんどいない。余す所なく映像に収めながらも、信じがたいことにそれから約50年もの間、陽の目を見ることはなかったのだ。公民権運動が盛んさを増し、ブラックパンサー党が武装蜂起を訴え、反戦運動とカウンターカルチャーが隆盛した時代に黒人の美しさと力を謳ったこの革命的フェスは文字通り“抹殺”されたのである。今年のアカデミ...『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』

ブログリーダー」を活用して、長内那由多のMovie Noteさんをフォローしませんか?

ハンドル名
長内那由多のMovie Noteさん
ブログタイトル
長内那由多のMovie Note
フォロー
長内那由多のMovie Note

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用