棄てる本の「余滴」(4)
●『杉浦康平のデザイン』(臼田捷治) 子が親より先に死ぬのは最大の親不孝。その報いで三途の河原で石を積み続けることになるが、鬼が来て蹴散らしてしまう……では弟子が”出藍の誉れ”を果たせず、師匠より先に死ぬとどんな報いを受けるのだろう……。 杉浦康平の弟子だったブックデザイナーの鈴木一誌が、この夏亡くなった(享年73歳)。まずは冥福を祈る。 我が同級生で"戦友"でもあったが、杉浦を追って造形大に転校してしまい、そのまま杉浦オフィスで12年も勤めて後に独立した。かくいう自分も20代は杉浦に影響され心底私淑していた。 杉浦の半世紀以上のデザイン活動は常に革新的で理知的だった。広告宣伝畑の連中のチャラ…
2023/10/30 17:29