虫の声
『スウェーデイッシュ・ブーツ』 ヘニング・マンケル著 柳沢由美子訳 刑事ヴァランダー・シリーズの著者による最後の作品である。以前読んだ『イタリアン・シューズ』の続編でもある。筆者は前作の七年後を想定してほしいと言っている。500ページ近い大部であるが、少しミステリー的要素も入ったエンタメ小説であり、一気に読めた。 主人公は70歳になる元医師のフレドリック。スウェーデンのバルト海の小島で一人暮らしをしている。前作では彼が医師を捨てた理由、癌を患った昔の恋人が訪ねてきて島で亡くなること、二人の間に娘がいたことなどが書かれていた。 今回はいきなり彼の住まいの火事から始まった。就寝中のことで、命は助か…
2023/08/29 14:00