昭和顔の俳優・松尾諭の半生を描く人間ドラマ。味わい深い感情描写と構成が光る秀作。
完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc
幅広く書いてます。ただし、マンガのみ。
総合評価・・・3.60 最近は社会全体がお金大好きなので当然にマンガ業界もこのジャンルに目を向ける事になり株式、FX、不動産と様々な経済ジャンルのマンガが増えてきたわけだが、その中でも圧倒的なオリジナリティを誇った怪作が本作「ハイパーインフレーション」である。主人公「ルーク」は神との契約により生殖能力を失った代償として「体からいくらでも偽札を吐き出せるようになる」という不思議な力を得ることになるのだが、この一見バカバカしい能力が経済とインフレをわかりやすく物語に落とし込むための非常に巧妙なギミックになっている点が圧倒的に凄いのだ。 射精行為のように偽札を産むルーク(1巻より引用) 経済やインフ…
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昭和顔の俳優・松尾諭の半生を描く人間ドラマ。味わい深い感情描写と構成が光る秀作。
夫婦の葛藤や静かな日常をやまだないと独特の感性で描く、私小説的センスが光る秀作。
古谷実『ゲレクシス』は序盤の会話劇は秀逸だが、唐突な展開と未消化の結末が読者を惑わせる異色作。
「僕の小規模な失敗」と「僕の最後の失敗」は、福満しげゆきの20年の変遷と独特の余韻を描く感慨深い作品群。
エンジェル伝説は誤解と勘違いが生む学園ギャグの傑作。見た目と中身のギャップが最高に笑える。
わが指のオーケストラは、手話とろう教育の尊厳を描いた不朽の名作。
人のために働くは詩的で哲学的な構成が特徴の問題提起型作品。
評価:4.00 / 5点 レビュー執筆:mangadake(当ブログ管理人) 最終巻発売の描き下ろしを楽しむために1日がかりで全巻再読。いいね!!最高だ!!としか言えない傑作だった。特に最終27巻単行本の描き下ろしラストエピソードが完璧で、これは1日つぶして最初から一気読みした価値が確実にあった。幸せ。まだ完結して間もない作品なので、あまりレビューでネタバレには踏み込みたくないのだが、物語の展開と世界設定が相当に複雑な作品なので読まず嫌いしている人も多い印象だ。しかし、これは未読のままでは非常にもったいない傑作である。そこで少しばかり内容にも踏み込んでレビューする事にした。以下、ネタバレあり。…
{ "@context": "https://schema.org", "@type": "Review", "author": { "@type": "Person", "name": "mangadake" }, "datePublished": "2025-03-29", "reviewBody": "作者の欲望と趣味が詰め込まれた短編傑作。連載当時から異質な存在感を放ち、今なお読者の記憶に残る名作。劇画調とマンガの融合による独特の画風、多彩な不気味さの演出、そして混沌とした世界観と鋭いセリフ回しが圧巻。ジャンルや展開を自在に変えながらも一貫したテーマを感じさせ、冨樫義博の天才性をこれ以…
総合評価・・・3.50 珍しく少し、ひいきしている作品かもしれない。というのも、本作は打ち切りだったかはわからないが、まだ描ける部分がありつつも全3巻で短く完結してしまった作品だからだ。そして、最後まで十分な尺をもって描き切れてない作品というのは、どうしても後半の構成や展開に難が出るので作品としての評価は低くせざるを得ないのだが今回はそれでもなおブログを書きたくなる面白さを感じたのだ。一言でいえば「いぶし銀」の渋い良作なのである。そして装飾華美な現代において、こういった地味だが考えさせられる作品が読まれる事こそマンガという文化の役割があるのではないかと感じて、応援の意味を込めてレビューする事に…
今年も各種ランキング雑誌の情報から総合ランキング作成!また、なんとか年内に間に合ったぞ・・・気に入った作品があれば年末年始のお暇な時間にどうぞ。総合ランキングは以下の企画から選ばれた上位の作品を集計して作成した記事。ざっくりいえば多くの記事にランクインしているほど上位にあがる集計。①マンガ大賞2024②BOOK OF THE YEAR 2024③このマンガがすごい!2025オトコ編④このマンガがすごい!2025オンナ編⑤THE BEST MANGA 2025各企画の傾向としては、以下。マンガ大賞は直近発表の新作がバランスよく選ばれる。BOOK OF THE YEARは古くから連載されている作品…
総合評価・・・3.86 新人のジャンプ初連載作品として、あまりに高い完成度を誇るギャグレスリング漫画であり、笑える、泣ける、盛り上がる、と無駄な展開はなく全10冊でキレイにまとまった稀有な作品。それが本作「THE MOMOTAROH」である。 ブログ主の中で「10冊完結のマンガは名作」という定説を持ち始めたきっかけの作品ともいえる。 謎の覆面レスラーである主人公「ザ・モモタロウ」は、普段はギャグばかりのどうしようもないキャラなのだが、決めるときは決めるというギャップが最高のキャラクター性。 ギャグとシリアスの緩急が最高(1巻より引用) また登場するライバルキャラクター達も非常に魅力的で、昔話に…
総合評価・・・4.10 古くからの二ノ宮知子ファンなのでほぼ全ての作品を読んでいるわだが、知名度でいえばやはり「のだめカンタービレ 」には劣るが、一番好きな作品をあげろと言われれば絶対に外せないのがこの「天才ファミリー・カンパニー」である。 作品発表から数十年を経過したわけだが、改めて読み返してみると作者の社会を見抜く観察眼の凄さを感じさせる大傑作なのだ。 二ノ宮知子の最初期作品である「トレンドの女王ミホ」は社会を観察する力で創作されていたが、やはりその頃から観察眼に関しては天性の才能があったのだろうか。 Wikiによると本作の連載開始は1994年という事で作者が20代半ばの頃の作品になるのだ…
総合評価・・・3.86 あまりに面白かったので2か月ぶりにブログ更新。日常系作品として近年の最高傑作をあげろと言われれば即答で「それでも町は廻っている」と答えるぐらいの石黒正数ファンなわけだが、そんな名作に多大な影響を与えたと言われているのが本作「菫画報」だという事で以前から読んでみたかったわけだが、今回読んでみて沼にハマってしまった。これはさすがに面白すぎる。Wiki様によると石黒正数は作者の小原槇司に「俺の『菫画報』を描かせてくれ!」と伝えたぐらい影響を受けた作品らしいのだが、読んでみると確かにこの空気感は「それ町」である。なによりも本作の最大の魅力である主人公「星乃スミレ」のキャラの強さ…
総合評価・・・3.58 久しぶりに再読したので過去記事リライト 本作は連載開始が1998年という古い作品なわけだが、改めて読み直してみると、その作品づくりにおけるコストの高さに心底驚かされた。 主人公の「大沢公」は、ベトナム大使の「倉木和也」に雇われた公邸料理である。 ひたすら我が道をいく主人公(1巻カバーより引用) そして倉木が目指す「食による外交」を実現する為に、各国外交官や首脳陣に数々の料理をふるまい、料理による感動で彼らの心を動かし様々な外交を実現していく。 端的に書けばそんな物語なのだが、文字で書くのは簡単だが実際にマンガでこの外交官付きの公邸料理人という設定を描くとなるとかなりの専…
総合評価・・・3.60 最近は社会全体がお金大好きなので当然にマンガ業界もこのジャンルに目を向ける事になり株式、FX、不動産と様々な経済ジャンルのマンガが増えてきたわけだが、その中でも圧倒的なオリジナリティを誇った怪作が本作「ハイパーインフレーション」である。主人公「ルーク」は神との契約により生殖能力を失った代償として「体からいくらでも偽札を吐き出せるようになる」という不思議な力を得ることになるのだが、この一見バカバカしい能力が経済とインフレをわかりやすく物語に落とし込むための非常に巧妙なギミックになっている点が圧倒的に凄いのだ。 射精行為のように偽札を産むルーク(1巻より引用) 経済やインフ…
総合評価・・・3.90 チャンピオン連載時の作品発表が1995年にも関わらず、いまだに語り継がれる主人公「秋山醤」を産み出した異色の傑作、それが「鉄鍋のジャン!」だ。本作はそのキャラクター人気から続編やスピンオフも幅広く展開しており、主軸としては無印版が27冊、その後の続きを描いた「鉄鍋のジャン!R」が10冊、そして秋山の息子が主人公となる「鉄鍋のジャン!!2nd」の7冊が描かれており、まさに作者「西条真二」の代表作といえる作品である。オリジナル版の27冊がなかなか入手しづらかったのでしばらく再読できていなかったが、今回タイミングよく全シリーズを入荷できたので、ひさしぶりに全編通して再読してレ…
さて2012年にレビューした本作を十数年ぶりに読み返してみて、やっぱり名作だったので過去記事をリライトする事にした。以下、今までのリライトシリーズ同様にネタバレ含むので未読の方はお帰りください。黒髪のキャプチュードという作品は1992年のコミックドラゴンで連載していた今となっては古すぎる作品なのだが、当時は今よりもさらにマイナーでほぼ存在を知られていなかったマンガである。今でこそネットの普及でマイナー作品にも日の目が十分に当たるチャンスが出てきたのだが、本作が連載されていた90年代前半はマイナー雑誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。 ブログ主もライトノベルを通じて角川系列に手を出し…
総合評価・・・3.82 2024年現在、モーニングで「望郷太郎」を絶賛連載中の「山田芳裕」の代表作とも呼べる作品、それが本作「へうげもの」だろう。主人公は織田信長に仕える武将「古田左介」。のちの世に織部焼を残すことになる武将茶人「古田織部」なのだが、この人物がとにかく名物と呼ばれる器や茶の湯の道具に目がなく、戦乱の時代に翻弄されながらも、ひたすらに自身の物欲と求める数寄の道を目指す物語である。タイトルである「へうげもの」の由来は「ひょうげたもの」=「ひょうきんな人」といったところで、まさに本作の主人公をあらわすに相応しい表現といえる。 戦の時でも名物に目がない数奇者の主人公(1巻より引用) こ…
総合評価・・・3.68 年始一作目はレア作品ということで我が家のマンガ倉庫の中でも希少性が高いと思われる本作を久しぶりに引っ張り出してくる。なんとも懐かしい月間コミックトムと希望コミックスである。月間コミックトムといえば、三国志や風雲児たちといった作品が有名どころとして思い出されるが、本作も有名な作品の一つで一昔前ならその珍しいタイトルから古本屋で見かけることも多かったのだが、今となってはほぼ見かけることはない。物語のあらすじとしては、フランス革命の時代に生きた政治家「ジョゼフ・フーシェ」をモデルにした主人公「ジョゼフ・コティ」というキャラクターの生き様を描いた作品であるが、フランス革命といえ…
総合評価・・・3.90 チャンピオン連載時の作品発表が1995年にも関わらず、いまだに語り継がれる主人公「秋山醤」を産み出した異色の傑作、それが「鉄鍋のジャン!」だ。本作はそのキャラクター人気から続編やスピンオフも幅広く展開しており、主軸としては無印版が27冊、その後の続きを描いた「鉄鍋のジャン!R」が10冊、そして秋山の息子が主人公となる「鉄鍋のジャン!!2nd」の7冊が描かれており、まさに作者「西条真二」の代表作といえる作品である。オリジナル版の27冊がなかなか入手しづらかったのでしばらく再読できていなかったが、今回タイミングよく全シリーズを入荷できたので、ひさしぶりに全編通して再読してレ…
さて2012年にレビューした本作を十数年ぶりに読み返してみて、やっぱり名作だったので過去記事をリライトする事にした。以下、今までのリライトシリーズ同様にネタバレ含むので未読の方はお帰りください。黒髪のキャプチュードという作品は1992年のコミックドラゴンで連載していた今となっては古すぎる作品なのだが、当時は今よりもさらにマイナーでほぼ存在を知られていなかったマンガである。今でこそネットの普及でマイナー作品にも日の目が十分に当たるチャンスが出てきたのだが、本作が連載されていた90年代前半はマイナー雑誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。 ブログ主もライトノベルを通じて角川系列に手を出し…
総合評価・・・3.82 2024年現在、モーニングで「望郷太郎」を絶賛連載中の「山田芳裕」の代表作とも呼べる作品、それが本作「へうげもの」だろう。主人公は織田信長に仕える武将「古田左介」。のちの世に織部焼を残すことになる武将茶人「古田織部」なのだが、この人物がとにかく名物と呼ばれる器や茶の湯の道具に目がなく、戦乱の時代に翻弄されながらも、ひたすらに自身の物欲と求める数寄の道を目指す物語である。タイトルである「へうげもの」の由来は「ひょうげたもの」=「ひょうきんな人」といったところで、まさに本作の主人公をあらわすに相応しい表現といえる。 戦の時でも名物に目がない数奇者の主人公(1巻より引用) こ…
総合評価・・・3.68 年始一作目はレア作品ということで我が家のマンガ倉庫の中でも希少性が高いと思われる本作を久しぶりに引っ張り出してくる。なんとも懐かしい月間コミックトムと希望コミックスである。月間コミックトムといえば、三国志や風雲児たちといった作品が有名どころとして思い出されるが、本作も有名な作品の一つで一昔前ならその珍しいタイトルから古本屋で見かけることも多かったのだが、今となってはほぼ見かけることはない。物語のあらすじとしては、フランス革命の時代に生きた政治家「ジョゼフ・フーシェ」をモデルにした主人公「ジョゼフ・コティ」というキャラクターの生き様を描いた作品であるが、フランス革命といえ…