2-XII-6
「とうとう見つけたぞ!」と彼は男爵が入ってきたとき叫んだ。「わしは心配しとったんじゃ……」「何を御心配なすったのですか、大公?」カミ・ベイは大公と呼ばれていたが、誰もその理由は知らなかった。彼自身もそうだったであろう。おそらく彼がルグラン・ホテルに到着した際、従僕が彼の馬車のドアを開けたとき、この呼称を使ったからであろう……。「何を、とは遺憾千万!」と彼は答えた。「貴公は現時点で三十万フラン以上わしから勝っておる。シャルルマーニュを決め込む(勝ち逃げする)つもりではあるまいな、と思っておった!」男爵は眉を顰め、その結果、大公という呼称を引っ込めることにした。「私の記憶では、貴方様と私との間で合意が成っていると思っておりましたが。我々の一方が相手より五十万フラン勝ち越すまでゲームを続ける、という」「そのとお...2-XII-6
2024/07/31 07:44