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  • 面倒くさいという気持ち

    世の中には、自分が面倒くさいことを嫌うあまり、さりげなく人に押し付けてしまう人がいる。 「あれ、やっといてくれる?」とか「これ、得意でしょ?」なんて言いながら、しれっと自分の負担を減らそうとする。 ああいうのは、正直許しがたい。 面倒くささというのは、全体でうまく分担して、できるだけ軽減していくべきだ。 誰か一人が引き受けてしわ寄せがくる形では、面倒が倍増するだけで、結局はうまくいかない。 さて、偉そうに他人を批判したが、私も面倒くさいことが苦手だ。 むしろ、人並み以上に嫌いだと思う。 だから、「楽にする方法」を探すのだが、その過程で自分でも驚くほど手間をかけてしまうことがある。 たとえば、ル…

  • 寓話:幸せの市場と不幸せの市場

    むかしむかし、結婚市場が盛んな国がありました。そこでは、結婚相手を探すための大きな見本市が年に一度開かれ、独身者たちは皆そこに集まりました。 市場には大きく二つのエリアがありました。ひとつは「妥協市場」、もうひとつは「理想市場」です。 妥協市場の話 「妥協市場」には、いわゆる“イケてない”者たちが集まっていました。少し太めだったり、髪が薄かったり、背が低かったり。でも、彼らは早かった。朝一番に集まり、互いに話し合い、あっという間にペアを作っていました。 「あら、あなたも結婚したいのね!」 「お互い様だな! 一緒にやっていこう!」 彼らは笑い合い、腕を組んで市場を後にしました。まるで長年の友人の…

  • 寓話: 「フクロウとカラスとカエルのことば」

    『フクロウとカラスとカエルのことば』―分かり合えぬという怠惰について― 森の片隅で、老フクロウが木の上から森を眺めていた。 ある日、カラスがバタバタと怒りながら飛んできた。 「フクロウ先生、カエルに“うるさい”って言ったら、怒って水かけてきたんですよ!こっちはちゃんと注意しただけなのに!」 すぐ近くの池からカエルが顔を出す。 「“うるさい”なんて言い方、失礼でしょ。子どもたちの合唱の練習だったのに」 カラスは不満げに鼻を鳴らした。 「ジョークもわからないんですか。冗談なのに」 フクロウはゆっくり口を開いた。 「冗談は、相手が笑って初めて成立するんじゃ。お前のは、ただの“無自覚な攻撃”にすぎん」…

  • 寓話: 「すべて計算通り……ではない」

    アフリカの広いサバンナに、動物たちが協力して作った「火と光の工場」がありました。 その設計をしたのは、一羽の若いフクロウでした。 頭の回転が速く、どんなトラブルも数と仕組みで解いてしまうので、動物たちは彼を「博士」と呼び、頼りにしていました。 ある日、工場の冷ます仕組みが止まり、炉の熱がどんどん上がっていきました。 このままでは、周りの村まで焼けてしまうかもしれません。 動物たちは大慌てでした。 ライオンは非常停止のレバーを引こうとし、ゾウは水を運び、サルたちはベルを鳴らして走り回りました。 そんな中、フクロウはただ風向きを読んで言いました。 「大丈夫。煙突を切り替えて、風を通せば収まります。…

  • 寓話:「森の王様と小さなリス」

    むかしむかし、ある森に、ライオンの王様がいました。 ライオンは強くて頭も良く、たくさんの動物たちがその力を恐れ、彼に従っていました。 ある日、森に住む小さなリスが、王様の作った「ドングリ税」に不満を言いました。 「王様、ドングリは森のみんなのものです。小さな動物たちは、これが無いと冬を越せません」 するとライオン王は高らかに笑い、こう言いました。 「だったら、お前が王になって森を治めてみろ。文句があるなら、自分でやれ!」 リスはしばらく黙っていましたが、静かにこう答えました。 「私は王にはなれません。けれど、困っている仲間の声を伝えることはできます。 王様がその声に耳を貸さないなら、それは王様…

  • 壊し屋の功罪と人事評価の不条理

    組織というものは、どんなに立派な理念を掲げて始まったとしても、時間が経てば形骸化する。最初は「社会のため」「未来のため」と言っていたはずが、いつの間にか「この組織を守るため」に動くようになる。そうして、誰もが暗黙のうちに「変えないこと」が最善の選択肢だと思い込む。 こうなった組織をどうにかするのは難しい。なにしろ、そこにいる人々の生活がかかっているし、「前例がない」と言えば、それだけで大抵の改革案は葬り去ることができる。下手に手をつけようとすれば、猛烈な抵抗に遭う。結果として、誰もが問題を見て見ぬふりをすることになる。 そこで登場するのが、イーロン・マスクやドナルド・トランプのような「壊し屋」…

  • 寓話

    森永卓郎さんは亡くなる直前に寓話の本を出した。それを真似して自分の分野での寓話を書こうとしているのだが、なかなか難しい。 前職時代の話は時効だから書いても怒られないだろう。在職中は何度か注意を受けた事があったけど。

  • 会社で期待してはいけないもの

    会社に何を求めるかは人それぞれだが、「これは期待しないほうがいい」と断言できるものがいくつかある。 まず、「上司の理解」。これに期待すると大抵裏切られる。なぜなら、上司は部下のことを理解するために存在しているわけではなく、部下を管理するためにそこにいるからだ。理解しようとする上司はたまにいるが、彼らも結局は「わかってやってるつもり」の範疇を出ない。 次に「正当な評価」。これも危うい。会社の評価制度は、能力よりも「会社にとって都合のいい人」に報酬を与える仕組みになっている。だから、仕事ができても上司に盾突く人は評価されにくいし、逆に仕事ができなくても愛想のいい人が生き延びることがある。公平な世界…

  • 「キツネとツルの工場建設」ジョイントベンチャー寓話

    とある国で、巨大な工場建設プロジェクトが始まった。規模が大きすぎるため、経験豊富な大企業「フォックス・エンジニアリング」と、現地で圧倒的な実績を持つ「クレーン・テクノロジーズ」は仕方なくJVを組むことになった。 しかし、どちらも「本当は単独でやりたかった」と思っていた。最初から「仲良くやろう」という気持ちはなく、「相手のせいでトラブルが起きても、自分の責任にならないように」と保身を優先し、慎重に距離を取っていた。 フォックス社は自社のやり方を優先し、クレーン社に合わせることなく設計を進めた。その結果、クレーン社は適応に苦しみ、工期が遅延。後にクレーン社も自社の方式で工事を進めたが、クレーン社は…

  • 「うさぎと亀 〜報われぬ努力〜」寓話

    森の会社では、お人好しだった亀は、すべてを引き受けることの危険を学び、時には「NO」と言うようになりました。 一方で、うさぎは理不尽なことには怒りを見せつつも、常に論理的で冷静に、最も正しい方法で仕事を進めていました。 うさぎの言うことややることの9割は、技術的にも論理的にも正しく、経験に基づいた適切な判断でした。 しかし——うさぎの評価はなかなか上がりませんでした。 理解されないうさぎ 「うさぎの言うことは正しいのかもしれないが、厳しすぎるな……」 「細かすぎてついていけない……」 「言い方が冷たい……もう少し柔らかく言えばいいのに……」 猿課長や亀、そして周りの社員たちは、次第にうさぎを「…

  • 「うさぎと亀 —お人好しは損をする—」寓話

    むかしむかし、森の会社に猿課長とうさぎ社員、亀社員がいました。 ある日、猿課長は仕事を部下に振ろうとしました。重要な案件はうさぎに、誰でもできる雑用は亀に任せることにしました。 「うさぎに雑用を頼むと面倒だが、亀なら断らないからちょうどいい」 そう思った猿課長は、コピー取り、掃除、会議の準備、宴会の幹事、雑用すべてを亀に押しつけました。 亀は「仕事だから仕方ない」と思い、黙々とこなしましたが、自分の本来の仕事は進まず、毎日遅くまで残業するようになりました。 一方、うさぎはどうでしょう。 猿課長が「ちょっと手伝ってくれ」と言うと、うさぎは「それは課長の仕事では?」と時にはピシャリと断ります。 さ…

  • 脳は記憶で出来ている。では、感情は何で出来ているのか。

    脳というのは、つまるところ記憶の集積である。幼少期の記憶、学習した知識、過去の経験、それらが織り重なって「私」という存在を形作っている。では、感情はどうか? 科学的に見れば、感情は脳内の神経伝達物質の化学反応で説明される。喜びはドーパミン、不安はノルアドレナリン、愛情にはオキシトシン——といった具合に、ホルモンと電気信号の組み合わせが感情の源とされる。だが、それだけでは説明しきれない。 哲学的に考えるなら、感情とは「意味づけ」の産物だ。人間は出来事を単なる事実として受け取らない。ある音楽を聴いて懐かしくなるのは、過去の記憶と結びついているからだし、同じ雨の降る日でも、恋人と歩けばロマンチックに…

  • 「プロジェクトは伝わらないまま崩れていく」

    プロジェクト管理というと、タスクの整理、役割の割り当て、期限の管理といった作業が思い浮かぶ。もっともらしい。が、実のところ、プロジェクトの成否を決めるのは、そういった外面的な段取りではなく、「伝達」だ。 言い換えるなら、プロジェクト管理とはすなわちコミュニケーション管理である。あるいは、もう少し直裁に言うなら、プロジェクトの大半は「話が通じていない」ことが原因で潰れる。 実際、PMI(プロジェクトマネジメント協会)の調査によれば、プロジェクトの56%が「非効率なコミュニケーション」によって失敗するという。半分以上である。これはもう、「伝達不全」がプロジェクトのがん細胞であることを示すデータと言…

  • 「プロジェクトと気合い」

    プロジェクトというのは、たいてい途中で行き詰まる。最初は意気揚々と計画を立て、目標を設定し、メンバーを集めて議論を重ねる。しかし、いざ実行に移すと、想定外の問題が次々に噴出し、スケジュールは遅れ、予算は膨らみ、関係者の顔色がみるみる悪くなる。そして、会議室の空気が重くなり、誰もが「どうする?」と視線を交わし始める。 こういう状況になると、決まって誰かが言う。 「とにかくやりきろう」 「気持ちをひとつにしよう」 「最後は気合いだ」 ここで精神論が登場する。 冷静に考えれば、スケジュールの遅れは気合いでは取り戻せないし、足りない予算は団結力では補えない。それでも、プロジェクトの現場では、問題が解決…

  • 「発明」短篇SF

    天才科学者のA博士が、新発明を発表した。 「この装置を使えば、無駄な時間 を完全になくせる!」 スイッチを入れると、定例の報告会議、無意味な上司とのone on one、モチベーションを下げるだけの人事評価、会社の飲み会、親に似て出来の悪い子供の子育て——それらが一瞬でスキップされた。世界中の人々は喜び、装置は爆発的に売れた。 しかし、やがて問題が起こった。 「おかしい…気がついたら老人になっている!」 人々は理解した。無駄をなくした結果、人生のほとんどが消えてしまった のだ。 A博士は叫んだ。「そんなはずは…!」 だが、次の瞬間、彼もまたスキップされ、世界から消えた。

  • 「バグが見える仕事、見えない仕事」

    世の中には、能力の差がはっきりと見える仕事と、そうでない仕事がある。プログラマーとプラント設計エンジニア。この二つの職種を比べると、その違いがよくわかる。 プログラマーの仕事は、シンプルだ。コードを書き、バグを潰し、プログラムを動かす。バグがあればテストの段階で明らかになり、誰のミスかもはっきりする。結果、個人の技量は可視化されやすく、優秀なプログラマーとそうでないプログラマーの違いは、一目瞭然だ。 一方、プラント設計エンジニアの仕事は、もっと曖昧で、長期的なものだ。彼らの設計したプラントは、何年もかけて建設され、何十年も稼働する。その設計とは、単に図面を引くだけではない。全体の計画を立て、方…

  • 『嫌われる勇気』を実践するのは本当に可能なのか?

    『嫌われる勇気』は数百万部を売り上げ、自己啓発書の中でも特に影響力のある一冊となった。しかし、本当にその教えを実践している人はどれほどいるのだろうか。 この本はアドラー心理学を基に、「他者の評価を気にせず、自分の人生を生きる」ことを説いている。これが実践できれば、確かにストレスは減るし、主体的な人生を送れる。しかし、現実社会では「嫌われたくない」という感情が強く働く。日本の社会は特に同調圧力が強く、集団の調和を重んじる傾向がある。そんな中で、「他人にどう思われようが気にしない」と開き直るのは、相当な覚悟が必要だ。 たとえば、職場で上司の理不尽な指示を「それは納得できません」と拒否する勇気がある…

  • Sの魔力

    「動作はスローでスムース、そしてスピーディー」――なんだか矛盾しているようでいて、妙にしっくりくるこのフレーズ。確か昔、どこかで聞いた気がする。あるいは、勝手に自分の記憶が作り出したのかもしれない。いずれにせよ、この言葉には妙な魅力がある。 で、ふと気づいたのだが、「ス」で始まる言葉には、なぜか心をくすぐるものが多い。スリル、スピード、サスペンス、セックス。英語圏に目を向けると、スタイル(Style)、サクセス(Success)、ストラテジー(Strategy)なんてのもある。どれもこれも、人の欲望を刺激する言葉ばかりだ。 なぜ「S」なのか。偶然か、必然か、言葉の響きの問題か。 たとえば、スリ…

  • 孤独な男の物語を繰り返し見る理由

    映画やドラマは基本的に一度しか見ない。 結末を知ってしまえば、もう見る必要がないからだ。 ミステリーは犯人を知ったら終わりだし、どんでん返しものは二度目にはどんでもなんともない。派手なアクション映画も、一回目の爆発が最も派手で、二回目はただの後片付けだ。 それでも、なぜか何度も見てしまう作品がある。 そういう作品の主人公は、たいてい孤独な男だ。 たとえば ナイト・マネージャー。Amazonプライムで見れる。 スパイものなのに派手なガンアクションもなく、静かに陰謀が進行する。 トム・ヒドルストン演じる主人公は、内に秘めた怒りを抱えながら、慎重に、冷静に、孤独に動く。 この「静かに動く」というとこ…

  • 専門性がない上司に専門家を評価できるのか問題

    これ、職場でよくある話だ。エクセルの使い方もおぼつかない部長が、バリバリのデータアナリストの仕事を評価するとか、プログラムの「プ」の字も知らないマネージャーがエンジニアにダメ出しするとか。いやいや、あなたが何を基準に「これはダメ」と判断しているのか、こっちが聞きたい。 ただ、こういう構図は会社に限った話じゃない。世の中を見渡せば、映画を撮ったことがない評論家が映画を批評し、スポーツをやったことのないコメンテーターが選手のプレーに注文をつけ、政治家は自分がやったこともない仕事について「あのやり方はよくない」と断じる。専門家を評価するのに、専門性が必要ないケースは意外と多い。 とはいえ、やはり職場…

  • 「やる気は才能の代用品ではない」

    世の中には、なまじっかのやる気が害悪になる場面がある。いや、「ある」どころの話ではない。「頻発する」と言うべきだろう。 たとえば、職場に一人はいる「相談せずに勝手に動く人」。このタイプは、誰かがちゃんと決めた手順を「もっと効率的にできるのでは?」などと勝手に解釈し、何の根拠もない工夫を加えた結果、システムを混乱させる。サーバーにある書類の場所や並び順を「使いやすいように」と改変して、全員が必要な書類を探し回る羽目になったりする。 彼らの口癖は、「これは自分なりに考えた結果です」。だが、その「考え」が往々にして浅い。問題は、考えが浅いことではなく、浅いことに気づかずに突っ走ることにある。もっと言…

  • 「能力・礼節・愛嬌」

    人間社会というのは、実力主義のようでいて、実のところ「能力」だけで回っているわけではない。かといって「愛嬌」だけで食っていけるほど甘くもない。ましてや「礼節」だけで生き延びるのは、坊主の世界でもない限り難しい。 この三つをどう組み合わせるか。それが処世術というやつだ。 もちろん、能力がズバ抜けていれば、それだけで生きていける場面はある。天才エンジニアとか、孤高の芸術家とか、そういうタイプだ。だが、彼らの多くは「人と関わらなくていい仕事」を自ら選んでいる。なぜなら、愛嬌も礼節も持ち合わせていないと、普通の社会ではただの厄介者になるからだ。 逆に、能力がいまいちでも、愛嬌があれば周りが助けてくれる…

  • 「二人の大統領と、一人の独裁者」

    アメリカ大統領とウクライナ大統領がホワイトハウスで会談し、決裂したそうだ。いや、正確には「決裂した」のではなく、「罵り合った」挙げ句、「物別れに終わった」というのが実態らしい。会談の場が、国際外交の舞台というより、場末の酒場での喧嘩に近いものだったというのは、昨今の国際政治の風景として、もはや驚くに値しない。 おもしろいのは、トランプ氏とゼレンスキー氏、どちらも本業が「政治家」ではなかったという点だ。片や不動産王、片やコメディアン出身。前者は政治をビジネスとみなし、後者は政治をドラマチックな舞台と捉えているフシがある。そんな二人が、世界の命運を左右する戦争について語り合った結果、話し合いが決裂…

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