侠客が郷に入ること 09,11再
以前、安岡正篤氏と恩師の席のことだった。大勢の参会者があったが懇話しているときに凝視せざるを得ない容像の人物が近寄ってきて慇懃に頭を垂れた。大柄ではないが強固な体躯で白髪、目じりが細く荒ぶれた様子はないが、畏怖を感じるような重厚さがあった。いつものことながら安岡氏は丁寧な礼を返していた。どうも安岡氏の傍にいると政治家、財界人、官僚、浪人、侠客など人別をこだわらない、しかもその道の人物が近寄ってくる。かといって誰でも近寄るわけではない。民主党の黄門と自称している渡部氏も当時は竹下氏に連れられて来ていたが言葉すら発することが無かった。当時は田中角栄氏が裏面の権勢を振るっていたが、ある席で、゛別席に安岡先生がいらっしゃっていますが・・゛と女将が促すと、身を縮めてセンスを振っていたという。安岡氏が「一夜、沛然とし...侠客が郷に入ること09,11再
2023/09/30 01:45