昭和顔の俳優・松尾諭の半生を描く人間ドラマ。味わい深い感情描写と構成が光る秀作。
完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc
幅広く書いてます。ただし、マンガのみ。
昭和顔の俳優・松尾諭の半生を描く人間ドラマ。味わい深い感情描写と構成が光る秀作。
夫婦の葛藤や静かな日常をやまだないと独特の感性で描く、私小説的センスが光る秀作。
古谷実『ゲレクシス』は序盤の会話劇は秀逸だが、唐突な展開と未消化の結末が読者を惑わせる異色作。
「僕の小規模な失敗」と「僕の最後の失敗」は、福満しげゆきの20年の変遷と独特の余韻を描く感慨深い作品群。
エンジェル伝説は誤解と勘違いが生む学園ギャグの傑作。見た目と中身のギャップが最高に笑える。
わが指のオーケストラは、手話とろう教育の尊厳を描いた不朽の名作。
人のために働くは詩的で哲学的な構成が特徴の問題提起型作品。
評価:4.00 / 5点 レビュー執筆:mangadake(当ブログ管理人) 最終巻発売の描き下ろしを楽しむために1日がかりで全巻再読。いいね!!最高だ!!としか言えない傑作だった。特に最終27巻単行本の描き下ろしラストエピソードが完璧で、これは1日つぶして最初から一気読みした価値が確実にあった。幸せ。まだ完結して間もない作品なので、あまりレビューでネタバレには踏み込みたくないのだが、物語の展開と世界設定が相当に複雑な作品なので読まず嫌いしている人も多い印象だ。しかし、これは未読のままでは非常にもったいない傑作である。そこで少しばかり内容にも踏み込んでレビューする事にした。以下、ネタバレあり。…
{ "@context": "https://schema.org", "@type": "Review", "author": { "@type": "Person", "name": "mangadake" }, "datePublished": "2025-03-29", "reviewBody": "作者の欲望と趣味が詰め込まれた短編傑作。連載当時から異質な存在感を放ち、今なお読者の記憶に残る名作。劇画調とマンガの融合による独特の画風、多彩な不気味さの演出、そして混沌とした世界観と鋭いセリフ回しが圧巻。ジャンルや展開を自在に変えながらも一貫したテーマを感じさせ、冨樫義博の天才性をこれ以…
総合評価・・・3.50 珍しく少し、ひいきしている作品かもしれない。というのも、本作は打ち切りだったかはわからないが、まだ描ける部分がありつつも全3巻で短く完結してしまった作品だからだ。そして、最後まで十分な尺をもって描き切れてない作品というのは、どうしても後半の構成や展開に難が出るので作品としての評価は低くせざるを得ないのだが今回はそれでもなおブログを書きたくなる面白さを感じたのだ。一言でいえば「いぶし銀」の渋い良作なのである。そして装飾華美な現代において、こういった地味だが考えさせられる作品が読まれる事こそマンガという文化の役割があるのではないかと感じて、応援の意味を込めてレビューする事に…
今年も各種ランキング雑誌の情報から総合ランキング作成!また、なんとか年内に間に合ったぞ・・・気に入った作品があれば年末年始のお暇な時間にどうぞ。総合ランキングは以下の企画から選ばれた上位の作品を集計して作成した記事。ざっくりいえば多くの記事にランクインしているほど上位にあがる集計。①マンガ大賞2024②BOOK OF THE YEAR 2024③このマンガがすごい!2025オトコ編④このマンガがすごい!2025オンナ編⑤THE BEST MANGA 2025各企画の傾向としては、以下。マンガ大賞は直近発表の新作がバランスよく選ばれる。BOOK OF THE YEARは古くから連載されている作品…
総合評価・・・3.86 新人のジャンプ初連載作品として、あまりに高い完成度を誇るギャグレスリング漫画であり、笑える、泣ける、盛り上がる、と無駄な展開はなく全10冊でキレイにまとまった稀有な作品。それが本作「THE MOMOTAROH」である。 ブログ主の中で「10冊完結のマンガは名作」という定説を持ち始めたきっかけの作品ともいえる。 謎の覆面レスラーである主人公「ザ・モモタロウ」は、普段はギャグばかりのどうしようもないキャラなのだが、決めるときは決めるというギャップが最高のキャラクター性。 ギャグとシリアスの緩急が最高(1巻より引用) また登場するライバルキャラクター達も非常に魅力的で、昔話に…
総合評価・・・4.10 古くからの二ノ宮知子ファンなのでほぼ全ての作品を読んでいるわだが、知名度でいえばやはり「のだめカンタービレ 」には劣るが、一番好きな作品をあげろと言われれば絶対に外せないのがこの「天才ファミリー・カンパニー」である。 作品発表から数十年を経過したわけだが、改めて読み返してみると作者の社会を見抜く観察眼の凄さを感じさせる大傑作なのだ。 二ノ宮知子の最初期作品である「トレンドの女王ミホ」は社会を観察する力で創作されていたが、やはりその頃から観察眼に関しては天性の才能があったのだろうか。 Wikiによると本作の連載開始は1994年という事で作者が20代半ばの頃の作品になるのだ…
総合評価・・・3.86 あまりに面白かったので2か月ぶりにブログ更新。日常系作品として近年の最高傑作をあげろと言われれば即答で「それでも町は廻っている」と答えるぐらいの石黒正数ファンなわけだが、そんな名作に多大な影響を与えたと言われているのが本作「菫画報」だという事で以前から読んでみたかったわけだが、今回読んでみて沼にハマってしまった。これはさすがに面白すぎる。Wiki様によると石黒正数は作者の小原槇司に「俺の『菫画報』を描かせてくれ!」と伝えたぐらい影響を受けた作品らしいのだが、読んでみると確かにこの空気感は「それ町」である。なによりも本作の最大の魅力である主人公「星乃スミレ」のキャラの強さ…
総合評価・・・3.58 久しぶりに再読したので過去記事リライト 本作は連載開始が1998年という古い作品なわけだが、改めて読み直してみると、その作品づくりにおけるコストの高さに心底驚かされた。 主人公の「大沢公」は、ベトナム大使の「倉木和也」に雇われた公邸料理である。 ひたすら我が道をいく主人公(1巻カバーより引用) そして倉木が目指す「食による外交」を実現する為に、各国外交官や首脳陣に数々の料理をふるまい、料理による感動で彼らの心を動かし様々な外交を実現していく。 端的に書けばそんな物語なのだが、文字で書くのは簡単だが実際にマンガでこの外交官付きの公邸料理人という設定を描くとなるとかなりの専…
総合評価・・・3.60 最近は社会全体がお金大好きなので当然にマンガ業界もこのジャンルに目を向ける事になり株式、FX、不動産と様々な経済ジャンルのマンガが増えてきたわけだが、その中でも圧倒的なオリジナリティを誇った怪作が本作「ハイパーインフレーション」である。主人公「ルーク」は神との契約により生殖能力を失った代償として「体からいくらでも偽札を吐き出せるようになる」という不思議な力を得ることになるのだが、この一見バカバカしい能力が経済とインフレをわかりやすく物語に落とし込むための非常に巧妙なギミックになっている点が圧倒的に凄いのだ。 射精行為のように偽札を産むルーク(1巻より引用) 経済やインフ…
総合評価・・・3.90 チャンピオン連載時の作品発表が1995年にも関わらず、いまだに語り継がれる主人公「秋山醤」を産み出した異色の傑作、それが「鉄鍋のジャン!」だ。本作はそのキャラクター人気から続編やスピンオフも幅広く展開しており、主軸としては無印版が27冊、その後の続きを描いた「鉄鍋のジャン!R」が10冊、そして秋山の息子が主人公となる「鉄鍋のジャン!!2nd」の7冊が描かれており、まさに作者「西条真二」の代表作といえる作品である。オリジナル版の27冊がなかなか入手しづらかったのでしばらく再読できていなかったが、今回タイミングよく全シリーズを入荷できたので、ひさしぶりに全編通して再読してレ…
さて2012年にレビューした本作を十数年ぶりに読み返してみて、やっぱり名作だったので過去記事をリライトする事にした。以下、今までのリライトシリーズ同様にネタバレ含むので未読の方はお帰りください。黒髪のキャプチュードという作品は1992年のコミックドラゴンで連載していた今となっては古すぎる作品なのだが、当時は今よりもさらにマイナーでほぼ存在を知られていなかったマンガである。今でこそネットの普及でマイナー作品にも日の目が十分に当たるチャンスが出てきたのだが、本作が連載されていた90年代前半はマイナー雑誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。 ブログ主もライトノベルを通じて角川系列に手を出し…
総合評価・・・3.82 2024年現在、モーニングで「望郷太郎」を絶賛連載中の「山田芳裕」の代表作とも呼べる作品、それが本作「へうげもの」だろう。主人公は織田信長に仕える武将「古田左介」。のちの世に織部焼を残すことになる武将茶人「古田織部」なのだが、この人物がとにかく名物と呼ばれる器や茶の湯の道具に目がなく、戦乱の時代に翻弄されながらも、ひたすらに自身の物欲と求める数寄の道を目指す物語である。タイトルである「へうげもの」の由来は「ひょうげたもの」=「ひょうきんな人」といったところで、まさに本作の主人公をあらわすに相応しい表現といえる。 戦の時でも名物に目がない数奇者の主人公(1巻より引用) こ…
総合評価・・・3.68 年始一作目はレア作品ということで我が家のマンガ倉庫の中でも希少性が高いと思われる本作を久しぶりに引っ張り出してくる。なんとも懐かしい月間コミックトムと希望コミックスである。月間コミックトムといえば、三国志や風雲児たちといった作品が有名どころとして思い出されるが、本作も有名な作品の一つで一昔前ならその珍しいタイトルから古本屋で見かけることも多かったのだが、今となってはほぼ見かけることはない。物語のあらすじとしては、フランス革命の時代に生きた政治家「ジョゼフ・フーシェ」をモデルにした主人公「ジョゼフ・コティ」というキャラクターの生き様を描いた作品であるが、フランス革命といえ…
2017年以来の総合ランキング完成!なんとか年内に間に合ったぞ・・・気に入った作品があれば年末年始のお暇な時間にどうぞ。総合ランキングは以下の企画から選ばれた上位の作品を集計して作成した記事①マンガ大賞2023②BOOK OF THE YEAR 2023③このマンガがすごい!2024オトコ編④このマンガがすごい!2024オンナ編⑤THE BEST MANGA 2024 ランキングは20位まで作成しているんだけど、今年読めたのは16作品だった。では、早速20位から。 ########################### 第20位 ########################### このマン…
総合評価・・・3.80 「花井沢町公民館便り」以来のの久しぶりのヤマシタトモコ作品だったが非常に良かった。個人的には作者の最高傑作に位置付けたい。その理由はこの作品の主題が「他者との交流」にあるからだ。本作の主人公は、交通事故で突然両親を失った中学三年生の「田汲朝」と、そんな姪を引き取ることになった人見知りの小説家「高代槙生」の二人である。そして、始まる二人の共同生活は通常の作品であれば悲劇のヒロインとして思う存分泣きわめくであろう姪っ子のほうが逆に現実を突き放して受け止めてしまい、突然の同居人を受け入れることになった35歳の叔母のほうがコミュニケーションに苦労するという導入から始まるのだが、…
年末は色々とマンガランキング企画の雑誌が出そろうわけで、今年、超久しぶりに頑張ってランキング作成することにした。ランキング作成をやめていた理由としては、まずエンタミクス廃刊が大きかった。それからダ・ヴィンチのランキングが50位まで発表されていたのが、30位までになってしまって情報量が減った。このあたりでランキングのバランスが悪くなった。というわけで何年も放棄していたのだが、今年は久しぶりに作成してみる事にした。以下はランキング集計方法などを未来の備忘のために自分用にまとめたもので、実際のランキングは近日中にアップ予定なのでしばしお待ちを。 【ランキングルール】ランキング作成に利用したデータは以…
総合評価・・・4.52 2014年から連載開始されたダンジョン飯が全14冊でついに完結したのでレビュー。さて最終の13巻と14巻は2冊同時刊行という事で、この奔放な作品がどのように完結するのかハラハラしていたが見事にまとめ上げてみせた作者の腕前に感服である。よって、評価としても久しぶりに4.5以上で「不朽の名作」入りとした。本ブログにはレビューした作品が840作ほどあるのだが、読んでいてもモチベーションと時間の都合でレビューが書けていない作品も当然たくさんあるわけで、それらも含めると少なく見積もっても2~3千作品以上は読んでいる事になる。そんな中で「不朽の名作」と評価しているのは21作品のみな…
総合評価・・・3.00 「無職の学校」という職業訓練校を舞台にした作品が完結したので、似たようなジャンルの作品として本作を十年ぶりぐらいに読み返したが、当時の印象と変わらずとにかく重く息苦しい作品だった。そして、それこそが本作が描こうとした世界観なので作品としては大成功と言えるだろう。 第1回ネクストコミック大賞の期待賞を受賞した本作だが、絵が上手いわけではないし、コマ割りにセンスがあるわけでもないく、ネームが素晴らしいわけでもない。しかし、当時の日本の若者が直面した劣悪な労働環境という社会問題を、これでもか、というぐらい見事にえぐりだした快作である。 特に、主人公が辞表を提出して、会社と対峙…
総合評価・・・3.84 久しぶりに一流の作品を読んでしまった。とはいえ誰にでもオススメできる面白いマンガというわけではない。本ブログでは稀に「一流の作品」という表現を使うのだが、これは、「面白いとか面白くないとかを超えて創作者としての熱量が凄まじい」みたいな時に使わせてもらっており、本作「あっかんべェ一休」はまさにその類の作品なのである。そもそもマンガにはかつて、紙媒体での表現が難しいと言われていた領域がいくつかあった。例えば音楽マンガ。マンガから音は鳴らせないという当然の理屈から、かつてはバンドやライブなどのマンガは難しいと言われていたのだが、昨今ではプレイヤーの人生に焦点を当てたり、観客の…
総合評価・・・3.36 懐かしのNORAコミックスである。作者「井原裕士」の初連載作品という事で1巻の最初に収録されている読み切り「雪乃エマージェンシー!」の初出がなんと1993年だった・・・。個人的にはノーラコミックス全般は若いころに読んでいた少し古い時代の作品という認識だったが30年前となると少し古いどころではない。大昔である。時の流れがやばい。物語としては90年代にはすごく流行った類の作品で、主人公「倉久雪乃」は普段は眼鏡におさげの地味な女子高生だが、その正体は正義の味方「白雪仮面」というスーパーヒロインで、彼に惚れてしまった一般人の男子高校生「広崎巽」との日常SFラブコメを描いている。…
総合評価・・・3.56 手塚作品はあまりに膨大にあるわけだが、黒い手塚作品としてはかなり知名度の高い本作を今更ながら読了。タイトルがヒロインの名前「奇子」で、ネット情報だと手塚治虫がエロシーンを描いているという事や近親相姦といったテーマが強調されてたので、ひたすらこのヒロインのエロティシズムとフェティシズムが中心の作品なのかと思っていたのだが、正直、そこにはあまり強い印象を受けなかった。というか、ヒロインにそこまで大きくページを割いている作品ではなく、どちらかというと、数奇な運命をたどることになった一族を描いたミステリーやサスペンスといったジャンルだろう。そもそも手塚治虫は案外女性ヒロインの裸…
総合評価・・・4.00 学園ドタバタコメディ+恋愛、みたいなジャンルが最も好きなわけだが、個人的にその源流となっている作品が少年マンガなら「うる星やつら」であり、少女マンガだと本作「ここはグリーン・ウッド」なのだと思う。少女マンガも面白いな、と最初に思わせたのは「伊賀野カバ丸」だったが、少女マンガのほうが面白いかも、と思わせてくれたのはこの作品だった。それぐらい個人的に思い入れの深い作品である。初出は昭和61年の花ゆめ16号という事で、なんと昭和・・・。正直、現在の読者がどこまでその存在を知っているかわからない本作だが、十数年ぶりに改めて再読してみて感じたのが、 現代にも全然通用するだろ、この…
総合評価・・・4.46 今まで人生で何度か読み返しているわけだが、問答無用の名作である。しかし、それ以上に今回久しぶりに本作を再読してみて気がつかされたことがある。それは漫画家「藤田和日郎」の剛腕に関してだ。この剛腕とは何を意味しているかというと、物語の展開や作画の力強さなどを意味しているのではない。作品発表の90年代当時、多くの読者が興味を示さなかった藤田作品の「絵柄」を長い時間をかけて世間に認めさせた、という意味なのだ。この点、もう少し詳しく記述したい。今回のレビューを書くにあたって本作を再読した際に、真っ先に感じたのは、「あれ?藤田和日郎の絵ってこんなに親しみやすかったか?」という事なの…
総合評価・・・4.00 近年では陰惨な展開から始まる復讐劇や恋愛がらみの青年向けの作品が、アニメの人気を入口にして若年層に読まれることが増えたわけだが、それでも、作品にはやはり読むべき適齢期というものがある気がしている。その意味でかつての少年誌の読者層、特に小学生から中学生ぐらいが楽しめるという意味において最高の王道少年マンガに位置づけられるのがやはり本作「金色のガッシュ」ではないだろうか。作者の「雷句誠」が小学館と訴訟に発展したため別の意味でも有名になってしまった本作だが、あまりにストレートに喜怒哀楽を描いた名作であり子供時代にこの作品を読んだ人の多くの記憶に残ったのも頷ける話で、別出版社か…
総合評価・・・3.48 お色気JK「赤坂さん」と天然男子「青山くん」のラブコメ、というよりギャグ寄りのエロコメ作品。ヒロインの赤坂さんは先日レビューした兄友のヒロインとは真逆の存在で、ついたあだ名が愛人という困った存在。このあたりの作品の幅の広さが昔からの花ゆめの強さだよなぁと改めて感心させられてしまう。 色気ありすぎヒロイン赤坂さん(1巻より引用) そんな赤坂さんに振り回されたり振り回したりする青山くんもなかなかの強キャラで、単なる天然男子と見せかけて暴走しまくる動きがとにかく凄い。特に作品の方向性を決定づけたのは2巻収録の修学旅行編の第5話ではないだろうか。彼女にメロメロになる彼氏の作品は…
総合評価・・・3.42 本作は作者「赤瓦もどむ」の初オリジナル連載作品で、所帯じみたヒロイン「七瀬まい」と、女の子慣れしていない兄の友達「西野荘太」のペアによる全10冊の恋愛ラブコメである。花ゆめ45周年記念の作者インタビューでも語られている通り、超展開や強烈に悲しいエピソードなどはなく、ひたすら恋愛初心者の二人のウブな恋愛が描かれており、10巻ぐらいの作品にはありがちな友達ポジションキャラの恋愛には触れず、二人の話がメインで進展する。またラブコメというよりはギャグコメに近い話も多い。特に、西野の妹キャラ「西野秋」はひたすらお笑い担当の役回りで、ギャグマンガのように転げ回ったりもする。そんな作…
水木しげるで育った身としては、どうしても怪奇ジャンルの漫画が大好きなのでその手の作品はすぐ手に取ってしまう。という事で本作ゴーストライターを読んでみた。人の心を勝手に自動書記してしまう「伊勢よしの」と、ネクタイを硬化させる能力で怪奇と戦う「日々木太一」のペアが主人公となる作品で、学園生活と特殊能力バトルといったある種の王道作品である。日常の怪奇「厄介物」に巻き込まれながら、様々な特殊能力に目覚めた生徒会のメンバーと手を組み、敵側の能力者と戦っていくという流れは確かに昨今のファンタジーや学園ジャンルではありふれすぎていたのか、全3巻という完結を迎えてしまっている。 作者「御影夏」の出身からも確実…
総合評価・・・3.84 レースを描かせれば当代随一の漫画家はやはり「しげの秀一」だろう。最近ではMFゴーストの流れから再度本作「頭文字D」に誘導される読者が増えたようだが、バリバリ伝説以来のファンとしては嬉しい限りである。ちなみにバリバリ伝説は当ブログの中でも最高ランクの「不朽の名作」と評価しており、そのあたりのレビューはこちら。 mangadake.hatenablog.jp というわけで本題の頭文字Dなわけだが、「ハチロク」という車種の名前を世界一有名にしたマンガであり、また、プロの世界ではなくあえて峠の走り屋としてストリートの戦いを目指すという観点からも非常にオリジナリティの高いレーシン…
総合評価・・・4.18 以前よりはだいぶマシになったが、ここ近年、とりあえず料理漫画を書いておけば何とかなる、と言わんばかりに料理漫画が氾濫してしまったわけだが、そのブームの全ての原点を創った作品として、そして近代以降の料理漫画における代表作として、やはり本作「美味しんぼ」を外すことは出来ないだろう。今さら美味しんぼに対して語ることなどないくらい世間に知られているドラえもん的存在の作品ではあるが、2014年に作品発表が休載となってから約10年程度が経過したという事で、そろそろ「海原雄山はネタとして知っていても実物を読んだ事がない」という読者も出てきたかもしれないので、知られすぎている作品だとは…
総合評価・・・3.30 発表当時、第一話をネットで読んだときに、その完成度の高さと雰囲気の良さに驚いた作品。突如として氷河期になり食料が無くなってしまった現代日本を舞台に、ダメ男子「ユキくん」としっかりした少女「リッカさん」の二人が肩を寄せ合って生きるというホームドラマは、全3巻完結と短くはあるものの、その独特の優しい世界観と相まって印象に残っている。 微笑ましい二人の主人公(1巻より引用) ただ序盤の頃は氷河期になってしまった世界を相手に、人間が奮闘していく世界観が面白かったのだが、どうしてそのような世界になってしまったのかという設定に関する背景部分や、二人の出会いといったあたりはそこまで詳…
さて、ものすごく久しぶりにアニメ関連。多分、まともにアニメ作品でレビュー書くのはエヴァンゲリオンの完結以来。いや、もう色々と書きたいことが多すぎて頭が休まらないので書く。まずネタバレ全開なのでまだ見ていない人はお帰りください。あと、もう一つ先にお断りしておくと、ホントおもしろかったんだけど、でも多分、世の中で言われているほど文句なく最高だったというレビューではないので、そのあたりが気に入らない人もお帰りください。あ、でもダイナゼノン好きはわかってくれるはずだから、よもゆめ優生思想の人は続きをどうぞ。というわけで、やっと見れたんですわ。劇場版グリッドマンユニバース。ブログ主は実に最悪なタイミング…
総合評価・・・4.72 11年続いた日常系マンガの王者が、最終16巻でついに完結した。感無量である。「石黒正数」という作者は鬼才であり、「外天楼」等の短編集でもその実力を発揮しているのだが、いかんせん少し鋭すぎる部分があり、それ故に毒のある作品を創る。しかしそんな才能を丸子町商店街という舞台の登場人物達が、見事なまでにオブラートに包んだ結果、他に類を見ない日常作品に昇華された。それが本作「それ町」なのだ。 テンプレート的なマンガが多くなってしまった現代において、老若男女がここまで活躍する作品は珍しく、作中のキャラクター1人1人に愛着が持てる内容になっている。この辺りは、マンガ家には珍しく、充実…
総合評価・・・4.00 うる星やつらに始まり、めぞん一刻、らんま1/2、犬夜叉と超ヒット作しか生まないマンガの神様、高橋留美子御大の作品レビューとなると、さすがに書く側も気合が入るというもの。本作、境界のRINNEは全40冊という事で犬夜叉に続くなかなかの長編だが、最後まですらすらと読み進められるあたり、流石の腕前である。ただ、この面白さがどこまで狙って作られたのか、という点に関しては非常に難しい。というのも、この肩の力が抜けた面白さをどのように評価すべきかが非常に悩ましいのだ。端的な感想としては、RINNEは非常に面白い作品だと思う。登場キャラクターも魅力的だし、死神や霊といった設定も適当に…
総合評価・・・3.38 さて、当たり前のように面白いの水準を毎回上げていく天才「小林有吾」による傑作「フェルマーの料理」がドラマ化するという事で、これはもう当然としか言いようがないだろう。それぐらい、フェルマーの料理は昨今の料理マンガの中では頭一つ抜けている印象がある。強烈に面白いので是非読んでほしいが、ヒキが強すぎるので、一度読みだすと毎回続きが気になって精神と身体に悪いという、料理ジャンルとは思えない困った作品だ。そして、そんな好調な「フェルマーの料理」の主人公の一人「朝倉海」の若き頃が描かれた作品が、打ち切りとなった過去作品「てんまんアラカルト」であり、本日のレビュー対象作品なのである。…
総合評価・・・3.34 なぜか検索数が多い作品なので、数年ぶりに読み直して記事をリライト。全体的に人間以外の生物と共生する社会があるとしたらの「if」の世界を粗削りながら描いている作品群だが、作者の巻末コメントにもある通り虫や巨獣のデザインには相当なこだわりがある事がわかりグロ画像が多めの作品なので、その手の作品が苦手な人はそっ閉じでお帰りください。 単行本巻末より引用 本作はグロテスクな異生物と人間が同居する混沌とした世界を描く短編集となり、収録作品は「害虫駆除局」「プリマーテス」「まちあわせ」「箱庭の巨獣」の4作品。「害虫駆除局」 (害虫駆除局より引用) 世界に繁殖し始めた害虫と人間の対峙…
総合評価・・・3.54 作者「矢寺圭太」の「ずっと青春ぽいですよ」が最近お気に入りなので、同じ作者のぽんこつポン子のレビューを書くことに。頑固な独り暮らしのおじいさん「吉岡」のもとにやってきた30年前の型落ちメイドロボット「ポン子」、といういかにも続きが気になるタイプの設定から始まる本作は、全10冊、ちょうど良い長さで完結しており、非常に読み心地の良い作品だ。特に、作者の描くキャラクターと世界観の描写が抜群で、ギャグに寄りすぎもせず、かといってシリアスすぎもせず、日坂町という舞台の中で徐々に増えていく登場キャラクターと、町の人々の中に馴染んでいくポン子の姿に引き込まれて、ついつい最後まで読まさ…
総合評価・・・4.24 さて、以前この記事を書いた時は世の中ではゲゲゲの鬼太郎の猫娘が話題だったのだが、今度は悪魔くんが再アニメ化という事なので改めてリライト。悪魔くんというのは鬼太郎と比較すると非常に難しい作品で、正直、売れたか売れないかでいうと、鬼太郎の足元にも及ばない作品である。アニメ化に関しても鬼太郎は第6期という偉業を達成しているのに対して、悪魔くんは90年に一度だけアニメになっただけとなり、その後、30年の時を経て現代に復活というのだから、いかにも1万年に一度の主人公らしい存在感だ。ちなみに悪魔くんという作品がゲゲゲの鬼太郎に比べると売れていない原因だが、40年来の水木しげるファン…
総合評価・・・3.76 ものすごく久しぶりに再読して大爆笑したので、過去記事のリライトをしようと探してみたところ・・・ ゲゲンチョー!! まだ書いていなかったのである、この傑作に関して。まさか極道一直線の記事を書き忘れていたとは。今でこそ極道をネタにしたギャグ漫画が普通に描かれるようになったが、本作連載の2000年頃となるとそんな尖ったギャグ漫画はまだそこまで作られておらず、なかでも劇画系のギャグマンガと言えば野中英次が最先端を走っていたような時期に思える。 そんな中、劇画系の作画と死ぬほどバカバカしい設定で殴りこんできたヤクザマンガが本作「極道一直線」なのである。 1巻表紙より引用 一度読ん…
総合評価・・・3.64 最近、封神演義のレビューがやけにPVが多いので、それに関連して久しぶりに読み直した藤崎竜の各種短編集を再レビュー。ちなみに藤崎竜の短編を読みたい場合は、以下2つの方法がある。 ジャンプコミックスの藤崎竜短編集(全2冊)こちらは全て短編作品が収録されている。収録作品は以下。(1冊目)・ハメルンの笛吹き・WORLDS・TIGHT ROPE・SHADOW DISEASE・SOUL of KNIGHT(2冊目)・DRAMATIC IRONY・ユガミズム・milk junkie・異説 封神演義 文庫版の藤崎竜作品集(全3冊)こちらは連載作品と短編集の混合で収録作品は以下。(1冊目…
総合評価・・・3.80 本当にいまさらながらにセーラームーンである。実は、これだけ何十年とオタク界隈に生息しながら、かつ、二十年ほど前にセーラームーンの単行本も新装版で入手しておきながら、漫画版を読んだ事がなかったのである。おそらくこれだけ長期間、手元に置いておきながら読まなかったマンガも珍しい。というか他には多分ない。また、アニメ版も存在はもちろん知っていたし、月野うさぎも亜美ちゃんもレイちゃんも最初の頃はテレビで見ていたし、ムーンライト伝説は名曲だなぁとか思っていたわけだが、正直、シリーズ通してちゃんとは見たことがなくて、そもそも全200話もあるシリーズを全て見るのはとんでもない労力なので…
総合評価・・・3.46 アメコミやアート的といったレビューが並ぶ本作だが、作品自体はそこまで大味の海外型作品ではなく、しっかり日本のファンタジーマンガである。ただし、非常に評価が難しい作品。特に画力の面の評価が難しい。とにもかくにも線の太さと濃さが圧倒的で、2巻の安彦良和との対談で腱鞘炎に気を付けるように言われているのも納得の濃さであり、まさにハイカロリーマンガである。ただ、その描写の濃さがそのまま物語の魅力につながっているかというと、むしろ読みづらく感じる部分もあり、絵にかけている労力の分だけマンガが面白くなっているかというと悩ましい。しかし、キャラクターは抜群に良い。特に主人公のワニのアレ…
総合評価・・・4.00 「重版出来!」がついに2023年に完結した。第1巻の発売が2013年ということで10年間で20冊、満を持しての完結である。「松田奈緒子」作品との付き合いは長く、手元にある「レタスバーガープリーズ. OK, OK!」の1巻の発売が2001年となっていた。そのあとがきに書かれていたが、デビューして4年目にしての作者初の単行本だったようなので1996年か1997年頃のデビューという事になるようだ。 デビュー作のレタスバーガーは会心の出来栄えで、当時今よりもずっと女性マンガの地位が低かった時代に、こんなにも面白いマンガが連載されているのか、と唸らされた事をよく覚えている。その後…
読み終わってもレビューに手を付けていない積んでる作品が多くなったので、多少振り返ってレビューという夏休みの宿題に取り組むことにする。 メイクをすると美少女に変身するヒロインの星野と、自分ではメイクできない星野を手伝うことになった美術部の小早川という不思議な組み合わせの学園ラブコメ。「ヒロインのメイクを手伝う主人公」というオリジナリティは非常に良かったのだが、いわゆる秘密を抱える主人公マンガの弱点で、隠し事を素直にさらけ出せないとキャラクターが前に進めないというジレンマに見事にはまっている点が難点だろうか。加えて、序盤はラブコメ展開で行くのかと思いきや、中盤からは松方と加納の女同士の友情ストーリ…
総合評価・・・4.18 最近はウィッチウォッチが山場に入っている篠原健太作品だが、スケットダンスもウィッチウォッチも好きだけれども、やはりマンガとしての完成度は本作「彼方のアストラ」が畢生の出来栄えであり、読み返すたびに圧倒される。ちなみに本ブログの千件近いレビューの中で、全5冊完結のマンガに絞れば、堂々の2位にランクインしているのが本作である(ちなみに1位はデビルマン)。というわけで、以前書いた時はまだ知名度が低かったので、このネタバレ禁止の作品に踏み込んだレビューはしなかったのだが、各種のマンガ賞なども受賞して十分に知れ渡ったであろうことから、以下、ネタバレ全開のレビュー。ちなみに本気で名…
総合評価・・・3.74 正直、山賊ダイアリーを超えるサバイバルマンガにはもう出会わないのではないかと思っていたのだが、ついにそれを超える作品が出てきてくれた。それが本作「ボクらはみんな生きてゆく!」である。全6冊と少し短めの完結となってしまった本作だが、ここ数年新刊を楽しみにしていた作品だったので数か月ぶりにブログを書くことにした。ちなみに、サブタイトルにつけた「転職の指南書」という表現に間違いはない。これは人生のキャリアに悩む全ての人が一読しておく名作であり、それぐらい人生の可能性について考えさせられた作品だった。 「あきやまひでき」の作品といえば、なかなか評価が難しい化学物質過敏症という病…
総合評価・・・3.24 入学した離島の高校には、謎のダンジョンと怪物とお宝が・・・という、なかなか面白そうなファンタジー設定で始まる作品だが、正直、評価が非常に難しくわりと辛口レビューなのでファンの方はそっ閉じで。 さて、全11冊のうち8巻までの第一部と9巻から11巻の第二部では、物語はかなり異なり、純粋にストーリーが成立しているのは第一部までだろうか。第一部の主人公の宇佐美とヒロインのシオちゃんの青春冒険活劇としては、まぁ第一部は何とか読めるものの、第二部の東屋と最上トキの物語はなかなか難しかったようで、第一部で出てきた伏線の回収や登場するキャラクターこそ一部は同じメンバーなのだが、最後まで…
総合評価・・・3.52 こちらも久しぶりに書庫から引っ張り出してきて再読。やはり面白い。1巻の発売が2011年という事で、既に連載開始から10年以上が経過したことを考えても、本作が狩猟とジビエ領域のマンガとして当時最先端を走っていたことは間違いないだろう。というか、唯一無二だった気がするわけで、流石のイブニング編集部である。当時は毎回楽しみに発売日に単行本を購入していたわけだが、最終巻と知らずに第七巻を買って読んでいたら、山賊ダイアリーに似つかわしくない見開きページが描かれていて、あれ?と思いながら読み進めていると、あれよあれよというまに唐突に最終話を迎えてしまったという、そんななんとも寂しい…
総合評価・・・3.82 恐怖短編やSF短編といった作品群が大好物のブログ主なわけだが、近年の短編オカルト作品の中では、最もお気に入りなのがこの作品。インターネット黎明期の2003年頃から原作者「ウニ」が2ちゃんねる掲示板等に投降した一連の原作小説がコミカライズされた本作だが、作画担当の「片山愁」の美麗でいて、そしてどことなく陰のある抜群の画力と相まって素晴らしい作品に仕上がっている。 本作の持つ魅力というのは典型的なオカルト作品のそれとは少し趣が異なる。他のオカルト作品のように気持ち悪さや震えがくるような恐ろしさを単に呼び起こすというよりは、今まで語られてきた各種の都市伝説や怪談を、別の角度か…
総合評価・・・3.48 異色の料理漫画として、そして忘れられないキャラ立ちの女性主人公として、思い出される本作。 美食大好きで、女王様気質の「沈夫人(しんふじん)」と、何をやっても間抜けで腰が低いが料理だけは超一流の料理人「李三(りさん)」のコンビを描いた、料理漫画の皮をかぶった精神的なSM作品である。内容的には具体的な性的描写は一切ないのだが、無理な注文を出しては、李三が悩み苦しむ姿を楽しむ夫人のそれは、完全に精神的な性描写といえるだろう。 とにかく沈夫人のサディスティックさが群を抜いており、マンガ史においてもこれだけ精神的に意地の悪い主人公は、ちょっと記憶にない。そして、そんな性悪な性格な…
総合評価・・・3.44 久しぶりにクローズを全巻一気読みしたので、その勢いでWORSTも読了。まぁ賛否両論あるのもわかる作品だったので、以下ネタバレレビュー。 さて、シリーズを通読して痛感させられるのだが、やはりクローズは月間少年チャンピオンの伝説だったんだなぁ、という事である。全26冊を通してやっていることは単に、ヤンキーが喧嘩している、ただそれだけのマンガなのだが、その作品をもう何度読み返したかわからない。この辺りは、単にレースを繰り返しているだけのバリバリ伝説いも似たような感想を持つのだが、単に主人公が同じ土俵で同じように活躍するだけの物語が、なぜこんなに面白いのか、と不思議になる。それ…
総合評価・・・3.48 マンガの中にはたまに「あー、あの最終回どうなったんだっけ、なんか凄い良い場面があったのだけは覚えてるんだけど・・・」みたいな感情を掻き立てられて、ついつい再読する作品というものがある。 というわけで、SHAMAN KING=通称「マンキン」の完全版ラストが、どうにも読みたくなって数年ぶりに再読。結果、なんとかなってました。しかし完全版27冊を通しで読むと、スッキリする部分とモヤモヤする部分が混在するわけで、そのあたり含めて、未読の方や根強いファンの方は禁止の辛口ネタバレレビューである。 さて恐らく2000年代における、もっとも有名な打ち切り最終回を遂げた本作なわけだが、…
総合評価・・・3.78 デビューから圧倒的に名作を作り続けて、かつ、連載のたびに時代に合わせたキャラ作りができる作者というのは、やはり天才であって、それが「河原和音」なのである。というわけで、部活少女が恋愛にデビューするという斬新な設定で一世を風靡した「高校デビュー」の登場が2004年だったわけだが、その12年後の2016年に発表された、ある意味セルフオマージュともいえる作品「素敵な彼氏」までを一気に読みなおしたので再レビュー。まずは高校デビューだが、やはりこの第一話は鮮烈。2004年といえば、90年代よりは恋愛少女漫画に変化球な作品が増えてきた印象だが、それにしても、この部活少女の主人公「晴…
総合評価・・・3.78 前回に続き、女性二人が主人公のマンガ第二夜マンガランキングで上位を獲得し映画化もしたので未読の方は少ないと思われる本作だが、正直苦手なマンガである。だが、それは面白くない、という意味ではない。非常に面白いのである。読後感爽やかな素晴らしい作品であることは間違いない。ただ読まれた方ならわかると思うが、この作品は恐ろしく描写が繊細で非言語表現を多用するので、感受性が豊かな読者層には強烈に突き刺さるのだが、文字やセリフで心情を判断しようとする論理的思考型の読者にとっては、解釈が難しいのである。もちろん、こんな小難しいブログなんぞを書いている時点で残念ながらブログ主は左脳型であ…
総合評価・・・3.44 OL慧子と女子大生の蘭の二人が、なんとなくキャッキャッウフフする同棲生活を眺めるという、よくある萌え系マンガのジャンルに「ストレッチ」というオリジナリティを加えた作品。とだけ書くとなんとも身も蓋もない説明になってしまい、単なる萌えマンガに思えてしまうのだが、これがなかなかに面白いのだ。 個人的にはこの手の女性キャラクターだけが登場して楽しそうに遊んでいる萌え系作品の世界観は好みではないのだが、年上の慧子が年下の蘭にからかわれる展開に始まって、徐々に明かされていく二人の過去の関係性やシリアスな過去等、ついつい続きが気になって、結局最後の完結4巻まで読まされてしまう憎い作品…
総合評価・・・3.80 最近のエッセーマンガの中で最もお気に入りの作品を今更ながらレビューtwitterやnoteで読んでいたが、もちろん作者「渡辺電機(株)」の印税に貢献するために新品で購入である。しかし何度読んでも面白い、本当に素晴らしい。本当はもっと高い点数をつけたいのだが、如何せん、まだ1巻目で続きが出るかもしれないので、一旦今の評価。55歳独身マンガ家が8歳の娘の父親になる話 もう、このサブタイトルが本作の魅力のすべてを物語っており、社会が求める理想の父娘像がここにある。おそらく55歳という年齢が良かったのだろう。これが40代だったら、本人にもっとトゲや欲望が残っていて、このバランス…
総合評価・・・3.24 さて、少し前に話題になったタコピーの原罪は、下巻発売と同時に読んでいたのだが、やっとブログに書く時間ができた。内容的には完全にネタバレ含めて、かつ、そこまで高評価ではないのでファンの方はお帰りください。以下本文。 さて、あれだけ話題になって期待を込めて下巻を読ませていただいたわけだが、まぁ正直、肩すかしを食らった感は否めない。というか、いい年の大人がジャンプ+の小学生漫画を本気で読むなよ、というのがある意味正しい意見。ただ、この辺り含めてやっぱりこれは少年漫画の原罪だよなぁと思わされたので、その辺りを中心に少し書いてみることにした。まず、作品として良かった点は大きく2つ…
総合評価・・・3.48 あまり意識して書いたわけではないのだが、当ブログで良く閲覧されている記事が田辺イエロウ氏の「結界師」である。物語自体が大きく変遷しながら展開する長編作品なので、じっくりと腰を据えて読むのがお勧めな和風ファンタジーの大傑作なわけだが、なかでも結界師といえばやはり「志々尾限」なのである。 10巻表紙 このキャラクターと良守の絡みが結界師前半の最大の見せ場であり、その後の火黒との決着まで含めて多くのファンが魅了された展開だったと言えよう。で、BIRDMENの記事なのになぜ結界師の話を書いているかというと、本作を既に読まれた方はお分かりだと思うが、どう考えても、英ちゃんと鷹山の…
総合評価・・・4.58 高橋留美子御大の名声を決定的にした、もはや説明不要の不動の名作。この傑作が再びアニメ化ということで久しぶりに全巻読み直しての再レビューである。まず1巻を読み直してみると、あらためて、作者見解にある通りラムちゃんが一度だけのヒロインであり、諸星あたるこそが「うる星やつら」の主人公である事が良くわかる構成になっている。 そして、この「諸星あたる」というキャラクターの魅力が凄い。 「世界で一番女好き」な主人公という、以後のハーレム漫画の主人公が束になっても敵わないオリジナリティがこのキャラクターには秘められている。その後は凶運の諸星あたるとしのぶを中心としたキャラクターのドタ…
ジョジョ全巻それは、第一部から第五部の63冊、第六部ストーンオーシャン17冊、第七部スティール・ボール・ラン24冊、そして第八部ジョジョリオン27冊の合計131冊から成る30年近く続く唯一無二のシリーズである。 ジョジョリオンが完結したら全部読み返そうと思っていて、ついに、その時間が取れたので久しぶりにブログ更新する事にした。 ただ、ジョジョほどのメジャーシリーズの感想は世の中に溢れかえっているので、せっかく全巻読み返した記念に、各巻の作者コメントなどを見ながら、作品テーマを振り返ってみることにしたい。もちろん内容的には容赦なくネタバレするので、未読の方はご注意を。強烈に長文のブログになったあ…
総合評価・・・3.90 「東京卍リベンジャーズ」が売れまくっている、作者「和久井健」のデビュー作。東卍も人気が出るにつれて、タイムスリップを繰り返して引き延ばしているようにも見えるが、本作「新宿スワン」の最後をあれだけ綺麗にまとめあげた実力を信頼して、続きを楽しみにしている最近である。 さて、この作品だが当時からヤンマガが得意としていたアウトロー世界の一つのジャンルとして、「歌舞伎町のスカウト」に目を付けたわけだが、当時は類似作品がないジャンルで非常に良かった。 そして作品序盤は、よくあるマイナージャンルのノウハウや知識をベースにして展開していくわけだが、最初から主人公の白鳥タツヒコや、真虎さ…
総合評価・・・3.60 なんとも懐かしいマンガが読みたくなって、古本市場で購入。「つのだじろう」が作画を担当した第一部までは読んでいたのだが、第二部は未読だったので、今回初めて完結まで読むことができた。結論としては、マンガ史において他に類を見ない怪作であり、マンガマニアなら一度は読んでおきたい作品である。 内容的には、極真空手の設立者である大山倍達の自伝マンガというスタイルを取り、彼の様々な戦いの日々を綴るわけだが、山籠もりに始まり、牛殺し、他流試合等の激しい逸話の数々は、本当に真実なのか?と疑わしく思える個所が何度も出てくる。しかし、そこで本作のリアリティを圧倒的に高めているのが、様々な個所…
総合評価・・・3.90 たまにだけれども、世間的に物凄く売れているとわかっていても、タイミングを逃して読んでいない作品というものがある。本作「トクサツガガガ」がその一つで、かなり初期から話題になっていたので、何度も目には入っていたのだが、完結したら読もう、というスタンスで時間が経過し、最近やっと読む機会があったので、まぁまぁの期待値で読んでみたところ・・・無茶苦茶大傑作でした。 読んでいなかった自分を反省。どこから褒めれば良いのかわからないんだけれど、まずオリジナリティが素晴らしい。特撮というジャンルが一部のオタクを熱狂させているのは知っていたが、その面白さを、これほどマンガで再現できた点に感…
総合評価・・・3.76 久しぶりの更新という事で、懐かしの封神演義である。ネタバレありなので、未読の方は禁止。 さて、ジャンプ連載当時に大好きだった本作を約20年ぶりぐらいに読み返してみて感じたのが、「あれ、この程度だっけ?」という何とも辛口な感想だったが、よくよく考えたところ、以前エヴァ感想の時にも書いた現象と同じだった。いわゆる、時代を先取りしすぎた、という奴である。 1996年という時代を振り返ってみると、その独特なファンタジー設定、斬新なキャラデザイン、ケレン味のある物語展開、そして大きく伏線を回収するラストというスタイルにおいて、ハンターもBLEACHもナルトも、ましてやワンピースも…
マンガブログなので、アニメの事は書いたことないのだけど、一週間たってもシン・エヴァの呪いが解けないから、書く。頭の中のモヤモヤは書いてしか癒されぬ。 というわけで完全にネタバレなので、必ず劇場で見た後に読むこと。こんな至高の名作をネタバレなんてしたら、もったいなさ過ぎて人生が何度あっても足りない。 あと、今回のレビューはYoutubeの岡田斗司夫の解説動画にも強烈に影響を受けていて人生で初めてYoutube課金してしまったぐらい良い考察だったので、そちらも出典として後で貼っておく。その意味で、このレビューは物語考察ではなく創作者目線の考察なので、興味がない人はそっ閉じしてお帰りください。 なお…
総合評価・・・3.68 ずいぶんと久しぶりに更新。 ついに完結という事で、中盤からしばらく距離を置いていた、「あさひなぐ」をやっと読了。 久しぶりの大型部活マンガだったと思うので、マンガ界の一大ジャンルといえる「部活マンガ」という領域に関して、ネタバレ含めて長文で感想を書いてみることにする。序盤大好きだった作品だけに、相当な辛口レビューなので、ファンの方は、このままお帰りください。 全34冊、何も持っていない系の主人公が、ひたすら努力を重ねて成長するという物語は、昨今の洗練されたマンガとは一線を画しており、その点は非常に面白かった。やはり泥臭い青春部活マンガはいつの時代も王道。反面、人気が出て…
総合評価・・・3.74 リボーンの棋士が全7冊でついに完結してしまった。打ち切りと思わざるを得ない中盤の急展開から、よくぞここまでまとめきった、という綺麗な終わり方だった。6巻の時点で次巻完結という衝撃の告知が出ており、これだけ面白いマンガをなぜ終わらせてしまうのか残念でならなかった。それぐらい6巻の師弟対決の完成度は高かったのだ。しかし、それを上回るほど最終巻は面白かった。打ち切り展開でこのクオリティは正直凄いことだ。振り返って、何がこの作品の魅力だったかと言われれば、その答えはキャラクターのリアリティの一言に尽きる。子供の頃から神童と呼ばれ、奨励会に入るもプロになれず、フリーターとして過ご…
本ブログ主は、特に誰と交流しているわけでもなく、ただ日常読んだマンガの備忘録のつもりでかれこれ10年ぐらい続いております。なので、こんな企画に絡むことはないと思っていたのですが、うちのような過疎ブログを褒めてバトンを回してくださる貴重な方がいましたので、挑戦してみました。そして、早速、画像編集とかIDコールとか色々ググることに・・・ 1.回してくださった方 マンガマン (id:cyobis)さんです。定期的にマンガ紹介されていて、怠けて更新していない当ブログとは大違いです。幅広い年代のマンガを紹介してくださるところが良いですね。 www.manga-man.info 2.もらったバトン なんか…
総合評価・・・3.56 最近、長期連載作品を完結してから読むことが多くなってきて、マンガを怠けている今日この頃。というわけで、本作も今更ながら読了。先にお断りしておくと人気作品だったかもしれないが、若干、辛口評価も入っているのでファンの方はご遠慮ください。まず、100%認める点としてはタイトルの良さ。作中何度も登場するフレーズで、かつ、この作品のメインテーマともいえる、素晴らしい魅力を持ったタイトルである。そして、いつ、このタイトルを作中で伏線回収するのだろうと思っていたら、第189話『実は私は』で、ここまで見事に回収するとは思わなかった。この最終巻の流れは完璧。アマゾンで最終巻の評価が異様に…
個人的にハル×キヨが好きだった「オザキアキラ」作品である。 大切に育てられた箱入り娘で恋愛に超鈍感な主人公「有栖川鈴」と、いつもやさしい完璧イケメン、野宮くんとのラブコメディ。なんともストレートな少女漫画で、序盤は恋愛と無縁の主人公の慌てぶりを眺めて楽しめるわけだが、中盤から野宮君の親友の菅谷の横恋慕も始まってしまって、色々不安になりながらも、最終的には大団円になってくれって安心の結末であった。このあたり、もう少し波乱の展開を求める読者には物足りないかもしれないが、前作のハル×キヨの時も似たような読後感だったので、作者の持ち味なのだろう。恋愛作品も波乱があれば良いというわけではないので、なかじ…
総合評価・・・4.02 鬼滅の刃が、あの絶大な人気を誇る中で見事に完結したので、「ジャンプにしては珍しい」という意見が多く出ていた。私としても同感で、マンガはやはり20冊程度が丁度良い気がする。長くても30冊。そして、20冊前後で完結の近年のジャンプ名作といえば、やはりこの「暗殺教室」だろう。完結以来再読していなかったので4年ぶりの再会となったが、本当に面白かった。特に第一話の完成度は圧倒的で、これだけ期待を持たせられた第一話は、ちょっと思い当たらない。 それぐらい、「教室」と「暗殺」の組み合わせは凄まじいのである。 圧倒的完成度の第1話 確かに、ネウロの頃からオリジナリティには定評のある作者…
総合評価・・・4.02 青春作品の王者、「吉田聡」が描く大傑作。 著作の中では知名度は低いかもしれないが、個人的には1,2を争う名作だと考えており、何度読み返しても泣かされてしまう素晴らしい作品である。 過去、甲子園決勝戦でエラーを犯したトラウマを引きずる浪人学生「ラッキュー」。 そんなラッキューの前に突如現れた謎の大男「コッセツ」 二人の出会い(1巻) なんでも屋を名乗るその男と、子供の喧嘩に巻き込まれてみたり、お婆さんの埋蔵金探しを手伝ったり、 色々な相談についつい巻き込まれる二人(1巻) そんな何の儲けにもならない人助けを繰り返すうちに、ラッキューは、次第に過去の自分のトラウマと、また「…
「こんな波乱万丈な人生、誰が書いても面白いマンガになるに決まっている」はっきり言って、それぐらい田中角栄はずるい存在である。地盤(じばん)看板(かんばん)鞄(かばん)=金といわれる「3ばん」がなければ成功しないといわれる政治の世界において、金もコネも学歴もない田舎から上京した若者。そんな彼が政治を志し、自身は高等小学校卒の学歴ながら、その人たらしの技術で最高学府の官僚を巻き込み政治を取り仕切り、金の力を巧みに操り政治家達を抑え込み、この国の宰相にまで駆け上がる。そしてついには、ロッキード事件というアメリカを巻き込んだ巨大な陰謀劇を舞台に転落する。どう考えてもその存在がマンガである。この稀有な天…
完結以来読んでいなかった本作を読み返したところ、当時感じたより何倍も面白く感じて、何度も読み返してしまったので、長文で書く事にする。以下、壮絶にネタバレありなので、未読の方は禁止。長編なんだけどなんとなく地味だよね、とか中盤まで(黒芒楼編)は面白いよね、とかラストのまとめ方が納得いかない、等、世間的な評価が散々な本作なのだが、実際2011年に本作が完結した時のサンデーを読んだ私の感想も同じだった。え、これで終わり、これで最終回なの?もっと面白くできたんじゃないの?みたいに感じたのを良く覚えている。ところが、今回読み返してみて良くわかった。この作品は「少年マンガ」としてのツボは完全に外しているが…
鬼滅の刃がついに、クライマックスを迎えた。 そこで本ブログを振り返ってみたところ、この作品のレビューを書いたのが2017年だった。自分が覚えていた以上に古くから鬼滅推しをしていたので、その意味でもこのタイミングで本作を振り返ってみたくなった次第である。 以下、本誌連載まで含めて色々ネタバレするので注意。 この作品のレビューでよく聞かれる声が、「当初は人気がなかったけど読み返したら面白かった」とか「自分はまだ漫画を見る目がなかった」的な、ジャンプベテラン勢による後悔のレビューだ。 確かにこの作品は、過去に類を見ないレベルで、打ち切りグループから看板作品に成長を遂げた怪作であった。私も数十年ジャン…
パレス・メイヂ 番外編~陛下のプロトコール~【電子限定おまけ付き】 (花とゆめコミックススペシャル) 作者:久世番子 発売日: 2020/03/18 メディア: Kindle版 近年の宮廷系ロマンスとしては最高峰といえる「パレス・メイヂ」の番外編もついに完結という事で、即購入。 「久世番子」といえばエッセイ系のベテランのイメージであったが、作者得意の観察眼と、膨大な参考文献に支えられた世界観で描かれるラブロマンスは、毎回、続きを読むのが楽しみなシリーズだった。収録作品の最終話を、「柏木の屏風裏」という渋い話で抑えるあたりも、流石の構成力といえる。モーニングで掲載された、新作「修羅場の人」も十人…
無慈悲な8bitの4巻購入。 無慈悲な8bit (4) (ファミ通クリアコミックス) 作者:山本さほ 発売日: 2020/03/14 メディア: コミック 良く考えたら、このブログで1巻から全て発売のたびにレビューしている作品って、 この作品ぐらいではないだろうか。 古くは桜玉吉や柴田亜美が、斜めにずらしたファミ通連載のギャグの軸を、 王道のゲーム中毒者スタイルで展開する「山本さほ」の描く内容が、 これ以上ないくらい、ゲームマンガの連載にふさわしく、最高に面白い。 勿論、岡崎に捧ぐも素晴らしい作品なんだけど、 作者が心底楽しんでいる様子を眺めるには、やはりこの作品が良い。 所謂、「山本さほ」先…
あの超名作、ナガサレール イエタテールの完全版という事で、旧版は何度も読んだが即購入してしまった。 正直、旧版を読んだ人に真新しいサプライズがあるわけではないが、それでも作者「ニコ・ニコルソン」の代表作として、読み直さずにはいられない。あの東日本大震災からもう9年が経過するとは時の流れは早いものである。 内容的には旧版と大きく変わるわけではないが、ファンとしてはやはり追加の描き下ろし部分だけでも嬉しいかぎり。おばあちゃんの介護を取り扱った作品の時にも感じたが、やはりこの作者はエッセイが抜群に巧い。せっかくの完全版なのだから、旧版の初版にだけついている著名作者の応援コメントも載せて欲しかったのが…
北区赤羽が完結した以上に、壇蜜との結婚で話題をさらった「清野とおる」だったが、相変わらずのテンションの最新作に安心。どの話も味があって面白いのだが、後半収録の話の方が個人的に好みで、「事故物件夫婦」や「入れない路地」あたりがお気に入りである。特に、作者得意の現実と奇妙の境目への入り込み方が巧みで、何もないはずなのに、何かあるかもと感じさせる展開が面白い。オカルト現場突撃系作品としては、「ソレミテ」も非常に面白いのだが、独特の不安感の煽り方は本作の方が上だろう。オカルト現場であえて飲酒。まさに以前から主張されている「ハイリスクノーリターン」作戦以外の何物でもない作品である。 東京怪奇酒 作者:清…
以前から気になっていたが、なかなか読めなかった本作をついに読了。タイトルの通り、昆虫というレアなテーマを真面目に掘り下げた秀作で、チャンピオンRED連載故にエロシーンを挟まずにはいられなかったのだろうが、そんな要素を抜きにして、青年誌辺りでしっかり連載しても良かったのではないかと思わせる専門系の作品だった。全てにおいて、何らかの虫が登場して物語が展開するわけだが、そんな困難な縛りにも拘わらず、10冊もネタが続いたのだから原作「藤見泰高」の知識量に脱帽である。グリーンプラネットという害虫を使って社会に混乱を巻き起こす集団の設定もマンガ的で面白かったのだが、こちらは最後まで伏線回収されずに、主人公…
北海道の農業高校を舞台にした学園青春コメディ作品がやっとこさ完結したということで、全巻集めて読み直すことにした。作者「荒川弘」は言うまでもなく現代最高峰のマンガ家の一人で、「鋼の錬金術師」終了後に始まった本作の面白さと、そのジャンルを問わない才能に心底恐れ入ったものである。ただ勢いよく面白かった序盤に比べて、休載が連続するようになってからのこの作品が、漫画作品として素晴らしかったかというと若干、評価に困る点があり、作者自身の情熱も徐々に下がってしまった感は否めない。設定も面白く、キャラクターも良く動き、ラストの展開こそファンタジーだが、そこまでに至る道筋に大きく外している部分は決してないのだが…
書きたくない、しかし読んでしまったからには書くしかない。完結したのにずっと読んでいなかったアリエネに、ついに手を出してしまった。 このブログの作品レビューでは総合5点満点を「圏外」と称していて、「圏外」扱いにする作品は2つだけと最初から決めていた。 それが、ご存知こち亀と、「山田玲司」の不滅の傑作「Bバージン」なのである。 Bバージンのレビューはもうずっと書く事が出来ておらず、そもそも、あの当時読んだ面白さを再読して体験できる自信もないため、もはや、作品レビューを書くことなくブログを閉じるかもしれないのだが、そんな巨匠がエンターテイメントを舞台に最後に挑んだ、自身の体験談を込めまくった作品、そ…
予想の斜め上を行く面白さに脱帽。正直、連載開始時は、コミックDAYSでたまに実施される、設定が奇妙なだけのふざけた新連載かと侮っていたが、正直、これは面白い。まさか石兵八陣の伏線を、ここで回収してくるとは。。。現在、1話から4話が無料なので、これは是非、目を通してほしいレベルである。世の中、面白いマンガはまだまだあるなぁ。
https://comic-days.com/episode/10834108156708586366 コミックDAYS連載作品は、たまーに気になる新連載に目を通しているのだが、これは、ちょっと化ける可能性があるかも。諸葛亮孔明が現代に転生するという最近流行りのふざけた転生パロディマンガかと思いきや、意外に読ませる。第四話から孔明の知略が展開しそうなので、その内容次第では、相当面白くなるのではないだろうか。期待。
物凄く久しぶりに更新。 久しぶりすぎてはてなブログの書き方を忘れるレベル。 最近は純粋にマンガを楽しむ為にブログを書かずに、のんびり読む専門で暮らしていたのだが、本作を読んで久しぶりに書きたくなったので、記事にする事にした。内容としては、性欲と愛の違いという哲学的なテーマを、決して巧いとはいえない画力の作者が、特異な作画や描写を駆使して描いた作品で、現代におけるガロ的な印象を受ける内容だった。描きたいテーマが難しい作品は、難解になりすぎて読者がついていけない事が多いのだが、この作品はその辺りのバランスもよく、読後感も悪くない。あとは全2冊構成になっているが、要素として必要性を感じないキャラクタ…
ひゃくえむ。(3) (マガジンポケットコミックス) 作者: 魚豊 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/08/09 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 最近、とにかく続きが気になる作品と言えばこれである。 あわや単行本が発売されない可能性があった本作が、 SNSの力で覆されて世の中に出てきてくれた事で本当に助かった。 この作品を発売しないなんて、いくらなんでも編集サイドが無能すぎる。 100メートル走という、非常に単純ながら奥深い世界を、 最近流行りの薀蓄ではなく、マンガの迫力で描こうとする稀有な作品。 それが本作「ひゃくえむ。」である。 人が速く走るという、ただ…
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原作未読なのだが、各種のレビューを読む限り、原作の面白さを完全に再現したコミカライズとはいかなかったようである。近未来SFと残虐なサスペンスとシュールさを交えた世界観が、どうにも淡々として描かれてしまっており、それ故に、途中で挟まれるギャンブルシーン等も、惹き込まれるような狂気がなく、今までのサスペンス色を減退させてしまっている。原作「沖方丁」の腕前は確かなのだが、作画の「大今良時」は実力派とはいえ、もう少し健全な作品を描くので、狂気が緩和されてしまっている印象を受ける。コンビの組み合わせの問題なのだろう。絵柄が違うために全く違った作品に思えるかもしれないが、「虐殺器官」のコミカライズの組み合…
原作「狩撫麻礼」、作画「たなか亜希夫」のベテランコンビにおける代表作ともいえる本作。バブルの時代の世相に背中を向けるように、境界線上の「あちら側」の人間の生き様に唾を吐いて、ただひたすらに奔放に生きる主人公、蜂須賀。序盤こそまだキャラが固まっておらず小物感が凄いが、センパイとしての威厳を徐々に回復して、中盤は人生の放浪者としての味わい深いキャラクターを確立している。反面、もう一人の放浪者であった久保田は、すっかり後輩ポジションに馴染んでしまって、良くも悪くも勢いで描かれた作品ではあった。ただ、この懐かしさと熱量の正体は何なのだろうか。今の時代に読み返すと、淡々とした現代のマンガと違い濃すぎるキ…
全8冊。近年のマンガ作品の中では、その構成とオリジナリティにおいて、群を抜いている、鬼才「堀尾省太」の傑作である。レビュー自体は、何を書いてもネタバレになってしまうほど、独特な内容の物語なので、未読の方は、何も考えずに、まずは手に取るのが良いだろう。ストーリー・キャラクター・構成・世界観と、全てにおいてレベルの高いサスペンス作品なので、ジャンルと絵柄と多少のグロさが嫌いでなければ、確実に誰もが楽しめる傑作だろう。現在、作者は「ゴールデンゴールド」というこれまた全く他人には説明できない奇妙な世界のミステリー作品を描いているが、こちらも非常に面白い。続きが気になる作品が読みたい方に是非オススメであ…
非常に丁寧に冒険ファンタジーを描いていた本作が、急遽10巻で完結してしまい、ショックでしばらくレビューを放置していたが、久しぶりに再読。COMICリュウ休刊のあおりをうけてしまったのかわからないが、急ピッチで今までの伏線を最終巻で回収しており、これまでの冒険の結末としては、何とも勿体ない仕上がりである。最終巻で明かされたウォルデシアとあせびの物語の伏線が、十分良くできていただけに、この物語を急ピッチで巻き取らざるをえなかった構成だけが悔やまれる。もっと面白くなっただろうに。。。色々な雑誌で新しい作品が産まれるのは良いのだが、面白い作品に日の目が当たる仕組みがもう少し必要で、昨今の新作の乱発には…
一時期話題になった本作を今更ながら読了。サッカーマンガというより、一人のプロサッカー選手の人生に関わった登場人物達を描いたオムニバス形式のヒューマンストーリーという構成の本作。特に、序盤の面白さは抜群で、ストレートすぎるほどの感動作品として完成されている。ただ、人気が出てしまったせいか中盤からは若干間延びしている感が否めなく、最終2話は個人的には完全に蛇足だった気がする。また、最終話の手前のヒロインとの物語の結末は、めぞん一刻の「桜の下で」とあまりに類似しているので、作者「中村尚儁」のオマージュと捉えた方が良いだろう。画力が高いわけではなく、サッカーシーンが素晴らしいわけでもないのに、これだけ…
二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (1) (ビッグコミックス) 作者: 高瀬志帆 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2018/02/09 メディア: コミック この商品を含むブログ (2件) を見る 第一話を雑誌で読んだ時には「なかなか着眼点の良い作品が出てきたな」ぐらいに感じていた本作だが、しばらく放置していたら本屋さんで山積みになりはじめたので、全冊購入してみた。結果、強烈に面白い。超一流塾から転籍してきた主人公教師のキャラクターの魅力に加えてクラスの生徒の個性も抜群で、学校の群像劇のような成長物語と、中学受験という近年の一大サービス産業という知識系マンガの側面も持ち合わせており、これは…
はねバド!(15) (アフタヌーンコミックス) 作者: 濱田浩輔 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/06/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 最近、はねバド!しか新刊レビューを書いてない気がする。そのくらい、美少女マンガの皮をかぶったこの本格バトミントンマンガにすっかりハマってしまっていたわけだが、ここ数巻の怒涛の勢いからやっと解放された感があるインターバルとしての15巻だった。作者の最もお気に入りのキャラクターとなる志波姫との決着がどうなるのか、前巻のヒキが凄まじかっただけに猛烈に期待していたのだが、残念ながら少し勢いの落ちる内容だった。というか、10…
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昭和顔の俳優・松尾諭の半生を描く人間ドラマ。味わい深い感情描写と構成が光る秀作。
夫婦の葛藤や静かな日常をやまだないと独特の感性で描く、私小説的センスが光る秀作。
古谷実『ゲレクシス』は序盤の会話劇は秀逸だが、唐突な展開と未消化の結末が読者を惑わせる異色作。
「僕の小規模な失敗」と「僕の最後の失敗」は、福満しげゆきの20年の変遷と独特の余韻を描く感慨深い作品群。
エンジェル伝説は誤解と勘違いが生む学園ギャグの傑作。見た目と中身のギャップが最高に笑える。
わが指のオーケストラは、手話とろう教育の尊厳を描いた不朽の名作。
人のために働くは詩的で哲学的な構成が特徴の問題提起型作品。
評価:4.00 / 5点 レビュー執筆:mangadake(当ブログ管理人) 最終巻発売の描き下ろしを楽しむために1日がかりで全巻再読。いいね!!最高だ!!としか言えない傑作だった。特に最終27巻単行本の描き下ろしラストエピソードが完璧で、これは1日つぶして最初から一気読みした価値が確実にあった。幸せ。まだ完結して間もない作品なので、あまりレビューでネタバレには踏み込みたくないのだが、物語の展開と世界設定が相当に複雑な作品なので読まず嫌いしている人も多い印象だ。しかし、これは未読のままでは非常にもったいない傑作である。そこで少しばかり内容にも踏み込んでレビューする事にした。以下、ネタバレあり。…
{ "@context": "https://schema.org", "@type": "Review", "author": { "@type": "Person", "name": "mangadake" }, "datePublished": "2025-03-29", "reviewBody": "作者の欲望と趣味が詰め込まれた短編傑作。連載当時から異質な存在感を放ち、今なお読者の記憶に残る名作。劇画調とマンガの融合による独特の画風、多彩な不気味さの演出、そして混沌とした世界観と鋭いセリフ回しが圧巻。ジャンルや展開を自在に変えながらも一貫したテーマを感じさせ、冨樫義博の天才性をこれ以…
総合評価・・・3.50 珍しく少し、ひいきしている作品かもしれない。というのも、本作は打ち切りだったかはわからないが、まだ描ける部分がありつつも全3巻で短く完結してしまった作品だからだ。そして、最後まで十分な尺をもって描き切れてない作品というのは、どうしても後半の構成や展開に難が出るので作品としての評価は低くせざるを得ないのだが今回はそれでもなおブログを書きたくなる面白さを感じたのだ。一言でいえば「いぶし銀」の渋い良作なのである。そして装飾華美な現代において、こういった地味だが考えさせられる作品が読まれる事こそマンガという文化の役割があるのではないかと感じて、応援の意味を込めてレビューする事に…
今年も各種ランキング雑誌の情報から総合ランキング作成!また、なんとか年内に間に合ったぞ・・・気に入った作品があれば年末年始のお暇な時間にどうぞ。総合ランキングは以下の企画から選ばれた上位の作品を集計して作成した記事。ざっくりいえば多くの記事にランクインしているほど上位にあがる集計。①マンガ大賞2024②BOOK OF THE YEAR 2024③このマンガがすごい!2025オトコ編④このマンガがすごい!2025オンナ編⑤THE BEST MANGA 2025各企画の傾向としては、以下。マンガ大賞は直近発表の新作がバランスよく選ばれる。BOOK OF THE YEARは古くから連載されている作品…
総合評価・・・3.86 新人のジャンプ初連載作品として、あまりに高い完成度を誇るギャグレスリング漫画であり、笑える、泣ける、盛り上がる、と無駄な展開はなく全10冊でキレイにまとまった稀有な作品。それが本作「THE MOMOTAROH」である。 ブログ主の中で「10冊完結のマンガは名作」という定説を持ち始めたきっかけの作品ともいえる。 謎の覆面レスラーである主人公「ザ・モモタロウ」は、普段はギャグばかりのどうしようもないキャラなのだが、決めるときは決めるというギャップが最高のキャラクター性。 ギャグとシリアスの緩急が最高(1巻より引用) また登場するライバルキャラクター達も非常に魅力的で、昔話に…
総合評価・・・4.10 古くからの二ノ宮知子ファンなのでほぼ全ての作品を読んでいるわだが、知名度でいえばやはり「のだめカンタービレ 」には劣るが、一番好きな作品をあげろと言われれば絶対に外せないのがこの「天才ファミリー・カンパニー」である。 作品発表から数十年を経過したわけだが、改めて読み返してみると作者の社会を見抜く観察眼の凄さを感じさせる大傑作なのだ。 二ノ宮知子の最初期作品である「トレンドの女王ミホ」は社会を観察する力で創作されていたが、やはりその頃から観察眼に関しては天性の才能があったのだろうか。 Wikiによると本作の連載開始は1994年という事で作者が20代半ばの頃の作品になるのだ…
総合評価・・・3.86 あまりに面白かったので2か月ぶりにブログ更新。日常系作品として近年の最高傑作をあげろと言われれば即答で「それでも町は廻っている」と答えるぐらいの石黒正数ファンなわけだが、そんな名作に多大な影響を与えたと言われているのが本作「菫画報」だという事で以前から読んでみたかったわけだが、今回読んでみて沼にハマってしまった。これはさすがに面白すぎる。Wiki様によると石黒正数は作者の小原槇司に「俺の『菫画報』を描かせてくれ!」と伝えたぐらい影響を受けた作品らしいのだが、読んでみると確かにこの空気感は「それ町」である。なによりも本作の最大の魅力である主人公「星乃スミレ」のキャラの強さ…
総合評価・・・3.58 久しぶりに再読したので過去記事リライト 本作は連載開始が1998年という古い作品なわけだが、改めて読み直してみると、その作品づくりにおけるコストの高さに心底驚かされた。 主人公の「大沢公」は、ベトナム大使の「倉木和也」に雇われた公邸料理である。 ひたすら我が道をいく主人公(1巻カバーより引用) そして倉木が目指す「食による外交」を実現する為に、各国外交官や首脳陣に数々の料理をふるまい、料理による感動で彼らの心を動かし様々な外交を実現していく。 端的に書けばそんな物語なのだが、文字で書くのは簡単だが実際にマンガでこの外交官付きの公邸料理人という設定を描くとなるとかなりの専…
総合評価・・・3.60 最近は社会全体がお金大好きなので当然にマンガ業界もこのジャンルに目を向ける事になり株式、FX、不動産と様々な経済ジャンルのマンガが増えてきたわけだが、その中でも圧倒的なオリジナリティを誇った怪作が本作「ハイパーインフレーション」である。主人公「ルーク」は神との契約により生殖能力を失った代償として「体からいくらでも偽札を吐き出せるようになる」という不思議な力を得ることになるのだが、この一見バカバカしい能力が経済とインフレをわかりやすく物語に落とし込むための非常に巧妙なギミックになっている点が圧倒的に凄いのだ。 射精行為のように偽札を産むルーク(1巻より引用) 経済やインフ…
総合評価・・・3.90 チャンピオン連載時の作品発表が1995年にも関わらず、いまだに語り継がれる主人公「秋山醤」を産み出した異色の傑作、それが「鉄鍋のジャン!」だ。本作はそのキャラクター人気から続編やスピンオフも幅広く展開しており、主軸としては無印版が27冊、その後の続きを描いた「鉄鍋のジャン!R」が10冊、そして秋山の息子が主人公となる「鉄鍋のジャン!!2nd」の7冊が描かれており、まさに作者「西条真二」の代表作といえる作品である。オリジナル版の27冊がなかなか入手しづらかったのでしばらく再読できていなかったが、今回タイミングよく全シリーズを入荷できたので、ひさしぶりに全編通して再読してレ…
さて2012年にレビューした本作を十数年ぶりに読み返してみて、やっぱり名作だったので過去記事をリライトする事にした。以下、今までのリライトシリーズ同様にネタバレ含むので未読の方はお帰りください。黒髪のキャプチュードという作品は1992年のコミックドラゴンで連載していた今となっては古すぎる作品なのだが、当時は今よりもさらにマイナーでほぼ存在を知られていなかったマンガである。今でこそネットの普及でマイナー作品にも日の目が十分に当たるチャンスが出てきたのだが、本作が連載されていた90年代前半はマイナー雑誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。 ブログ主もライトノベルを通じて角川系列に手を出し…
総合評価・・・3.82 2024年現在、モーニングで「望郷太郎」を絶賛連載中の「山田芳裕」の代表作とも呼べる作品、それが本作「へうげもの」だろう。主人公は織田信長に仕える武将「古田左介」。のちの世に織部焼を残すことになる武将茶人「古田織部」なのだが、この人物がとにかく名物と呼ばれる器や茶の湯の道具に目がなく、戦乱の時代に翻弄されながらも、ひたすらに自身の物欲と求める数寄の道を目指す物語である。タイトルである「へうげもの」の由来は「ひょうげたもの」=「ひょうきんな人」といったところで、まさに本作の主人公をあらわすに相応しい表現といえる。 戦の時でも名物に目がない数奇者の主人公(1巻より引用) こ…
総合評価・・・3.68 年始一作目はレア作品ということで我が家のマンガ倉庫の中でも希少性が高いと思われる本作を久しぶりに引っ張り出してくる。なんとも懐かしい月間コミックトムと希望コミックスである。月間コミックトムといえば、三国志や風雲児たちといった作品が有名どころとして思い出されるが、本作も有名な作品の一つで一昔前ならその珍しいタイトルから古本屋で見かけることも多かったのだが、今となってはほぼ見かけることはない。物語のあらすじとしては、フランス革命の時代に生きた政治家「ジョゼフ・フーシェ」をモデルにした主人公「ジョゼフ・コティ」というキャラクターの生き様を描いた作品であるが、フランス革命といえ…
総合評価・・・3.90 チャンピオン連載時の作品発表が1995年にも関わらず、いまだに語り継がれる主人公「秋山醤」を産み出した異色の傑作、それが「鉄鍋のジャン!」だ。本作はそのキャラクター人気から続編やスピンオフも幅広く展開しており、主軸としては無印版が27冊、その後の続きを描いた「鉄鍋のジャン!R」が10冊、そして秋山の息子が主人公となる「鉄鍋のジャン!!2nd」の7冊が描かれており、まさに作者「西条真二」の代表作といえる作品である。オリジナル版の27冊がなかなか入手しづらかったのでしばらく再読できていなかったが、今回タイミングよく全シリーズを入荷できたので、ひさしぶりに全編通して再読してレ…
さて2012年にレビューした本作を十数年ぶりに読み返してみて、やっぱり名作だったので過去記事をリライトする事にした。以下、今までのリライトシリーズ同様にネタバレ含むので未読の方はお帰りください。黒髪のキャプチュードという作品は1992年のコミックドラゴンで連載していた今となっては古すぎる作品なのだが、当時は今よりもさらにマイナーでほぼ存在を知られていなかったマンガである。今でこそネットの普及でマイナー作品にも日の目が十分に当たるチャンスが出てきたのだが、本作が連載されていた90年代前半はマイナー雑誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。 ブログ主もライトノベルを通じて角川系列に手を出し…
総合評価・・・3.82 2024年現在、モーニングで「望郷太郎」を絶賛連載中の「山田芳裕」の代表作とも呼べる作品、それが本作「へうげもの」だろう。主人公は織田信長に仕える武将「古田左介」。のちの世に織部焼を残すことになる武将茶人「古田織部」なのだが、この人物がとにかく名物と呼ばれる器や茶の湯の道具に目がなく、戦乱の時代に翻弄されながらも、ひたすらに自身の物欲と求める数寄の道を目指す物語である。タイトルである「へうげもの」の由来は「ひょうげたもの」=「ひょうきんな人」といったところで、まさに本作の主人公をあらわすに相応しい表現といえる。 戦の時でも名物に目がない数奇者の主人公(1巻より引用) こ…
総合評価・・・3.68 年始一作目はレア作品ということで我が家のマンガ倉庫の中でも希少性が高いと思われる本作を久しぶりに引っ張り出してくる。なんとも懐かしい月間コミックトムと希望コミックスである。月間コミックトムといえば、三国志や風雲児たちといった作品が有名どころとして思い出されるが、本作も有名な作品の一つで一昔前ならその珍しいタイトルから古本屋で見かけることも多かったのだが、今となってはほぼ見かけることはない。物語のあらすじとしては、フランス革命の時代に生きた政治家「ジョゼフ・フーシェ」をモデルにした主人公「ジョゼフ・コティ」というキャラクターの生き様を描いた作品であるが、フランス革命といえ…
2017年以来の総合ランキング完成!なんとか年内に間に合ったぞ・・・気に入った作品があれば年末年始のお暇な時間にどうぞ。総合ランキングは以下の企画から選ばれた上位の作品を集計して作成した記事①マンガ大賞2023②BOOK OF THE YEAR 2023③このマンガがすごい!2024オトコ編④このマンガがすごい!2024オンナ編⑤THE BEST MANGA 2024 ランキングは20位まで作成しているんだけど、今年読めたのは16作品だった。では、早速20位から。 ########################### 第20位 ########################### このマン…