勇者乙の天路歴程 003『頭上で楠の葉が戦ぐ』
勇者乙の天路歴程003『頭上で楠の葉が戦ぐ』サワサワサワ……サワサワサ……サワサワサ……頭上で楠の葉が戦ぐ。戦ぐと書いて「そよぐ」と読む。演劇部の顧問をしていたころ『これでソヨグと読むんですか!?』と台本の字の読みを教えてやって驚かれたことがある。その生徒は『たたかぐ』と読んでいた。『戦い』と書いて『タタカイ』なのだから、『タタカグ』と発音してしまったんだ。そうなんだ、戦ぐとは、一枚一枚の木の葉が、隣り合う木の葉に当って音を立てる様子を現す言葉なんだ。それが、何千、何万、何十万、何百万と重なるとサワサワサワになり、林や森ぐるみ山ぐるみになると、ザワザワ、時にゴウゴウと猛々しい音に成ったりする。校舎の屋上で日の丸がはためいている。学校で国旗を掲揚するようになったのは今世紀に入ってからだったかなぁ。本来は、正...勇者乙の天路歴程003『頭上で楠の葉が戦ぐ』
2024/02/29 10:51