木漏れ日の下のアトリエ【神楽を伝える村へ/高見乾司:神楽画帖展<8>】
梅雨の中休みの晴れ間が続いている。夏の到来を思わせる太陽の光だ。中庭を片付け、落葉や枯れ枝を集めて焚き火をしながら、冬に描いた大作(90センチ×12メートル他)を広げて、仕上げをする。ストーブの煤や竹炭の粉、樫の葉、椎の古木の皮などをブレンドした「黒」や、草木染めの染料(今回は山桜の染液)などを調合した絵の具を作る。それらの絵の具で画面に濃淡をつけてゆくのである。途中で、仕上げているのか、壊しているのか、わからなくなる時間帯がある。それでも描き続けていると、乾くにつれて次第に浮き上がってくる形態がある。それが、夜神楽の舞い続けられている村を取り巻く山岳や、霧が立ち上り、朝の光がさし始める山の峰などの形象が立ち現れ、画面から神楽笛の音が響いて来れば、仕上げは順調に進んでいると思っていい。そのかすかな響きを受...木漏れ日の下のアトリエ【神楽を伝える村へ/高見乾司:神楽画帖展<8>】
2023/06/29 09:09