Lake Biwa Triathlon in Moriyama 2021 挑戦記 – 4話「伝説の男、永遠の師匠」
第3話「金剛力士頂上決戦」に戻る 「あれ…?ヒロキ?」 視界に大きく広がる青空の端に、義弟しげちゃんの顔がよぎった。疲労困憊しているようだ。きっと俺の表情も似たり寄ったりだろう。 4月14日(日) 18:00、ラン21km 折り返し地点。スタートから10時間40分。スタート時に完走を誓い合った義弟に、ついに追いつかれた。 「大丈夫?」 「先に行ってて。追いつくから」 短く答える。心配そうなしげちゃんが先を急ぐ。 少ししてから俺はノロノロと起き上がる。5分前、突如手足に広がった痺れは治っていない。 それでも、自分を叱咤しながら追いかける。今回のレースで俺を動かしてくれる最大のモチベーション、どうしても完走したいと思う理由が何だったのかを思い出す。 少し先でその理由、しげちゃんに追いついた。 ここからレースが終わるまでの約10km。 疑いなくこれまでで最も苦しい10km。 それでいて、おそらく今後最も記憶に残るであろう10km。 俺はしげちゃんと並走を開始した。 この投稿をInstagramで見る Hiroki Komada(@hirokikomada)がシェアした投稿 関連記事: 6回目の宮古島トライアスロン、レースレポート。 2019年4月14日(日)、俺にとって6回目の宮古島トライアスロン。結果は35km地点関門をクリアできずのDNF。 35km地点で回収された俺は、フィニッシュ地点の宮古島市陸上競技場に戻ってきた。 雨が降っている。大事なときにはいつも晴れるはずなのに、俺の体調と精神状態によっては必ず雨が降る。 その理由はよく分かってている。仲間たちに会わせる顔がないと思っているからだ。 それでも、そんな俺に仲間たちは優しかった。 この投稿をInstagramで見る Hiroki Komada(@hirokikomada)がシェアした投稿 気持ちの整理がうまくいかず、しばらく呆然と座り込んでいると、陸上競技場の入り口が大きくどよめいた。 20時29分。最終ランナーが帰ってきたのだ。俺と違い、最後までやり切った選手の姿を見届けよう。
2022/07/24 22:07